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道議会での取り組み
2009年予算特別委員会

【真下紀子道議、学校耐震化、通学費と高校配置、就職支援、授業内容への介入などただす】 09.10.06

2009年10月6日 予算特別委員会第2分科会質疑概要

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

教育委員会所管の問題

高校・市町村学校でもAED心肺蘇生実習へ

○真下紀子委員

私は、平成19年――2007年の第1回定例会の場で、道立学校へのAEDの設置と学校耐震化を促進するように求めました。

AEDについては、平成19年――2007年に全校に設置をされました。一般市民でも救命のためにAEDを活用できるようになって5年余り、市民による使用は年々増加し、1ヵ月生存率も上昇するなど、致命率の向上に貢献してきたわけですが、設置場所や使用方法などによって、救命できない課題が残っています。道教委は、設置場所の状況をどのように把握しているのか、まず伺います。

○和田基興学校安全・健康課長

AEDの設置場所についてでありますが、平成20年度に道教委が実施いたしましたAED設置状況調査によりますと、道立高校では、230校のうち、職員室に設置している学校が152校と最も多く、次いで、保健室が80校、体育教官室が66校などとなっているところでございます。

また、特別支援学校では、56校のうち、保健室に設置している学校が22校と最も多く、次いで、職員室が10校、寄宿舎が9校などとなっているところでございます。

学校におきましては、AEDの設置場所を知らせるため、学校配置図への表示やポスターの掲示を行いますとともに、「保健だより」にAEDを紹介する文章を載せ、児童生徒や保護者への周知を図るなど、緊急時に備えた対応を行っているところでございます。

○真下紀子委員

周知も進んでいて、学校でも救命の事例があったと伺っております。

それでは、活用状況についてですけれども、各学校で創意工夫されているということですが、どのような状況でしょうか。

○和田学校安全・健康課長

AEDの使用にかかわってでございますが、学校におきましては、心肺蘇生が必要となるような事態が発生した場合、教職員が救命活動を行う必要がありまして、そのためには、日ごろから、AEDの使用方法など、心肺蘇生について熟知しておくことが大切であると考えております。

道教委といたしましては、こうしたことから、養護教諭や体育科の教員、市町村教育委員会の職員を対象とした各種研修会や心肺蘇生法実技講習会を実施してきており、こうした場で、AEDの取り扱い方などの指導を行っているところでございます。

また、道立学校におきましては、それぞれの学校で、職員を対象とした心肺蘇生法講習会を実施し事故が発生した場合に、教職員が迅速かつ的確に対応できるよう、取り組んでいるところでございます。

○真下紀子委員

救急救命講習というのは、命の大切さを考える機会にもなりますし、実際にスキルアップできます。きょうもテレビで報道されておりましたけれども、やってみることが大事なのですね。

それで、教職員だけではなく、対象をもっと広く考えて、救命の輪を広げるために、道教委として積極的に取り組むべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○田端明雄学校教育局次長

AEDの使用に関する取り組みについてでございますが、AEDがより効果的に使用されるためには、1人でも多くの人が使用方法を習得する必要がありますことから、道教委といたしましては、引き続き、各種研修等におきまして、AEDの取り扱いを含めた心肺蘇生法の講習を実施いたしますとともに、高等学校や中学校の生徒に対しましても、保健の授業や特別活動などにおきまして、消防署などの関係機関と連携し、AEDの取り扱いなど、心肺蘇生法の実習が積極的に行われるよう、道立学校はもとより、市町村教育委員会に対し働きかけてまいりたいと考えております。

学校耐震化の早急な促進を

○真下紀子委員

次に、学校の耐震化についてです。

8月に起こった駿河湾沖地震では、震度6弱で東名高速道路が崩壊しています。

学校施設は、災害時における地域住民の避難場所など、防災の拠点になるため、耐震化は待ったなしの課題であります。

文部科学省は、昨年、倒壊の危険性が高い学校について、2011年度までに耐震化を完了させる目標を掲げて、財政支援も強めたわけですけれども、道内の耐震化はどこまで進んだのか、幼稚園、小・中・高校ごとにお示しをいただきたいと思います。

○武田和弘施設課長

学校施設の耐震化についてでありますが、平成21年4月1現在の耐震化率は、公立小中学校で54.4%、公立幼稚園で50.6%、市町村立を含む公立高等学校で89.6%となっているところでございます。

また、今年度から、小中学校で104市町村の546棟、幼稚園で3市町の3棟、高等学校では、道立高校の2棟と、1市の1棟の計3棟が耐震化に取り組む予定となっておりまして、これらがすべて耐震化された場合、公立小中学校の耐震化率は63.6%、幼稚園では54.5%、高等学校では90%となる見込みでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

援護が必要な小中学校、幼稚園が、まだ耐震化率が低いままなのです。

国は、学校の耐震診断の結果について公表するように義務づけていますけれども、道内では、未公表の自治体が、4月1日現在で60もあります。このことについてはどうお考えでしょうか。

○坂本和彦総務政策局長

耐震診断結果の公表についてでございますが、平成21年4月1日現在の文部科学省の耐震改修状況調査によりますと、道内で60市町村が未公表とされておりましたが、耐震化を進めていく上で、耐震診断の結果の公表は重要であると認識しており、このため、道教委として、市町村に対しまして、指導通知を発出したり、担当者の実務研修会に職員を派遣した際に、公表についての働きかけを行ってきておりまして、結果として、9月までに39市町村が公表を行ったところでございます。

