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道議会での取り組み
2009年予算特別委員会

【真下紀子道議、天候不順による農業被害対策、農業用廃プラ処理問題ただす】 09.10.05

2009年10月5日 予算特別委員会第2分科会質疑概要

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

農政部所管の問題

年内共済金支給・災害復旧事業の要件緩和を

○真下紀子委員

天候不順による農業被害の対策について伺います。

ことしの長雨、低温などの天候不順による農業被害は、調査が進むほどに深刻さを増しています。被害状況を把握するとともに、来年の作付計画や資金繰りに支障を来さない対策が必要です。道の対応を伺います。

○土屋俊亮農政課長

農業被害への対応についてでございますが、道では、先月18日に、農政部内に冷湿害等農業対策本部を設置いたしまして、また、先週の今月1日には、支庁に対しまして、地域ごとの農作物被害の実態や資金需要額などについての調査を指示したところでございます。

今後、その調査結果に基づきまして、先生がおっしゃいました金融対策などについて、早急に検討の上、取りまとめを行い、被害を受けた農家の皆さんが来年に向けて営農を継続できるよう、対応してまいる考えでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

具体的に要望が上がっている3点について伺います。

初めに、共済の対応となった場合ですけれども、年内支払いの実施が切実に求められていますが、この点はどうでしょうか。

○丹下良彦農業支援課長

共済金の支払いについてでございますけれども、支払いに当たりましては、収穫量あるいは出荷量の確定が前提となりますことから、通常の年では、水稲、麦、バレイショなどは12月、てん菜などは翌年の1月、タマネギにつきましては、出荷が翌年の6月ころまで続きますことから、共済金の支払いは8月ころとなってございます。

本年は、多くの作物に被害が見込まれますので、あらかじめ事務処理体制を整備するなど、共済金をできるだけ早く支払えるよう、農業共済団体をこれまで指導してきたところでございます。

これを受けまして、農業共済団体におきましては、出荷データの取りまとめに係ります関係団体の打ち合わせを行うなど、早期支払いのための準備を行っているところでございまして、特にタマネギにつきましては、年内に共済金の仮渡しを行うことができるように、国と具体的な方法について調整を行っているところでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

急いでいただきたいと思います。

資金の関係ですけれども、スーパーL資金や農業近代化資金などの融資を受けている件数、それから金額、及び、農家が負担している金利の総額が相当程度となると思いますが、この点を示してください。

また、深刻な農業被害の状況いかんでは、利子補給や償還猶予などの対応が必要になると思いますが、この点はいかがでしょうか。

○杉原清農業経営課参事

資金の融資状況などについてでありますが、平成20年度末の貸付件数、貸付残高は、スーパーL資金では、約1万6000件、約2000億円の残高、農業近代化資金では、約3000件、約430億円の残高となっております。

農家が負担している金利の総額については、貸付時期や償還期限などによって金利が異なるため、把握は困難な状況にありますが、いずれにいたしましても、被災農家に対しては、農業被害状況の調査結果を踏まえ、制度資金の償還猶予や営農資金の融通など、必要な対策について検討してまいりたいと考えております。

以上でございます。

○真下紀子委員

それと、災害指定されなかった場合は、経営が大変厳しくなることが予測されます。こうした場合はどのような対応を考えているのでしょうか。

一例ですけれども、米づくりでは、1町田んぼと言われる大区画の田んぼが、道内では1割を占めていると聞いております。

暗渠など、土地改良を進めることはもちろんですけれども、今回の異常な集中的降雨によって、東神楽町では、あぜが崩壊するという被害が出ています。補助対象となる降雨量に達していないということで、災害復旧事業の対象外とされていますが、管理が難しい大型田んぼや、高低差が大きい田んぼ、こういったところでは、要件緩和が必要ではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

○東修二農政部長

災害指定などについてでございますけれども、天災融資法の発動につきましては、災害の規模でございますとか、農業者が受けた被害の程度等を総合的に検討いたしまして、決められることになってございますけれども、いずれにいたしましても、道といたしましては、農作物の被害調査等の結果を踏まえまして、必要な対策を検討してまいりたいと考えております。

