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2009年第1回臨時会本会議

【真下紀子道議、09年第1回臨時会本会議で質疑】 09.02.20

2009年2月20日 2009年第1回臨時会本会議質疑

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

○30番真下紀子君

(登壇・拍手)私は、日本共産党道議団を代表して、先ほど提案のありました議案について質問いたします。

今回の補正予算は、世界同時不況に伴う急激な景気の縮小に緊急に対応するべきものと考えます。

今回、国により措置された各種交付金事業などは、道の既決予算などに充当することなく、新規の対策として、雇用、地域経済、住民福祉に緊急かつ効果的に活用すべきであり、内需主導経済への転換が求められると考えますが、道内経済対策として、今回の補正予算について知事はいかがお考えか、まず伺います。

次に、雇用対策についてです。

今回の一連の雇用対策の実施により、雇用の創出効果をどのように見込んでいるのでしょうか。平成23年度までの4年間で10万人の雇用を創出する雇用創出基本計画を踏まえてお答えください。

派遣切りや雇いどめにより、職と住居を失った方々への緊急相談窓口の設置や、住居の確保・生活支援対策は不可欠です。道は、このような方々の人数を何人と把握し、どのように対応しようとしているのか、伺います。

また、道は、これまで、1次、2次にわたる雇用対策を行ってきたと言われますが、その実績と効果をお聞きします。

非正規の労働者だけでなく、季節労働者に対する雇用対策も喫緊の重要課題です。非正規労働者及び季節労働者に対し、今後どのような対策を講じようとしているのか、お答えください。

公共事業でも、雇用対策、再就業への支援対策など、住民目線による雇用対策の観点からの事業も必要ではないかと考えます。今回の補正予算による公共事業における雇用の効果及び地域経済への波及効果をどのように見込んでいますか。

ふるさと雇用、緊急雇用の両基金を活用した、例えば、農業分野では自給率向上に寄与するような、1次産業における担い手対策も有効であると考えます。知事の見解を伺います。

1次産業と連携した物づくり産業を支援することによる雇用創出が必要と私は考えます。ところが、今回の予算案では、こうした観点からの雇用政策が見えてきません。どのような対策と効果をお考えか、知事の認識を伺います。

私は、第4回定例議会で、道が多額の補助金を出して誘致したトヨタ自動車北海道やアイシン北海道などに対し、安定雇用、雇用継続の申し入れを行うべきと提案しました。その後の、道と申し入れ先企業の対応状況についてお答えください。

道の直接雇用については、2月、3月の臨時職員の雇用としてそれぞれ300人程度、延べ600人を見込んでいると聞きます。その現状と今後の見込みについてお聞きします。

また、今回採用された職員の4月以降の就業について、道は責任を持つべきと考えますが、今後の対応についても伺います。

丸井今井の民事再生手続の開始に伴い、関連中小企業の金融対策として、融資枠の拡充が図られていますが、雇用対策についてはどのようにお考えか、お答えください。

今回の補正予算では、道単独の雇用予算が計上されていません。国の交付金の活用にとどまらず、私は、道独自の雇用施策を予算化し、実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

原材料価格高騰対応等緊急保証は、12月末の道内実績で5489件、1016億円余りに上っています。中小企業庁は、17日、自転車小売業、有機質肥料製造業などの業種に拡大し、法令上の対象外業種等を除いた900業種の84%、760業種を保証の対象とすることを明らかにしました。

私たち日本共産党は、対象業種の拡大を求めてきましたが、早急にこの周知を図るとともに、全業種を対象とするよう、対象業種の拡大について、道としても国に要望すべきではありませんか、お答えいただきたいと思います。

次に、地域活性化・生活対策臨時交付金に関連してですが、この交付金などを活用し、地域の活性化や道民生活に役立つ事業を道は真剣に考えるべきです。その観点から、数点お聞きします。

1点目ですが、障害者のデイサービスや就労の場となっている地域活動支援センターに対する国からの交付税が、道から市町村へと変更されました。そのため、道は補助制度の見直しを検討中と承知しています。

しかし、地域活動支援センターの運営は大変厳しく、また、それだけではなく、12月の総合企画委員会で質問したように、市町村への交付税措置が実際の運営費を下回るという乖離が生じているのは73市町村にも上っています。

