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2009年第3回定例道議会

【花岡ユリ子道議の2009年第3回定例会一般質問】 09.09.30

2009年9月30日 2009年第3回定例道議会

質問者 日本共産党 花岡ユリ子 議員

  • 1.知事の政治姿勢について
    • (1)衆議院選挙結果と鳩山新政権について
    • (2)核密約問題についてて
    • (3)ムダな大型公共事業の見直しについて
  • 2.道民生活について
    • (1)福祉施策の充実について
    • (2)アイヌ政策について
  • 3.経済・産業対策について
    • (1)雇用・貧困対策等について
  • 4.第一次産業について
    • (1)農業問題について
  • 5.教育問題について
    • (1)教育の独立性と道教委の対応について

○78番花岡ユリ子君

(登壇・拍手)日本共産党を代表して、質問いたします。

総選挙の自公政権の敗北の原因、及び新教権について

知事が、これまで自公政権に全面的に依拠して道政を推進してきたことは、自他ともに認める事実です。

国民が、今回の総選挙で自公政権ノーの審判を下したことを、なりふり構わず自公の候補者を応援した知事としてどう受けとめるのか、あわせて、自公政権、とりわけ道内の自民党候補者が大敗北した原因について、どのように受けとめているのか、伺います。(発言する者あり)

また、知事は、鳩山政権の政策について、何をどう評価し、何か問題だと考えるのか、道民にわかるように具体的にお答えください。

知事の自公候補者への選挙応援は、この1年間だけでも、合計11人に対して53ヵ所に及んでいます。「はるみの恩返し」と言いますが、これまでの知事ではあり得なかったことです。やり過ぎだったとは考えないのでしょうか。

知事は、私自身、御支援をいただいて戦った、御恩返しをするのは政治家の世界では当然許されることと記者会見で述べていました。しかし、日ごろから道民党を名乗りながら、政権与党のみに肩入れした政治活動は、道民党にふさわしくないと考えますが、いかがでしょうか。

道民を欺いた「核密約」の実態調査を国に求めよと要求

次に、核密約についでです。

平成9年から21年まで、米艦船の道内港湾への入港は37回です。この間、日本政府は、アメリカから事前協議がない以上、核の持ち込みはないという態度でした。

しかし新政権は核密約を認め、調査が開始されたことは重要です。37回のうち、核兵器搭載可能艦は、何隻で、港に何回入ったのか、お答えください。

核の持ち込みは、日本の国是に照らしても許されない問題です。知事は、国に対し核密約の早期の調査、公表と、密約の廃棄を求めるとともに、核の持ち込みは認めないという、確固とした意思表明をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

不要不急のサンルダム等の見直しを要求

前原国土交通大臣は、民主党が選挙公約で中止を掲げた八ッ場ダム、川辺川ダムの建設中止を初め、全国の143ヵ所のダム事業を見直す考えを表明しました。知事は、この前原大臣の、ダム行政の全面的な見直しとも言える決断をどう評価しますか。

全国の143ヵ所のダム事業の中には、道内の10ヵ所のダムも含まれています。

私たちは、サンルダムや平取ダムについて、これまでも建設中止を強く訴えてきましたが、知事は、これまで全く聞く耳を持ちませんでした。政権交代した今こそ、国から言われる前に、みずから、これらのダム建設の見直しをすべきと考えますが、いかがでしょうか。

ダム以外の、高速道路や大水深港湾、大規模林道など、不要不急の大型公共事業についても、これまでのしがらみにとらわれず、見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。

母子加算復活について

長妻厚生労働大臣は、来月にも、母子加算の復活を実行する方向です。知事は、この間、母子加算の復活を求める我が党の質問に対して、冷めた答弁を繰り返してきました。

母子加算の復活が現実となった今、これまでの御答弁の考えについて、どのような認識をお持ちか、また、今後どう対応するつもりか、伺います。(発言する者あり)

知事に、アイヌ民族への謝罪を要求

昨年、アイヌを先住民族として認める決議が国で採択されました。しかし明治政府以来の強制同化政策により、アイヌが自主・自立的に発展する可能性も自尊意識も奪われました。

