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2009年予算特別委員会

【真下紀子道議、知事に最低制限価格決定過程の検証、ダム建設の中止・見直し求める】 09.10.08

2009年10月8日 予算特別委員会総括質疑概要

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

最低制限価格決定過程の検証求める

○真下紀子委員

最低制限価格の引き上げと入札制度について伺います。

このたび、道が最低制限価格をおおむね90%に引き上げた理由をまず伺います。

○高橋はるみ知事

最低制限価格の引き上げの理由についてでありますが、本道の建設業を取り巻く状況は、依然、低価格での受注が増加傾向にありましたことから、下請企業等へのしわ寄せや労働条件の悪化、企業倒産の増加など、建設業の安定的な径営が困難となることが懸念され、大変厳しい環境にあるものと認識をいたしたところであります。

このようなことから、最低制限価格につきましては、公共工事の品質確保を図る観点に加えまして、第3次緊急総合対策の効果を高めるため、地域の経済や雇用を下支えする役割を果たしている地域建設業が継続的に経営できる環境を整備する観点から、当面の措置として、道独自に引き上げたところであります。

以上であります。

○真下紀子委員

分科会審議で、2%の監督強化価格の設定と、確認や監督の強化によって、引き上げ根拠となっております品質の確保はされていたということがわかりました。知事はどのように受けとめましたか。

○高橋知事

工事の品質確保についてでありますが、道では、これまでも、工事監督時の確認項目を充実させるとともに、現地における確認頻度をふやし、監督業務を強化することなどにより、工事の品質確保に取り組んできたところであります。

私といたしましても、工事の品質確保は大変重要と考えているところであり、引き続き、監督業務の強化などを図ってまいりたいと考えております。

以上であります。

○真下紀子委員

これまでの対応で品質低下がないことを道は確認しているわけですよね。

それで、談合問題に揺れた福島県では、知事も逮捕されましたが、工事の品質が低下しかねないという理由で、全廃した指名方式を一部復活したのですけれども、道と同じように、品質の差がなかったことを確認した上で、再度、指名方式を全廃しました。知事はこのことを御存じでしょうか。

今までの対応を続けることで品質確保は十分でき、引き上げる根拠とはなり得ないと考えますけれども、知事は、今回の引き上げは妥当とお考えでしょうか。

○高橋知事

工事の品質確保についての重ねての御質問でございますが、先ほど申し上げましたとおり、道では、監督業務を強化することなどにより、工事の品質確保に取り組んできたところであります。

しかしながら、本年4月の、国に準拠した最低制限価格などの引き上げ以降においても、依然、低価格での受注が増加傾向にあり、工事の品質確保への影響も懸念されましたことから、道独自に最低制限価格の引き上げを行ったところであります。

以上であります。

○真下紀子委員

品質低下の事例はありません。説得力に欠けると言わざるを得ません。

もう一つ、引き上げ根拠としている、建設労働者の賃金や下請などへの影響の調査についてなのですけれども、一般土木工事だけで対象が1658社もあるのですが、10社からの聞き取りにとどまっているのです。私は、極めて不十分な調査であって、導入時期も早過ぎたのではないかと考えますが、知事はいかがお考えでしょうか。

○高橋知事

実態調査などについてでありますが、建設業の経営状況を把握するため、本年4月以降、特に、低入札価格での受注が多く発生している地域の建設業者から、抽出により、経営状況の聞き取り調査を行うとともに、建設部において、直接、各地域の建設業団体と意見交換を実施いたしたところであります。

さらに、北海道建設業信用保証株式会社や民間調査機関が公表している資料において、道内の建設業の売上高営業利益率の低下や倒産の増加など、建設業の経営動向について把握をいたしたところであります。

このような中で、経営規模の小さな企業での利益率が低くとどまっているほか、倒産件数の増加、さらには、職員や現場作業員等の削減など、建設業の厳しい実態を認識いたしたところであります。

以上であります。

○真下紀子委員

そうした効果を期待するということであれば、公契約条例など、ほかの方法もあわせて検討した上で、実施すべきではなかったかと私は思いますけれども、こうした検討がされたかどうか、知事は確認されましたか。

○高橋知事

引き上げの判断についてでありますが、本道の建設業を取り巻く状況は、依然、低価格での受注が増加傾向にあったことから、下請企業等へのしわ寄せや労働条件の悪化、企業倒産の増加など、建設業の安定的な経営が困難となることが懸念され、大変厳しい環境にあるものと認識をしたところであります。