障害者福祉に力を入れた市町村が、交付税では不足を生じ、みずから財政負担をしながら障害者施策の充実を支えているのが現状です。

国に交付税の増額を求めることはもちろんですが、道は、今回の交付金を活用するなどして、地域活動支援センターの活動を充実させるため、市町村への減額及び見直しを先延ばしすべきではないでしょうか、お答えください。

2点目は、私学教育についてです。

道内の私立高等学校の耐震化率は、平成19年4月1日現在で54.5%と、おくれている状況であり、耐震化が急がれるところであります。今こそ、道としての財政出動をすべきではないでしょうか。

保護者の失業などにより、修学の継続が困難となっている実態は深刻であり、何より、子供の貧困の連鎖を断ち切ることが必要です。

このたびの交付金では、乳幼児医療費無料制度を拡充する市があるように、ソフト面での活用が可能なところに特徴があります。交付金を活用するなどして、より積極的に修学支援策を進めるべきと思いますが、知事の見解を伺います。

3点目は、道営住宅に関連してですが、道営住宅の改修について、多くの要望が道に寄せられていると聞きます。今回、予算に計上された改修費は、その要望のうちの何割程度を充足するものでしょうか。

また、今回の改修の対象となる住宅の選定は、どのような基準に基づくものなのか、お答えください。

住民から強い要望があった妊婦健診について予算が計上されました。これは大変歓迎すべきことです。

問題は、道内のすべての市町村で14回を確保するとともに、市町村によって、必要な健診が受けられないということがないよう、健診内容を標準化することです。知事はどのようにお考えでしょうか。

また、基金がなくなった場合も、この水準で妊婦健診が継続されていくのか、お聞きします。

道内では、産科及び産婦人科を標榜する医療機関のない自治体は130自治体に上っています。現実的には、医療機関の確保は早急に進むわけではないと推測されます。道は、透析治療については、他自治体への通院助成を行っています。

これまでも、私は、花岡議員とともに、このことを求めてきましたが、居住自治体での妊婦健診が受診できない場合は、道として、交通費・宿泊費助成に支援を行うべきではないでしょうか。知事は、子育て王国を標榜しているのですから、国頼みではなく、知事が判断すべきです。見解をお聞きします。

安心こども基金のメニューでは、僻地・季節保育所など認可外保育所の改修・運営費補助が対象外となっています。

しかしながら、子育て支援に果たす役割は大きいものがあり、この際、子育て支援を重要施策とする知事として、認可外保育所の改修・運営費補助などについて、道から助成すべきではないかと考えますが、お答えいただきたいと思います。

次に、直轄事業負担金の不明瞭さについて、公共事業の実施と道財政への影響等についての観点から伺いたいと思います。

直轄事業負担金の不明瞭さについては、大阪府や新潟県の知事などが異を唱えています。私の前回の臨時議会での質問に対し、知事は、直轄事業負担金の廃止と、廃止するまでの間の情報提供の充実について国に強く働きかけると答弁されました。

今回の補正予算でも、44億円の直轄事業負担金が、国に言われるがまま予算計上されています。今回の計上に当たり、道は、国にいかなる働きかけを行い、いかなる判断のもと、予算案を提出したのでしょうか。

道債残高についてです。

私の前回の臨時議会での質問に対し、知事は、道債を116億円増額したが、現時点において、当初目標である平成26年度の残高目標の5兆円については変更までには至らないと答弁されましたが、道に少なからぬ影響があることを認めました。

今回も、ほぼ同規模の110億円の道債が予算計上されていますが、知事が日ごろ自信を持って言われる、借金で借金を返す負の連鎖からの脱却のための道民への約束事である、道債残高の目標値について、現在も変更はないと言えますか、明確にお答えください。

今回の補正予算には、道営住宅の修繕などが入っていますが、道営住宅とともに、道の住宅施策の一翼を担って、公的賃貸住宅などを管理している住宅供給公社にかかわる不適切な会計処理が指摘されています。

本来、長期貸し付けで対応すべきものを、短期の貸し付けで行ってきたものであり、財源として、道債の発行も検討していると報道されています。今回の補正予算にかかわる道債の発行にも影響が出るのではないかと懸念していますが、いかがでしょうか。

