【真下紀子道議、登山の安全、高等技専の特別枠、季節労働者の雇用確保策など求める】 | 09.10.05 |
ことしの7月、大雪山系のトムラウシ山と美瑛岳で、ガイドを含む登山者10名が死亡しました。夏山登山では、過去最悪の遭難事故となったわけですけれども、こういったことは、決して繰り返してはならないと思います。現在は、秋山登山シーズンでもあります。
そこで、本道においても重要な登山観光の安全性について質問したいと思います。
まず、道内の登山観光の魅力と実情について、道の認識を伺います。
こうした中で、全国的な百名山ブームや、近年の中高年を中心としました登山ブームから、本道には多くの登山客が訪れておりまして、道といたしましては、その自然の特殊性を十分に踏まえた装備につきまして注意喚起を行うなど、より安全で安心な登山活動ができるよう努めているところでございます。
今回の事故を受けて、道は、安全な登山ツアーの課題をどのように認識しているのか、伺いたいと思います。
また、上川支庁では、遭難事故を起こさないように呼びかける対応を続けていると聞いておりますけれども、その内容についてもお示しください。
こうした中で、安全にツアー登山を楽しんでいただくためには、参加される方々が、まず、登山に関する正しい知識を持っていただき、自分自身の経験や能力に見合ったツアーを選定し、十分な装備を持つなど、きちんとした準備をしていただくことが必要であるとともに、ツアーを企画する事業者にありましても、募集段階で、参加者の能力に見合った商品を提供いたしまして、実施段階でも、参加者の必要な装備等について徹底をするとともに、地元に精通したガイドの採用や、気象変化に対する的確な判断など、安全対策を最優先したツアー運営を徹底することが重要であると認識しているところでございます。
また、このたびの事故を受けまして、道では、本道における夏山登山の留意事項や避難小屋の利用方法等につきまして、ホームページに掲載をいたしまして、広く周知を図ったところでございますが、先月、上川支庁が、旭川地方気象台などと連携をいたしまして、長期予報等に基づきます、気候の急変時対応といった点など、秋山登山に対します注意事項について、ホームページに掲載するとともに、市町村等を通じまして、広く登山者への周知を図ったところでございます。
今回の事故を受けまして、協会におきましては、ガイド体制の強化など、ガイドラインの見直しを行うとともに、東京と大阪で、ツアー事業者を対象に、ガイドライン徹底のための説明会を開催しているところでございます。
道といたしましては、事業者による自主的な取り組みを通じまして、ツアー登山の安全性の向上が図られるよう、今後とも、関係機関に対しまして必要な働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。
また、ガイドを選定するに当たりましても、その山の周辺に在住しているガイドを委託することが、地域の実情も知っているということでございますので、極めて有意義であるということです。
また、装備につきましても規定をしておりまして、集合地において、参加者に、きちんと装備の点検をさせて、不備な点がないかどうかを申し出させるといったこととか、実際にツアーに入った中でも、ガイドが装備の不十分などをきちんと把握するといったこと、あとは、装備が不十分である場合には、行動制限等、安全を確保するための対応をとるといったことなどが規定されているところと承知しております。
以上でございます。
次に、ガイドの研修についてなのですけれども、本州ならまだ夏山の9月11日に、本道の大雪山系では初冠雪ということですが、雨にぬれた衣服を着用したまま、動かない、食べない、そして風に当たると、体温が失われて低体温になり、死に至るという厳しい条件があるわけです。
こうしたことも含めて、実体験をされた方の話を聞くとか、ぬれたTシャツを着て、扇風機の風に当たるというような体験も、研修の中で行われているようなのです。旅行業者とともに、ガイドの研修会というのも必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
また、北海道アウトドア資格制度の運営団体におきましても、雪山の危険や冬のルート判断など、冬山や夏山におけるガイド実技研修会を開催しているところでございます。
さらに、アウトドア事業者におきましては、ガイド、インストラクターに対する救命救急などの教育訓練を、自社内あるいは外部委託により行っている状況にございます。