また、建設業団体との意見交換や、建設業の経営実態調査などによりまして、営業利益率の低下、職員や作業員などの雇用の減少、雇用条件の悪化などの実態が見受けられ、地域の経済や雇用、さらには工事の品質確保への影響も懸念されたところであります。

このようなことから、第3次緊急総合対策の効果を高めるためにも、道独自の最低制限価格の引き上げを判断いたしたところであります。

以上であります。

○真下紀子委員

先に引き上げありきだったと思うのですけれども、北海道は、官製談合の発覚などで批判を受けて、一般競争入札の導入などで、結果として平均落札率が下がってきているのです。それでも、今でも北海道の平均落札率は全国で第2位で、上位をキープしたままです。

知事が、選挙応援の中で、自民党の要請を踏まえて、公共工事の最低制限価格を若干引き上げたと述べたと報道されているわけですけれども、せっかく下がった平均落札率が2002年レベルに戻ったら、約4%の引き上げになるのですが、2008年度の発注3部の公共事業発注額の2450億円から考えますと、道の財政負担は、おおむね100億円ふえるわけです。

道民への説明責任は不可欠だと言わざるを得ません。当面の措置ということですから、よく検討していただきたいということを指摘しておきます。

費用対効果示し、ダム建設の中止・見直し求める

○真下紀子委員

次に、ダム建設についでです。

これまで、ダム建設の中止、見直しを求める声は少なくなく、国土交通大臣のダム建設見直し発言以来、現実に政治を動かし始めています。

しかし建設部長は、反対や懸念の道民の声を、一部からそのような声があったと、こう切り捨てました。ダム建設中止、見直しについての知事の認識を初めに伺います。

○高橋知事

ダム建設事業の見直しについてでありますが、道内のダム事業につきましては、これまでも、節目節目に、それぞれの治水及び利水の必要性や妥当性を検証しながら、事業が進められてきたところであります。

一方、ダム建設に対して中止を求める声があることについては、承知をいたしているところでございますが、私といたしましては、これまでの抜本的な治水対策や、安全で安定した水道用水の供給など、ダムに対する地域の方々の切実な思いを踏まえ、今後、国の動向を注視しながら、適切に対処してまいります。

以上であります。

〇真下紀子委員

中止を求める声はあった、わかっていたけれども、知事は促進した、こういうことだと思うのです。

7月31日に公告されていた、平取ダム関連の工事の平取ダム堤体下流工事用道路工事について、昨日――7日に予定していた開札を中止しました。

大臣の見直し発言だけではなく、9月29日には、15団体がダム建設中止を求めています。 10月5日にも、自然保護団体など7団体が入札中止を申し入れていました。知事は、あらかじめこういうことを御存じだったのでしょうか。また、経過についてはどのように把握しているのか、伺います。

○高橋知事

平取ダムに係る関連工事の入札についてでありますが、国は、本年7月に公示された平取ダム堤体下流工事用道路工事について、10月7日に開札を予定しておりましたが、当面、開札を延期すると表明したと承知いたしているところであります。

以上であります。

○真下紀子委員

道は事前に知らされていなかったのですね。きのう記者会見があったのですけれども、道は記者会見場に入れなかったと思いますが、負担金を払っている道に対する説明が後回しになっていることをどうお考えですか。

○高橋知事

開発局による今回の開札の延期についての御質問でございますが、私どもにあらかじめの御説明はなかったところであります。

私どもといたしましては、きのうの質疑の中における御答弁でも申し上げたところでありますが、こういった、国と地方が連携して対処するさまざまな事業の実行等については、あらかじめ、私どもに、御相談というか、情報の提供があってしかるべきもの、このように考えているところであります。

以上でございます。

○真下紀子委員

そのとおりだと思います。

それで、平取ダム関連工事についてなのですけれども、1件は当面延期で、1件は続行となっています。知事は、駆け込みと指摘されているこうした開発局の促進姿勢についてどうお考えか、伺います。

知事にちゃんと説明していなかったのじゃないですか。通告してありますよ。

○高橋知事

平取ダム関連工事の開札の延期の一方で、一部工事は統行ということについての御質問でございますが、全体としての国の動きということがまだ見えない中で、現時点において、私どもとして、国の状況の推移を見守ると同時に、国に対して情報の提供を求めることを積極的にやっていかなければならない、このように考えているところであります。

