【真下紀子道議、学校図書整備、キャンパス校の遠隔授業、子どもの健康格差問題などただす】 | 09.11.11 |
平成20年の第2回定例会予算特別委員会で、文部科学省が地方に配分をした、公立小学校・中学校への図書整備費が他の用途に流用されている問題を質問いたしました。私は、そのときに、まるで子どもの小遣いに親が手をつけるようなことであって、絶対やってはならないと、厳しく指摘をさせていただきました。
道教委の学校教育局次長は、各市町村、各教育委員会に対し、より積極的に、必要額をしっかり措置するよう要請していくと答弁されておりましたが、そのときに、進捗状況を見ていくと約束しておりましたので、以下、伺いたいと思います。
平成19年度に実際に予算計上されたのは、全国平均では78%、ところが、北海道は43%にとどまり、全国ワースト2位でした。その後、学校図書購入費の予算措置率について、どの程度改善をされているのか、伺いたいと思います。
それで、平成19年度において、学校図書館図書標準を達成している学校は、小学校が17%、中学校が12%で、全国最低でした。また、平成18年度の、標本や飛び箱等の教材購入費の予算措置率は40%で、決算額を見ますと約21億8700万円でした。その後、どのようになっているのか、伺います。
また、教材質につきましては、文部科学省の教材費決算額調べにおける本道分の集計では、平成19年度は約21億5300万円と、平成18年度と比較いたしますと、減少しておりますが、平成20年度は約27億5100万円と、増加しているところでございます。
私は、図書や教材が児童生徒に与える効果は非常に大きくて、そのために、こうした教育条件を整えるのが道教委の仕事だと思っております。まだまだ改善していかなければならないと考えるわけですけれども、今後に向けての道教委の取り組みを伺います。
本道において、子どもたちの読書環境の充実を図る学校図書館図書や、学習活動に重要な役割を果たす教材の整備を進めることは重要な課題であるというふうに認識しており、今後においても、各市町村において、学校図書館図書や教材等が計画的に整備されるよう、さまざまな機会を活用して、市町村教育委員会に対し、積極的に働きかけてまいります。
しかしまだまだ実績としては上がっていない状況ですよね。学力テストで学力を競うのだったら、まず図書を整備するのが先ではないかと私は思いますので、この点については、これからも御努力をされるようお願いして、この質問は終わります。
平成20年度に7校、21年度に7校、計14校が地域キャンパス校とされました。小規模校であるキャンパス校は教諭1人減で、センター校は1人増、その代替として、センター校からキャンパス校への出張授業や遠隔授業で支援するシステムだと承知をしております。
そこで、出張授業にかかわって、旅費の総額と1校当たりの平均額、また、1校平均で、何人の先生が、週何こま出張しているのか、お示しをいただきたいと思います。
また、遠隔授業システムについても、経費の総額と1校当たりの平均、昨年度の遠隔授業と教材の提供にシステムを活用した実績を示していただきたいと思います。
次に、通信機器につきましては、映像と音声の双方向の送受信が可能となるよう、パソコン、プロジェクター、ビデオカメラ、電子情報ボードなどを、地域キャンパス校及びセンター校の28校に整備しておりまして、これらの整備に係る年間所要額は、回線使用料、パソコンのリース料等で、総額で約2619万円、1校当たり約94万円となっているところでございます。
次に、遠隔システムの活用状況につきましては、昨年度導入した7校におきまして実施した授業は計19時間、教材の提供は計5回となっているところでございます。
遠隔授業へのシステムの活用が一番多い、下川商業高校と士別翔雲高校との間でも8回です。美深高校と名寄高校、苫前商業高校と留萌高校、厚真高校と苫小牧東高校の活用実績は、それぞれ年2回で、平取高校と静内高校間の教材の提供は年1回にとどまっているということです。
毎月、回線リース料などで約7万8000円を払いながら、年一、二回の活用について――教育に費用対効果を持ち込むのはどうかと思いますけれども、限りある財源を効果的に使うという観点から、これだけ投じただけの効果を本当に得ているのかどうかということを伺いたいと思います。