未公表の市町村につきましては、来年の3月までに18の市町村が公表を予定しており、残りの3町につきましては、2次診断を実施した後で公表を予定しておりますが、できる限り早期に公表するよう、働きかけてまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

私たち日本共産党道議団は、これまで、おくれている学校の耐震化の促進を繰り返し求めてきました。いまだ、このように全国でもおくれた状況にとどまっていることについて、教育長としてはどのように責任を感じているのか、また、早急に耐震化を進めるために、具体的にどういうふうに取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

○髙橋教一教育長

学校の耐震化にかかわりまして、今後の取り組みについてでございますが、学校施設は、子どもたちが安心して学ぶ場でありますとともに、地域住民の避難場所としての役割も果たすことが多いことから、学校施設の耐震化は極めて重要な課題であると認識しているところでございます。

学校施設の耐震化を進めるため、耐震診断などの進んでいない市町村に対し、職員を派遣しまして、直接、耐震診断や耐震化を働きかけるほか、知事部局の協力を得ながら、市町村に技術職員を派遣して行う1次診断モデル事業や、道教委が独自に開発した1次診断ソフトの全市町村への配付、さらには、診断ソフトの使用に関する技術者研修会を開催するなど、人的・技術的支援を行ってきたところでございます。

道教委といたしましては、今後とも、設置者である市町村に、国の助成制度を積極的に活用し、早期に耐震化するよう働きかけるとともに、財政負担の軽減を図るため、制度の拡充と必要な財源の確保について、知事部局などと連携を図りながら、国に対し強く働きかけてまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

学校耐震化は、道議会でも総意となったところです。道独自に対策をとることも含めて、ぜひ検討していただきたいと思います。

通学費補助事業・適正配員計画の見直しを

○真下紀子委員

次に、道立学校の再編計画などについて伺います。

今年度の通学費等補助事業の実施状況についてですけれども、通学補助、下宿、間借りの補助決定者数、及び、対象ではあるけれども、補助金を受けない生徒数など、全体状況について示してください。

○中田貢新しい高校づくリ推進室参事

通学費等補助事業の実施状況についてでございますが、平成20年度及び21年度に募集停止となった、喜茂別高校ほか8校が所在する市町村の中学校を卒業し、通学区域内の高校へ進学した生徒の414名のうち、9月末現在で、61名から補助金の交付申請があり、補助要件でございます所得基準額を超えていた1名を除く60名に対し、交付決定を行ったところであり、その内訳は、通学費補助が48名、下宿費補助が12名となっているところでございます。

また、交付申請がない者は353名となっており、その内訳は、年間所得額が所得基準額を超えていた者が38名、補助要件として設定した1万3000円を超える公共交通機関の利用がない者などが288名、部屋代が1万3000円に満たない寄宿舎に入寮している者などが24名、そのほかに、市町村からの補助による者が3名となっているところでございます。

○真下紀子委員

この1万3000円が実態に合っているかどうかということをやっぱり検証しなきゃならないと思うのです。

今、9900円の授業料を払うのも困難になっている世帯がふえている中で、さらに1万3000円までは負担させるのだと、こういうことはやるべきではないと思いますし、これは引き下げるべきだと思います。教育格差を拡大させるような計画はまず見直すことが必要だと指摘しておきます。

次に、補助金を受けている生徒の状況についてなのですけれども、沼田は1人、和寒と風連、由仁に至ってはゼロです。浦幌については、帯広の学校まで、JRとバスを併用して、所要時間が11O分もかかるということになっています。

通学、下宿などの補助を受けている生徒がそれぞれ6人なのに対し補助を受けていない通学生は52人もいて、下宿などの生徒も33人もいるわけです。補助対象地域の生徒の4分の3以上が、この制度の恩恵を受けられない原因というのをどのように分析しているのか、伺います。

○中田新しい高校づくり推進室参事

補助金を受けていない者の状況についてでございますが、本補助事業におきましては、募集停止に伴い、遠距離通学等となる生徒を対象に、世帯区分に応じた所得限度額や、通学費等からの控除額を設定する等の一定の要件を設け、補助金を支給しているところでございます。

今年度、交付申請がない353名のうち、80%を超える288名が、通学費が1万3000円を下回ることによるものとなっておりますが、その要因といたしましては、JRを利用して比較的近隣の学校に通学する者が多かったこと、通常、JRとバスの併用による通学が想定される区間において、JR駅からバスを利用せず、徒歩や自転車により通学していた者が多かったことなどが考えられるところでございます。

○真下紀子委員

今の実態からも、制度が有効に活用されていない、そのためにも、先ほど指摘しましたように、1万3000円という金額は見直すべきだと申し上げておきます。

次ですが、遠距離通学が著しいところとして、浦幌は、先ほど言ったように110分かかるのです。浜益は84分かかり、そして、平成23年度から募集停止となる中川から美深までは84分かかるのです。