また、今回の住宅供給公社をめぐる不適切な処理に対する認識と対応についても伺います。

以上、再質問を留保して、私の質問を終わります。(拍手)


高橋はるみ知事の答弁

○知事高橋はるみ君

(登壇)真下議員の質問にお答えをいたします。

最初に、今回の補正予算の位置づけについてでありますが、道といたしましては、本道の経済・雇用情勢の急激な悪化に対処するとともに、国の2次補正予算にも対応するための予算を早急に措置しようとするものであり、これまでに取り組んできた経済・雇用対策に追加して実施することによって、来年度当初予算の事業にもつながる、切れ目のない対策を講じようとするものであります。

こうした一連の対策を実施することによって、雇用の確保や景気の下支え、道民生活の安定向上につなげてまいる考えであります。

次に、雇用対策等に関し、まず、雇用創出基本計画についてでありますが、雇用創出に関連する事業の雇用効果につきましては、雇用創出が直ちに見込まれるもののほか、将来の雇用につながるもの、雇用の維持が期待できるものなど、事業内容によってさまざまであるわけでありますが、道といたしましては、現下の厳しい雇用情勢に対応するため、緊急的な雇用対策にしっかりと取り組むとともに、将来にわたって安定的な雇用の場を創出していくためには、民間主導の自立型経済構造への転換が必要と考えているところであり、産業施策と雇用施策を両輪として推進し、1人でも多くの雇用の創出が図られるよう取り組んでまいる考えであります。

次に、非正規労働者などの認識などについてでありますが、国の調査によりますと、昨年10月からことし1月までに雇いどめなどの対象となった道内の非正規労働者数は1363人となっておりまして、そのうち、住居喪失者は51人となっているところであります。

道といたしましては、昨年12月、本庁と各支庁に特別労働相談及び道営住宅の窓口を設け、相談に応じておりますほか、生活福祉資金などの活用を周知いたしているところであります。

また、ハローワークと連携を図りながら、セミナーや就職促進会を順次開催するなど、求職者の就職支援を行うほか、物づくり・IT産業の合同企業説明会や、経営・雇用状況に関する緊急調査を実施したところであります。

加えて、1月22日の追加対策に基づき、現在のところ、道において261名の臨時職員を採用したほか、いわゆる緑の雇用などの請負業務を実施しており、また、新一村一雇用おこし事業の追加募集で25名の常用雇用が見込まれるなど、ほぼ計画どおりの進捗となっているところであります。

次に、非正規労働者などへの今後の対応についてでありますが、非正規労働者対策につきましては、今後とも、雇いどめなどになった求職者に対し、職業訓練を含めた就職支援に努めるとともに、国などと連携を図りながら、パート法など労働関係法令や各種支援制度の普及啓発などにより、非正規労働者の働き方に見合った均衡ある処遇の確保や、正社員への転換を促進してまいる考えであります。

また、季節労働者対策につきましては、平成19年度からスタートした通年雇用促進支援事業について、地域協議会の構成員として、事業の実施段階での支援を強化し、この事業の実効がさらに上がるよう積極的に取り組むとともに、19年7月に策定した、季節労働者対策に関する取組方針に基づき、冬期間における雇用の場の確保など、4項目の重点施策にしっかりと取り組み、1人でも多くの季節労働者の通年雇用化が促進されるよう努めてまいる考えであります。

次に、公共事業の効果などについてでありますが、このたび計上した公共事業費につきましては、国の生活対策に呼応するものとして、道においても、集中豪雨・震災対策や交通ネットワークの整備など、道民の安全、安心の確保や、地域経済の活性化などに資するための予算を計上するとともに、事業の早期発注や雇用の安定などを図るための端境期対策として、いわゆるゼロ国債分を計上いたしたところであります。

これらを実施することで、雇用の確保や景気の下支えに一定の効果が期待されるものと認識をいたしております。

次に、基金事業の活用についてでありますが、ふるさと雇用再生特別事業におきましては、それぞれの地域の実情に応じた創意工夫に基づき、安定した雇用機会の創出を目指すものであり、また、緊急雇用創出事業におきましては、失業者に対し、短期の雇用・就業機会を創出することを目指すものであります。