遠隔システムを活用した授業につきましては、導入後の実践期間も短く、機器の操作にふなれなことなどから、利用実績こそまだ少ないものの、地域キャンパス校とセンター校におきましては、授業や教材の提供以外にも、センター校における進路講演会を地域キャンパス校の生徒が同時に視聴したり、生徒会の交流を行うなどの特別活動や、両校教員の合同の校内研修会などの教員研修での活用も行っているところでございます。
さらに、今年度は、遠隔システムを活用した、電卓検定に向けた補習や、情報モラルに関する講演なども実践例として見られるところでございます。
遠隔システムを活用した取り組みは、広域な北海道では有効であり、今後の取り組みの中で、さらに利用の可能性が広がるものと考えておりまして、今後も、この遠隔システムが授業等においても一層活用されるよう努めてまいりたいと考えております。
それで、どういった課題があるかということで、北海道高教組――高校の教職員組合が昨年10月に実施したアンケートがあります。
キャンパス校・センター校に関するアンケート調査ですけれども、その中で、機械や映像が授業をしても人間が育たないのではないか、授業は、教師が一方的に伝えることではなく、生徒の表情を見ながら行うのが本来であって、このシステムだと生徒の表情を見ることができないなどといった意見といいますか、課題の指摘がありました。
教育は人と人との営みであることは、私が申すまでもありません。対面による授業ではない遠隔授業システムを今後どんどんと導入していくということではなくて、今あるシステムをどのように活用できるのか、また、それ以外に本当に教育効果を上げる方法がないのかどうかという点では、見直すべきではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
導入している学校からは、新鮮な授業ができ、生徒は興味、関心を持って授業に取り組んでいた、タイムラグも少なく、意思が通じ合えるものであったなどといった成果が報告されている一方で、カメラ扱いにふなれなこともあり、生徒の表情のセンター校からの把握が難しい、機器の準備に時間がかかるといった課題が報告されているところでございます。
こうした課題につきまして、道教委といたしましては、遠隔システムに係る機器の改善により、準備時間の短縮や操作性の向上を図るとともに、導入校を対象といたしました、遠隔授業に関する講習会の実施などに取り組んでおりまして、また、ほっかいどうスクールネット回線の活用による経費の節減も図っているところでございまして、今後も、遠隔システムが一層有効に活用されるよう努めてまいりたいと考えております。
操作に時間がかかるですとか、表情を読み取るだけのカメラ操作がなかなかできないということは、以前から指摘をされていたことで、本来であれば、これは導入する前に解決しておくべきことですよね。
準備を十分に行わないうちに導入してしまって、回線使用料もなかなかお高いような気がします。節減されているということで、金額は下がっているようですけれども、そういった点では、こういった課題を解決することを前提にして、今のものを活用するべきで、どんどんと進めていくというふうにするべきではないと思います。
私は、今のIT社会ですから、すべてを否定するわけではありませんし、有効な活用の仕方というのはあると思うのです。宝の持ちぐされにならないようにしなければならないですし、それとあわせて、やはり、人間と人間との営みの中での教育ということが原点ですから、ここをきちっと位置づけるということをやっていかなければいけない。
こういう課題が出てきたのは、適正配置計画に沿って、どんどんと小規模校をなくしていくという道教委の方針の中で、苦肉の策として考え出したからだと思います。ですけれども、課題が解決されないままで広げていくということについては、私は異議があります。
次に、出張授業についてですけれども、道高教組のアンケートでは、出張授業についても結果が出ております。
授業は1時間か2時間であっても、往復を含めれば半日かかるということや、学校をあけることによって、落ちついて本来の校務ができない、また、生徒にとっても、先生がすぐセンター校に戻ってしまうので、キャンパス校のほうでは、放課後に、わからないところをなかなか聞けない、こういう声も出ております。
