【真下紀子道議、最低制限価格と入札制度、公契約条例、ダム建設の中止・見直しなどただす】 | 09.10.02 |
建設業が地域の雇用を確保し、適正価格での公共工事契約を推進するというのは不可欠でありまして、私たちはこれまでも主張してまいりました。
これまで、高橋知事は、道民の同意もなく、当別ダム入札への指名停止業者の参加や、指名停止期間の半減などを行ってきましたが、道民からの厳しい批判に耐えられず、道議会の論議、入札監視委員会での議論にも耐えられなかったわけで、すぐに期間の半減を撤回するなど、混乱を招いたのは御承知のとおりです。
道は、最低制限価格をおおむね90%に引き上げ、総合評価方式でも、低入札価格調査基準価格を同様に引き上げたと聞きます。
私は、税金を有効に活用し建設業の発展に資するために、以下、伺ってまいりたいと思います。
まず、最低制限価格の引き上げの目的と、政策決定過程を道民にわかりやすく示してください。
しかし、本年4月に建設部が実施をいたしました、道内建設業に係る経営状況の実態調査などによりますと、経営規模の小さな企業での利益率が低くとどまっていることや、倒産件数が増加していること、さらには、職員や現場作業員等の削減の実態も明らかになってきたところでございます。
また、国からは、5月15日付で、各都道府県知事に対しまして、建設業が地域の雇用を確保し持続的に発展することができるよう、地域の実情に応じて、最低制限価格などについて、設定範囲の上限である10分の9にするなど、算定式の改正を適切に行うこと等の通知があったところでございます。
このような中、道商工会議所連合会を初めとする経済9団体からは、急激な景気悪化の影響に対する経済・雇用対策として、補正予算の早期執行と、さらなる最低制限価格の引き上げを求める要請があったところでございます。
このため、最低制限価格等につきましては、公共工事の品質確保はもとより、地域の経済や雇用の下支えをする役割を果たしている地域建設業が継続的に経営できる環境を整備する観点から、第2回定例会の議論を踏まえて、副知事や関係部長で構成する入札契約制度の適正化に関する連絡会議において引き上げを決定し、7月16日の入札から実施をしたところでございます。
また、一般土木工事の標準的な各等級区分の試算で、引き上げ内容を具体的に御説明申し上げますと、予定価格が2000万円の工事では7.4%アップの89.1%、6000万円の工事では6.4%アップの89.7%、9000万円の工事では6.1%アップの89.9%、3億円の工事では4.7%アップの90%となり、規模の小さな工事について、引き上げ幅をより大きくしたところでございます。
この間の工事の平均落札率が、発注3部関係で、2002年の95.5%から、2008年は91.6%と、低下傾向となっています。これは、談合の排除による効果も大いにあったのだというふうに考えております。
道では、最低制限価格引き上げ以前において、平均落札率の低下が建設労働者への賃金や工事の品質確保に影響があったのかどうか、調査をされているということでしたので、その点について具体的にお示しいただきたいと思います。
また、国に準じまして、平成18年度から、最低制限価格の上に、監督を強化する価格を設定し、この価格を下回って落札した工事について、工事監督時の確認項目を充実させるとともに、現地における確認頻度をふやし、重点的な監督業務を実施することなどにより、工事の品質の確保に努めてきたところでございます。
それから、品質の問題ですけれども、今の答弁の中で、監督強化価格――これは2%ということですが、この設定と、確認や監督によって品質が確保されており、品質に問題がある事例はなかったという御答弁だったと思うのです。まず、これが確認の1点目です。
次ですけれども、下請の労働条件や下請価格の不当な切り捨てを許してはならないのは当然のことです。しかしそれなら、ほかにも方法があったはずで、公契約条例などによって担保するなどといった検討が必要ではなかったかと思います。どのような検討を経て、今回の設定が最良の選択であると判断をしたのか、明らかにしていただきたいと思います。
また、その評価について、どの時期に、どのような方法で、だれが行うのかも、あわせて伺います。
また、今回の最低制限価格等の引き上げの期間につきましては、今後の経済状況や、道内の建設業を取り巻く状況及び公共事業の推移のほか、国や他府県の動向などとともに、今回の引き上げに伴うフロー効果を見きわめながら、検討してまいりたいと考えております。
なお、公契約条例についてでありますが、庁内連絡会議や北海道労働審議会での総合的な検討の結果、平成18年に、賃金などの労働条件については、労働基準法などに定める法定労働条件の範囲内で、個々の労使当事者間で自主的に取り決められてきており、政府がこれに介入することは適当でないとする国の見解が出されたことや、これまで、道が発生する事業に従事する労働者に関し、労働法令の遵守などの各種の取り組みを実施してきていることなどから、新たな条例は制定しないと結論が出ているところでございます。
道内でも、旭川市を初め、23自治体から、公契約条例ですとか公契約法の制定を求める意見書が上がり、全国では756自治体に及んでいます。関係者からの声も非常に強く、今回は、自民党の議員からも、条例制定を求める質問が出るという事態に至っているわけです。私は大変歓迎しております。
野田市の条例によりますと、下請、孫請まで対象となり、労働者から違反の申し出があれば、市が調査し、是正命令を出し、是正されない場合は、契約解除や事業者名の公表をすることも定められているという、大変厳しいものになっておりまして、皆さんが心配をされている下請の労働条件や賃金などといったことに対して、非常に力強いものになるわけです。
検討していないということですから、こういった検討はこれから行われるべきだというふうに私は思いますが、道は、引き上げ後の建設労働者の賃金の動向というのをどういうふうに把握するのか、伺っておきます。
このため、引き上げにあわせて、元請・下請間の取引の適正化がより一層図られるよう、建設工事下請状況等調査を工事の施工中に実施するなど、指導の強化に努めるとともに、その現場で働く建設労働者の賃金についても、賃金台帳などに基づき、実態を調査することとしたところでございます。
