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道議会での取り組み
2009年第4回定例道議会

【花岡ユリ子道議、教員の精神疾患急増、通級指導教室通学費保護者負担をただす】 09.12.07

2009年12月7日 予算特別委員会第2分科会質疑概要

質問者 日本共産党 花岡ユリ子 議員

教育委員会所管の問題

教員の精神疾患急増、病欠・休職期間短縮は見直せと要求

○花岡ユリ子委員

それでは、教員の超過勤務と健康問題について伺っていきたいと思います。

最初に、本道の教員の時間外勤務の実態についてどのように把握し、縮減のためにどのような対策をお考えなのか、まず伺っておきたいと思います。

○寺脇文康教職員課参事

教員の時間外勤務等の縮減についてでございますが、有識者等で構成いたします時間外勤務等縮減推進委員会において昨年実施した調査では、勤務日における1日の平均労働時間は、校長が約10時間、教頭が約12時間、教諭が約10時間から11時間でありまして、また、教諭の残業時間の業務内容といたしましては、教材研究や部活動指導などが多くを占めたところでございます。

推進委員会においては、こうした状況を踏まえまして、本年3月に、「教育職員の時間外勤務等の縮減に関する中間まとめ」を公表したところでありまして、道教委では、それを受けて、時間外勤務等の縮減につながるような取り組みをモデル的に実施する学校を全道で42校指定いたしますとともに、8月には、学校等の事務処理体制の改善や調査等の業務の見直し、部活動指導の実施体制の検討など、六つの基本方向による具体的な取り組み方策を取りまとめたところでございます。

現在、この取り組み方策に基づきまして、定時退勤日等の取り組みの強化、国の補正予算を活用した教員1人1パソコンの整備促進、調査業務の見直しによる調査件数の削減、公立学校に統一の校務システムを構築するための設計に着手するなどの取り組みを進めているところでございます。

○花岡ユリ子委員

長々と御答弁いただきましたが、数字が並んだせいもありまして、ちょっとわかりづらいので、もう一度、教諭の年間の超過勤務時間はどうなのか、小・中・高それぞれについて答えていただければと思いますが、いかがですか。

○寺脇教職員課参事

教諭の勤務時間についてでありますが、教諭の年間の時間外勤務時間につきましては把握しておりませんが、先ほど申し上げた抽出の調査では、教諭の通常期における月当たりの時間外勤務時間を試算いたしますと、小学校が37時間56分、中学校が63時間42分、高等学校が64時間28分、特別支援学校が33時間12分となっているところでございます。

○花岡ユリ子委員

日本の教員の法定労働時間は年間1940時間で、OECD加盟国の平均より250時間から290時間も多く、さらに、今答弁がありましたように、残業をしているわけです。

そこで、残業時間の長さとも密接にかかわる課題としまして、長欠・休職者の状況について伺っていきたいと思います。

知事部局では、精神疾患による長欠・休職者が、平成10年度の74人から、20年度には230人にふえ、長欠・休職者全体に占める精神疾患の比率も、29%から63%へと高くなっています。

それでは、道内の教職員における長欠・休職者と、そのうちの精神疾患による長欠・休職者の推移について、平成10年度と20年度を比較してどのようになっているのか、お示し願いたいと思います。

○日下孝福利課長

教職員の精神性疾患による長欠及び休職者の状況についてでありますが、平成10年度においては、長欠及び休職者が合わせて294人おり、そのうち、精神性疾患による者は、35%に当たる104人となっているところでございます。

平成20年度においては、長欠及び休職者が478人で、そのうち、精神性疾患による者は342人、72%となっており、この間で、精神性疾患による長欠及び休職者は、その人数も割合も大幅に増加している状況にございます。

○花岡ユリ子委員

文科省から資料が出ていると思いますが、道内の教員の精神疾患性の比率は、全国と比べて多いのか少ないのか、これについてはどのようになっていますか。

○日下福利課長

全国との比較についてでありますが、平成20年12月に文部科学省が公表いたしました病気休職者数の推移によりますと、平成19年度における病気休職者に占める精神性疾患の割合は、全国平均では61.9%に対し、北海道は65.6%となっており、全国と比べ、やや高い状況にございます。

○花岡ユリ子委員

答弁がありましたが、全国の教員や知事部局の職員よりも、北海道の教員は精神性疾患の比率が高いということが明らかになりました。その数も大変多いということに私自身も驚いております。