また、授業以外の生徒の様子を知った上で授業を行うことができないとか、生徒そのものをとらえられないなど、こういった問題点も指摘をしているところです。
生徒にとっても、先生にとっても不利益だという指摘については、真摯に受けとめるべきだと思います。道教委は、どのように考えて、どのように対処していくのか、伺っておきます。
こうした課題につきましては、地域キャンパス校とセンター校の両校から成る連携委員会におきまして検討し、出張授業を担当する教員の校務分掌等の軽減、時間割編成の工夫、補習時間の確保などの取り組みを進めているところでございます。
今後とも、道教委といたしましては、全道の連携研究協議会での意見交換や、「地域キャンパス校・センター校だより」の発行による教育実践の紹介などを通して、円滑な連携の実施に努めてまいりたいと考えております。
先ほども申し上げましたけれども、教師と生徒とのお互いの営みの中で人格を完成させていくのが教育だということは、私が申すまでもありません。その立場に立ったことがどのようにできるのかということを最後まで探求していただきたいと思います。
小規模の高校がある自治体では、次は我がまちの高校が募集停止になるかもという不安をぬぐえないような状況が続いています。
平成20年度及び21年度当初で、1間口及び2間口の高校が何校あるのか、また、24年度までに、新たに1間口及び2間口になる高校の数もあわせてお示しください。
平成24年度までには、同様に、再編などによる増減がございまして、平成21年度と比べ、差し引き2校減の33校となる見込みでございます。
また、2間口校につきましては、平成20年度で45校であったものが、平成21年度は、再編などによる増減がございまして、前年度と比べ、差し引き1校増の46校となったところでございます。
平成24年度までには、同様に、再編などによる増減がございまして、平成21年度と比べ、差し引き5校減の41校となる見込みでございます。
それで、1間口校である遠別農業高校の生徒のために、遠別町が、予算額だと思うのですけれども、1700万円の助成をしています。溶接や危険物取扱者、食品衛生責任者などの資格取得や、海外研修、寄宿舎の調理業務の外部委託料の全額です。
遠別町を含めて、地元の高校の存続のために独自助成をしている自治体が幾つあって、総額は幾らか、お示しいただきたい。1間口校の高校の所在地に絞って伺いたいと思います。
それで、今、具体的なこともお示しいただいたのですけれども、私は、皆さんからいただいた資料を見ているうちに思ったのですが、通学費とか制服費、授業料、下宿費、こういったものへの助成というのは、教育を受ける上で基本的なことですよね。こういうことがなく、教育を受けることができないような状況に対して、市町村が助成をしていると思うのです。
それで、こうした努力というのは、皆さんが適正配置を進める中で、高校を残してほしいという市町村の強い思いだと思うのですけれども、子どもたちは、通学費や下宿費などの本当に基礎的な助成なしには、なかなか学校に通えない状況だと私は受けとめるのです。道教委のほうも、そういうふうに受けとめてほしいと思うのですが、どうでしょうか。
ただ、中学校卒業者数が大幅に減少している中で、学校の教育水準等の維持ということを考えますと、どうしても、高校の再編も、また避けて通れない課題ではないかと受けとめているところでございます。
今年度から1間口校になった高校の一つが訓子府高校です。たった1人の人員が足りず、40人ぴったりだったために、2間口から1間口となりました。必ず数字で線を引かなければならないから、仕方がないのだと皆さんはおっしゃるかもしれませんけれども、町の関係者の声としては、この問題で何度も道教委に足を運んで思いを伝えた、このように伺っております。
そのほかに、フリースクールの子や不登校ぎみの子、学習障がいのある子も訓子府高校は快く受け入れてくれる、そして育ててくれる、さらには、訓子府高校は普通高校なのに、進学、就職が100%で、小規模校での集団生活で、自分の居場所や役割を理解し成長することも、先生方の適切な指導のおかげであると、訓子府高校のPTAの役員さんもおっしゃっているわけです。道教委がこんなに褒められることはありますか。