また、災害復旧事業の対象となる雨量でございますとか風速等の基準につきましては、地域や土地利用の状況等にかかわらず定められておりますことから、国としては、田んぼの区画形状等に応じた要件の設定は困難であるとしているところでございます。

しかしながら、異常気象時におきましては、類似の事象の発生が想定されますことから、道といたしましては、今後、道内各地の状況を把握しまして、農地等の保全管理も含めた対応のあり方を検討してまいりたいと考えているところでございます。

なお、お話のございました東神楽町の畦畔ののり面整備につきましては、現在、国の補助事業である農地有効利用支援整備事業による対応を予定しているところでございます。

以上です。

○真下紀子委員

こうした大変な被害状況もありますし、日本の食料基地・北海道の農業を守るために、力を合わせていきたいということを述べて、次の質問に移ります。

夕張メロンにも影響・農業用廃プラ処理

○真下紀子委員

農業用廃プラスチックの処理についでですけれども、農業用廃プラの再生処理の方針と方法、道内の処理状況を伺います。あわせて、リサイクルの状況もお示しください。

○多田輝美食品政策課参事

道内の処理状況などについてでございますが、道内におきましては、農業団体や業界団体、道などで構成いたします北海道農業用廃プラスチック適正処理対策協議会を設置いたしまして、農業用廃プラスチックの適正処理を進めているところでございます。

この協議会では、平成12年度に、農業用廃プラスチックの適正処理方針を定めておりまして、その方針に基づき、環境負荷の軽減と資源の有効活用の観点から、廃プラスチックそのものの排出の抑制を図るとともに、地域関係者の組織的な取り組みによりまして、リサイクルを基本とした処理を進めているところでございます。

こうした取り組みによりまして、道内における農業用廃プラスチックにつきましては、平成19年度までの過去10年間で、埋め立ての割合は58%から26%に減少し、また、リサイクルの割合は2%から64%まで向上してきているところでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

答弁にありましたように、適正処理はリサイクル処理を基本としており、本道の状況も、リサイクル率が向上しているということでしたが、埋め立てよりもコストがかかる例が多いことから、適正処理促進のために、市町村や他県では支援があると聞いております。道では、どのように把握しているでしょうか。

○多田食品政策課参事

市町村などの支援についてでございますが、支庁を通じた調査におきましては、平成20年度において、町村が単独で助成したところは2町村、農協と市町村で助成をしたところは32市町村、農協が単独で助成したところは56農協となっております。

また、市町村などの助成と一部重複するところもございますが、中山間地域等直接支払交付金の対象としているところが24市町村となっております。

府県における支援の状況につきましては、具体的なデータがございませんが、全国で農業用廃プラスチックの適正処理を推進しております日本施設園芸協会によりますと、市町村や農協等の財政事情などから、処理経費に対する助成措置は、全国的に減る傾向にあるとの報告がなされているところでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

具体的に伺いますけれども、道の資料によりますと、メロンで有名な夕張市のメロン農家のビニールハウスなどが、農業用廃プラとして100%リサイクルされているということになっております。

ところが、夕張市の久留喜地区というところに、安定型最終処分場の設置が予定されておりまして、その設置をする会社側の説明会で、夕張市内の廃プラは年間で約700トンから800トン排出され、150トンが最終処分されていて、600トンが輸出されるはずが、市内の廃棄物に限らず、道内の至るところに保管されているという説明をしています。

夕張市のメロン農家のビニールハウスも埋立処理の対象として、会社側が説明をしているわけですけれども、この会社が説明しているように、道内に保管されているような事実があるのかどうか、伺います。

○多田食品政策課参事

夕張市のリサイクルの状況などについてでございますが、農水省が行ってなっております処理実態調査によりますと、平成19年度における夕張市の農業用廃プラスチックの排出量は766トンで、その全量がリサイクルされているという結果になっております。