さらに伺いますが、長欠・休職者全体及び精神性疾患者について、休職などの期間を示していただきたいと思います。

○間宮晶洋教職員課参事

教職員の休職などの状況についてでございますが、平成20年度の小中学校と道立学校の長欠及び休職者の478人のうち、休職者は273人となっておりまして、その期間は、1年未満の者が171人、率にして62.6%、1年以上2年間未満の者は64人、23.4%、2年以上3年までの者は38人、14%となっております。

また、そのうち、精神性疾患による者の342人のうち、休職者は184人となっており、その期間は、1年未満の者が101人、54.9%、1年以上2年間未満の者は51人、27.7%、2年以上3年までの者は32人、17.4%となっているところでございます。

○花岡ユリ子委員

長欠・休職者の中でも、精神性疾患による長欠・休職者がふえているもとで、今年度から、病気休職中の職員への給与規定が改悪されたというふうに聞いております。やはり、長い休職になれば、家族の問題だとか給与の問題とか、いろいろあるわけですから、心配がどんどんとふえていくわけです。それが、結局、病気を長引かせる一つの原因にもなるのじゃないかと思うのです。

本来であれば、給与の支給期間を短くするのではなくて、延長すべきだと考えますが、この点について認識を示していただきたいと思います。

○山田寿雄教育職員局長

病気休暇などの給与の取り扱いについてでございますが、病気休暇や休職中の職員に係る給与の取り扱いにつきましては、本年4月の人事委員会規則の改正により、病気休暇取得者に対し、1年間、給与の全額を支給する疾病、及び、病気休職者に対し、2年間、給与の8割を支給する疾病の範囲が見直されまして、精神性疾患などにつきましては、他の疾病と同様に、給与の全額を支給する期間につきましては90日間、また、給与の8割を支給する期間につきましては1年間とされたところでございます。

このたびの改正につきましては、国や民間企業の状況、さらには、昨今の極めて厳しい社会経済情勢の変化などから、見直しが行われたものと認識をしているものでございます。

道教委といたしましては、教職員が心身ともに健康で教育活動に携わることができますよう、今後とも、メンタルヘルス対策や時間外勤務等の縮減など、より実効性のある取り組みを進めてまいりたいと考えております。

○花岡ユリ子委員

メンタル面の状況改善を進めていきたいというふうに言っていますけれども、現実的には、メンタル面で問題のある教員がどんどんどんどんとふえていっているのではないのかというふうに思います。

それで、平成20年度における、精神性疾患による休職が2年以上3年までの人について見ると、病欠を加えると3年から4年という期間になり、6人に1人は3年以上の長期ですが、精神疾患で病欠と認められる期間が1年間から90日間に縮められたため、それにスライドして、共済組合から給与の8割が補償され得る休職期間が終了する時点も、4年間から3年3カ月間に短縮されました。これが、ことし4月からの制度改悪です。

やはり、病で長期間苦しんでいる教員と家族を切り捨ててしまう改悪は見直して、ゆっくり治療し、病気が治った後に改めて復帰していただく、こういうシステムを構築するべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○倉島宏教育次長

先ほどお答えいたしましたとおり、このたびの改正につきましては、国や民間企業の状況、さらには、昨今の極めて厳しい社会経済情勢の変化などから、見直しが行われたものでありまして、道教委といたしましては、教職員が心身ともに健康で教育活動に携わることができますよう、今後とも、メンタルヘルス対策や時間外勤務等の縮減など、より実効性のある取り組みを進めてまいりたいと考えております。

以上でございます。

○花岡ユリ子委員

議事録に載るのですから、今答弁したとおり、しっかりと対策を立てていただきたい。

とにかく、超過勤務が多いということが一つの原因だと思いますので、やっぱり、それを短縮させるために、必要ならば、教員をふやしていくということも含めて検討しなかったら、子どもたちを育てていく先生が精神的に落ち込むような状況は改善していかないのではないかということを指摘しておきたいと思います。

通級指導教室通学費保護者負担は遺憾、国の補助活用周知せよ

○花岡ユリ子委員

次に、特別支援教育について伺います。

平成19年4月から、学校教育法に特別支援教育が位置づけられ、障がいのある子どもたちへの教育が充実強化されていると認識しております。

そこで伺いますが、軽度の障がいがある児童生徒に対する通級指導教室を設置している市町村の数、通級指導教室の数と児童生徒数について、全道の状況をまずお答えいただきたいと思います。

