2009年11月9日 決算特別委員会第2分科会質疑概要
質問者 日本共産党 真下紀子 議員
建設部所管の問題
受注上位社に幹部の天下り集中。建築技術センターが雨宿り先に
○真下紀子委員
それでは、契約と天下りについて初めに伺ってまいります。
最初に、建設部幹部の平成20年度末現在の天下りの実態について、昨年度と比較してどうなっているのか、伺います。
○寺田朗総務課長
職員の再就職についてでございますが、平成20年度末の退職者のうち、指名登録業者に再就職した者は、課長級以上が3名、主幹級が18名、再就職取扱要綱の適用団体に再就職した者は、課長級以上が5名となっております。
また、平成19年度末の退職者のうち、指名登録業者に再就職した者は、課長級以上が4名、主幹級が17名となっており、いわゆる適用団体に再就職した者はいなかったところでございます。
○真下紀子委員
再就職が続いているわけですけれども、建設部幹部職員は、最低で2年間、道の指名登録業者への天下りが禁止をされております。
そのため、2年間は、道の指名登録業者の子会社などで過ごして、その後、指名登録業者に再々就職をするルート、いわゆる雨宿りが横行することになっているわけです。平成20年度の雨宿りの実態についてはどうなっているのか、伺います。
○寺田総務課長
職員の再々就職についてでございますが、再就職取扱要綱におきまして、本庁次長級以上の職員につきましては、退職前5年間に在職した所属と密接な関係にある指名登録業者への再就職を、退職後2年間、制限しているところでございます。
こうした制限のもと、平成19年度におきます次長級以上の退職者のうち、今年度、関連会社とされている企業等から指名登録業者に再々就職した者は2名となっているものと承知をしてございます。
○真下紀子委員
ことしの第2回定例会でも質問したのですけれども、財団法人北海道建設技術センターには、代々、建設部の大幹部が天下りをしていると承知しております。平成20年度末でどうなっているのか、伺います。
○寺田総務課長
北海道建設技術センターヘの再就職についてでございますが、平成20年度末におきます課長級以上の退職者のうち、北海道建設技術センターに再就職した者は3名となっているところでございます。
○真下紀子委員
それでは、北海道建設技術センターの代々の専務理事の再々就職先、いわゆる渡りというのですか、それはどこか、伺います。
○寺田総務課長
建設技術センター職員の就職についてでございますが、道の退職者で、建設技術センターの専務理事の職にあった者のうち、退職後に再々就職した者は3名で、いずれも指名登録業者へ就職しているところでございます。
○真下紀子委員
その就職先、天下り先はどこか、お示しください。
○寺田総務課長
先はども申し上げましたが、センターの専務理事の職にあった者のうち、退職後に再々就職した者は3名で、いずれも指名登録業者へ就職しているところでございます。
○真下紀子委員
その指名登録業者がどこかということなのですけれども、それはお答えにならないのでしょうか。
また、ことし6月に退職した前理事長がどこに天下りをしているのかもあわせて伺いたいのですけれども、いかがですか。事実関係の確認ですから……。
○宮木康二建設部長
答弁準備に、少しの間、時間をいただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○大崎誠子委員長
ただいま、理事者から、答弁準備のため時間の猶予をいただきたい旨の申し出がありましたので、このまま暫時休憩いたします。
------ 休憩 ------
○大崎誠子委員長
休憩前に引き続き、会議を開きます。
建設部所管にかかわる質疑の続行であります。
真下委員の質問に対する答弁を求めます。
総務課長寺田朗さん。
○寺田総務課長
答弁準備に時間を要しましたことをおわび申し上げます。
職員の再々就職につきましては、氏名までは公表しておりますが、再々就職先については公表していないところでございます。
○真下紀子委員
そこまでおっしゃるのでしたら、あれですけれども、指名登録業者に就職をしている方がどなたかは皆さんの口からは言えないということで、非常に残念なことですけれども、そこまでしてなぜ隠さなくてはいけないのかなと思うわけです。
それでは、建設部の関与団体に2年間再就職して、その後、指名登録業者へ就職した例というのはほかにもあるのでしょうか。
○寺田総務課長
建設部所管の他の団体におきましては、指名登録業者に再々就職した建設部元職員はいないものと承知をしております。
○真下紀子委員
今までは、民間の指名登録業者の子会社に雨宿りをして、それから指名登録業者に行くというルートは確立していたのですけれども、新たに、財団法人北海道建設技術センターで雨宿りを2年間して、再々就職で北海道の大手の指名登録業者に行くというルートが開拓されたわけですけれども、そうなりますと、財団法人北海道建設技術センターが新しい雨宿り先だという指摘をされても仕方がないのではないでしょうか。どうですか。
○三島滋建設部次長
建設技術センターからの再々就職についてでありますが、道職員として長年培われてきました知識や経験、技術力などの能力面はもとより、再就職しておりました団体におきます勤務実績などが、それぞれの企業におきまして個別に評価された結果であろうと考えております。
以上でございます。
○真下紀子委員
皆さんの言い分はそうかもしれませんけれども、では、なぜ、北海道は、再就職取扱要綱をつくって、改善して、次長級以上については、指名登録業者への天下りを、退職後1年間だったのを2年間に延長してまで禁止したのでしょうか。
○寺田総務課長
次長級以上を2年としている考え方についてでございますが、平成12年1月1日の要綱改正前は、1年間、営業活動を行わないことを条件として、再就職を認めていたところでございます。しかしながら、上川支庁の農業土木工事談合を契機に、一層の要綱の厳格化を図るために、次長級以上につきまして、2年間自粛することとしたところでございます。
○真下紀子委員
今の御答弁のとおり、上川の官製談合を受けて、北海道は、そういうことはもう繰り返さないというかたい決意で、官業の癒着による談合などの不正の再発防止のために、要綱を改正して縛りをかけたということなのです。
それでは、なぜ、2年間だけで縛りを解いていくのでしょうか。