私が旭川から札幌まで来るのに、JRの特急で80分かかります。年齢も違いますけれども、相当疲れます。毎日毎日これで通学するということになりますと、部活もできないですし、本当に大変です。公共交通の所要時間がこれだけで、さらに、駅から、自宅、学校までの時間が加わるわけです。

教育関係者と私ども日本共産党の石狩市議が一緒に浜益地区の保護者からお話を伺いました。

長くバスに乗っていて、おなかが痛くなったと。トイレのないバスの中で心配になりますよね。トイレに行けないというのは人権問題です。

それから、下宿代への道の補助が上限2万2000円だけれども、下宿すれば、実際には、食費を含めて1ヵ月で7万円から10万円かかる、高校時代にお金がかかれば、それ以上の進学はあきらめるといったお話まで出ているわけです。

石狩市教委からも制度の拡充の要望が出されており、5年間という期限を撤廃して、上限額を見直すなど、制度を拡大すべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

○岸豊新しい高校づくり推進室長

通学費等補助事業の見直しについてでございますが、本補助事業は、道立高校の再編に伴い、遠距離通学等となる場合に、生徒の修学の機会を確保することを目的に、従前から高校のない市町村の高校生が通学している実態との均衡を考慮いたしまして、所得限度額や控除額の補助要件を設けているほか、下宿費補助につきましては、道内の間借り代の平均額をもとに上限を設定し、支給しているところでございます。

また、補助期間につきましては、募集停止となる前年度に中学生であった生徒が高校を卒業するまで補助金を支給できるよう、5年間とするなど、激変緩和措置として制度化したものであるところでございます。

今後におきましては、補助事業の対象となる生徒はもとより、対象とならない生徒につきましても、通学費の負担状況などの実態の把握に努めまして、分析、検証を進めてまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

今、答弁では、生徒の修学の機会を確保することを目的にしていると言ったけれども、実際にはそうはなっていないわけです。教育機会を奪うような再編計画であってはならないと思います。

通学区域の拡大の議論のときに、通学時間はおおむね60分としていたのではなかったかと思いますけれども、これから、分析、検証するということであれば、家から出た時問、帰宅した時間等も含めて、実態をよく把握していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○岸新しい高校づくり推進室長

実態把握についてでございますけれども、本補助事業の実施状況の把握に際しましては、募集停止校が所在する市町村の中卒者の進学先などの進路動向等を調査し同一学区内に進学したすべての生徒を対象に、通学費等の負担状況、通学方法や通学時間の把握に努めてきているところでございます。

道教委といたしましては、今後、ただいま御指摘の点も含めまして、通学やそれに伴う負担の状況、さらには進路動向等の正確な把握ということに可能な限り努めてまいりまして、高校再編後における生徒の修学実態の分析、検証をさらに進めてまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

ぜひ検討までいっていただきたいと思います。

旭川への高等養護学校設置を要望

○真下紀子委員

次に、旭川への高等養護学校設置の要望についてなのですけれども、署名が10万人を超えています。10万人以上の人たちが思いを込めて署名して、これが道教委に届けられ、先日、髙橋教育長に受け取っていただきました。

進学希望状況をどのように把握しているのか、また、設置の見通しについてはどうかということを端的に伺いたいと思います。

○杉浦久弘教育次長

高等養護学校の設置の見通しについてでございますが、高等養護学校の進学希望者の把握につきましては、中学校の特別支援学級の在籍者の推移や過去の出願状況、教育相談におきます進学希望の動向などを踏まえまして、把握しているところでございます。

現段階において正確に推計することには難しい課題があると考えてはおりますが、高等養護学校に対する進学希望のニーズは、今後も続くものと考えられているところでございます。

いずれにしましても、道教委としては、できるだけ身近な地域におきまして指導や支援が受けられる体制を整備することを示した、特別支援教育に関する基本方針の考え方を踏まえながら、既存の特別支援学校の設置状況や、児童生徒の状況などを十分に考慮するとともに、ただいま申し上げました進学希望の動向なども踏まえ、必要となる受け入れに支障を来すことのないよう努めてまいりたい、このように考えております。

○真下紀子委員

圧倒的多くの旭川市の中学卒業者は、旭川市内での進学を希望しておりますので、次長からの答弁ということで、少し前に進んだのかなという印象を持っておりますけれども、ぜひ実現に向けて力をかしていただきたいと思います。

進路指導相談員の増員など就職支援の充実を

○真下紀子委員

次に、新卒者雇用支援についてです。

道内の高校卒業予定者の求人倍率の状況は、7月末現在で0.26倍と、昨年同時期の0.40倍よりもさらに落ち込んでいます。卒業した途端に失業者という状況を生まないための対策が切実に望まれているわけです。

まず、道内の14の各教育局に配置をされております進路相談員の主な取り組み事項について、昨年度の実績を具体的に示してください。

○西崎毅高校教育課長

進路相談員の主な取り組みについてでございますが、道教委におきましては、新規学卒者就職対策推進事業の中で、各教育局に1人ずつの進路相談員を配置しておりますが、その業務といたしましては、地域の企業への訪問による求人開拓、ハローワークと連携した求人情報の収集及び学校への情報提供、就職を希望する生徒への面接を通した進路相談、生徒や保護者を対象とした進路説明会の講師などを行っているところでございます。