これらの基金事業においては、定められた事業要件を満たす事業であれば、農林漁業分野なども含め、幅広い分野における事業展開が可能でありますことから、地域産業の担い手対策など、地域の実情に応じた雇用・就業機会の創出が図られるよう努めてまいりたいと考えております。

次に、1次産業との連携についてでありますが、本道の物づくり産業は、食品加工を初め、1次産業と深く結びつくことにより、地域産業の発展を担うとともに、雇用を下支えする上でも重要な位置づけにあると認識いたしております。

こうしたことから、農商工連携などにより、地域資源を活用した新製品の開発を進めてきたほか、酪農作業の省力化を図るロボットや、生鮮食品の酸化を抑制する製氷装置など、多くの製品や技術を生み出してきているところであります。

今後とも、工業試験場や食品加工研究センターの技術シーズを生かして、地域資源の高付加価値化や、農業・食品加工機械など、産業間の連携を深める製品開発に対し、中小企業応援ファンドなど各種支援制度や、ふるさと雇用再生特別基金などの効果的な活用により、雇用創出効果の大きい地域産業と結びついた物づくり産業の振興に取り組んでまいる考えであります。

次に、企業への対応についてでありますが、自動車産業などにおける非正規労働者の雇いどめの動きについては、働く人々の生活はもとより、地域経済への影響も大きいことから、道といたしましては、昨年12月に、道内の自動車産業など物づくり産業のうち、波及効果の大きな業種から、従業員規模を勘案して91社を選定し、企業を直接訪問するほか、文書を送付するなどして、雇用の維持安定に努めるよう要請を行ってきているところであります。

次に、道の直接雇用の現状などについてでありますが、1月22日に決定した、緊急雇用対策の追加実施による臨時職員の任用につきましては、募集人数を上回る応募があり、現在のところ、261名を採用しているところであり、今後、さらに若干名、採用の予定であります。

緊急対策としての臨時職員の雇用につきましては、あくまでも、安定した雇用までのつなぎ対策として実施しているものでありますことから、今後の就職に向けた活動について、必要な支援をしてまいる考えであります。

次に、丸井今井に関する雇用対策についてでありますが、株式会社丸井今井の民事再生手続開始決定を受け、道といたしましては、1月29日に、特別労働相談室を、本庁及び石狩、渡島、上川、胆振の各支庁に設置しておりますほか、状況に応じて、短期の就職支援委託訓練なども含めまして、雇用危機対応プログラムの発動がいつでもできるよう、体制や予算の確保を行ったところであります。

今後については、丸井今井関連の雇用状況を注視しながら、必要な対応を図ってまいる考えであります。

次に、道単独の雇用施策についてでありますが、道といたしましては、現下の厳しい雇用情勢に対応するため、昨年12月22日に、緊急の雇用対策について決定をし、雇いどめとなった非正規労働者などの方々の再就職支援などを実施しているところであります。

さらに、本年1月22日には、緊急雇用対策の追加実施を決定し、道における臨時職員の任用や、新一村一雇用おこし事業の追加募集のほか、介護福祉分野への就職を促進するセミナーの開催など、道独自の緊急対策に取り組んできたところであります。

次に、緊急保証の周知などについてでありますが、昨年10月末から取り扱いが始まった本制度につきましては、対象業種が追加指定される都度、商工団体など関係機関を通じて、速やかに周知を図ってきており、今回の追加分につきましても、既に実施をいたしたところであります。

今後とも、本制度の利用が図られ、企業の円滑な資金調達に資するよう、広報媒体の活用や、各種会議など、あらゆる機会を通じて、制度の変更点などについて周知徹底に努めてまいる考えであります。

また、対象業種につきましても、道として、地域の実情や業界団体からの要請を踏まえ、国に対して随時要望してきており、今後とも、厳しい経営環境に置かれている中小企業の状況を勘案し、必要に応じて、制度の改善などについて要望してまいる考えであります。