2007年の、国連による宣言の採択後、オーストラリアやカナダは、先住民族に対して謝罪しました。

北海道の知事として率先して謝罪し、政府としても公式に謝罪すべきであり、有識者懇談会のメンバーであった知事として、積極的に国に提言すべきと考えますが、所見を伺います。

非正規労働者の再就職の(住宅提供)支援を要求

厚生労働省が発表した「非正規労働者の雇止め等の状況について」によりますと、昨年10月から本年9月までに、道内で4735人の非正規労働者が、雇用調整の実施済み、または実施予定となっています。職も住居も失う人が後を絶ちません。

先日、大通公園で開催されたさっぽろ派遣村で話を直接伺いましたが、支援団体からの行政への要望は、緊急に入居できる住宅と、生活保護受給までのつなぎ生活資金の確保です。

雇いどめに遭った非正規労働者などの早期再就職に向け、道としてどのように対応するのか、道職員住宅の提供や、つなぎ生活資金の制度の構築を含めて伺います。

夕張市の再生へ道の具体的な支援を要求

夕張再生市民アンケート実行委員会が実施したアンケートの結果によると、年収300万円未満が5割を超え、200万円未満が約2割にも上り、生活上の不安として、48%の人が「医療一救急体制の不備」を挙げ、F行政体制が不十分」と答えた人は58%にも上りました。これでは、再生への希望が奪われると考えますが、知事はどう受けとめていますか。

また、市が先月明らかにした再生計画の考え方では、住民ニーズの高い57事業を盛り込むと、赤字の150億円が解消できないとしています。しかし、その中には雇用−生活対策も含まれています。住み続けられる夕張づくりというのなら、少なくとも、この57事業の復活、創設は欠かせないと考えますが、いかがでしょうか。

日米FTAに反対し北海道農業を守れと要求

民主党は、政権公約で、日米FTA促進の立場を明確にしました。2007年2月に農林水産省が発表した試算を見ても、仮に国境措置が撤廃されるとすれば、道内農業などは壊滅的な打撃を受けることになりますが、知事は、その影響をどのように認識し、どう対処するのか、伺います。

教育の中立性を揺るがす道教委の「通知」撤回を!

最後に、教育問題についてです。

衆議院選挙に関する北海道新聞の社説を教材としたことについて、道教委が、1社のみの使用は偏った認識を持たせかねないと判断し全道の道立高校に新聞活用等の実態などを報告するよう通知しました。

今回、道教委が、不適切な指導が行われたと断定した授業については、当該学校長などからも特に問題があるとの報告もなく、道教委の局次長も、社説に偏りがあったとは言っていないと述べています。

不適切という言葉は、一般的には不正とか間違いとかと解釈されますが、今回の問題は不正などではないのですから、不適切というレッテルは直ちに撤回すべきではないでしょうか、いかがでしょうか。

今回、この事例を道教委に通報した与党議員は、保識者の指摘を道教委に伝え、授業の実態確認を求めたもので、教育への政治的介入の意図はないと新聞で答えています。

そうだとすれば、後で教育長が、配慮に欠けた、慎重さに欠けていたと議会答弁する程度の授業内容に対して、道教委が全道に調査を通知したことこそが不適切な行為だと言わざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか。

当該授業の目的や方法は、教育基本法第14条第1項及び学習指導要領における公民の目標にかなっているのではないかと考えます。

教師の使命は、創意工夫を凝らした生き生きとした授業で、生徒に正義と真実を教えることであり、間違っても、特定の意見や不当な圧力に屈することはあってはならないと思います。学校管理を強化し教育実践を萎縮させるようなものであってはなりません。教育長はどうお考えになっていますか、お答えください。

以上、再質問を留保して、私の質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)


高橋はるみ知事の答弁

知事高橋はるみ君

(登壇)花岡議員の質問にお答えをいたします。

最初に、私の政治姿勢に関し、まず、総選挙の結果についてでありますが、このたびの総選挙は、政治や政策のあり方について有権者の関心が高まる中で行われた選挙と考えており、選挙結果につきましては、国民や地方が直面する、依然として厳しい経済、雇用の状況や、地域医療、福祉など、さまざまな課題に対する民意が反映された結果として、政権交代が選択されたものと受けとめております。