以上であります。

○真下紀子委員

本当に、道がきちっと情報を求めていかなければならないと私も思います。

しかし今回、1本の工事を延期したということは、この工事自身が本体工事につながることを開発局みずからが証明したようなものですよね。ところが、こそくにも、1本はやるということは、税金のむだ遣いにつながると厳しく指摘をしなければならないと思います。

次に、費用対効果について伺います。

道内のダム事業見直し対象の9事業について、それぞれの費用対効果を示してください。

そのうち、中止を決定した八ッ場ダムよりも費用対効果が低いダムはどこかもあわせてお示しいただけますか。

見直し対象10ダムの費用対効果
ダム名所在地費用対
効果


留萌ダム留萌市1.1
夕張シューパロダム夕張市2.5
平取ダム平取町1.3
サンルダム下川町1.6
新桂沢ダム三笠市1.6
三笠ぽんべつダム


西岡ダム剣淵町1.6
徳富ダム新十津川町1.4
当別ダム当別町2.0
厚幌ダム厚真町1.8

○高橋知事

費用便益比についてでありますが、国が実施をしているサンルダム、平取ダムなど5ヵ所のダム事業の費用便益比は、1.1から2.5の範囲となっているところであり、また、道が実施をしている当別ダムなど4ヵ所のダム事業の費用便益比は、1.4から2.0の範囲となっているところであります。

なお、八ッ場ダムの費用便益比は3.4と聞いているところであり、道内のいずれのダム事業も、この値を下回るものと承知いたしております。

以上であります。

○真下紀子委員

初めて、費用対効果が八ッ場ダムよりもすべて低い、それも格段に低い状況だということを知事も認識されたのでないかと思います。

それで、ダム事業中止の目安の一つになっております本体工事に着手していないのはどこか、お示しいただけますか。

○高橋知事

ダム事業の見直しに関連してでございますが、本体工事に着手していないダム事業は、国直轄事業では、平取、サンル、新桂沢、三笠ぽんべつの四つのダム、そして、道事業では、厚幌の一つのダム、計五つのダムであるところであります。

以上であります。

○真下紀子委員

知事は、このような費用対効果で、道民が工事の促進について納得するとお考えでしょうか。私は、中止も含めて、再検討すべきではないかと思いますけれども、いかがですか。

○高橋知事

道内で実施中のダム事業についての御質問でございますが、これまでも、道内で実施中のダム事業につきましては、節目節目で、それぞれの治水及び利水の必要性やその妥当性を検証しながら、事業を進めてきているところでございます。

こうした中、ただいま御質問のダム事業に関して、現時点で、国から事業の見直しなどについて情報提供や指示は受けていないところでございまして、今後、国の動向を注視しながら、適切に対処してまいりたいと考えております。

以上であります。

○真下紀子委員

知事は、今、国の動向を注視すると答えましたけれども、これまで促進してきた知事に責任はないのでしょうか。また、道のダム事業については、知事御自身が決断をすべきではないでしょうか。

2000年に、鳥取県の片山知事は、中部ダムを中止して、当該地域の住宅改修費の助成や公民館の建設、上水道整備などを柱とする地域計画を進めました。

また、熊本県の蒲島知事は、昨年、半年の地域尊重の透明な議論を経て、川辺川ダムの中止を決めて、今、地域振興策に取り組んでおります。

道の事業は、年度内の着工予定はありません。高橋知事も、ダム建設反対の声をしっかりと受けとめて、時間を置いて、改めて透明な議論を行って、中止を含めて、決断されてはいかがかと御提案したいのですが、いかがでしょうか。

○高橋知事

道内のダム事業についての重ねての御質問でございますが、先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、道内で実施中のダム事業につきましては、これまでも、節目節目におきまして、それぞれの治水及び利水の必要性や妥当性を検証しながら、事業を進めてきたものと理解いたしているところでございます。

こういった中で、これまでの抜本的な治水対策や、安全で安定した水道用水の供給など、ダムに対する地域の皆様方の切実な思いもあるわけでありまして、こういったことを踏まえ、今後とも、国の動向を注視しながら、適切に対処してまいりたいと考えております。