次に、道民生活に関し、まず、地域活動支援センターへの支援についてでありますが、地域活動支援センターは、障害のある方の日中活動を支える場として重要な役割を担い、障害者自立支援法に基づく地域生活支援事業において、市町村の必須事業の一つとして位置づけられているところであり、必要となる財源については、市町村に対する交付税により措置されているところであります。

こうした中、道といたしましては、事業者に与える影響を考慮し、市町村の意見を伺うなどして、激変緩和の観点から一定の見直しをした上で、地域活動支援センター運営費に対する道の補助制度を継続することとしたところであります。

いずれにいたしましても、国に対しては、地域活動支援センターの運営に必要とされる財源が、より確実に安定した形で市町村に措置されよう、引き続き要望してまいります。

次に、私立高等学校の耐震化についてでありますが、学校施設は、児童生徒等にとって、一日の大半を過ごす学習、生活の場であるとともに、非常災害時の地域の防災拠点としても重要な役割を担っておりますことから、その耐震化の促進は大変重要な課題であると認識をいたしております。

道におきましては、厳しい財政状況のもと、独自の助成制度の創設は難しい状況にありますが、これまで、国に対し、耐震改修への補助の充実を要望してきたところであり、来年度の政府予算において、補助率の引き上げが予定されておりますことから、各学校法人に対して、機会あるごとに、耐震診断、耐震改修等の実施、助成制度の活用などについて、より一層、周知、啓発を行うなど、耐震化の促進に努めてまいる考えであります。

次に、私立学校に係る修学支援についてでありますが、道においては、私立高等学校の生徒を対象に、授業料軽減補助制度や奨学金制度、入学資金貸付制度を設けているところであり、奨学金などの貸付金について、やむを得ない事由によって返還が著しく困難となると認められた場合には、返還の猶予や減免を行うなど、柔軟に対応してきているところであります。

道といたしましては、今後とも、経済的な理由により修学が困難となることのないよう、授業料軽減補助制度や貸付金制度の活用を図りながら、生徒の修学機会の確保と保護者負担の軽減に努めてまいる考えであります。

次に、道営住宅の修繕についてでありますが、道では、毎年度、団地の状況を調査するとともに、自治会等の要望も踏まえ、平成20年度は、日常的に発生する小規模な修繕を中心に、約8億円の修繕の実施をいたしたところであります。

平成21年度においては、これまでと同様に、入居者の方々の日常生活に支障がないよう、修繕を実施することといたしており、このうち、緊急度が高い外壁の剥離防止や排水管の補修など、約2億円について、地域活性化・生活対策臨時交付金を活用して、平成20年度の補正で前倒しをして実施することといたしたところであります。

道といたしましては、今後とも、必要な修繕を実施して、道営住宅の機能の保全に努める考えであります。

次に、公費負担による妊婦健診についてでありますが、妊婦健康診査支援基金設置に向け、本年1月に行った市町村の実施意向調査においては、道内の全市町村が、公費負担による妊婦健診を、本年4月から14回まで拡充する意向を示しているところであります。

このため、道といたしましては、市町村が健診を円滑に実施できるよう、医師会や助産師会などの関係団体の協力も得ながら、健診内容の標準化などについて、環境の整備を図るとともに、今後においては、道内の各市町村が公費負担による妊婦健診を14回まで確実に拡充するよう、強く働きかけていく考えであります。

また、この基金は平成22年度までとされておりますことから、23年度以降の支援の継続や、市町村に対する十分な財源措置などについて、市長会、町村会とも連携をしながら、国に対して強く要望してまいる考えであります。

次に、妊産婦に対する交通費などの助成についてでありますが、妊婦健診や出産の際に、陸路に比べ、長時間の移動による心身的負担や経済的負担が大きい離島の妊産婦の方々について、道といたしましては、航路運賃や宿泊費用を、市町村と連携して助成いたしているところであります。

近隣に産科医療機関等のない地域の妊産婦の方々が遠距離の産科医療機関に移動して健診を受けることは、心身両面の負担があるものと認識をし、道といたしましては、これまでも、国に対し、妊婦健診を含めた、出産に関する支援策の強化について要望してきているところであり、今後においても、広大な北海道の地理的特性や産科医療の実情を説明するなどして、強く要望してまいる考えであります。