次に、新政権の政策についてでありますが、私といたしましては、新政権が掲げている地域主権国家の樹立という、今後の我が国のあり方や、政治主導による政策展開といった方向性について共感をいたしているところであります。

一方、各種基金を含む補正予算や公共事業の見直し、さらには、暫定税率の廃止などに伴う地方一般財源の確保、充実、本道農業への影響が懸念される日米FTA交渉などに関しては、地域の実情等を踏まえて対応されることを強く期待いたすところであります。

いずれにいたしましても、新政権が取り組もうとされているさまざまな施策が実行に移されていく中で、北海道の実情や課題などを踏まえた提案、要望を行うなどして、本道経済の活性化や道民福祉の向上が図られるよう努めてまいる考えであります。

次に、選挙に際しての私の対応についてでありますが、このたびの総選挙に際しては、候補者の方から要清かあった場合に、公務優先で、支障が生じない範囲で、これまでのおつき合いなどを総合的に判断し、一人の政治家として対応してきたものであります。

次に、私の政治スタンスに関してでありますが、このたびの総選挙に際しては、ただいま申し上げたとおり、公務に支障が生じない範囲で、一人の政治家として対応してきたところでありますが、私といたしましては、知事就任以来、道民の皆様、そして北海道の将来にとって何か大切かという視点に立ち、さまざまなお立場の方々の御理解と御協力をいただきながら、道民本位の道政を進めてきたところであります。

今後におきましても、こうした考え方のもと、各界各層の皆様と対話を積み重ねるとともに、国に対して、地域の切実な声や本道の可能性を踏まえた提案、要請を適時的確に行うなどして、必要な政策の実現に向け、全力で取り組んでまいります。

次に、いわゆる核密約問題についてでありますが、核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずという非核三原則は、平和を基本とする日本国憲法のもと、世界で唯一の被爆国である我が国としての基本政策であると認識をいたしております。

いわゆる核密約問題に関しては、現在、外務省において調査が進められているものと承知をいたしており、政府において、その調査結果を明らかにし適切な対応がされることを期待いたしております。

次に、公共事業の見直しなどについてでありますが、私といたしましては、新政権がマニフェストに掲げた公共事業の見直しなどを進めるに当たって、むだの排除といった観点については理解するところでありますが、今後、具体的にどのように進められるのか、本道への影響を含め、十分見きわめる必要があると考えております。

また、我が国の食料供給基地などとして、食や環境等の分野で重要な役割を担っている本道においては、農林水産業などに係る生産基盤や、地球環境に寄与する森林の整備など、本道の着実な発展を図る上で、社会資本整備は今後とも必要であると考えております。

道といたしましては、具体の事業の選定に当たっては、ほっかいどう社会資本整備の重点化方針に基づき、限られた財源の中、中長期的な視点に立って、選択と集中を基本に行っているところであり、今後とも、そうした観点に立って、我が国における北海道の果たす役割や、社会資本整備に対する道の考え方などについて、国に対ししっかりと意見を申し上げてまいります。

なお、核兵器搭載可能なアメリカ艦船などについては、担当の部長が答弁をさせていただきます。

次に、道民生活に関しまず、生活保護の母子加算についてでありますが、国においては、一般母子世帯との公平性の確保を図る観点から、平成17年度以降、段階的に母子加算の見直しを行い、昨年度末をもって廃止いたしたところであります。

しかしながら、本年、見直しの根拠となった調査のサンプル数が少ないことが判明をし、その妥当性に疑問や批判の声が上がるとともに、母子加算を復活させるための生活保護法改正案が、衆議院の解散により廃案となったものの、参議院では可決されるなど、社会全休が母子加算について注目していると承知をいたしております。

こうした中、母子加算の取り扱いについては、現在、国において検討されているところであり、道といたしましては、国の動向を見きわめ、速やかに対応するとともに、大変厳しい環境で子育てをされている母子世帯の皆様方の御苦労を十分に踏まえ、今後とも、適切な相談、支援に努めてまいる考えであります。