道といたしましては、北海道の山を安全に楽しんでいただくために、今後とも、こうした各種研修会を通じまして、ガイドとしての安全面からの知識や技術の向上が図られるよう促してまいりたいと考えております。
道といたしましては、登山をされる方々に、こうした資格を有するガイドの方々による安全なツアー登山が提供されるよう、今後とも、関係機関に働きかけてまいりたいと考えております。
この問題では最後の質問ですけれども、観光振興の観点からも、通報・救援体制や、避難小屋、トイレなどの整備、情報提供などを、行政としても、国と協力して進めていく必要があると思います。
特に、今回は、トムラウシ山の直下に避難小屋の新設が必要ではないかと考えますけれども、この点はどうでしょうか。
また、私は、2005年の3定で、避難小屋に指定されている美瑛富士の小屋へのトイレ設置を求めましたが、この整備の見通しなどについても伺いたいと思います。
さらに、観先客が殺到しています旭岳姿見の池のトイレブースが、実は適切に使われていなくて、汚染されていて、私も行ってみて気になりました。本来、トイレブースは、普通のトイレのように使ってはいけないはずのところなのです。その辺の登山客のマナーもあるのですけれども、こうした適切な管理などが必要だと考えます。環境生活部や国とも連携して、対策をとるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
まず、委員から具体的に指摘をいただきました、トムラウシ山直下の避難小屋の新設についてでございますけれども、大雪山系に設置されております5ヵ所の避難小屋の老朽化が進んでおりますことから、道といたしましても、その再配置も含めまして、地元や関係機関と協議をして、必要な要望を国に対して行うこととしているところでございます。
また、美瑛富士でのトイレの設置についてですが、現在、地元を中心に、トイレの方式などについて議論が進められておりまして、道といたしましても、利用の実態ですとか地元の要望など、地域の実情について国のほうに伝えてまいりたいというふうに考えております。
最後に、旭岳姿見の池に設置されておりますトイレブースについてですけれども、これは設置者が上川支庁でございまして、その支庁の職員のほか、自然保護監視員、地元の関係者の協力も得まして、自然環境のパトロールなどに合わせまして、施設の点検、それから、汚れですとか破損への対応といったものを、協力し合いながら、定期的に実施しているのが実態でございます。
いずれにいたしましても、避難小屋やトイレなどの施設の整備につきましては、自然環境への影響などに配慮し、安全な登山が行われますように、私どもとしても、地元や関係者の理解と協力を得ながら、対応してまいりたいというふうに考えております。
あわせて、やはり、登山者のマナーの向上、技術や知識の習得も不可欠だと思いますし、特に、山に行ったら、たばこの火の始末などにも気をつけていかなければならないと思いました。ガイドラインには、「とっていいのは、写真だけ、残していいのは、足跡だけ」と書いてありましたけれども、全くそのとおりだなと思いました。
初めに、新卒未就職者支援について伺いたいと思います。
ことし4月になっても就職が決定しなかった新卒者は1454人でした。道内の高校卒業予定者の求人倍率の状況は、7月末現在で0.26倍と、昨年同時期と比較して、さらに落ち込んだため、来年春の就職未決定者の一層の増加が予想されるところです。
道内の高等技術専門学院では、昨年から、離職者向けに特別枠を設けておりまして、再就職につながる技術の習得を進めていると承知しております。
ところが、この募集のパンフレットを見ますと、選考日について、普通課程が2009年の12月、短期課程が2010年の2月となっております。4月になっても依然として進路が決まっていない卒業生は対象外となってしまうことが考えられます。4月時点の未決定者に対応して、新たな受け入れ枠を設けてはどうかと考えますが、見解を伺います。
来年度についても、高卒予定者に対する道内企業からの求人が大きく減少しているなど、現下の厳しい雇用情勢にかんがみまして、こうした特別枠の設定について、未内定の学校を卒業予定者の取り扱いなども含め、検討してまいる考えでございます。