次に、認可外保育施設への助成についてでありますが、認可外保育施設につきましては、個々の市町村における乳児保育等のニーズに対応するほか、認可保育所の代替機能を果たしている側面がありますことから、道といたしましては、これまでも、国に対し、市町村が運営費の一部を補助している認可外保育施設に対する補助制度を創設するよう要望しておりますほか、次世代育成支援対策交付金などの対象となる、開設日数や利用児童数などの要件緩和をあわせて要望いたしているところであります。

これら認可外保育施設に対する助成は、今般の安心こども基金の対象とはならないことから、道といたしましては、これまで国に要望している趣旨や市町村の要望などを踏まえつつ、地域の実態に即して効果的に基金が活用できるよう、国に対して強く要望してまいりたいと考えております。

次に、公共事業の実施と道財政への影響等に関し、まず、直轄事業負担金についてでありますが、道においては、北海道開発予算要望や国との各種会議などを通じ、直轄事業負担金の廃止と、廃止されるまでの間における情報提供や、事業内容等に係る事前協議を行うことについて、国に要請をしてきているところであります。

特に、維持管理費に係る直轄事業負担金の廃止については、道州制特区推進法に基づき、国に対して提案を行ったところであり、その実現に向けて取り組んでいるところであります。

また、このたびの国の補正予算に係る直轄事業につきましては、国の生活対策に呼応するものとして、道においても、近年の台風災害等に対応した治水対策や、道路ネットワークの整備など、道民の安全、安心の確保や、地域経済の活性化などに資するための予算を計上したものであります。

道といたしましては、今後とも、あらゆる機会を通じ、直轄事業負担金の廃止と、廃止するまでの間の情報提供の充実などについて、国に粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。

次に、道債残高の目標についてでありますが、道債残高の見込み額につきましては、今年度の当初予算をもとに、新たな収支対策を踏まえて、平成26年度末におおむね5兆円程度と見込んでいるところであり、昨年の臨時会において措置した道債の増額を含め、これまでお示ししている当初目標の変更までには至らないものと、その時点で答弁をいたしているところであります。

今臨時会においては、今日的な経済・雇用情勢等を踏まえ、さきに国において決定をした生活対策や生活防衛のための緊急対策の実施に伴い、国の補正予算に呼応して、緊急に措置を要する経費について、道として取りまとめ、補正予算に計上したところでありますが、公共事業の追加措置に伴い、その財源として、道債を110億円見込んだところであります。

こうした補正措置に伴う道債の増額に加え、明年度の道予算案においても、大幅な収支不足にある地方財政への対策に伴う臨時財政対策債の倍増なども踏まえ、これまでお示しをしている中長期収支試算の中で、従前の枠組みに基づく残高見込み額とは区分して表示しているところであります。

いずれにいたしましても、私といたしましては、道債残高の目標を設定した目的や趣旨を見失わないためには、こうした道債については別枠にし、従前の5兆円という目標を維持しながら、新規道債発行を引き続き抑制していきたいと考えております。

最後に、住宅供給公社に対する短期の貸付金についてでありますが、道といたしましては、平成16年2月に成立をした、住宅供給公社に関する特定調停の結果の維持に必要なものとして、それまでと同様に、住宅供給公社に対して短期貸し付けを行ってきたところであります。

一方、総務省からは、住宅供給公社への短期の貸付金について、地方財政健全化法の公布もあり、平成19年度以降、その見直しを助言されているところでありますが、道といたしましては、貸付金の状況を明確化するために特別会計を設置していること、また、貸付金は、今後の住宅供給公社からの償還により、増大することなく、漸減する予定となっていることなどを踏まえながら、総務省と話し合ってきているところであります。

道といたしましては、当面、現行の短期貸付金を継続しつつ、引き続き、社会的、経済的な影響などを十分に考慮しながら、他にどのような手法が可能なのかについて、国とも協議を行いながら検討することといたしております。

以上であります。


真下紀子議員の再質問

○30番真下紀子君

(登壇・拍手)再質問いたします。

雇用対策に関連して、雇用危機の原因となった派遣切り、雇いどめを実施している企業への対応について再度伺います。

日ごろ、何かにつけて先頭に立たれる知事ですが、派遣切り企業への対応には余り踏み込んでいらっしゃらないのは残念でなりません。派遣の拡大が今日の雇用危機の最大の原因であり、今や、企業に求められているのは雇用の継続だと、財界のトップの方が言わざるを得ない事態なのです。