建設技術センターと道の関係は特別ですよね。随契で委託事業を行っているわけで、特別な仕事を委託しているので、守秘性、公平性を保つということですが、それが、2年で指名登録業者にノウハウを持っていってしまうことになれば、この要綱の趣旨が生かされないのではないかと思いますが、2年雨宿りすれば、それはもういいのだというお考えでしょうか。
○寺田総務課長
建設技術センター職員の就職などについてでございますが、道がセンターと委託契約を締結する場合につきましては、センターとの契約のみならず、受託者に対して、契約条項におきまして、知り得た情報などに関して守秘義務を課しているところでございます。
○真下紀子委員
それが2年で解けて、守秘義務のない指名登録業者に行ってしまうということなのでしょうか。納得がいきませんので、知事に、直接、再就職取扱要綱見直しの観点から質問をさせていただきたいと思います。お取り計らいをお願いいたします。
次に、契約について伺いたいのですけれども、平成20年度の工事の受注実績の上位20社への建設部OBの天下りの状況がどうなっているのか、伺います。
○寺田総務課長
再就職の状況についてでございますが、平成20年度におきます土木現業所発注工事の受注実績の上位20社へ再就職した者は、課長級以上が10社で15名、主幹級が8社で9名となっております。
また、建築局からの受注実績の上位20社へ再就職した者は、課長級以上が4社で6名、主幹級は4社で4名となっております。
○真下紀子委員
上位20社に対しては、深い天下りの関係があるということがわかりました。
それで、土木現業所の発注工事において、平成20年度だけ、上位1位、2位になった鹿島建設と竹中土木の2社を除くと、平成20年度までの5年間で、上位20位以内をキープしている会社が幾つあるのか、また、それらの会社に建設部OBが何人いらっしゃるのか、伺いたいと思います。
○櫻井芳典建設情報課長
受注実績などについてでありますが、土木現業所発注の工事において、平成16年度から20年度までの5年間にわたり、受注実績が上位20社以内にあったのものは6社となっているところでございます。
また、それらの企業に就職していた建設部の退職者は、平成16年度が3社に8名、17年度が5社に10名、18年度が5社に11名、19年度が5社に9名、20年度が6社に12名となっているところでございます。
○真下紀子委員
上位20社以内では、6社が不動の地位を占めているわけです。それ以外にも、入れかわりを考えますと、それ以上のシェアを占めているということがわかります。さらに、そこには、毎年度、建設部のOBが天下りをして、常籍しているという実態が今明らかにされたわけです。
それでは、平成16年度から平成20年度までの工事契約実績がどのようになっているのか、それぞれ幾らになっているのか、伺いたいと思います。
また、ベスト20社との各年度の工事契約実績がどうなっているのか、伺いたいと思います。
○櫻井建設情報課長
工事契約実績についてでありますが、土木現業所が発注した工事の契約実績については、平成16年度が1989億4000万円、17年度が1862億1000万円、18年度が1716億9000万円、19年度が1597億3000万円、20年度が1633億4000万円となっているところでございます。
このうち、上位20社との契約実績は、平成16年度が282億1000万円、17年度が231億4000万円、18年度が237億3000万円、19年度が203億8000万円、20年度が311億5000万円となっているところでございます。
○真下紀子委員
結局、天下りをたくさん受け入れているところ――上位20社といいますか、こちらのほうの契約については、今、建設業界の工事契約というのが減っていく中で、契約実績が減っていったのかなと思ったら、平成20年度にはふえているという不思議な状況と、上位20社が一定程度のシェアをキープしている、そういう状況が明らかになったと思います。それで、やはり、天下りと契約実績に関連性があるのではないかと、私は素人ですので、そのように考えるわけです。
そこで、こういった状況を放置するのではなく、道としても調査をすべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
○宮木建設部長
契約実績についてでありますが、各社の契約実績は、それぞれの企業が、工事内容を勘案した上で入札した結果であるものと考えております。
○真下紀子委員
そういう答弁は想定しておりました。
それでは、工事の契約実績に占める上位20社の割合の変化の数字だけ伺っておきたいのですけれども、よろしくお願いします。
○櫻井建設情報課長
上位20社の占める割合についてでありますが、平成16年度が14.2%、17年度が12.4%、18年度が13.8%、19年度が12.8%、20年度については、大型工事の受注があったことから、19.1%と高目になっているところでございます。
○真下紀子委員
公共事業自体が本当に物すごく減少している中で、この上位20社というのはシェアがほとんど変わっていません。平成20年度にはふえている、こういう状況です。
私は、契約と天下りの関係、落札率の関係等を含めて、どうしても納得がいきませんので、あわせて知事に伺いたいと思います。総括質疑に保留されるよう、お取り計らいください。よろしくお願いいたします。
国庫補助不正流用の返還が全額返還となったのはなぜか
○真下紀子委員
次に、国庫補助事業について伺います。
平成14年度から18年度までの5年間における国庫補助事業の事務費等の執行にかかわって、会計検査院から指摘を受けました。
その後、虚偽の内容の関係書類の作成など不適正な経理処理を行って、物品の購入等に係る需用費を支払ったり、補助の対象の用途とはならない賃金や旅費を支払っていたことが明らかになりまして、平成20年度末に多額の返還金を生じています。
それで、建設部関係ではどうかということを質問したいと思うのですけれども、昨年の第4回定例会の一般質問で、私は、自主的に調査をして、自主的に返還したほうがよろしいのではないかということを提案させていただきましたが、知事は、関係省庁との協議の中で、道の見解もしっかり説明した上でと答えておりました。
私は、会計検査院の方とお会いしてきましたけれども、道が書面や要綱等をもって説明して、納得がいくものは、返還しなくていいですよと、そう答えられていたわけですけれども、建設部としてはどのように見解を述べて、どの点が認められて、どこが認められなかったのか、伺っておきたいと思います。
○寺田総務課長