次に、アイヌ政策についてでありますが、国の、アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会は、アイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議を踏まえ、総合的な施策の確立に取り組むために設置され、私も、委員の一人として検討に加わってまいったところでありますが、去る7月29日に最終意見を取りまとめ、内閣官房長官に報告いたしたところであります。

報告書では、国が近代国家形成過程の中で行った土地政策や同化政策などにより、アイヌ文化に深刻な打撃を与えたという歴史的経緯を踏まえ、国には、先住民族であるアイヌ文化の復興に配慮すべき強い責任があるとされており、今後の政策展開に当たっては、アイヌのアイデンティティの尊重や、多様な文化と民族の共生の尊重、また、国が主体となった政策の全国的実施という三つの基本理念に基づくべきとされているところであります。

報告書に盛り込まれた、立法措置、国民の理解の促進、民族共生の象徴となる空間の整備などの施策については、今後、国に新たに設置される協議の場において、具体的な進め方が話し合われるものと承知をいたしているところであり、私といたしましては、これらの施策について国が主体となって早急に取り組むよう、具体的な提案や協議を行うなど、積極的に働きかけを強めてまいります。

次に、経済産業対策に関し、離職を余儀なくされた方への支援についてでありますが、現下の厳しい雇用情勢に対応するためには、再就職支援などのセーフティーネットの充実に取り組んでいくことが重要と考えており、道といたしましては、離職者に対する職業訓練を大幅に拡充するとともに、民間就職支援会社の活用による再就職の支援、緊急雇用創出推進事業の実施による短期の雇用・就業機会の提供に努めるほか、道内の6ヵ所に窓口を設置し国が行う職業相談と連携して、住宅や生活などに関する相談に応じているところであります。

また、住宅の提供につきましては、国による雇用促進住宅のあっせん、入居や、道営住宅への入居相談窓口の状況も踏まえ、道職員住宅の活用についても、離職に伴い、住まいに困窮される方々の状況に応じ、検討することといたしているところであります。

さらに、このたび、国において、住居を喪失し、または、そのおそれのある方に対して支給される住宅手当緊急特別措置事業や、公的な支援を受けるまでの当面の生活費を貸し付ける臨時特例つなぎ資金貸付制度が創設されたことから、道といたしましては、これらの制度の10月実施に向けて、積極的にその局知に努めているところであります。

なお、夕張市民の生活対策などについては、担当の部長から答弁をさせていただきます。

最後に、第1次産業に関し日米FTAへの対応についてでありますが、農産物の国境措置が確保されなければ、米国の輸出農産物と競合する高関税品目を多く抱え、我が国最大の食料供給地域である本道の農業はもとより、基幹産業の農業と関連する食品製造業を初め、地域の経済社会に甚大な影響を及ぼすことを危惧しているところであります。

このため、仮に、米国とのFTA交渉が行われる場合にあっては、日豪EPA交渉と同様に、米や小麦、牛肉、乳製品のほか、でん粉、豚肉などの本道の重要品目について、適切な国境措置を確保することが必要と考えているところであります。

以上でございます。


○危機管理監立川宏君

(登壇)いわゆる核密約問題に関し核兵器搭載可能なアメリカ艦船についてでございますが、アメリカ艦船の核兵器搭載能力の有無について、外務省がこれまで国会等で答弁したところでは、アメリカ政府は、1991年に、海軍の艦船及び航空機から戦術核兵器を撤去する旨を表明し、また、1994年には、水上艦船及び空母艦載機から戦術核兵器の搭載能力をも撤去することを発表していることから、核兵器の搭載能力にっいては、撤去された状態であるとのことでございます。

以上でございます。(発言する者あり)


○総合政策部参事監前川克彦君

(登壇)夕張市民の生活対策に関連してでございますが、夕張再生市民アンケート実行委員会が実施いたしました調査は、夕張市が策定中の財政再生計画に市民の意見を反映するため、独自に行われたものであり、その調査結果がまとまり次第、市に提出されるものとお聞きしております。