各教育局からの報告をまとめましたところ、昨年度におきましては、延べ1544社への企業訪問、延べ4027名の生徒に対する個別・集団面接、延べ265回の生徒に対する進路説明会などを実施したところでございます。

○真下紀子委員

どちらの相談員さんも非常に熱心に活動されていると承知をしております。

ところが、管内の最終的な就職決定状況は、地域によって差異がありまして、宗谷が93.8%に対して、事業所が圧倒的に多い石狩は70.2%にとどまっています。さまざまな要因が考えられるわけですけれども、就職が厳しい管内には増員を図るべきです。一律に1人ということに、いつまでもこだわっていないで、増員すべきではないかと思いますが、いかがですか。

○田端学校教育局次長

就職支援の充実についてでございますが、平成21年3月の公立高等学校卒業者の就職決定状況を見ますと、道内の就職決定率が82.8%となっているところ、石狩管内は70.2%となっており、管内別の比較では最も低い状況となっております。

その原因は、一概に申し上げることはできませんが、石狩管内は事業所の数も大変多うございますが、全道一円から就職希望者が集まることや、就職試験を一度も受験しないまま卒業した生徒が240名に上っており、生徒や保護者の意識に問題があることなどが考えられております。

こうしたことから、進路相談員を活用した求人開拓の強化や、学校の進路指導の充実が一層求められているところでございます。

道教委といたしましては、石狩管内と同様の課題を持つ管内も少なくないことから、道経済部と連携し、各教育局ごとの実態に即した就職支援の充実方策について検討してまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

就職試験を受ける前からあきらめてしまわざるを得ないような状況というのもあると思うのです。ですから、就職支援の充実方策について、ぜひ早急に検討していただきたいと思います。

特別支援教育の対象となる高校生への就職支援について

○真下紀子委員

次に、特別支援教育の対象となる高校生への就職支援についてですが、道内の公立高校で学んでいる障がいのある生徒数の推移、及び、高等学校における特別支援教育での就労支援やキャリア教育などについて紹介していただきたいと思います。

○笹山幸弘特別支援教育課長

高等学校における障がいのある生徒数の推移などについてでございますけれども、道立高等学校に在籍します、発達障がいを含む障がいのある生徒数については、把握はしておりませんけれども、中学校の特別支援学級の卒業生で道立高等学校に進学した生徒の割合は、特別支援教育の制度発足前の平成18年度では13.4%、平成20年度では16.3%となっているところでございます。

また、高等学校におきます就労支援やキャリア教育についてでございますけれども、現在、国の、特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議におきまして、高等学校における特別支援教育の推進についての検討を進めているところであり、平成21年8月に出されました、当該会議のワーキンググループによる報告書の中では、

高等学校においては、将来の自立と社会参加に向けた適切な進路指導を行うことが重要であるが、とりわけ発達障害のある生徒に対してキャリア教育・職業教育を行うに当たっては、自己の抱える学習や社会生活上の困難について総合的に適切な理解を深め、職業適性や困難さを乗り越えるための対処方法を身につけることができるよう、適切な指導や支援を行うことが必要である。

と報告されているところでございます。

○真下紀子委員

適切な指導によって、社会生活が随分とスムーズにいくと私も聞いております。

特別支援教育によって、進学率が若干ながら上向いているわけですけれども、高等学校における発達障害支援モデル事業については、本道でも、平成19年度から、名寄農業高校、士別東高校、札幌北高定時制が指定校となっておりまして、他県でも取り組んでおり、就労支援をかなり重要視していると承知しております。

道内の三つのモデル校における就労支援やキャリア教育の位置づけ、及び、モデル事業が終了した名寄農業高校の実践について、あわせて御説明いただきたいと思います。

○笹山特別支援教育課長

モデル事業における就労支援などについてでありますけれども、本事業は、モデルとなる高等学校を指定し、発達障がいにより、特別な教育的支援を必要としている生徒に対する具体的な指導や支援のあり方について、実践的な研究を行うものであります。

モデル校に指定された三つの高校におきましては、就業体験の工夫や、ハローワーク等の関係機関との連携促進など、発達障がいのある生徒に対する就労支援に取り組んできているところでございます。

モデル校でありました名寄農業高校の具体例で申し上げますと、発達障がいのある生徒に対する就労支援を、高校3年間のさまざまな教育活動を通じて、生徒に社会的な自立心を養う指導及び支援と位置づけ、2年生の総合的な学習の時間を活用した5日間のインターンシップの際に、特に、発達障がいのある生徒の実習先に対して、個々の生徒の障がいの特性などを踏まえた配慮すべき事項について、あらかじめ打ち合わせをするなど、実習先との連携を工夫することによって、発達障がいのある生徒の社会性や自立心が養われ、効果があったとの報告を受けているところであります。

○真下紀子委員

緒についたばかりではありますけれども、効果が確認されつつあると思います。

進路担当の高校の先生から伺ったのですけれども、4月になっても就職が決まらない卒業生の中には、少なくない発達障がいの子どもが含まれているということです。

進路相談員やハローワーク、それから、実績のある特別支援学校などと連携をして、早期からのソーシャルスキルトレーニングの実施や、企業、経済団体の理解の促進などに取り組む必要があると考えます。道教委の今後の施策について、お考えを伺います。