関係省庁との協議についてでございますが、平成14年度から18年度までの国庫補助事業事務費に係る会計検査院の検査において、補助対象外と指摘された事項につきましては、事業との関連性などについて、国土交通省と鋭意協議を行ってきたところでありますが、同省では、会計検査院の指摘を大変重く受けとめていたことから、結果として、補助対象として認められなかったところでございます。
○真下紀子委員
会計検査院の指摘が重いのは、初めからわかっていたことだと思うのですけれども、平成20年度末に4368万9417円を国土交通省に返還しております。当初指摘を受けた金額との差はない、全額返還ということでよろしいでしょうか。
○寺田総務課長
国庫補助金の返還額についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、国土交通省との協議におきまして、補助対象として認められなかったことから、会計検査院の指摘の全額を返還したところでございます。
○真下紀子委員
平成19年度分については、道のほうが自主調査を行って、返還を行っていますけれども、19年度分についても同じような状況だったということで確認してよろしいでしょうか。
○寺田総務課長
平成19年度分の独自調査につきましては、会計検査院が検査した内容と同じ独自調査を行いました結果、返還となったものでございます。
○真下紀子委員
道として説明をすると、知事は豪語されたわけですけれども、会計検査院の指摘を覆すような結果が得られなかった。なぜそうなったのか、私は知事に直接伺いたいと思いますので、総括質疑に保留されるよう、お取り計らいをお願いいたします。
談合摘発後の重電9社の落札率低下、道の主張は破綻
○真下紀子委員
次に、下水道事業についてです。
昨年の第2回定例会で、私は、北海道発注の下水道事業について、道発注の過去5年間の下水道工事のうち、極めて談合の疑いが強いとされる95%を超える落札率が6割以上と指摘しまして、知事に調査を求めました。しかし知事は、入札は適切で、調査の考えはないという答弁を繰り返しました。
そこで、適切な入札の結果であれば、当然、大差のない結果が続くと考えますので、平成20年度決算ではどうなったのか、一応、確認をしておきたいと思います。
初めに、電気設備の落札率と、そのうち、重電9社の落札率について、平成15年度から19年度までの平均と、平成20年度に6件の下水道事業契約があったわけですけれども、平成20年度との比較ではどうなっているのか、お示しください。
また、平成20年度では落札率が95%以上は幾つあったのか、伺います。
○木村篤都市環境課参事
下水道事業における電気設備工事についてでありますが、平成15年度から19年度までの契約件数は40件で、その平均落札率は93.3%となっており、このうち、重電メーカーは6社、25件で、93.5%となっているところでございます。
平成20年度の契約件数は6件で、89.9%となっており、このうち、重電メーカーは2社、2件で、85.6%となっております。
また、平成20年度における、落札率が95%以上の件数は2件となっております。
以上でございます。
○真下紀子委員
落札率が95%以上の2件は、重電9社にかかわらない事業ですね。重電9社の落札率は実に7.9%も下がっているわけです。そのため、全休の平均落札率でも3.4%下がったわけです。摘発の影響で下がったのだと私は推測をするところですが、なぜ下がったのか、その理由について道はどのような見解をお持ちか、伺います。
○紺野寛まちづくリ局長
平均落札率についてでありますが、各社の受注の結果は、それぞれの企業が、工事の施工方法や経営状況などを勘案しまして見積もりを行った結果であると考えております。
○真下紀子委員
そういう結果なのでしょうけれども、社会的情勢が変わっておりまして、談合については厳しく断罪をされておりますし、札幌のほうでは、談合情報に基づく調査に協力をしなかった事業者に対しては、厳しいペナルティーを加えるということも検討していると聞いております。そういったことが影響していたということは間違いのない事実ではないかと思います。
仮に、平成19年度までの平均93.3%の落札率で平成20年度も落札をされていましたら、その差額は一体幾らくらいになるのか、参考までにお聞かせ願えますか。
○紺野まちづくリ局長
平成20年度の落札についてでありますが、先ほども御答弁いたしましたが、入札結果は、それぞれの企業が、工事の施工方法や径営状況を勘案して見積もりを行った結果であると考えており、一概に比較することはできませんが、仮に、委員が御質問の平均落札率93.3%で単純に計算いたしますと、約5億4754万円となり、契約額の約5億2562万円との差額は約2192万円となるところでございます。
○真下紀子委員
仮定の数字ですから、それをそのままというふうには申しませんけれども、談合が明らかな重電9社の落札率の低下によって、少なくとも2192万円――2200万円弱の節税につながったのではないかとも言えると思います。適切な契約による節税とも言えるわけです。
部長は、この結果を見ても、やはり、適切な入札の結果であり、今後も調査は行わないと言われるのだと思います。それは想定しておりますけれども、道も調査をしていたら、落札率が95%以上の落札が2件あったわけですが、これは避けられたかもしれないと考えます。談合に甘い道の体質ということについて、改善が必要ではないかと私は思いますけれども、見解を伺います。
○宮木建設部長
入札の結果についてでありますが、先ほども御答弁申し上げましたが、これらの工事につきましては、それぞれの企業が、工事の施工方法あるいは経営状況に応じまして見積もりを行い、適正に入札されたものと考えております。
いずれにいたしましても、談合は、入札参加者間の公正で自由な競争を通じて受注者や受注価格を決定しようとする入札システムを根底から否定し、公共事業に対する信頼を著しく損なう行為であり、道では、これまでも、談合などの不正行為には厳しく対応しているところであり、今後とも、適切に対処してまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
去年の質問で、札幌市での、談合を行った事業の落札率が、道の落札率よりも低くなっている、道の落札率のほうが高いということは、談合したほうが節税できるのかと私は申し上げさせていただいたわけです。