しかしながら、知事は、お会いになった、トヨタ、いすゞ、デンソーの各社の社長に対して、雇用の継続に努めることを口頭で伝えただけと承知しております。こういった対応にとどまっていて、果たして知事の熱意が伝わったでしょうか。副知事が、苫小牧、千歳、恵庭を訪問し、文書を手交したのとは大違いではないでしょうか。

知事は、先頭に立って、雇用確保のために全力を挙げるべきと考えますが、決意を含めた知事の考えを再度伺います。

次に、国直轄事業に関連してお聞きします。

直轄事業負担金44億円の今回の計上に際し、国への働きかけや、計上することの判断について、残念なことに明快な答弁がありませんでした。

直轄事業負担金については、全国知事会でも、地方分権の趣旨に反するとして廃止を求めていますが、国は、利益を受けるのは地元であるとして、応じていません。

道は、少なくとも、予算案を提出する前に国と事前協議を行い、直轄事業の事業計画に、地域が抱える課題や財政状況が反映されていることを確認しておくことが最低限必要ではないでしょうか、明確にお答えください。

次に、道債残高についてです。

平成26年度末における道債残高が5兆円という目標値の達成について、臨時財政対策債や、今回計上されている補正予算債などを別枠にした上で、5兆円という目標を維持するという御答弁でした。

別枠とする臨時財政対策債などの発行については、今に始まったものではないのですから、別枠という考え方は徳俵のような考え方でありまして、今までの知事の考え方からしますと、急な方針転換と言わざるを得ません。

また、補正予算債は、その半分程度しか交付税でカバーされないことから、知事御自身も、別枠にすることについては例外中の例外と、一昨日の記者会見で発言されているではありませんか。

私たちは、地方交付税の振りかえである臨時財政対策債などの発行を決して否定しているわけではありません。暮らしや住民福祉など、道政運営に必要な財源と認識しているのです。

しかしながら、問題は、今回の別枠理論は、5兆円という道民との約束事、知事の公約を無理やり維持するための詭弁にほかならないのです。

知事は、目標値が達成できなくなったことを率直に認めて、その経緯と理由を正直に道民に説明すべきと私は考えますが、いかがでしょうか。

また、知事は、この別枠扱いが道民の理解を本当に得られると思っていらっしゃるのかどうか、あわせて伺います。

次に、数点について指摘をいたします。

障害者の地域活動支援センターについて、知事は、地域活動支援センターへの道の補助、支援の継続要請を受けて、昨年12月に、帯広市内の13の民間地域活動支援センターの関係者の方々と懇談を実施されたと承知しております。その際、事業者の方々に不安を与えないように対応したいと述べられ、2月7日には、地域活動支援センターの1カ所を訪ね、支援の継続を表明されたと聞いています。

今回の交付金は、この支援策には使えないようですが、帯広市では、交付税に比べ、運営費は5500万円も不足しているのが現状です。

ただいまの知事からの答弁では、減額されるとはいえ、道の補助の継続が議会で表明されましたので、知事の訪問のかいがあったと感じております。

次に、地域活性化・生活対策臨時交付金の教育施策への活用についてです。

修学支援のためのきめ細かい対応を求める私立学校長への通知を、2月17日に学事課から発していることは承知しておりますが、ただいまの答弁では、道からの積極的な提案がなく、残念に思います。

京都府では、私立学校の耐震工事に対する国の補助への上乗せ措置を、09年度に2校を対象に実施します。また、これは道にはない制度ですが、私立高校生の通学費補助の所得基準要件も緩和します。

私は、地域活性化・生活対策臨時交付金を活用した私立高校生への修学支援施策、私立高校の耐震化を求めたわけですが、そのことにこだわらず、厳しい道財政の中であっても、創意工夫をして、経済的に厳しい私立高校生を励ますような支援策を一つでもいいから考えていただきたいと申し上げておきます。