また、廃棄物処理法では、処理業者から送付されてきますマニフェストによりまして、処理を委託した産業廃棄物がどこに移動して、どのように処理されたのかということがわかる仕組みとなっており、処理業者に引き渡され、処理されました以降、道内のどこで保管されているのかといった実態などにつきましては、把握できない状況にございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

これ以降の話は、環境生活部の所管になると思うのですけれども、この廃プラが有価物となっただけで、サーマルリサイクルされずに保管されたとしても、それはリサイクル100%ということで報告が来る、こういう仕組みなのです。やはり、これは、制度としては不完全なものであって、誤解を受けるものだと思います。

環境生活部所管のことですから、皆さんはそれ以上は御答弁できないと思いますけれども、こうした制度で、農業がクリーンだとか、エコについて頑張っているとか、そういうことが本当に保証されるのかどうか、甚だ疑問ですので、やはり、こういった点についても、農家の方と一緒に考えていく機会を設けていく必要があるのじゃないかと思います。

最後の質問になりますけれども、リサイクルヘの支援についでです。

安定型最終処分場という、今、夕張に設置が予定されているものも、有害物質の混在による水源汚染などの課題がありまして、全国では、裁判が行われ、設置が凍結をされるという結果が次々と出ているわけです。

搬入のときに目視で確認できない混入物によって汚染され、また、収集区域が広範囲なために、市外から夕張市へのごみの持ち込みが進むことによって、クリーン農業、エコ農業によるメロン栽培への影響を懸念する声が私どものところにも届いております。

処理方法の変更をしていくという背景に、昨今のメロン価格が低迷し平成8年度比で6割程度の収入にとどまっている厳しい経営状況があると聞いております。

全国では、1県、支援策をやっているということなのですけれども、そうしたことを夕張市自身が助成するということは、御存じのとおりの財政状況では困難であると思います。

夕張市やJA夕張が今後も100%リサイクルで頑張るために、道としても何らかの対応を検討すべきではないかと考えます。先ほどの答弁のとおり、いまだ100%リサイクルをされていないところもありますが、道の適正処理の促進策を求めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○北村健食の安全推進局長

リサイクルに対します道の促進策についてでございますが、道といたしましては、平成4年度以降、北海道農業用廃プラスチック適正処理対策協議会の取り組みに対しまして助成し、リサイクルを基本とした適正処理を推進してきたところでございます。

こうした継続的な取り組みによりまして、現在では、114の市町村で地域協議会が設置されまして、農業者を初め、地域関係者のリサイクルに対する理解も年々深まってまいりまして、平成19年度では、リサイクルの割合は64%にまで達しているという状況でございます。

道といたしましては、今後とも、この適正処理対策協議会と連携をしながら、農業用廃プラスチックの適正処理方針に示しておりますように、処理経費については、排出者でございます農業者の負担という考え方を基本としつつ、生産者及び地域関係者の意識の啓発、あるいは、効率的な収集体制づくりということで、処理体制の整備といったようなものを図り、リサイクル率の向上に努めていくことが重要であるというふうに考えております。

○真下紀子委員

最後に、指摘をさせていただきます。

夕張に設置を予定している安定型最終処分場に対しては、地域住民の方のほかに、下流域の方たちからも不安の声が寄せられております。

生活用水ですとか農業用水の汚染や、風評被害を理由にしているわけですけれども、さまざまなところから知事に意見書が届けられておりますし、長沼、由仁、南幌の町長さんのほか、4者からの要望書も届けられているというふうに伺っております。

安全が確認されないうちに、どんどん処分場の設置が進むということになれば、北海道農業、そして、ここまでブランド化してきた夕張のメロンにも随分と影響が出る、そういうことはあってはならないと思いますので、ぜひ、その点も考慮しながら、皆さんのほうからも意見を出していただきたいし、環境生活部のほうに私たちからも働きかけを続けていきたいと思います。

以上で質問を終わります。


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