しかしことしの結果を見ますと、少なくとも、下水道事業の談合摘発後の重電9社では、談合をしないほうがやはり節税につながっている、道の主張には道理がなかったのではないかということが明らかになったと思います。そのことを指摘して、次の質問に入ります。
老朽化した橋の改修急ぐよう求める
○真下紀子委員
橋梁の安全についてです。
地方自治体が管理をする橋のうち、昨年4月時点で、老朽化などによって崩壊の危険性があるという指摘を受けて、通行どめとなっている橋が143基あることが国土交通省の調査でわかっております。そのうち、北海道の橋がどのくらいあったのか、伺います。
○土栄正人道路課長
道内における橋梁についてでございますが、平成19年8月に、地方公共団体が管理する道跳橋について、通行どめや通行規制などの状況調査の依頼がございまして、長さが2メートル以上の橋梁について、道道で約5000橋、市町村道で約1万9000橋を調査したところでございます。
その結果、安全な通行に支障を来すおそれがあるため、通行どめの対応をしていた橋梁が、市町村道で19橋あったことを確認いたしまして、平成20年4月に国に報告したところでございます。
○真下紀子委員
市町村道で19橋残っているということなのですけれども、通行どめになるということは、その橋を通れば重大な事故につながりかねないほど、コンクリートの劣化や鋼材の腐食が進んでいるということだと思いますけれども、そう考えて間違いないでしょうか。
○土栄道路課長
通行どめの原因についてでございますが、調査結果によりますと、通行どめを行った19橋の内訳は、木製が9橋、コンクリート製が4橋、鋼製が6橋となっており、そのほとんどが40年から50年前に建設されたものでありますことから、木材やコンクリートの劣化、鋼材の腐食などが進み、自動車荷重に対応できなくなったものとされているところでございます。
○真下紀子委員
やはり、住民の安全を考えますと、これは緊急に対応しなければならないと思うのです。それなのに、昨年の4月から1年半を経過していますが、いまだに、ほとんどの橋が通行どめのまま放置をされている状況だと伺っていますけれども、事実でしょうか。
また、通行どめが長期になっている理由をあわせてお答えください。
○土栄道路課長
通行どめの状況についてでございますが、通行どめの19橋のうち、4橋につきましては、既に、修繕やかけかえなどの実施により、通行どめが解除されております。
残りの15橋につきましては、市町村が、迂回路の有無や道路の利用実態などを総合的に判断し通行どめを継続しているものと承知してございます。
○真下紀子委員
私は、公共事業が減少する中で、公共事業については、必要で緊急性があって、住民の生活や安全を守るところにはしっかりと予算つけるべきだと考えているわけです。それで、こうした橋を放置しておくというのは適切ではないと思います。
橋の管理者である地方自治体は、財政難や技術者不足が深刻で、全国では、6割以上で補修計画も立てられないような深刻な状況だと伺っています。道としては、どのように対応されるのか、伺いたいと思います。
○土栄道路課長
市町村への対応についてでございますが、橋梁の老朽化が進む中、更新費用の平準化やライフサイクルコストの低減化に資する長寿命化の取り組みを進めることが重要であると認識しております。
道では、平成19年度から、橋梁の長寿命化計画の策定に関する講習会などを開催し修繕計画の策定の指導や、点検に関する実地的な研修を行うなど、市町村に対し支援をしてきたところでございます。
また、国においては、平成25年度までの時限措置として、長寿命化計画を策定する補助制度が創設されたことから、各市町村の計画策定が急がれているところでございます。
今後も、道では、先ほど言った通行どめとなっている橋梁への対応を含めまして、長寿命化計画の策定がスムーズに進むよう、引き続き、きめ細やかな対応をしてまいる所存でございます。
○真下紀子委員
不要不急なダムや高速道路などの大型公共事業の予算を一時凍結してでも、こうした、住民の命と暮らしに必要不可欠な、老朽化した橋の改修――こういう橋は、これからもどんどん生まれてくるわけですよね。皆さんは長寿命化計画を立てるということなのですけれども、こうしたところは最優先に考えていくべきだと私は思います。また、こうした事業というのは、地元の中小企業の仕事にもなるわけですから、地域の経済、雇用にも貢献できるものだと思いますが、いかがでしょうか。
○田中実土木局長
橋梁の改修についてでございますけれども、道道は、地域の社会経済活動や生活を支える重要な役割を担っており、橋梁の老朽化が進む中、その機能を確保することが必要であると認識しております。
道といたしましては、平成23年度までに具体的な補修計画を策定することとしており、その計画に基づき、補修やかけかえなどを行って、橋梁の長寿命化を図ってまいりたいと考えております。
以上です。
住民の声生かす「公募型公共事業」の検討求める
○真下紀子委員
次に、住民公募型公共事業について伺います。
皆さんは誤解されているかもしれませんけれども、税金を有効に使うということについて、私は、不当に高い落札率のために、政、官、業の癒着とか、そういうことが指摘されないような公正な契約によって進むべきだと思いますし、何より、住民の目線で、必要な公共事業については最優先に予算を充てていくべきだと考えます。
そこで、今回注目したのが、京都府が今年度から全国で初めて実施をした府民公募型公共事業です。 NHKが全国放映をしまして、一躍注目を浴びていまして、京都府にも随分と視察が続いているようですけれども、道はこのことを御存じでしょうか。
○岡田恭一建設政策課長
京都府の取り組みについてでありますが、京都府が、今年度から、府民の身近な安心、安全につながる小規模な改修工事や修繕工事を対象としまして、提案を募る公募型の公共事業を導入したことについては、承知しているところでございます。
○真下紀子委員
道に伺いましたところ、道の建設部のほうは、出先の土木現業所等が住民からいろんな要望を受けたときには、大変丁寧に対応されて、その対応策も迅速に図られているところだと伺いました。
今回の府民公募型公共事業というのは、事業目的が、従来の事業手法に加えて、府が管理する道路や河川施設などについて、京都府民が日ごろから感じている、身近な安心、安全ための改善箇所を公募して、事業箇所を決定する、府民参加型の新しいタイプの公共事業の手法の導入だと伺ってまいりました。