○小野寺敏光学校教育局長

発達障がいのある生徒の就労支援についてでありますが、道教委においては、校長会議や各種研修事業等のさまざまな機会を通じて、先ほど担当課長から申し上げましたモデル校の取り組みですとか成果の普及を図りますとともに、特別支援学校の教員を派遣しまして、特別支援学校がこれまで培ってきた、障がいのある生徒に対する、社会生活、就労への適応能力向上等のための学習指導の進め方や指導計画の作成などにつきまして、継続的な支援を行うパートナー・ティーチャー派遣事業などを行っているところでございます。

また、道においては、障がい者の就労や生活を支援するための、教育と労働、福祉等の関係機関、企業等が連携する障がい者就業・生活支援センターが設置されているところでございまして、道教委といたしましては、今後とも、高等学校において、こうした機関を積極的に活用するなどして、発達障がいのある生徒に対する適切な就労支援が行われるよう、指導助言に努めてまいります。

○真下紀子委員

周囲のサポートが生活行動パターンに非常に影響するということもあって、この点では、これからの取り組みにぜひ期待をしたいと思います。

学力テスト全員調査の見直し求める

○真下紀子委員

次に、全国学カテストについてです。

毎年、同じような分析結果なのにもかかわらず、年間で約60億円もの予算をかけて、わざわざ全員参加方式の調査を行う必要はない、その分をほかに振り向けたほうがいいという声が現場や教育委員会には根強いと考えますけれども、この点はいかがでしょうか。

○高梨俊一義務教育課長

全国学力・学習状況調査の実施についてでありますが、学力調査の実施方法などについて、さまざまな意見があることは承知しておりますが、この調査は、すべての市町村や学校が、全国的な状況との関係において、子ども一人一人の学力の状況を把握したり、学習意欲や生活の側面など、子どもたちの学習状況を経年比較したりすることにより、その後の教育指導や学習状況の改善等に役立てることができるものと考えております。

また加えて、子どもや保護者にとっても、どの程度、学習内容を理解しているかを把握し、具体的な目標を持って、その後の学習に取り組むことができるものと考えております。

以上でございます。

○真下紀子委員

そうおっしゃいますけれども、新しく文部科学大臣になった川端大臣は、記者会見で、抽出調査でよいのではないかと述べております。

教育長は、先日、自民党会派の質問に対して、子どもたちの確かな学力の向上を図る上で意義あるものと述べまして、これまでどおり全員参加方式の調査を続けるべきだと強弁しました。その立場は、今回の選挙公約では自民党だけです。ほかの政党は、抽出調査に改めるべきとの方針ですけれども、教育長は今もその立場に変わりがないのかどうか、伺っておきたいと思います。

○髙橋教育長

調査に対する考え方についてでございますが、この調査は、北海道の義務教育の水準や、児童生徒の理解度、定着度を客観的に把握し、どのような対策が有効かを考えるとともに、各市町村教育委員会や学校が、全国と比較する中で、これまでの取り組みを検証し、施策の充実や学習指導の改善を図っていく上で意義あるものと考えているところでございます。

道教委といたしましては、今後の調査の実施方法などにつきましては、国の動向を注視してまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

これまでの強弁から、今後の調査の実施方法などについて、国の動向を注視してまいると、このような答弁に変わっているわけですけれども、これは、道教委として、全員調査を続けないこともあり得るということでよろしいのでしょうか。

○髙橋教育長

全国学力・学習状況調査につきましては、ことしで3回目で、3年間継続されてきたところでございますが、これは、基本的には全学校を対象に毎年行うという形でやってきてございます。

そうした中で、先ほど私あるいは課長から申し上げたように、国、都道府県の教育委員会、市町村教育委員会、学校、そして保護者、児童にとっても、それぞれ意義を持つものだというふうに考えているところでございます。

そういう中で、先般、文部科学大臣が、就任時の記者会見で、この学力調査の見直しについて言及されたところでございますが、いずれにしましても、調査方法などについて、幅広く意見を聴取し、検討するというふうな考え方をお示ししておりますことから、そうした国の動向を注視してまいりたいと考えているところでございます。

○真下紀子委員

新聞の社説ですけれども、これは1社だけではありませんが、「やるべきこと別にある」、これは道新です。「もっと有効な手だてを」、これは毎日新聞です。こういうものなどなど、ほとんどが、文科省の今の全員参加の調査方式を批判しています。ですから、このこともしっかり受けとめていただきたいと思います。1社じゃなくて、数社の社説になっているほど、こういう意見が強まっているのではないかと思います。

改正前の教育基本法は、「教育行政は、(中略)教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行わなければならない。」としていたわけです。

学カテストの調査結果から、学力向上や生徒の生活にかかわって、少人数学級や、授業の充実のための授業準備時間の確保など、教育諸条件の改善は検討したのでしょうか。していないというふうにしか思えないのですけれども、していなかったとしたら、なぜなのか、その理由も含めてお答えください。

○杉浦教育次長

道教委の取り組みなどについてでございますが、道教委としましては、これまでも、子ども一人一人に対するきめ細かな指導を充実し、確かな学力を身につけさせることなどを目的といたしまして、国の定数加配を活用しながら、小学校低学年、中学校第1学年における少人数学級編制や、チームティーチングなどの取り組みを行ってきているところであり、国に対しましては、教職員定数の一層の改善充実について要望してきているところでございます。