○笹山幸弘特別支援教育課長

通級指導教室の設置状況などについてでございますけれども、小中学校の通常の学級に在籍しております、軽度の障がいのある児童生徒に対し、障がいに応じた特別の指導を行う、いわゆる通級指導教室は、平成21年度におきましては、道内の58市町村で設置しており、小学校では95校、228教室、2488人、中学校では7校、10教室、126人となっております。

○花岡ユリ子委員

通級指導については、平成5年から、言語障がい児など、軽度の障がいの児童生徒を対象として法制化され、平成18年度から、その対象は、自閉症や、学習障害 ― LD、注意欠陥多動性障害にまで拡大されていると承知しておりますが、道教委としましては、通級による指導をどのように考えているのか、認識を伺いたいと思います。

○小野寺敏光学校教育局長

通級による指導の意義についてでありますが、通級による指導は、障がいのある子どもたちに対し、その障がいの状態の改善、克服を図るため、通級指導教室において、きめ細かな指導を行うものであり、こうした、子どもの教育的ニーズに応じた通級による指導が、通常の学級の授業においても生かされ、障がいのある子どもたちの指導に効果的なものと考えております。

○花岡ユリ子委員

今の答弁のように、通級指導には非常にすばらしいものがあるというふうに思います。そうであれば、対象児童生徒が在籍するすべての小中学校で、きちんと通級指導教室を設置するべきではないかと思います。

しかし、通級指導教室を設置していない市町村において通級指導の対象となる児童生徒は、ほかの市町村が設置している通級指導教室に通学しているものと認識していますが、通級指導の対象となる児童生徒がいるにもかかわらず、通級指導教室を設置していない市町村の数と、その児童生徒数をお答えいただきたいと思います。

また、同一市町村内で他校通級指導を行っている市町村の数と児童生徒の数を伺います。

○笹山特別支援教育課長

通級指導教室を設置していない市町村の状況などについてでありますけれども、通級指導の対象となる児童生徒がいるが、通級指導教室を設置していない市町村は29市町村で、103人となっております。

これらの児童生徒に対しましては、教室を設置している近隣の市町村の教育委員会と協議して、指導を受ける機会を確保していると承知しております。

また、同一市町村内において、在籍する小中学校以外の学校に設置されている通級指導教室に通学している児童生徒は1606人となっております。

○花岡ユリ子委員

急いで質問します。

文部科学省における、要保護児童生徒援助費補助金及び特別支援教育就学奨励費補助金の要綱によりますと、通級指導教室への通学にかかわる特別に要する交通費は、補助の対象とすることができるとされています。

そこで伺いますが、同一市町村内における他校通級指導や、他市町村からの他校通級指導の通学にかかわる、特別に要する経費を補助対象として取り扱っている市町村の数を伺います。

それと、就学奨励費の補助の対象となっているにもかかわらず、補助の対象として取り扱っていない市町村があるということであるが、補助の対象として取り扱っていない市町村では、保護者負担や市町村負担とされており、非常に遺憾であります。

そこで伺いますが、道教委として、至急、通知を発出するなどして、改めて、交通費に助成が出るのだということを全道の市町村へ周知する必要があると思いますが、この点についてもお答えいただきたいと思います。

○笹山特別支援教育課長

通級指導に要する交通費に関してでございますけれども、委員が御指摘のとおり、他の学校の通級指導教室に通学するために必要な交通費、いわゆる特別に要する交通費につきましては、文部科学省の特別支援教育就学奨励費補助金の補助対象とすることができることとされておりまして、この補助金を活用し、通級指導教室への通学経費を助成している市町村の数は、対象児童生徒が在籍する学校を設置する87市町村のうち、21市町村となっております。

特別支援教育就学奨励費補助金の通学費の補助につきましては、通級指導教室に通学する児童生徒の保護者にとって、経済的負担を軽減するためにも、有意義な制度でありますことから、当該補助制度の趣旨や内容についての周知徹底を図り、対象となる児童生徒が在籍する学校を設置している市町村に対し、補助事業の積極的な活用について働きかけてまいりたいと考えております。

○花岡ユリ子委員

よろしくお願いいたします。

終わります。ありがとうございました。


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