現在、夕張市においては、財政再生計画の策定に向け、市立診療所の改築や公営住宅の再編など、市民の安全と安心を守るため、新たに必要となる事業等について、市民の皆様の御意見もお聞きしながら、検討整理しているところでございます。

道といたしましては、市民の皆様が将来にわたって安心して暮らすことができる計画となるよう、今後とも、必要な助言、協力に努めてまいる考えでございます。

次に、住民ニーズの反映についてでございますが、現在、夕張市においては、主体的な財政再生計画の策定に向け、新たに必要となる事業等について、市民の皆様の御意見もお聞きしながら、検討整理が進められているところでございます。

道といたしましては、夕張市の現状や、再建計画におけるこれまでの取り組みなどを踏まえ、財政の再建と地域の再生が着実に図られるよう、必要な助言、協力を行ってまいる考えでございます。

以上でございます。


○建設部長宮木康二君

(登壇)大型公共事業の見直しに関し初めに、国土交通大臣の発言についてでありますが、9月18日、国土交通大臣が、これから140余りのダムなどの事業については順次見直しをしていきたいと表明したことについては、承知しているところでございます。

現時点では、国から、事業の見直しについての情報提供や指示は受けていないところであり、今後、国の動向を注視してまいりたいと考えております。

次に、ダム事業の見直しについてでありますが、ダム事業につきましては、これまでも、節目節目に、それぞれの治水及び利水の必要性や妥当性を検証しながら、事業が進められてきたところでありますが、今後、国の動向を注視し対処してまいりたいと考えております。

以上でございます。


教育委員長の答弁

○教育委員会委員長橋場昇君

(登壇)花岡議員の御質問にお答えいたします。

教育活動の推進にかかわってでありますが、道教委といたしましては、学校において、自主性や創意工夫を生かした教育活動を行っていくことは、子どもたちの確かな学力や豊かな心など、生きる力をはぐくむ上で大切なことと考えており、例えば、公民の授業において、図書や新聞等の資料を教材として適切に活用するなど、指導上の工夫を図ることは、社会の動きなどに対する児童生徒の興味、関心を高め、理解を深める授業を行う上で重要なことと考えております。

しかし政治などに係る事項を取り扱う授業においては、指導の仕方によっては、教育の中立性の確保について問題が生じることも考えられることから、こうした授業における指導については、教育の中立性の確保の観点から、慎重な配慮が必要であると考えているところでございます。

以上でございます。


教育長の答弁

○教育長髙橋教一君

(登壇)花岡議員の御質問にお答えいたします。

まず、高等学校における公民科の授業にかかわってでございますが、一般的に申し上げれば、新聞の社説は、その性格上、新聞社の主張が掲げられているものであり、教員が授業において社説を取り上げる場合には、社説の性格やその読み取り方の指導を適切に行ったり、復数紙を使用したりするなど、生徒に特定の論調に影響を受けた認識を持たせないような工夫や配慮が求められると考えているところでございます。

このたびの授業では、政党の政策を論じた社説を教材として使用しており、また、選挙期間中であったことから、相応の配慮が求められたところ、ただいま申し上げたような指導上の工夫や配慮がなく、教育の中立性を確保するための慎重さを欠いていたものと考えたところでございます。(発言する者あり)

こうしたことが学校から確認できましたことから、教育の中立性を確保し、道民の皆様の信頼を得るためにも、他の道立高校に対しまして、調査を依頼する通知を出したものでございます。

次に、調査の実施についてでございますが、このたびの調査は、授業において、政党の政策を論じた社説を教材として使用するに当たり、必要な指導上の工夫や配慮が欠けておりましたことから、他の道立高校の状況を確認するために行ったものでございます。

道教委といたしましては、この調査は、教育の中立性を確保し道民に対する説明責任を果たすために必要であったものと考えているところでございます。

以上でございます。(発言する者あり)


花岡ユリ子議員の再質問

○78番花岡ユリ子君

(登壇・拍手)(発言する者あり)再質問いたします。

知事の53ヵ所にも及ぶ選挙応援について

高橋知事は、この1年間で、11人の自公候補者への53ヵ所にも及ぶ選挙応援について、恩返しをするのは政治家の世界では許されることと述べ、どこが悪いのかと言わんばかりの開き直られた答弁には驚きました。