こうした中、道教委といたしましては、全国学力・学習状況調査の結果も踏まえ、学力向上に向けた各学校の取り組みを支援してきたところでありますが、今年度の調査において、全国の平均正答率との差は縮まっているものの、依然として全国より低い状況であり、危機感を持って対応する必要があると考え、学力向上対策チームを立ち上げ、学力向上にかかわる施策の総点検や、新たな施策の検討を行っているところでございます。

○真下紀子委員

意義ある全員調査だったはずですけれども、道教委のほうがそれを生かす取り組みが非常におくれている。

この学力調査が意義あるものになるためには、道教委がどういう対応をとるか、少人数学級を進めるのか、学校の耐震化を進めるのかなど、さまざまな問題があると思うのですが、そこのところに取り組まない限りは、これは、幾らやっても、むだになってしまいますので、抽出調査でいいという声も当然だと指摘をしておきたいと思います。

道教委の教育内容への「不当介入」ただす

○真下紀子委員

次に、教育の中立性、独立性について伺います。

道教委は、今回、9月7日に通知を出しまして、帯広市内の道立高校の公民の授業の教材として社説が1社だけ使われたことについて、「特定の政党の政策について偏った認識を生徒に持たせかねない不適切な指導が行われた」としていますけれども、そもそも、道教委が、今回、不適切だと判断した具体的な事実は何でしょうか。教育現場の裁量を超えてまで道教委が判断した、その判断基準は何によって定められているのか。特に、特定の論調の影響とは何を指すのか、お答えください。

○西崎高校教育課長

高校における公民科の授業にかかわってでございますが、一般的に申し上げれば、新聞の社説は、その性格上、新聞社の主張が掲げられているものであり、教員が、授業において、社説の性格やその読み取り方の指導を適切に行ったり、複数紙を使用したりするなど、生徒に、特定の論調に影響を受けた認識を持たせないような工夫や配慮が求められると考えられますが、このたびの授業におきましては、政党の政策を論じた社説を教材として使用しており、また、選挙期間中でありましたことから、相応の配慮が求められたところ、そうした指導上の工夫や配慮がなく、教育の中立性を確保するための慎重さを欠いていたものと考えたところでございます。

○真下紀子委員

質問に全然答えないで、とにかく、道教委が自分で判断したのだから、言うことを聞きなさいと、そういうふうに聞こえてしまうのです。

それで、この判断基準というのは、道教委の通知にも書いてあるとおり、教育基本法に基づいて、特定の政党を支持する、あるいは反対することをやってはならない、ここなのですよね。授業のどこがそれに相当するのか、お示しください。

○西崎高校教育課長

重ねての御質問でございますけれども、高校における公民科の授業にかかわりまして、先はども申し上げましたように、一般的に申し上げれば、新聞の社説は、その性格上、新聞社の主張が掲げられているものでありまして、教員が、授業において、社説の性格やその読み取り方の指導を適切に行ったり、複数紙を使用したりするなど、生徒に、特定の論調に影響を受けた認識を持たせないような工夫や配慮が求められると考えられますが、このたびの授業では、政党の政策を論じた社説を教材として使用しており、また、選挙期間中でありましたことから、相応の配慮が求められたところ、そうした指導上の工夫や配慮がなく、教育の中立性を確保するための慎重さを欠いていたものと考えたところでございます。

○真下紀子委員

今の答弁では納得できません。

結局、教育基本法が禁じている、特定の政党を支持し、または、これに反対するための政治教育や政治的活動というのは行われていないのですよ。社説は、政党の主張ではないわけですし、政党活動でもないわけです。それをもって不適切というのは行き過ぎています。

それで、確認しておきたいのですけれども、この授業で、空欄補充という方法をとっていますけれども、これについては問題ないということでいいですか。

○西崎高校教育課長

教材についてのお尋ねでございますけれども、このたび使用された教材で、空欄を設けるといった教材の使い方については問題はないと考えております。

○真下紀子委員

そのことを確認しました。

後でもう一回質問しますけれども、学校教育活動に関して、保護者や地域住民から要望や意見があった場合に、当該校において、直接、当事者間の話し合いなどを通じて問題の解決を図るという――教育の主体は学校ですから、問題の解決を学校で行うということが一般的な対応であって、事実、これまではそうだったと考えますけれども、いかがですか。

○西崎高校教育課長

情報提供への対応についてでございますが、道教委に対しまして、外部から情報提供や指摘があった場合につきましては、基本的には、その内容を十分に確認いたしまして、それが事実であれば、道教委としての責任と権限に照らし、しかるべく対応しているところでございます。

○真下紀子委員

今回のことについてなのですけれども、道議会議員以外に、保護者などからは直接意見が寄せられていないと聞いておりますけれども、これまで、政治家を通して教育内容にまで言及した指摘があったのか、あったとしたら、どのようなもので、どういうふうに対応したのか、伺います。

○西崎高校教育課長

情報への対応についてでございますが、外部から情報提供があった場合、それがどのような方からであっても、また、匿名であっても、基本的には、その内容を十分に確認しそれが事実であれば、道教委としての責任と権限に照らし、しかるべく対応しているところでございます。