これまで、どういう理由で、だれが、どこで決めたのかがわかりづらいと言われていた公共事業について、審査委員会を設けています。決定過程に弁護士なども加わって、審査委員会が、技術審査をもとに総合的に判断した上で、事業箇所を決定します。当然、部のほうからも提案があるわけですけれども、審査結果については、すべてホームページで公表するという画期的なものです。
まず、市民感覚で提案されるということと、解決策についても、市民感覚の解決策が提案されているために、従来の土木事業よりも、ずっとコストダウンして、問題を解決できる手法が取り入れられたり、何より、決定の過程が公開されるということが非常に新鮮に受けとめられ、好評を博していると伺いました。道も参考にして、こういったことに取り組んではどうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○岡田建設政策課長
維持工事などについてでありますが、道では、これまでも、道路や河川などの公共土木施設の計画的な修繕や応急的な対応などにつきまして、地元市町村や地域の方々の御要望のほか、土木現業所におきますパトロールの結果などを踏まえて、適切に維持管理を行っているところでございます。
このたびの京都府における新たな取り組みは、地元市町村や住民の方々の意見を反映する取り組みの一つと考えているところでございます。
○真下紀子委員
まだ始まったばかりですから、その評価というのはこれから進んでいくと思いますけれども、京都府の担当者は、この事業によって事業量がふえて大変だとは言っていましたが、9月30日現在で、約2000件が提案されて、1188件が審査を受け、819件の実施が決定され、74件が工事に着手されておりました。私どもは視察に行ったのですけれども、府民からも大変好評だということで、胸を張って答えてくれました。
また、予算は60億円つけているのです。1件の工事の規模は50万円から1000万円で、単年度限りという条件ではありますけれども、そのほとんどは地元の中小業者の受注となって、地域経済への貢献度も大きいと言われており、まさに一石二鳥から三鳥の事業ではないかと私は評価するところです。
私は、いつも、これはだめ、あれはだめと言うと思われているかもしれませんが、こういうことはどんどん進めるために、この際、職員を派遣するなどして、北海道としても、公募型公共事業について積極的に取り組んでいってはどうかと考えますけれども、いかがでしょうか。
○宮木建設部長
今後の取り組みについてでありますが、道といたしましては、地域経済の活性化や、道民の安全、安心な生活を確保するため、公共土木施設の良好な管理は重要と考えているところであり、これまでも、地元市町村や地域の方々の御要望のほか、土木現業所におけるパトロールの結果などを踏まえ、適切に維持管理を行っているところであります。
今回の京都府におきます新たな取り組みにつきましても、注視してまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
事情が違いますから、そのまま取り入れるとか、そういうことを言っているのじゃないのですけれども、こういう考え方が、今非常に重要な視点になってきていると思うのです。ぜひ、注視にとどまらず、研究、検討ぐらいまでいっていただけることを要望しておきたいと思います。
サンル・平取ダム等の問題点指摘し、中止求める
○真下紀子委員
最後に、ダム建設について伺います。
つい先ごろ、2009年の第3回定例道議会において、知事は、道内のダム事業の費用対効果ついて、1.1から2.5であって、いずれも、中止が表明されている八ッ場ダムの3.4よりも低いことをみずから明らかにいたしました。 2008年度までの費用対効果について、道は、道民に対してどのように説明をしてきたのでしょうか。
知事は、道議会での質問には直接答えないで、直後の記者会見で、記者から聞かれてもいなかったようですけれども、下流域に大都市圈があれば便益は大きくなるが、北海道のように人が少なくても、治水・利水対策として、費用便益比とは別次元で議論すべきではないかと言っておりました。費用対効果についての認識を示したわけですけれども、このときまで知事は御存じなかったのでしょうか。それとも、建設部は、知っていたのに、知事に説明していなかったのかどうか、その辺について明らかにしていただきたいと思います。
○田中土木局長
知事の認識についてでございますけれども、費用便益比については、これまでも、それぞれの事業の妥当性を判断する指標として、事業再評価時等に用いられてきたところでございます。知事も、そのことについては承知しているところでございます。
以上です。
○真下紀子委員
そうしますと、知事は御存じだったけれども、知事の口から説明をされたのはことしの3定だった、それまでは、知事のロからは説明されてきた経過はなかったということですね。
そもそも、今回の、費用対効果に対する知事の認識についてなのですけれども、私は、ちょっと間違っているのじゃないかと思うのです。
一つ目は、費用対効果そのものが何か不公平のような発言をされておりましたけれども、知事は誤解しているのではないでしょうか。部はいかがお考えか、伺いたいと思います。
また、費用対効果が低いから、すべてやめてしまうというような議会議論だったと知事は言っていらっしゃいますけれども、実際は違うと思うのです。部はどのようにお考えか、ちょっと確認だけさせてください。
○田中土木局長
記者会見での発言についてでございますが、費用便益比は、その事業によって得られる便益と、それに要する費用との比率であり、事業の妥当性を判断するための指標であると承知してございます。
知事は、治水及び利水の必要性や妥当性については、費用便益比の議論とは別の次元で議論すべきではないかとの趣旨で発言されたものと承知しているところでございます。
また、先般の議会においては、道内で実施中のダムについて、八ッ場ダムよりも下回る、このような費用対効果で、道民が工事の促進を納得すると考えるのか、中止も含めて再検討すべきではないかとの委員の御質問に対し道内のダム事業については、これまでも、節目節目で、それぞれの必要性や妥当性を検証しながら進めてきたところであるが、現時点では、国から事業の見直しなどについて情報提供や指示がなく、今後、国の動向を注視しながら、適切に対処してまいりたい旨、知事が答弁したものと承知しております。
以上です。
○真下紀子委員