小規模校の役割と、実質的な少人数学級による行き届いた教育の優位性について、道教委はどう認識しているのか、伺っておきたいと思います。
一方で、教員が少ないことから、生徒の多様なニーズに対応した教育課程の編成に制約があることや、生徒同士が切磋琢磨する機会に乏しいことなどの課題もあるところでございます。
このようなことから、道教委といたしましては、一定規模の生徒及び教職員集団を維持し活力ある教育活動を展開するため、再編整備が必要であると考えているところでございますが、再編整備を進めるに当たりましては、一律に再編ということではなく、本道の広域性や地域の実情などを考慮し例えば、小規模校でございましても、地理的条件から再編が困難で、地元進学率が高いといったような場合などにつきましては、地域キャンパス校とするなど、教育環境の維持向上ということにも努めているところでございます。
それで、一つ提案なのですけれども、地域とのかかわりですとか、地元進学率が高いですとか、道教委のおっしゃっている特色ある学校づくりに頑張っている高校については、数の一線ですぱっと切るのじゃなくて、そういう努力が加味された部分を再編のときには考えるというようなことも、ぜひつけ加えて、工夫して頑張っていただきたい。地域の声にこたえるということを考えていただきたいと思います。
それで、再質問しようと思ったのですけれども、言っても、答弁が余り芳しくないようでしたら困るので、宿題といいますか、考えていただきたいということで、残しておきたいと思います。この後、別な議論の機会に、また考えていきたいと思います。
小規模校については、これで終わります。
函館市にある南茅部高校が、「こどなカウンセリング」と名づけた、全職員による全校生徒を対象とする教育相談活動に取り組み、これが大変好評と伺っております。こうしたことがどうして取り組まれたのか、その経緯や概要についてお示しください。
南茅部高校におきましては、平成18年12月に道教委が実施いたしました、いじめに関する実態等調査において、「いじめられている」と回答した生徒が複数いたことを踏まえまして、生徒が、いじめのない環境の中で、安心して学校生活を送ることができるよう、生徒の気持ちや生活の状況をきめ細かく把握し生徒指導に役立てるとともに、自分の気持ちを伝えることを苦手としている生徒に、面談において教職員と話すことを通して、コミュニケーション能力の育成を図ることをねらいとして実施しているものでございます。
このカウンセリングは、平成19年度から、すべての生徒を対象として実施しておりまして、校長、教頭、事務職員を含めたすべての教職員が担当者となりまして、面談を実施しているものであり、担当者は、生徒の希望により決めているところでございます。
1人の教職員は、年間を通じて2名から7名の生徒を担当し、年2回の教育相談週間に集中して面談を実施するほか、年間を通じ、必要に応じて、昼休みや放課後に面談を実施しており、生徒の悩みの解決や、人間関係のトラブルの解消などに役立てているところでございます。
ここでは、大学との交流もあると伺っているのですけれども、こちらのほうはどういうふうになっているでしょうか。
南茅部高校におきましては、函館大学が平成19年度から現職教員を対象として実施しております、カウンセリング技術の向上を目指したプログラムに教員が参加しておりまして、プログラムの中で学んだ、いじめや不登校等への対応方法やカウンセリング技術については、校内研修等において他の教職員に伝え、教育相談活動の充実を図っているところでございます。
この取り組みによる成果、及び、生徒と職員の感想などについては、どのように把握しているのか、伺います。
また、教職員のアンケートにおいては、教職員と生徒との面談により、両者の信頼関係がより深まった、学校や家庭での生徒の生活の状況や悩みなどをこれまで以上に把握することができた、教職員の教育相談の重要性に対する認識が深まり、組織的な教育相談を実施することができたなどの意見が見られたと聞いているところでございます。
それで、この取り組みのさらにすぐれているところは、自主的な取り組みであるということです。各校が創意工夫して、教育実践、教育相談ができることは非常に大切なことだと考えております。