ちなみに、堀前知事の選挙応援について、当時の信頼できる側近に伺ったところ、堀さんは、与党幹部が来札した際に、選挙期間中、数回あいさつする程度だったといいます。

今回、再選後の知事がこれだけ必死に応援しなければならなかった、見返しの恩というのはどういうものなのか、伺いたいと思います。

恩返しは後からつけた理由で、本音は、2年後の再選のための、写真入りのツーョットポスターだったとの声さえ出ています。

知事は、今回、これだけ自公政権を応援したのですから、道民党の看板はおろすべきではないでしょうか。(発言する者あり)

それとも、来年の参議院選挙は、「君子は豹変す」で、民主党への応援に変わるおつもりなのか、はっきりお答えいただきたいと思います。

非核神戸方式を見習ってはどうか

核搭載能力が撤去されたといっても、アメリカの戦略により、核兵器を積み込むことは可能なのです。

石狩湾新港には、これまで、ジョン・S・マッケイン、ステザムなど核登載可能艦が入っています。

知事は、まず、みずからか港湾管理者となっている石狩湾新港で、核を積んでいない証明書を出さないと寄港を認めないという非核神戸方式を見習ってはどうでしょうか、お答えください。

大型公共事業について

次に、大型公共事業についてです。

先ほどの建設部長の答弁は、文字どおり、木で鼻をくくるようなものでしたが、本当に知事はそうお考えなのでしょうか。

前原大臣は、地元では中止反対がほとんどで、既に、総事業費の4600億円のうち、3210億円も投入している八ッ場ダムについてさえ、建設中止を白紙に戻すことは考えないと述べ、マニフェストで約束したことをやり切る責務があるとまで言っています。

建設中のダムでさえ再検討する方針を改めて示した大臣の決意を、知事は、見直しを示唆するものとは受けとめないのでしょうか、伺います。

また、前原大臣は、ダム本体工事に着手しているかどうかについても、続行か中止かの重要な判断基準の一つに考えていると言っています。それに従うと、道内では、平取ダムやサンルダムも再検討の対象となりますが、知事はどう受けとめていますか、はっきりお答えください。

母子加算について

生活保護の母子加算についでです。

6回目の質問にして、初めて、母子家庭の親子に対して心を寄せる知事の発言を聞くことができました。(発言する者あり)

母子加算裁判闘争は、北海道からも声を上げ、全国にその運動が広がったものです。それだけ北海道は生活が厳しいということであり、知事には、母子家庭への支援体制を強化するよう指摘しておきたいと思います。

派遣切りされた若者たちを支援する団体への支援を含めた対策強化を

先日、労働団体などが開設しているさっぽろ派遣村に参加し首切りされた若者たちに話を聞きました。働きたい、そのためにも住所が必要とのことです。

さっぽろ派遣村を主催した団体は、身銭を切り、カンパを集め、このような方々へのシェルターを確保しています。道としても、こうした団体への支援を含めた対策を強化すべきだと思います。指摘をしておきます。

行政が教育内容に介入するのは慎重であるべき

最後に、教育委員長と教育長に伺います。

まず、道立高校の校長を長く務め、みずからも高校の社会科の教師を経験した教育委員長に伺います。

今回、道教委は、高校の公民の授業で新聞の社説を取り上げたことについて、1社のみを教材として取り上げることは、指導上の配慮がなく、教育の中立性を確保することへの慎重さに欠いていたと断言していますが、教育委員長も全く同じ考えなのでしょうか。

また、今回の道教委の一連の対応について、姉崎洋一北大大学院教授は、今回は道教委が文書で全高校に通達するような内容ではない、議員から指摘を受けて、道教委が現場の教育に介入すべきではないと厳しく指摘しています。

行政が現場の教育内容に介入するのは慎重であるべきとの教育専門家の指摘は重いと考えますが、教育委員長、教育長は、これをどのように受けとめていますか。

以上、再々質問を留保して、私の質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)