その際には、情報提供者の職業等は尋ねていないため、属性による整理は行っていないところでございます。

○真下紀子委員

平成20年度――2008年度では、具体的な授業内容についての意見などは1件も寄せられていません。

今回のことについては、皆さんは、属性による整理は行っていないとおっしゃいますが、当人の道議会議員の方がしっかりと書いております。

まず、8月26日です。

教師が生徒に「特定の政党の情報を流す」という非常識なことを学校内でしているようなのです。

今後、道教委や学校が事実確認の調査を始めると思いますが、その結果と僕の情報とが余りにも食い違う場合には、事実関係をはっきりさせるために、僕としても然るべき措置を取らざるを得ません。

と書いてあります。

それから、9月11日です。

僕は、実際に「授業で使うには偏った資料ではないか」と保護者の方から指摘をされた事実を重く受け止め、そういう声が出来るだけ出ないようにする仕組みを道教委に作って欲しいと思い、この件を指摘をさせていただいたのです。

と書いてあります。自民党の有力な道議会議員ですけれども、この方が指摘をしているわけです。

私は、御自身の考えをブログにリアルタイムで書くのはいいとしても、政治家として――当時は政権与党だったわけですが、その政権与党の有力な道議会議員が道教委に対して指摘をするときには、やはり、慎重さが必要だったのではないかと思いますし、自重が求められたのではないかと思います。

それで、皆さんは答えにくいから答えないのだと思うのですけれども、この道議会議員のブログに書いてありますが、これは事実と違いますか。

○池田隆一委員長

ブログの内容が事実と違うかどうかということです。

○真下紀子委員

御本人が書いているブログなので、道教委と認識が一致するかどうか、ここで確認するには、ちょっと無理があったかもしれませんので、私のほうから言わせていただきます。

先ほど、道教委は、情報提供が外部からあった場合、それがどのような方であっても、道教委としての責任と権限に照らして、しかるべく対応していると。

では、このブログに書いてあるような、今回の情報提供に対して、最後はどのように報告して、どのようにしかるべく対応したのでしょうか。答えられますか。

○西崎高校教育課長

調査に至る経緯についてでございますけれども、このたびの授業に対しまして、保護者から疑義の指摘があったという情報が、外部から高校教育課に寄せられまして、高校教育課で当該学校に事実関係を確認いたしましたところ、社説を取り上げる際に必要な指導上の工夫や配慮が見られず、教育の中立性を確保するための慎重さを欠いているものと考えたところでございます。

このため、中立性の確保と道民に対する説明責任を果たすため、他に同様の事例がないか、確認することとし、すべての道立高校を対象に調査を行ったものでございます。

○真下紀子委員

全然答弁になっていないですよね。委員長も首をかしげていらっしゃるくらい、わかりにくい答弁なのです。

事実として、そう対処したことを、指摘した外部の方にきちっと報告されたのですかと聞いているのです。

○西崎高校教育課長

授業の実態にかかわる報告についてでございますけれども、情報提供者には、9月7日に、先ほどから私が説明をしているような授業が行われたことについては報告してございます。

○真下紀子委員

道議会議員の方にそういうふうに報告をした、道教委はちゃんと調査して報告をしたということです。

その後の通知についてなのですけれども、翌日までに回答を求める異例の緊急調査を行っているわけです。これは初めてのことです。

どのような検証過程、協議を経て、どこで、どのように決定をしたのか。先ほど来おっしゃっていますように、道民への説明責任を果たす意味で、答弁をいただきたいと思います。

○田端学校教育局次長

高校における公民科の授業にかかわってでございますが、このたびの授業につきまして、当該学校から事実関係を確認いたしましたところ、社説を取り上げる際に必要な指導上の工夫や配慮が見られず、教育の中立性を確保するための慎重さを欠いていたものと考え、このため、道教委といたしましては、中立性の確保と道民に対する説明責任を果たすため、他に同様の事例がないか、確認することとし、すべての道立高校を対象に調査を行ったものでございます。

○真下紀子委員

これを聞いて、道民の方が理解できるでしょうか。

先ほど言った通知にあったように、教育基本法のどこに抵触しているかということを具体的に説明されていません。道教委が不適切だと判断したから、慎重さを欠いたものだと、こう言っているだけにすぎないのではないかと思います。

それで、対応についてなのですけれども、こうした緊急な措置ということをとらずに、社説を前提とした説明が不十分だったと調査の段階で明らかになったということであれば、当該校長と教職員に対して、当事者間で説明をして、指摘して、そこにいる先生ですから、次の授業のときに補完をする、そういうことで解決できたのではないかと思いますけれども、こういう解決方法はあり得ないのですか。

当然、そういう方法もあるというふうに検討したのでしょう、今までの前例踏襲なら。

○西崎高校教育課長

学校への指導についてでございますけれども、このたびの場合は、教育の中立性の確保という問題でありましたことから、他に同様の例がないかどうか、他の高等学校に対して調査をしたものでございます。

○真下紀子委員

委員長、あり得るか、あり得ないかと伺ったので……。

○池田隆一委員長

質問に答えていませんので、ちゃんと質問に答えてください。そうでないと、議論がかみ合いません。全然すれ違いで答えていますから……。

真下さんは、別な日に、別な授業をやったらどうだったのですかと、そういう趣旨で聞いているのですよ。それについて答えていないのです。それはいいのか悪いのか、そういうことは考えていないとか、そんな答弁ならかみ合いますよ。同じ答弁を繰り返しているだけでしょう。