私は、小規模校だから、できるのかなと思いましたが、そうではないということを教えていただきました。大規模校は職員も多いわけで、学校の規模が問題ではなく、どうやって子どもたちのコミュニケーション能力を日常的に高めていくのか、子どもの悩みにどうこたえていくのか、そうしたことを日ごろから考えていたから、できたことではないかと考えるところです。
今後は、各校の自主的な、かつ創意工夫した取り組みとして広がっていくことを期待したいと考えますが、道教委はどうお考えでしょうか。
道内におきましては、南茅部高校のほかにも、学校の創意工夫を生かした教育相談の取り組みが行われており、例えば、悩みを抱えた生徒から、伸間である生徒が話を聞き、必要により、教師の支援を受けながら悩みの解決につなげようとするピアサポートの取り組みや、テレビ会議システムを利用して、大学の専門家による生徒のコミュニケーショントレーニングを集団で実施する取り組みなどが行われているところでございます。
道教委といたしましては、これまでも、こうした学校の創意工夫を生かした取り組みにつきましては、「特色ある学校一覧」に掲載するなどいたしまして、普及を図ってきたところでございますが、今後、さらに多くの学校で取り組んでいくことができますよう、道教委のホームページや生徒指導資料にも掲載するなどいたしまして、一層の普及啓発に努めてまいる考えでございます。
校長先生にお聞きしたところ、人間同士が語り合うのは教育の原点ではありませんかと言われました。本当にそう思いました。
振り返って恐縮なのですけれども、先ほどの適正配置の問題のところで、遠隔授業についてお話ししましたけれども、この「こどなカウンセリング」のことを調べていくうちに、やっぱり、ここが原点で、これを忘れては教育は語れないなと私自身が感じたものですから、質問をさせていただきました。
家計が苦しいために、病院に行くのを我慢したり、学校の保健室に駆け込む子どもたちが増加しております。親の経済格差が、教育格差にとどまらずに、健康格差となって、全国で児童生徒に広がっています。その状況は悪くなるばかりで、現場の養護教諭の皆さんは改善を訴えております。
そこで、具体的に数点伺いますけれども、歯の32本中20本が虫歯でも歯医者に行くことができない生徒さんがいたり、視力が0.06でも眼鏡をかけることができない生徒さんが実際におられるそうです。
中学生のときから頭痛に悩まされていた男子生徒は、市販の薬を時々飲んで我慢していて、学校からも受診勧告は出していたのですが、親御さんが病院に連れていかれないような状況だったということで、高校2年生になって、ようやく受診できたときには、左半身にわずかに麻痺が認められて、脳梗塞になる可能性もあったと言われた、こういう深刻な事例もございます。
また、コンビニのバイトでもらってくる弁当が家族の夕食になっている、こういった実態もあるそうです。
それで、保健室というのは、本来、初期の手当てをして医療機関につなぐまでの役目を持つのですけれども、そんなことを言っていられない深刻な状況が広がっているということです。このような実態を道教委は御存じなのか、また、なぜこのような状況が広がっているとお考えなのか、伺います。
こうしたことの要因につきましては、一概に申し上げることはできませんが、本道の経済状況が極めて厳しいことなどが影響しているものと考えているところでございます。
学校でどのようなことが起きているのか、子どもたちの生活実態がどのようになっていて、学校でそれがどのように承知をされているのか、その把握に努めるということは大事なことではないでしょうか。
その上で、学校現場として何ができるかということを考えていく必要があるかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
いずれにいたしましても、学校におきましては、教員が生徒との面談や家庭訪問を行うなど、生徒の生活状況を十分把握した上で、必要に応じて、市町村や児童相談所など関係機関につないでいくなど、生徒個々の状況に応じ、適切な対応に努めていくことが大切であると考えているところでございます。