高橋はるみ知事の再答弁

○知事高橋はるみ君

(登壇)花岡議員の再質問にお答えをいたします。

最初に、私の政治姿勢に関しまず、選挙に際しての私の対応についてでありますが、先はども申し上げたとおり、候補者の方から要請があった場合に、公務優先で、支障が生じない範囲で、これまでのおつき合いなどを総合的に判断し、一人の政治家として対応させていただいたところであります。(発言する者あり)

次に、私の政治スタンスに関してでありますが、私といたしましては、知事就任以来、道民の皆様、そして北海道にとって何が大切かという視点に立って、道民本位の道政を進めてきたところであり、今後においても、こうした考え方のもと、さまざまなお立場の方々の御理解と御協力をいただきながら、必要な政策の実現に向け、全力で取り組んでまいります。

なお、今後の選挙に際しても、一人の政治家として適切に対応してまいります。(発言する者あり)

次に、アメリカ艦船の寄港についてでありますが、非核三原則は、我が国の基本政策であり、国全体の問題として、国民の不安や懸念を解消し今後ともしっかりと取り組むべきものと認識をいたしております。

道といたしましては、そうした基本政策を踏まえ、寄港の申し出があった場合においては、核搭載の有無について国に確認するなど、今後とも適切に対応してまいります。

次に、国土交通大臣の発言についてでありますが、先ほど、担当の部長から御答弁申し上げましたとおり、9月18日、国土交通大臣が、これから140余りのダム等の事業については順次見直しをしていきたいと表明されたことについては、私自身も承知をいたしておるところでございますが、現時点では、国から、事業の見直しについての情報提供や指示は受けていないところであります。

最後に、ダム事業の見直しについてでありますが、平取ダムやサンルダムなどのダム事業については、これまでも、節目節目に、それぞれの治水及び利水の必要性や妥当性を検証しながら、事業が進められてきたものと承知をいたしているところではありますが、いずれにいたしましても、今後、国の動向を注視してまいります。

以上でございます。


教育委員長の再答弁

○教育委員会委員長橋場昇君

(登壇)花岡議員の再質問にお答えいたします。

まず、高校における公民の授業にかかわってでありますが、授業で政治に関する事項を取り扱うことについては、生徒の政治的教養を高め、現代社会の基本的な問題に対する判断力の基礎を培うことができるようにすることなどが重要であり、その際、新聞を初めとするさまざまな資料を用いることは、生徒の興味、関心を高めるとともに、理解を深めていく上で効果があるものと考えております。

こうした、政治を扱う授業を行う際には、教育の中立性を確保するため、教材の選定や授業の展開などの工夫や配慮が求められますが、今回の授業においては、そうした工夫や配慮がなく、慎重さを欠いていたものと考えるところでございます。(発言する者あり)

次に、道教委の対応についてでありますが、学校において、創意工夫を生かした教育活動を行っていくことは犬切なことと考えておりますが、今回の事案のように、教育の中立性の確保の観点から、慎重な配慮が求められる場合は、道教委として適切に対応していく必要があるものと考えております。

こうした中で、私といたしましても、学校において、今後とも、新聞などの資料を補助教材として適切に活用していくことができるよう、指導上の留意点について検討していく必要があるものと考えているところでございます。

以上でございます。


教育長の再答弁

○教育長髙橋教一君

(登壇)花岡議員の再質問にお答えをいたします。

道教委の対応についてでございますが、新聞に掲載された識者のコメントについては、承知しているところでございますが、このたびの授業では、当該高校から事実関係を確認したところ、社説を取り上げる際に必要な指導上の工夫や配慮がなく、慎重さを欠いていたものと考え、道教委として、教育の中立性を確保し道民に対する説明責任を果たすためにも、他に同様の事例がないかを確認することとしすべての道立高校を対象に調査を行ったものでございます。

以上でございます。


花岡ユリ子議員の再々質問・指摘

○78番花岡ユリ子君

(登壇・拍手)指摘を交え、再々質問いたします。

知事は、(自公候補者への選挙応援は)恩返しだと強調し政治の世界では許されることと、みすがらを肯定していますが、果たしてそうでしょうか。許すかどうかは、みずからが決めることではなく、道民が判断することだと私は思います。