全国で143事業、道内では、サンルダムや平取ダム、当別ダム、夕張シューパロダムなど、9の事業が見直し対象となっています。前原国交大臣は、ダム以外の治水対策を含めて協議を進める方向を示しております。
私も、ダム建設に対する道民からの反対や懸念の声をたくさん聞いておりますけれども、道は、このたびの国交大臣のダム事業の見直し表明について、どう考えているのか、伺います。
現時点では、国から、事業の見直しについての情報提供や指示は受けていないところであり、今後、国の動向を注視してまいりたいと考えいるところでございます。
しかしながら、私のところに届いておりますような、ダム建設に対する反対の声や懸念の声、こういったことがあることは承知をしているということでよろしいでしょうか。
そのような中で、一部から、そのような声があったということは承知しているところでございます。
まず、美利河ダムの魚道効果についでですけれども、北海道のサクラマスは、北海道周辺海域からオホーツク海を回遊しておりまして、漁業資源としてだけではなく、海洋環境のバロメーターとしても非常に貴重な存在です。
9月9日に現地調査に行った美利河ダムの魚道は、全長が2.4キロメートルで、全国一長いバイパス式魚道でした。
ダム建設以前の環境調査では、産卵床は確認をしていなかったために、その後との比較はできませんが、ダム建設前はサクラマスの天国だったということでした。
ところが、建設後の2005年から2008年の産卵床は、ゼロ、2、ゼロ、13ヵ所となっており、その後は確認をしておりません。
ヤマメに関しては、確かにヤマメがいることはいますけれども、実数についても今後は調査を行わない、標識魚のカウントも行わないということでした。
サクラマスの遡上とスモルトの降下について、評価の基準を一体何に置いて、どのように確認して、国民の税金を20億円もかけた魚道の効果をどのように評価するのか、このことを伺っておきたいと思います。
サンルダムの魚道についでですけれども、サクラマスの遡上の実数については、水槽カメラの監視によると、ことしは274匹しか確認されておりません。調査期間が、昨年と比べて、21日ぐらいから50日余りへと2.5倍ぐらいに延長されたにもかかわらず、昨年の552匹に比べて半減をしているわけです。
一方、魚道を上らずに、その下で産卵したケースは、昨年の86床から、ことしは163床と増加しており、遡上できずに産卵をしてしまうというケースがふえていることがうかがわれます。
サクラマスの遡上の評価について、どのように考えているのか、伺います。
その対策についてなのですけれども、サンルダム建設は、8月の末に、漁協の同意を得て、国は概算要求をしておりますけれども、ダムの本格運用は、スモルト――サクラマスの幼魚ですが、スモルトの降下の成功を確認してからとしています。
しかしながら、魚類専門家会議の中間取りまとめでは、事前の段階から必要に応じて試験を行う、サクラマスの生息環境の推移を継続的にモニタリングし、結果に基づき、さらに必要な対策を講ずることができる体制を整備するとしていますけれども、具体的にどのような対策をとろうとしているのか、伺います。
次に、ダム建設にかかわる道の負担額についでですけれども、サンルダムの基本計画に対する知事意見では、予算の増額も認めていません。予算を増額しないということが建設の条件になっているわけですけれども、道は、サンルグムに対して、これまで幾ら負担してきていますか。
答弁できないようですので、知事に直接伺います。
最後ですけれども……
次の質問に移ります。
最後に、魚道の効果の検証とダム建設時期について伺っておきます。
スモルトが無事に降下できるのかどうかという検証もあわせて必要になるわけです、サクラマスの遡上のことだけではなく。
サクラマスの寿命というのは3年から4年で、最低でも1クール3年の調査が必要だと言われています。産卵床は、年によって変動がありますので、5年の平均値を見るのが通常の調査ではないかと考えております。
魚類専門家会議の中間取りまとめでは、水中生物の生態系に与える影響が大きいことから、流域全休として、現状よりも確実に改善するように努めることを目標とし、遡上・降下対策は、影響を最小限にするよう実施することになっています。また、建設前に十分な対策がとれない場合は、完成後に検証調査、改善を行うこととしているわけです。魚道の調査は、当然、本体工事前に行っておくべきものであります。
しかし、国は、調査はダム完成後の運用前と、あいまいな言い方をし始めています。完成後の調査であるなら、魚道効果がどうであれ、ダム建設はやるのだ、こういう意思表明ということになるわけですけれども、ダム本体工事着工前に魚道効果を確認する必要があると考えますけれども、魚道効果の検証とダム建設時期についての見解を伺います。
サンル川というのは、「ヤマメわく川」と言われていまして、天塩川水系の中でも、ヤマメが非常にたくさんいるところなのです。何年か前までは、長靴で入ると、その長靴にヤマメがぶつかるくらいたくさんいたのが、産卵床もどんどん減っている、こういうような状況です。
先ほどは、一部の方が声を上げているようなことをおっしゃっていましたけれども、これは一部の声ではなくて、サンル川、そして天塩川水系というのは全国民の財産だと私は思います。
そういったことに対して、この2年の調査だけでも、遡上できずに減少していくことが明らかになっていると思いますし、本体着工というのは難しいと思います。少し立ちどまって、ダムに頼らない、自然を生かした治水対策を、国に言われるまでもなく、北海道のほうから行うべきではないかと思いますが、いかがですか。
現時点では、国から、事業の見直しについての情報提供や指示は受けていないところであり、いずれにいたしましても、今後、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
ありがとうございました。
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[日本共産党道議団編集]