例えば、学校で急病になったり、けがをした場合、病院に連れていかなくちゃなりませんよね。そのときに保険証がない場合、どういう対応をするのかというマニュアルみたいなものを道教委はつくっていらっしゃるのでしょうか。
また、無料低額診療制度というのが今あります。こういった制度を使って診療できる、自己負担なしで治療できるのだよということが紹介できるかどうか、こういったことについてもちょっと具体的にお答えいただければと思うのです。
順番に、まず、保健室の傷病者への対応についてでございますけれども、道教委におきましては、学校保健推進資料というものを発行しておりまして、その中に、応急手当ての手順やチェックリスト、あるいは、事故発生時の救急体制を記載いたしますとともに、養護教諭を対象とした各種研修会におきまして、心肺蘇生法を初めとする応急処置の方法や、健康観察の方法等について専門医等による講義を取り入れるなどして、児童生徒のさまざまな疾病に対する理解や実践的対応力の向上を図っているところでございます。
次に、無料低額診療制度についてでございますが、この制度は、経済的理由で医療費の支払いが困難な人に対して、無料または低額な料金によって診療を行う制度でございまして、医療機関が知事に届け出をいたしまして、認可を受けて、この制度による診療を実施しているところでございます。
実施している医療機関の情報につきましては、市町村の保健・福祉担当課が扱っているところでございます。
こうしたことを、学校においてどの程度周知しているのかということにつきましては、承知していないところでございますが、経済的に困難な生徒に対して、こうした情報を伝えることは大切であると考えており、さまざまな機会を通じて、話題として取り上げまして、学校への周知を図ってまいりたいと考えております。
無料低額診療制度については、苫小牧市では、実施をしている医療機関が学校を回って、教育委員会とも協力を始めています。旭川市でももう始めています。ぜひ、道教委としても、道内でこういう医療機関があるところでは、この利用についても周知していただきたいということをお願いしておきます。
次に、保健室に養護教諭の先生がいない場合に、スクールヘルスリーダーを派遣する制度があるわけですけれども、これについて、どのように取り組んでいるのか、伺います。
また、学校や生徒の評価はどうなっているのか、課題についてはどうか、あわせてお答えください。
まず、スクールヘルスリーダーの派遣状況についてでありますが、道教委におきましては、国の委託を受けまして、養護教諭が配置されていない道内の学校に対しまして、退職した養護教諭を派遣し個別の対応が求められる子どもへの指導や、学校保健にかかわる一般教諭への助言などを通しまして、児童生徒の抱える健康課題に対応してきているところでございます。
平成20年度は、道内で、希望のあった、小学校が17校、中学校が2校、高等学校が1校の計20校に、14人の退職養護教諭を、スクールヘルスリーダーとして、1校平均で14回派遣したところでありまして、今年度は、小学校が14校、中学校が2校、小中併置校が4校、高等学校が1校の計21校に13人を派遣しているところでございます。
次に、このスクールヘルスリーダーヘの評価などについてでございますが、スクールヘルスリーダーの活動内容は、各学校によって異なりますが、児童生徒の健康診断や応急処置法などについての教職員への指導助言、虫歯やインフルエンザの予防、望ましい生活習慣などに関する保健指導の実施、環境衛生活動など、多岐にわたっているところでございます。
派遣先の学校からは、心身の健康に課題がある児童生徒に対するきめ細かな配慮や対応が一般教員の参考になる、それから、専門的知見に基づいた保健指導や保健管理などへのアドバイスにより、学校保健活動が充実した、さらに、スクールヘルスリーダーが作成した保健便りや各種の掲示物などにより、児童生徒が楽しみながら体について学ぶことができたなどの成果が報告されているところでございます。
一方、派遣回数が限られていることから、児童生徒への継続した指導が難しい、あるいは、遠隔地への通勤となり、時間がかかることに加え、公共交通機関を利用した通勤ができないなどの課題が挙げられているところでございます。