以上であります。

○真下紀子委員

答えていないような気がするのですけれども……。

知事は、私の質問にちゃんと答えていないですよね。道のダム事業について判断を避けていると言わざるを得ません。私は、知事がドラクロアの女神のように、地方分権の旗を掲げて、再検討すると表明することを期待していたわけですけれども、非常に残念です。

これ以上伺っても、同じ答弁を繰り返されると思いますので、次の質問をしますけれども、サンルダムの建設について、本体工事を進めながら、魚道効果を確認するということを開発局は進めようとしています。

それで、調査用魚道の調査で、遡上したサクラマスは、昨年は552匹だったのですけれども、ことしは、調査期間が長くなったにもかかわらず、274匹まで減少して、密度が5分の1まで減少しています。魚道から遡上できずに、その下の産卵床が86床から163床に増加していまして、人間でいえば、産婦人科に到着する前に出産を強いられるような事態なわけです。魚類の保全策が改善されなければ、本体着工はすべきではないと考えます。

全国から注目をされた淀川水系流域委員会の前委員長である宮本さんのお話を伺ったときにも、サクラマスの生息に与える影響を調査した上で、ダム本体工事着工はあり得るが、保全されないのであれば、ダム建設の是非を改めて検討し、税金のむだ遣いを避けるべきだ、こういう意見を述べられております。これが、現在では開発を行う場合の基本的な考えと述べているわけです。

税金のむだ遣いにつながるような、本体着工と同時並行で魚道効果を確認するというやり方はやめるべきだ、魚類の保全策が確認をされなければ、本体着工はすべきでないと知事は明言すべきじゃないでしょうか。

○高橋知事

サンルダムの建設の時期についてでありますが、国からは、サクラマスなどの魚類の生息環境の保全を目的として、魚道整備をダム本体工事と並行して行うこととしているところであり、魚類の専門家の意見を聞きながら、魚類の遡上や降河などの状況を検証し、必要な場合には、さらに対策を行い、魚道の効果が把握された後に、ダムの本格運用を開始するものと聞いているところであります。

いずれにいたしましても、現時点では、国から、事業の見直しについての情報提供や指示は受けていないところであり、今後、国の動向を注視してまいりたいと考えております。

以上であります。

○布川義治委員長

真下委員、通告の時間が来ました。あと1問だけ認めます。

○真下紀子委員

ありがとうございます。

今の答弁では、魚道の効果が把握された後に、ダムの本格運用を開始するというのですけれども、工事自体は同時並行なのですよね。つまり、ダム建設が中止になった場合は、これがむだになってしまうということになりますので、やはり、知事がストップをかけることが重要だと思います。

サクラマスは、回遊魚で、海洋環境のバロメーターになっていますし、国民の財産でもあるわけです。そこのところをしっかりと認識していただきたいと思います。

委員長に認められた最後の質問ですけれども、今、台風18号が近づいてきています。皆さんは避難をするようにと言われているわけです。洪水対策として、ダムに洪水エネルギーを押し込めるというやり方ではなく、こうした、避難をするという考え方もあるのではないかと思います。

私は、治水対策は転換の時期に来ていると思いますし、むだを見直すという政府が新しくできたわけですから、ここのところはしっかりとやっていかなければならないと思います。

いろいろな方々がサンルや平取などの自然環境を大事に考えていますし、知事自身も、北海道の自然環境は大事だということをおっしゃっていますので、一度お出かけになって、推進される方たちの意見だけを聞くのではなくて、まず、その自然環境がどれだけすばらしいものかということを見てきていただきたい。そして、ダム中止を求めている方たちが、なぜ、これだけ自然環境を大事にしているかという声にも耳を傾けていただく機会を持っていただきたいと思います。

この後は発言をしませんので、その答弁だけ伺って、終わりにします。

○高橋知事

治水対策の転換についての御質問でございますが、道内において実施中のダム事業につきましては、これまでも、節目節目に、それぞれの治水及び利水の必要性や妥当性を検証しながら、事業が進められてきているものと承知をいたしておりますが、いずれにいたしましても、今後とも、さまざまな方々の御意見をお伺いすると同時に、国の動向も注視しながら、適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。

また、委員から、現地を見るべきとの御指摘をいただいたところであり、私といたしましては、機会をとらえ、現地を訪れてみたいと考えているところであります。

以上であります。

○真下紀子委員

どうもありがとうございます。

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