2009年12月7日 予算特別委員会第2分科会質疑概要
質問者 日本共産党 花岡ユリ子 議員
経済部所管の問題
緊急雇用創出、ふるさと雇用再生両事業についてただす
○花岡ユリ子委員
それでは、雇用対策について伺います。
経済部は、このたび、「地域雇用おこし種まき事例集」を作成したと承知しておりますが、その目的と活用方法について、まず最初にお答えいただきたいと思いますし、事例集の中で、緊急雇用創出、ふるさと雇用再生の両交付金事業にかかわる先進事例について簡単に紹介いただければと思います。
○山根康徳雇用労政課長
事例集についてでありますが、道においては、道内各地で行われております、国や道などのさまざまな支援制度を効果的に活用いたしました雇用おこしの取り組み事例を紹介し、地域における取り組みを一層促進するため、「地域雇用おこし種まき事例集」を作成したところでございます。
事例集の掲載事業を1例ずつ紹介いたしますと、ふるさと雇用再生特別対策推進事業で実施しております住民参加型起業支援ネット形成事業では、新たに起業しようとする者に対しまして、住民組織や地域の団体が、労務、資金、施設の提供などの支援を行うネットワークを形成する取り組みを通じまして、地域に密着した起業を促進しているところでございます。
また、緊急雇用創出推進事業で実施しております障害者職場実習企業開拓等事業では、障がい者就業・生活支援センターを運営いたします道内の3団体に職場実習開拓員を配置いたしまして、地域の企業に障がい者の雇用について理解を深めてもらうとともに、新たな職場実習先を開拓し、障がい者の雇用促進を図っているところでございます。
道におきましては、本事例集も活用しながら、現在、道内の6地域において、さまざまな雇用おこし事例などを紹介いたします地域雇用おこし種まきフォーラムを開催しておりますほか、本事例集を関係機関に配付するなどいたしまして、地域における雇用おこしの機運の醸成を図ることとしているところでございます。
○花岡ユリ子委員
次に、緊急雇用創出、ふるさと雇用再生の両交付金事業のことし4月からこれまでの実績を、道、市町村のそれぞれについて答えていただきたいと思います。
その中で、自治体の臨時職員の雇用総数について、概数で結構ですけれども、どんな状況になっているのか、答えていただきたい。
○山根雇用労政課長
雇用交付金事業のこれまでの実績についてでありますが、緊急雇用創出推進事業につきましては、これまで、道実施事業分といたしまして、115件、1578人、市町村実施事業分といたしまして、800件、4190人、また、ふるさと雇用再生特別推進事業につきましては、道実施事業分といたしまして、31件、159人、市町村実施事業分として、227件、631人の雇用・就業機会の創出につながる取り組みを実施しているところでございます。
このうち、自治体における臨時職員の雇用につきましては、事務補助と事業に直接雇用する者を合わせまして、道事業が約100人、市町村事業が約1100人となっているところでございます。
○花岡ユリ子委員
10月23日に政府が発表しました緊急雇用対策には、具体策として、緊急雇用創出事業の要件緩和と前倒し執行が盛り込まれたというふうに聞いております。4定補正で前倒し執行を決めた自治体数を答えていただきたいと思います。
○山根雇用労政課長
前倒し執行についてでございますが、道といたしましては、このたびの国の緊急雇用対策における要件緩和を踏まえまして、本道の厳しい雇用情勢にかんがみ、1人でも多くの雇用の場が生まれるよう、各市町村に対しまして、追加事業の実施について要請し、取り組み可能な事業についての取りまとめを行ったところでございまして、42市町村で追加事業の実施を予定しているところでございます。
自治体の臨時職員採用、直接雇用についてただす
○花岡ユリ子委員
政府の緊急雇用対策の中で、地方自治体の臨時職員採用は、平成21年9月30日までから23年3月31日までと延長されました。
それを受けて、臨時職員の直接雇用を予定している自治体の数について答えていただきたいと思いますし、道としての直接雇用に関してどう考えているのかなどについても答弁をいただきたいと思います。
○山根雇用労政課長
臨時職員の雇用についてでありますが、このたび取りまとめをいたしました追加実施事業において、36市町村において臨時職員の雇用を予定しているところでございます。
また、道におきましても、行政需要として必要性の高い業務につきまして、昨年度の採用実績も念頭に、来年1月以降、臨時職員を採用することについて検討しているところでございます。
介護雇用プログラムの活用についてただす
○花岡ユリ子委員
今の深刻な不況の中で、介護に仕事を求める方がふえておりますし、政府もそれを後押ししています。
緊急雇用対策では、雇用期間について、介護分野は1年以内、介護福祉士を目指す事業は、1回更新で、最長2年と改善されました。「働きながら資格をとる」介護雇用プログラムを盛り込み、今年度中の事業開始をお願いするとしています。
4定補正で前倒し執行を決めた自治体で、介護分野の雇用、「働きながら資格をとる」介護雇用プログラムの活用を計画している自治体は幾らあるのか、そして、道はどのような計画を持っているのか、お答えいただきたいと思います。
○宮原真太郎労働局長