それで、国の単年度事業として取り組まれていると承知をしておりますけれども、養護教諭の派遣を拡充するよう、道としても取り組むべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
道教委といたしましては、こうしたことを踏まえまして、養護教諭未配置校における学校保健活動に資する観点から、国の制度を活用するなど、対応してまいる考えでございます。
5時に終わる予定だったのですけれども、諸般の事情があったようで、もう少しで終わりますので、よろしくお願いいたします。
札幌のある道立高校では、生徒の約半数が授業料を払えない状況になっており、授業料の免除を受けたり、生活保護で授業料分の支給を受けているという実態があります。
道立高校で、昨年度、経済的理由から、授業料の免除や授業料分の支給を受けた生徒がどのくらいいるのか、それは10年前に比べてどのようになっているのか、伺います。
生活保護世帯の生徒は、高等学校等就学費から公立高等学校授業料相当額が支給されることとなりましたため、平成18年度からは授業料免除の対象外としておりまして、道立高校に限った生活保護世帯の生徒数は把握をしていないところでございます。
なお、北海道で行いました、生活保護世帯に係る調査の結果によりますと、平成20年度における、北海道内の公立、私立を含めた高等学校における生活保護世帯の生徒数は約4800名となっているところでございます。
ただ、道教委が行っている授業料免除制度は、年度途中で決定が随分と出ているようでして、そういったことで、子どもたちの就学の機会を確保しているのだと考えているところです。
それで、文科省の調査では、就学援助の対象となる小中学生は、この10年間で、約78万4000人から約142万1000人と、1.8倍になっているという結果になっております。
全国の都道府県立高校で授業料の減免対象になっている生徒も、約11万1000人から約22万4200人へと倍増しており、先ほどの答弁にもあったように、北海道でも、同様の状況以上の状況だと思います。
現場の教師からは、この子どもたちは大人になってからどう生きていくのだろうかという不安の声が出ておりますし何よりも、健康格差まで出てきていますから、長生きができないのではないか、こういう心配をする声まで出ている状況です。
専門家の方は、学校現場と行政が連携を強化するなど、子どもと親の双方への支援強化が教育問題の優先課題だと指摘しておりますが、教育長は、実態の改善に向けて、どのように取り組もうとされているのか、伺います。
高等学校の生徒につきましては、これまで、授業料免除制度や奨学金制度が十分に活用されるよう、周知に努めてきたところでございまして、授業料免除基準につきましては、生活保護基準をもとに、教材費を加算するなど、本道の地域状況を勘案し必要に応じて改正をしてきたところでございます。
また、奨学金につきましては、家庭の実情に応じた多様なニーズに対応することができるよう、貸付金額の選択制の導入や、償還年限の延長など、制度の見直しを行うなど、修学支援に努めてきたところでございます。
こうした中、高等学校につきましては、現在、国において、授業料の実質無償化や給付型の奨学金制度が検討されているものと承知しているところでございますが、道教委としましては、こうした国の動向も踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
そういった中で、大変厳しい状況で、授業料の無償化に向けて政府は動いておりますけれども、それだけでは、子どもたちの成長を支援し生活を支援していくということにはなかなかならないわけです。通学費や下宿費、それから制服代等、さまざまかかるわけです。そういう中で、この深刻な状況が簡単に改善するとは思いません。
たとえ、授業料が無償になったとしても、授業料が免除されているのと同じ状態ですから、もっと温かい目で子どもたちを見ていくことと、そういった中で教育現場で何ができるのかということで、私も一緒に手を携えて、具体的に一つ一つ解決の方向を深っていきたいと思います。
時間もありませんので、きょうはこれ以上展開しないで、質問を終わります。
※人名・地名等、コンピュータの機種によって表示できない旧字、異字等は通用字体に改めているものがあります。
[日本共産党道議団編集]