最後に、住宅供給公社をめぐる不適切な会計処理についてですが、この問題は、道債の発行や道の財政にとっても大きな問題と思います。

知事は、現在の方法を当面は継続しながらも、総務省との協議を続けるとの答弁でした。その推移を私もしっかりと注視していきたいと思います。

以上、再々質問を留保して、私の質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)


高橋はるみ知事の再答弁

○知事高橋はるみ君

(登壇)真下議員の再質問にお答えをいたします。

最初に、雇用対策についてでありますが、道といたしましては、現下の厳しい雇用情勢に対応するため、これまでも、切れ目のない対策を行ってきたところでありますが、雇用の確保は、道の経済政策の究極的な目標とも認識をいたしているところであり、今後とも、雇用対策に万全を期し、雇用の創出や維持安定に最善を尽くしてまいる考えであります。

次に、直轄事業負担金についてでありますが、道においては、北海道開発予算要望として、道民の皆様方の安全、安心の確保や地域経済の活性化に資する事業の実施などについて、毎年度、国へ要望をいたしているところであります。

このたびの国の補正予算に係る直轄事業につきましては、この北海道開発予算要望を踏まえ、近年の台風災害等に対応した治水対策や、道路ネットワークの整備などの事業について、国から事業概要や負担金が示され、道といたしましては、財政負担の可能な範囲で予算を計上したところでありますが、今後とも、直轄事業負担金の廃止と、廃止するまでの間の情報提供の充実や、事前協議のルール化などについて、国に対して粘り強く働きかけを続けてまいります。

最後に、道債残高の目標についてでありますが、臨時会において見込んだ道債や、明年度の道予算案において、これまでの想定を大きく上回ることとなる臨時財政対策債などにつきましては、国内景気の大幅な後退などを背景として、国における追加対策や地方財政対策などに基づくものであり、こうした経済環境の変化に伴う国の政策方針については、昨年の段階では予想し得なかったものであることなどから、このたびローリングを行った中長期収支試算の中で、従前の枠組みに基づく残高見込み額とは区分をしてお示ししているところであります。

私といたしましては、財政規律を保持しつつも、現下の厳しい状況を踏まえ、道民生活の安定向上や経済・雇用対策などに要する財源を確保するため、これまでの見通しを超えて発行することについては、道民の皆様方の御理解をいただけるものと考えているところでありますが、いずれにいたしましても、これまで設定いたしました残高目標の目的や趣旨を見失わないためにも、こうした考え方を堅持しつつ、今後とも、新規道債発行の抑制に取り組んでいかなければならないものと考えているところであります。

以上であります。


真下紀子議員の再々質問

○30番真下紀子君

(登壇・拍手)指摘をしたいと思います。

雇用対策についてです。

季節労働者対策などの実態を見ますと、いまだ不十分と言わざるを得ません。

また、知事は、先ほど、雇用創出について、民間主導の自立型経済への転換が必要と答弁されておりました。それを聞いて、私は、破綻した自由主義経済を継承するおつもりなのかと懸念する次第です。

巨額の内部留保を有しながら、雇用のために使うことなく、配当をふやす大企業、民間、そして市場に任せた結果が今の事態を生んだのではないでしょうか。

私は、北海道の第1次産業や豊かな自然に依拠した産業育成と、そこに根づく雇用を促進するためにも、輸出依存から脱却した、食料自給率向上に貢献する農業分野や、人を大切にする医療、福祉、介護などの分野においても、行政と住民が協力しながら雇用の場を創出していくなどの視点を持っていただきたいと申し上げておきます。

次に、国直轄事業についてですが、国直轄事業負担金は道財政を大きく圧迫しています。財政状況を含めた事前の協議は不可欠です。

また、それにとどまることなく、私たちは、国直轄事業の内容についても精査すべきと考えます。

今回の補正予算に提案されている、国営かんがい排水事業の道央用水3期地区は、苫東や千歳臨空工業団地に向けた工業用水確保の代替として、長沼や由仁などの農業向けの水をシューパロダムから引くというもので、総事業費は実に3500億円もの巨大事業です。現在の経済情勢のもとで続ける根拠があるのか、内容としても検討する必要があると考えます。

いずれにいたしましても、負担金のみならず、国直轄事業を見直すべきと申し上げ、再々質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)


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[日本共産党道議団編集]

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