介護雇用プログラムについてでございますが、このたび取りまとめた追加実施事業におきまして、働きながら介護に関する資格取得を図る介護雇用プログラムの活用を予定している市町村はございませんが、今後に向け、本プログラムを活用した取り組みの実施について検討している市町村はあるものと承知いたしております。
また、道におきましては、本プログラムを活用した事業の年度内の実施に向けまして、具体的に検討しているところでございます。
○花岡ユリ子委員
これだけ、介護分野への進出ということを政府も含めて言っていますが、そういう方向は北海道の中ではなかなか厳しいのかなというふうに思ったりもしています。
新卒者対策に北海道挙げての努力求める
○花岡ユリ子委員
雇用の問題での最後の質問になりますけれども、新卒者対策について伺います。
新卒者の就職環境が厳しいことから、秋田県では、未就職者を研修生として受け入れてくれる企業の開拓を行うこととしており、また、京都府では、100人を雇用して職業訓練を行うこととしていますが、道は、今後どのような対策を講じていくのか、最後にお聞きしたいと思います。
○渡辺健経済部長
新卒者対策についてでありますが、道といたしましては、学卒者を取り巻く厳しい雇用環境を踏まえ、教育庁などの関係機関の参加を得てプロジェクトチームを設置し、高校生に対するさらなる就職支援策の検討や、連携した事業実施に取り組むこととしたところでございます。
当面、企業などに対する求人要請や支援策の周知、就職面接会や企業説明会の開催のほか、就職未内定者を対象とした特別相談会を昨年度より前倒して実施するとともに、定期的に採用を行い、人材育成に熱心な企業の情報を冊子として取りまとめ、学校などへの配付を含めた情報発信を行うなどの取り組みを進めているところでございます。
また、就職内定が得られないまま卒業する生徒に対しましては、道立高等技術専門学院において、入学定員を超えた特別受け入れ枠を設定するとともに、離職者向け職業訓練につきましても、国の動向を注視しながら活用を図るなど、今後とも、適時適切な施策の推進に努め、学卒者の就職を促進してまいる考えでございます。
○花岡ユリ子委員
卒業して、即失業ということが心配されている状況でございますので、少なくとも、卒業した学生などに対する仕事のあっせん、雇用の拡大に北海道挙げて力を入れて、対策を立てていただきたいということを申し述べておきたいと思います。
トラブル相次ぐ使用済み核燃料再処理計画をただす
○花岡ユリ子委員
次に、エネルギー政策について伺います。
九州電力の原発で、この2日からプルサーマルが営業運転に入りました。泊原発では、2010年度の導入は非常に難しい状況にあるとしていますが、青森県六ヶ所村の核燃料サイクルの施設の状況など、核燃料サイクルについて伺っていきたいと思います。
まず最初に、六ヶ所村の再処理施設の竣工延期についてですが、この間、何度となく延期されておりますが、その理由は何なのか、伺いたいと思います。
○小玉俊宏資源エネルギー課長
再処理施設の竣工時期などについてでありますが、日本原燃株式会社が青森県六ヶ所村に建設中の再処理施設につきましては、事業指定を受けました平成4年12月以降、これまでの間、再処理施設の竣工時期が14回変更されているものと承知しております。
これまでの延期の原因といたしましては、実際に使用済み燃料を用いて再処理機能などを確かめるアクティブ試験の実施中に、剪断機のふぐあいや、ガラス溶融炉の耐火れんがの損傷等のトラブルが生じたことなどによるものと承知しております。
以上です。
○花岡ユリ子委員
再処理施設でガラス固化体が独自に製造できるかは疑問であり、技術は確立されていないというふうに思っていますが、この点についてはどういう考えをお持ちなのか、伺っておきたいと思います。
○小玉資源エネルギー課長
ガラス固化体の製造技術に関してでありますが、国は、使用済み燃料の取り扱いに係る評価を行いまして、再処理する場合におきましては、実施が不可能となるような特段の技術的課題は見当たらないとしているところであります。
また、日本原燃におきましても、製造技術や構造的な問題があるとは考えていないとしているところであります。
以上です。
○花岡ユリ子委員
それで、どうして、このように何度となく事業が中断するのでしょうか。やはり、そこに問題があるから中断ということになるのだろうと思います。
それから、地元・青森の東奥日報という新聞の記事を見ておりますけれども、トラブル発生による工程のおくれが社員の重圧となり、さらなるトラブルを引き起こすという負の連鎖が続いている、こういうふうに青森の東奥日報では書かれています。
要するに、期日が決められているけれども、それに見合う技術力がない中でつくっていくために、常に失敗の繰り返しで、技術が確立されていないことが明らかではないかというふうに思いますが、この点についてはいかがですか。
○木田勇産業立地推進局長
製造技術に関する再度のお尋ねでございますが、日本原燃におきましては、性能試験や化学試験を実施し、適切に管理することにより、固化処理能力を維持することは可能と考えており、製造技術に問題があるとは考えていないとしているところでございます。
また、国におきましては、使用済み燃料の取り扱いにかかわる評価を行い、再処理する場合におきましては、実施が不可能となるような特段の技術的課題は見当たらないとしているところでございます。