次ですが、雇用保険の支給を受けている離職者については、授業料免除と承知しておりますが、新卒未就職者についても、雇用保険受給者と同様の扱いとすべきと考えます。工具などの実費負担とあわせて、助成を検討すべきではないでしょうか。いかがでしょうか。
また、独立行政法人雇用・能力開発機構が実施している、低利貸付制度であります技能者育成資金や、国の平成21年度補正予算において新たに創設された、職業訓練と生活保障のための給付金制度などの活用が図られるよう、今後とも、積極的に周知を図ってまいる考えでございます。
本道には10万5000人を超える季節労働者の方がいて、雇用と生活の安定というのが重要課題になっておりまして、これまでも、対策を繰り返し求めてきました。
道は、平成19年度に策定した、季節労働者対策に関する取組方針で、季節労働者の通年雇用化の促進をうたい、そのための、冬期施工の増嵩経費の措置などを実施してきたと承知しております。
平成19年度において、通年雇用化はどのように達成をされたのか、伺いたいと思います。目標及び実績を示してください。また、通年雇用促進支援事業の実績もあわせて示してください。
また、このうち、通年雇用促進支援事業の実績につきましては、754人となっているところでございます。
ですから、実態とかけ離れているのじゃないかと思うのですけれども、建設業の全休のパイが細る中で、道は、国と一緒になって、通年雇用一辺倒とも言えるやり方を進めてきたわけですけれども、それが正しかったのかどうかということをいま一度検証すべきではないかと思います。
通年雇用に至らない場合の雇用の確保についても、目標を持って、あわせて取り組んでいくべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
また、建設業での通年雇用化に加え、他産業への労働移動による雇用の安定を図ることも必要であり、そのためには、季節労働者の技能の向上を図ることが重要でありますことから、季節労働者の資格取得に対する支援や、公共職業訓練の効果的な実施にも努めているところでございます。
さらに、こうした対策に加え、通年雇用促進支援事業におきまして、求人開拓や情報提供などの、短期就労に関する事業などを、独自の取り組みとして実施する地域の協議会に対して、経費の一部を負担するなどの支援も行ってきているところであり、今後とも、こうした取り組みを通じて、きめ細やかな就労支援に努めてまいる考えでございます。
自公政権のもとで、構造改革の名で、季節労働者への特例一時金が40日分に削減されてきたわけですけれども、その結果、建設政策研究所のアンケート調査結果にもあるとおり、季節労働者の65.7%が年収200万円未満で暮らしているわけです。生活保護を希望している方も20.3%となっているわけです。本当に政策は効果があったと言い切れるのかどうか、これは、よく考え直さなければいけないのじゃないかと思います。
私は、新政権に対して、せめて特例一時金を40日分から50日分に戻して、技能講習制度など、生活支援となる事業を確立するように求めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
また、国におきましては、通年雇用化に必ずしも効果を上げていないとの指摘などから、冬期技能講習助成給付金などの暫定制度を平成18年度限りで廃止し、19年度からは通年雇用促進支援事業を開始するなど、通年雇用化をより効果的に進めるための対策を推進しているところでございます。
道といたしましては、今後とも、国などと十分連携を図りながら、この通年雇用促進支援事業の実効がさらに上がるよう取り組むとともに、季節労働者の資格取得に対する支援や、公共職業訓練の効果的な実施に努めるなど、季節労働者対策に関する取組方針に基づき、季節労働者の通年雇用化の促進に積極的に取り組むとともに、あわせて、勤労者福祉資金制度の周知に努めてまいる考えでございます。
でも、やっぱり、冬期でも働ける仕事――何とか冬場をしのいで、春の仕事までつないで、生活を支えられる仕事が北海道には必要じゃないかと私は思います。そういった仕事の創出も含めて、お互いに知恵を出し合いながら、政権がかわったわけですから、新しい政権にもしっかりと声を届けて、道議会で議論があったことを政権与党にきちっと言っていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
※人名・地名等、コンピュータの機種によって表示できない旧字、異字等は通用字体に改めているものがあります。
[日本共産党道議団編集]