○田端学校教育局次長

対応についてでございますが、状況によって、さまざまな対応が考えられるわけでございますが、このたびは、既に授業が終わっておりましたし、先ほど課長のほうからも答弁がありましたように、事が教育の中立性にかかわることでもございましたので、このような対応をとったということでございます。

○真下紀子委員

道教委は、事を大きくして、教育の中立性の問題に何としても持っていこうとしているわけです。これは許されないことですよ。当事者間で解決することができる選択肢を放棄して、こういうことをするということは、道教委として、その職務を非常に逸脱していると言わざるを得ません。

仮に、道教委の今回の判断と対応が容認されることになりますと、道内すべての学校のあらゆる教育活動が、道民から指摘があり、道教委が、配慮、工夫が足りない、慎重さが足りないと判断すれば、いつでも、不適切な指導となってしまうのではないですか、どうなのですか。

○田端学校教育局次長

道立高校における公民の授業についてでございますが、このたびの授業にかかわりましては、当該高校の校長から、授業のねらい、授業の展開、教材の取り扱い方や指導の仕方などについて、事実確認を行ったところでございます。

その上で、道教委といたしましては、このたびの授業におきましては、社説を授業で取り上げる際に必要な指導上の工夫や配慮がなく、教育の中立性を確保するための慎重さを欠いていたものと考えたところでございます。

道教委といたしましては、各学校において、自主性や創意工夫を発揮しながら、魅力ある学校づくりを進めていくことは大切なことであると考えておりますが、教育の中立性の確保に係る問題がある場合などは、道民の皆様の信頼を得るためにも、適切に対応していく必要があるものと考えております。

○真下紀子委員

学力テストの問題と同じですけれども、余り強弁しないほうがいいですよ。

今回の場合は、学校には自由裁量があるわけですが、その自由裁量に踏み込んで、道教委は、道教委の判断を押しつけているだけで、その前にやるべきことをやっていないじゃないですか。

教授の具体的内容及び方法における自由な裁量というのが奪われて、現場の教員に及ぼす萎縮効果ははかり知れないものがあります。道教委に、授業内容に介入する権限が与えられていることにはならないわけです。このことははっきり申し上げておきます。

本来、教育委員会の仕事というのは、教員に対する不当な支配から保護すべき職務上の義務があるわけで、それを果たすのが皆さんの仕事なのです。逆に、一緒になって、不当な支配をするような道教委になってはならないのじゃないでしょうか。

私は、今回の道教委の判断は、慎重さを欠き、拙速だったと言わざるを得ないというふうに思います。

ここまで大きくなった問題ですから、やっぱり、教育基本法の生まれ、ここのところに一度立ち戻って――戦争を経て、戦後、民主主義教育を進めていくと日本の国民が決意した、その初心に戻って話を進めなくてはならないところまで、押し迫ってきていると私は思います。

そこで、最後に教育委員長にお伺いしたいのですけれども、終戦までの日本の教育は、教育勅語に基づいて、国家のための、国家による、国家の教育であり、中央集権的な教育であったことの反省に立ち、また、憲法によって、教育を受けることは基本的権利であることが確立されたことを受けて、終戦直後、教育基本法が定められています。

教育の独立性については、国家や行政が教育の内容に不当に介入することを厳しく抑制しているものと考えますけれども、この教育基本法が生まれたときの初心を、教育委員長の言葉で伝えていただけないでしょうか。

○橋場昇教育委員会委員長

教育基本法についてのお尋ねでありますが、教育基本法は昭和22年に施行されております。戦後間もない我が国が、民主的で平和な国家を再建するために、その根幹を担うものは教育であるという認識のもとに生まれたものでございます。

教育の基本理念、義務教育の無償化、教育の機会均等、教育行政の責任を定めるなど、すべての国内の教育法規の根幹となるものとして定めまして、まさに、戦後の教育を発展させてきた原動力になったものと認識しております。

その後、平成18年に教育基本法は改正をされました。改正前の理念は、基本的にしっかりと受け継がれているものと認識をしておりますが、特に、教育行政にかかわりましては、第16条におきまして、教育が、国民全体の意思に基づいて、中立性かつ不偏不党性を確保しつつ行われる必要があることから、国民の代表者で構成される国会において制定された法律の定めるところにより行われるべき旨が規定されているというふうに承知をしております。

以上でございます。

○真下紀子委員

教育委員長、御足労いただいて、答弁いただいて、本当にありがとうございます。

憲法と法のもとで行われるべきということですが、今の議論を通じてもおわかりになったように、教育基本法のどこに抵触をしているのか、どこに違反行為があったのかということを、今回の事例では道教委は説明し切れていません。残念ながら、こういう実態があるということなのです。

今回の事例があったのは私の母校なのです。私は、自分が卒業した学校で、こういう教育が行われていたということを誇りに思います。

そして、教育委員長の今の答弁を聞いて、ああ、これからも頑張っていかなきゃいけないなと思いました。本当にありがとうございました。

終わります。


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[日本共産党道議団編集]

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