会議録から抜粋をされたのだと思うのですけれども、知事がおっしゃったような、費用対効果のみをもって、すべてやめてしまうと、そういう発言の事実はないということでよろしいですね。
○田中土木局長
そのとおりでございます。
○真下紀子委員
それでは、ダム建設とあわせて、河川改修のことで少しお聞きしたいのですけれども、天塩川水系について、洪水の危険性がありながら、堤防が完成していないところがどの程度あるのかを伺っておきたいと思います。
それから、高水位内水排水機場などの内水除去装置が完備されていないところはどの程度あるのかも、あわせてお示しください。
○名取哲哉河川課長
堤防の整備等についてでありますが、北海道開発局からは、名寄川において、国が管理する約34キロメートルのうち、堤防の整備が必要な区間は約1キロメートルと聞いております。
また、排水機場などについては、これまでに1ヵ所が整備済みであると聞いております。
○真下紀子委員
私が地元に行って伺いましたら、堤防の整備を急いでほしい、それから、排水機場についても整備してほしいという要望がございました。要望があっても、なかなかついていないという状況で、上流にダムだけをつくるという計画が先行するのはいかがなものかと思います。
そのほかにも、河川整備が必要なところが相当残っていると聞いたものですから、それが何キロメートルくらいに及んでいるのか、伺っておきたいと思います。
○名取河川課長
整備が必要な箇所についてでありますが、北海道開発局からは、名寄川において、国が管理する約34キロメートルのうち、今後、河道掘削の予定がある区間は約6キロメートルと聞いているところでございます。
○真下紀子委員
やっぱり、河川改修、河川整備、堤防の整備というのを優先させていくことがまずは必要ではないでしょうか。もし、今、ダムが完成していないところで集中豪雨などがあれば、堤防が決壊するというようなことも考えられますし、こういう河川整備をやって、どうなのかということをまず考えるべきで、それが後回しになって、ダム予算だけがついていくのは、地元の方から見ると納得がいかないという声を私は伺ってまいりました。
次に、サンルダムについてですが、サクラマス資源の保全ということが大きな課題になっております。これは、さきの3定のときにもお伺いをしたのですけれども、ダムを迂回する9キロメートルの魚道が検討されておりますけれども、2008年、2009年の2年間に及ぶ影響調査では、期間が2.5倍に延長されたにもかかわらず、遡上するサクラマスが552匹から274匹に激減しておりまして、魚道の下流の産卵床が86床から163床にふえて、サクラマスが上流に遡上できずに産卵している実態が出ているということがわかりました。
北海道開発局の調査で、魚道による遡上効果が全く期待外れだとわかったことは皮肉なことですけれども、道は、これでサクラマスの保全が絶対大丈夫だとお考えかどうか、伺いたいと思います。
○名取河川課長
魚道の効果についてでありますが、平成19年度の、サンルダムの建設に関する基本計画の変更に当たり、特定多目的ダム法に基づき、水産資源の保護について十分配慮することとする知事意見を付しておりますことから、北海道開発局からは、魚類の専門家の意見を踏まえて、魚類の遡上や降下など、魚道の効果が検証されるものと間いているところでございます。
○真下紀子委員
そうなのですね。
それで、魚類専門家会議というのが設置をされて、そこで専門的に検討して、その中で、ダム建設と同時並行で魚道をつくる必要があるのではないか、こういう意見になっているわけですけれども、この検証が果たして科学的検証だったかどうか、そして、公平公正な検証だったかどうかということに、いささかの疑念がありますので、伺ってまいりたいと思います。
この魚類専門家会議の委員の中で、北海道開発局との受注関係にある法人などに所属している委員はどなたでしょうか。また、その委員が所属する法人などは、開発局からどのくらいの受注があって、そのうち、随意契約がどのくらいで、契約金額がどの程度となっているのか、お示し願いたいと思います。
○名取河川課長
魚類専門家会議の委員についてでありますが、北海道開発局に問い合わせたところ、天塩川魚類生息環境保全に関する専門家会議の委員の8名のうち、北海道開発局からの受注実績のある企業、公益法人などに所属する委員は6名と聞いております。
また、これらの委員が所属する法人などと北海道開発局との受注関係については、7団体の法人などに対し平成15年度から平成19年度までの5ヵ年間の合計で、契約件数が843件、契約金額が約78億8542万円、うち、随意契約が824件と聞いております。
○真下紀子委員
つまり、北海道開発局が環境調査や魚道整備などの仕事を委託して、ほとんどが随意契約で、契約金額は5年間で約78億8542万円、こういう仕事をやっている会社の役員の方たちが、魚類の専門家として出席をされて議論されているわけですよね。そうしますと、ここで、魚道をつくるということになれば、自分の会社の仕事にもなり得る環境にある利害関係者と言わざるを得ないと思うのです。
それで、これは、紙智子参議院議員の質問主意書への答弁に記載されていまして、ホームページで公開されていますから、申し上げますけれども、委員のうち、お二人は、5年間で120件、約24億円の受注をしている北海道栽培漁業振興公社に所属し、技術顧問をされている方でした。
それから、株式会社エコテックというところの代表取締役をされている委員がおりまして、この会社は、35件の仕事を受けていまして、うち、随契が18件で、約2億4610万円を受注しております。
座長は、財団法人日本グラウンドワーク協会の非常勤の理事長を務めているわけですけれども、ここは、6件すべてが随意契約で約5261万円、同じく委員長が非常勤の理事となっている社団法人北方圈センターも、13件すべてが随契で25万円となっています。
それから、そのほかの委員の方が非常勤の理事となっている財団法人水利科学研究所は、すべて随契で約9万円、同じく財団法人河川環境管理財団は、1件を除いて546件が随契で約49億6800万円、社団法人河川ポンプ施設技術協会は、すべて随契で約2億1000万円となっています。
こういった利害関係者による検討が、果たして公正公平な検討であるとお考えかどうか、伺いたいと思います。
それだけじゃないものですから、もう一つ、あわせて御意見を伺いたいと思います。