選挙応援の中身をよく見ると、受けた恩の多少がわかるような気がします。最も応援回数が多かった町村氏や武部氏は、比例代表でようやく復活当選し少なかった方々は、残念ながら復活もなりませんでした。(発言する者あり)

いずれにしても、道民党の看板は、今やすっかり色あせてしまいました。過去の170万票は忘れて、新たな気持ちで、どの党にも公平な立場で道政に取り組むべきであることを強く指摘しておきたいと思います。

核密約問題は、長年にわたって国民を欺き続けてきた問題です。

アメリカが保存してきた膨大な資料を私たち共産党も調査しました。日本に寄港する艦船には核兵器の搭載はしていないというのが定説のようですが、その一方で、攻撃型原子力潜水艦はその対象になっていません。こういう問題も含め、核搭載の有無を明らかにさせることが大事だと思います。

教育の独立性についてですが、教育の独立性及び教師の創造的な授業の保障などについて、教育委員長には、教育長とは違った独自の判断を期待しましたが、残念ながら、それはかないませんでした。あなた方は、何を言っても、聞く耳を持たないのでしょうか。(発言する者あり)

今回の道教委の判断は、北海道内ばかりでなく、全国の教育関係者にも、父母や報道関係者にも、大きな波紋を呼んでいます。

先ほど紹介した姉崎北大大学院教授だけではなく、小林名誉教授も、自分が高校教員時代に新聞を教材に使った授業の経験を語りながら、今回の教員の指導は、社会科の教育として普通のことをしただけだ、道教委には教育の中立性について考えてほしいと。この訴えは極めて重いものがあります。

これまでの自公政権の延長線上で教育の管理強化を進める教育行政を改め、憲法と教育基本法に基づく、豊かで生き生きした教育と学校づくりに勇気を持って取り組まれるべきです。教育委員長及び教育長の決意を伺いたいと思います。(拍手)(発言する者あり)


教育委員長の再々答弁

○教育委員会委員長橋場昇君

(登壇)花岡議員の再々質問にお答えいたします。

私も、これまで、御指摘いただきましたように、教員あるいは高校長を長く務めてまいりました。

学校現場において、子どもたちの意欲や力などを育てるためには、何よりも、教員や学校の創意工夫が生かされ、教員自身が生き生きとした授業を展開していくことが大切であると考えております。

それと同時に、公立校におきましては教育の中立性が必要であるということに関しては、今も昔も変わらないことであり、今回の授業などにおいても、政治などにかかわる話題ということであれば、細心の注意を払っていくことが必要であったというふうに考えております。

今回、たまたま教育委員長として、この問題にかかわっておりますけれども、この思いは、私の教員時代と変わるものではございませんし今回の事案も、やはり慎重さは求められるべきものであるというふうに考えております。(発言する者あり)

ただ、先ほども申し上げましたが、授業における新聞等の活用のあり方などにつきまして、今後、引き続き、検討は進めていかなければなりませんし、公立校としての中立性を守りつつも、やはり、教員が創意工夫を生かして、存分に指導力を発揮していくことができるように、道教委としてもよく考えてまいりたい、そのように考えております。

以上でございます。(拍手)(発言する者あり)


教育長の再々答弁

○教育長髙橋教一君(登壇)

花岡議員の再々質問にお答えいたします。

教育活動の推進にかかわってでございますが、学校において、自主性や創意工夫を生かした教育活動を行っていくことは、子どもたちの確かな学力や豊かな心など、生きる力をはぐくむ上で大切なことと考えており、その際、このたびのような教育の中立性にかかわる問題が見られる場合などには、道民の皆様の信頼にこたえていくためにも、適切に対応してまいる考えでございます。

また、こうした中、今後も、学校における創意ある教育活動は大切でありますことから、新聞などを取り扱う授業を行う場合の指導上の留意点について、教育関係者からの意見を聞きながら、検討してまいる考えでございます。

以上でございます。


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[日本共産党道議団編集]

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