以上でございます。
○花岡ユリ子委員
再処理施設でガラス固化体が独自に製造できるかは疑問であり、技術は確立されていないというふうに私は思っておりますが、これはいいです。
泊原発に使用済み核燃料の貯蔵拡大が
○花岡ユリ子委員
それで、ことしの第4・四半期の使用済み燃料の受け入れ計画を、139トンから48トンに大幅に下方修正し、再処理も、完工していないので、当然、ゼロとなっています。このままでは、発電所の貯蔵施設があふれてしまうのではないかという危惧がありますが、使用済み燃料の貯蔵について、非常時を除いた実質的な空き容量はどうなっているのか、六ヶ所、泊、全国の原発の合計のそれぞれについて、わかっていれば、答えてください。
○小玉資源エネルギー課長
使用済み燃料の貯蔵の状況についてでありますが、六ヶ所村の再処理施設における使用済み燃料の貯蔵容量は3000トン・ウランでありまして、平成21年度末の貯蔵量は2742トン・ウランと計画されております。
また、電気事業連合会によりますと、全国の17の原子力発電所におきましては、緊急時用にあけておかなければならない分を除いた貯蔵の容量では、合計で1万9420トン・ウランとなっており、平成21年9月末現在の貯蔵量は1万2840トン・ウランとなっているところであります。
このうち、泊発電所につきましては、容量は420トン・ウランとなっており、貯蔵量は340トン・ウランとなっているものと承知しております。
以上です。
○花岡ユリ子委員
今の答弁でも明らかなように、どんどんどんどんつくられていくのですけれども、容量がどんどんなくなっていくわけですよね。なおかつ、プルサーマル計画の技術は、ガラス固化体製造もうまくいかない、こういう事態なわけですから、このまま進んでいったら、どういうことになるのでしょうか。
こういう問題が大きく立ちはだかってくるわけですから、この問題については、少なくとも、技術がきちんとできるまで、一時中断をすべきではないかと思いますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。
○小玉資源エネルギー課長
使用済み燃料の貯蔵容量についてでございますが、泊発電所の1、2号機における貯蔵量と容量の差は、ただいま申し上げました差でございますけれども、本年9月末現在で80トン・ウランでございます。
発生する年間の使用済み燃料を考慮しますと、長期にわたりまして対応できる空き容量ではございませんが、本年、営業運転を開始する予定の3号機に係る容量の490トン・ウラン分を加えますと、貯蔵量と容量の差は570トン・ウラン分となりまして、北海道電力におきましては、こうした容量を活用することにより、20年間程度の貯蔵が可能としているというふうに聞いているところでございます。
以上であります。
○花岡ユリ子委員
北電の問題としては、そういう数字になるのでしょうけれども、これも含めまして、北電の再処理計画は、結局は六ヶ所村でやっていくわけですから、この状況の中で、どんどんと全国から集まってくることによって、再生というのですか、それが難しくなってくることは明らかではないかというふうに思います。
安全性、技術未確立の原発依存やめ、エネルギー政策の転換求める
○花岡ユリ子委員
それで、最後にお尋ねいたしますけれども、プルサーマル計画の中核施設である青森県六ヶ所村の核燃料施設での連続する事故やトラブル、及び核燃料サイクルが確立していないことについて、改めて部長の認識を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○渡辺経済部長
核燃料サイクルについてでありますが、国は、使用済み燃料が、国内で得られる貴重なエネルギー資源として重要な役割を担うとし、原子力政策大綱において、経済性にも留意しつつ、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウランなどを有効利用することを基本的方針とし、再処理施設を含む核燃料サイクルの着実な推進を図ることとしているところでございます。
道といたしましては、エネルギー資源の乏しい我が国において、貴重な資源の有効利用を基本的方針として、核燃料サイクルの推進を図ろうとすることについては、理解できるものと考えているところでございます。
なお、本年に入りまして、再処理施設においてトラブルが生じていることは承知しておりますけれども、今後とも、安全性の確保を最優先に取り組むべきと考えているところでございます。
○花岡ユリ子委員
とりわけ、原発によるエネルギー政策については、いろいろなところで未確立な部分もあるわけですから、安全性が確保されていないという状況の中で、これをどんどんと拡大していくことに対しては、方針を転換していく必要があるのではないか。
今、それこそ、片一方では、クリーンエネルギーということをどんどんと推進しているわけですから、そういう立場で、命にかかわらない自然なエネルギーで、日本、地球を守っていくということも含めまして、そういう仕組みをつくっていく必要があるのではないかということを申し述べておきたいと思います。
それで、この問題につきましては、知事にも見解を伺いたいと思いますので、知事総括質疑に上げていただきたいと思います。
以上で終わります。