その前に流域委員会がありました。その流域委員会の委員の中で、北海道開発局との契約で研究委託を受けている人がだれで、どのくらいの件数と金額で研究を行っているかもあわせてお答えいただいた上で、それで公正公平な審議がされてきたのかどうかという見解を伺いたいと思いますけれども、どうでしょうか。
分けて答えてもいいですよ。
○田中土木局長
まず、流域委員会の委員についてでございますが、北海道開発局に問い合わせたところ、天塩川流域委員会の委員に対する北海道開発局からの委託研究は、3名の委員に対して行われており、平成15年度から平成19年度までの5ヵ年間の合計で、件数が14件、金額が約2359万円と聞いているところでございます。
また、委員の選定についてでございますけれども、専門家会議は、公社の請け負った調査事業等の調査結果について審議するものではなく、これらの調査結果を含むさまざまな調査結果を踏まえて、国土交通省北海道開発局が検討する、天塩川流域における魚類等の生息環境の保全に向けた川づくりのあり方について審議するものでございまして、このような設置目的に沿って、適切な人選及び審議が行われているものと聞いております。
以上でございます。
○真下紀子委員
道が選任をしたわけではないですから、そういうふうに聞いたという答弁にしかならないと思うのですけれども、一般的に考えて、開発局と強い利害関係を持つ法人等に所属をしている方が選任されていた場合、やはり、そこに何か深い関係があるということを考えていくのが当然ではないかと思うのです。
さらに、経歴については公開されておりませんでした。公開されていないというか、そういう法人に所属している方々だということは、道民には伝えられていなかったわけですよね。
ましてや、開発局とこういった契約関係にあることなどは知られていなかった中で進められたとすれば、これは、魚道工事ありきだったのではないかと思うのは当然だと思うのです。
これは国のほうのことなので、このままにしておきますけれども、少なくとも、これは公正で科学的な検証とは言い切れないと思うのです。
それでは、道のほうでは、節目節目で見直したというふうにおっしゃっておりますけれども、ほかにどのような意見を聞いて、調査を行ったのか、また、科学的な検証と言えるようなことを行ったのかどうか、伺いたいと思います。
○名取河川課長
直轄ダム事業の見直しについてでありますが、直轄ダムについては、これまでも、節目節目に、それぞれの治水及び利水の必要性や妥当性を検証しながら、事業が進められてきたものと承知しております。
また、国は、外部の有識者から成る工程コスト検討委員会などの場で、工程管理やコスト縮減などの検証を行っていると聞いており、北海道開発局・北海道治水事業連絡調整会議の場で、情報提供を受けているところでございます。
道といたしましては、基本計画の変更に当たり、関係自治体の御意見をお聞きして、特定多目的ダム法に基づき、知事意見を付しているところでございます。
○真下紀子委員
国の事業なので、工程コスト検討委員会などの検証について、連絡調整会議の場で情報提供を受けている、しかしながら、国の直轄事業ですから、外部から改めて意見を聞くとかということは道としてはやっていない、関係自治体から意見は聞いだけれども、ダム事業について反対や懸念の声を上げている住民意見は改めて聞いていないということだと思います。
これではやはり不十分だと思うのです。きちっと多角的に総合的に検証する時期ではないかと思いますので、この点についても知事に伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
それから、サンルダムエ事に関して、平成19年度のサンルダムの道道つけかえ工事の入札経過から、談合の疑いが強い例示を行って、調査を求めたわけですけれども、道は全く関心を持ちませんでした。
それで、15件の道道つけかえ工事で、2007年までの3年間で12件が90%以上、うち、9件が95%以上で、入札経過も不自然でした。
知事は、北海道開発局での工事全般の調査を見守るとし必要な資料の提出を求めて、適切に対応したいという答弁をされていたわけです。私からの提案を受けて、最終的にそう答弁されたわけですけれども、その後の検証結果について伺います。
○名取河川課長
北海道開発局の入札についてですが、道としては、北海道開発局に対し、これまでに、平成20年度のサンルダムの道道つけかえ工事の入札結果に関する資料を求めるとともに、国土交通省が本年4月に取りまとめた、北海道開発局入札談合事案に係る再発防止対策検討委員会報告書や、昨年及びことしの、旭川開発建設部入札監視委員会の審議概要を入手するなど、適切に対応してきたところでございます。
○真下紀子委員
報告文書等を入手していたということで、特別な検証をされたわけではないのですね。
それで、昨年度――平成20年度は、北海道開発局をめぐって官製談合事件が発覚して、5月に、農業土木工事で現職課長を含む3名が逮捕されて、6月に、石狩川河川改修工事で国土交通省北海道局長を含む3名が逮捕されて、有罪判決を受けているわけです。
そうした中で、北海道開発局の工事について談合がなかったということですけれども、この裁判では、組織的、構造的に行われたことが問題になったわけです。私の調査では、談合発覚、入札改善によって、平成20年度の工事というのは、落札率が低下してきています。道の認識は、それでも談合がなかったということなのでしょうか。
○名取河川課長
開発局の工事についてですが、北海道開発局入札談合事案に係る再発防止対策検討委員会報告書によれば、平成17年度から平成19年度までの間に総合評価落札方式で発注した工事のうち、最低価格での入礼者以外の入札者が落札者とされた工事の147件と、裁判において、談合が行われたとされた工事のうち、総合評価落札方式で発注された5件の工事を対象として調査した結果、意図的に得点を操作した形跡が疑われる工事はなかったとされているところでございます。
○真下紀子委員
そういう工事がなかったといいながら、組織的、構造的に行われたことを問題視して、断罪されたわけですよね。
実際に、2月に97.6%だった工事契約の落札率は、その後、日を追って、88.3%、85.7%と下がっていて、その間に、開発局のほうは入札改善を行っている。
道も大きな負担を強いられるわけですから、適切なことが行われているかどうかというのは、もう少し関心を持っていただきたいなと思うわけですけれども、事実として、そういうふうになっていることだけは明らかです。
次に、サンル川の自然環境についでですけれども、陸と海の連続性について、森は海の恋人ということは皆さんも御存じのとおりです。
それでは、回遊魚のサクラマスが200キロメートルもさかのぼって自然産卵をするサンル川の魅力と価値について、皆さんはどのようにお考えか、聞いておきたいと思います。
○田中土木局長
サンル川の自然環境についてでございますが、サンル川やその周辺地域は、豊かな自然環境に恵まれ、多様な動植物が生息、生育する場であり、サクラマスが遡上する河川としても知られているところでございます。
このため、北海道開発局におきましては、サンルダム周辺地域の貴重な動植物が将来にわたって保全できるよう、各動植物の特性や生息環境に関する情報収集を行い、専門家も含めた、生育・生息適地の選定や保全手法の検討、モニタリング調査の実施など、環境保全に積極的に取り組まれていると承知しているところでございます。
以上でございます。
○真下紀子委員
環境保全に積極的に取り組んでいるのですが、ダム建設はやる、魚道をつくれば、それでいいのだという議論が、先ほど言った利害関係者が入った専門家会議の中で行われているのです。結局、そういうことになりますと、環境は保全されずに、非可逆的なダメージを受けるわけです。
そもそも、陸と海の連続性の観点では、世界自然遺産に登録された知床に匹敵するとも劣らない、類例のない価値があると言われているのがサンル川なのです。そのことは、建設部の皆さんは余り関心がないかもしませんけれども、そのくらいの価値と魅力のあるのがサンル川だということだけは、少し調べていただきたいなと思います。
それで、もう少しで質問を終わりますけれども、先日、知事は、初雪の中、下川町のサンル川の建設現場などを視察いたしました。知事は、時間がなかった関係もあるかもしれませんが、推進を要望している市長さん、町長さんたちの御意見は聞いたようですけれども、そのことによってサンルの自然が失われる、本当に大丈夫かとか、検証、検討についても科学的かどうかということに疑問を持っていたり、河川改修を優先してほしいという、さまざまな意見を持っている方たちがいらっしゃいますが、そういった方たちの意見も聞くべきではないかと思うのです。いつ、どのような形で、さまざまな意見を聞くことになるのか、伺っておきたいと思います。
○宮木建設部長
さまざまな意見の把握についてでありますが、サンルダムなどの直轄ダムにつきまして、総体的な意見聴取は、事業主体である国が、その責任において行っていくものと考えております。
しかし、道としては、できるだけ早く地元自治体の方々にお集まりいただいて、御意見を伺うとともに、寄せられたさまざまな御意見を取りまとめてまいりたいと考えているところであります。
○真下紀子委員
私は、首長さんたちだけでなくて、自然環境を守ろうとか、サンルの魅力を発信していきたいと言われている方たちからも直接意見を受ける機会を持ってはどうかと思いますけれども、部長に聞いてもいいでしょうか。
○宮木建設部長
さまざまな御意見の把握についての重ねての御質問でございますが、先ほど申し上げましたとおり、道といたしましては、できるだけ早く地元自治体の方々にお集まりいただいて、御意見を伺うとともに、寄せられているさまざまな御意見を取りまとめてまいりたいと考えているところでございます。
○真下紀子委員
先日、下川町に伺ったときに、地元の自然保護団体の方や、下川を元気なまちにしていこうとされている住民の方たちが、知事にお会いして、お話をしたいということで、行かれたようですが、お話しする機会ができなかったといいますか、ゲートのところで入れなかったような状況なのです。やはり、そういった熱意を持った方々の意見は知事に直接ぜひ伺っていただきたいと思いますので、これも知事に伺いたいと思います。よろしくお取り計らいをお願いいたします。
次ですが、二風谷ダムについては、皆さんも御存じのとおり、建設後12年目で、既にダムの貯水容量の40%以上の土砂が堆積していて、平取ダムも同様の可能性があるということで、平取ダムの建設中止を含めた検討をしてほしいという要望が上がっております。
またあわせて、平取ダムは、アイヌ民族にとって重要なチノミシリの聖地を含むことが、アイヌ民族の調査で明らかになっています。
アイヌ文化に配慮しなかったとして違法判決を受けて、敗訴した二風谷ダムと同じ過ちを犯すようなことは許されないと考えますが、この点はいかがでしょうか。
アイヌ文化への配慮についてです。
○田中土木局長
アイヌ文化への配慮についてでございますが、沙流川流域につきましては、アイヌの伝統、文化が保存伝承されてきた地域であることから、平取ダムの建設に当たりましては、アイヌ文化との共生につきまして十分配慮するよう、国に申し入れを行ってきているところでございす。
以上でございます。
○真下紀子委員
十分な配慮がされていないから、違法判決にもつながったと思いますし、平取ダムに関しても、不安の念が払拭できないのだと思うのです。
もう一つ、最後なのですけれども、財政負担についてです。
夕張シューパロダムについては、企業会計審査のところで質問したのですけれども、15ヵ所もの地すべりがあって、大規模な地すべりによる事業費の増大と負担額の増大については、まだ見通しが持てなくて、調査をしているということでした。
こうしたこともあるわけで、ダム建設による道財政に対する圧迫の影響というのは非常に大きいものがあると思います。
これまでも、借金の原因と言われてきたわけですけれども、これまでと今後について、ダム建設を推進していくということが、道財政に対してどのような影響を与えるとお考えか、伺いたいと思います。
○宮木建設部長
道財政への影響についてでありますが、直轄ダムにつきましては、道財政が厳しい中、北海道開発局・北海道治水事業連絡調整会議の場などにおきまして、総事業費の増額を行わないことや、徹底したコスト縮減などを行い、総事業費の圧縮を図ることなどを強く申し入れているところでございます。
○真下紀子委員
部長から答弁していただいたわけですけれども、それだけでは不十分で、今後、大変大きな財政負担になるということを懸念しておりますので、この点についても知事に伺いたいと思います。
また、ダム建設全体の議論について、どうも私は納得し切れないものですから、知事と直接御議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお取り計らいをお願いいたします。
以上で質問を終わります。