道補正予算案1092億円をどうみるか |
道は16日の道議会本会議に、1,092億円(うち経済対策分1,088億円)の補正予算案を提案しました。その主なものは、投資的経費720億円、公共施設整備13億円、国の対応による4基金積立て222億円です。これをどうみたらいいか、考えてみました(「ほっかい新報」編集部)。
第1の問題は、国の従来型バラマキ予算に対応したもので、道独自の経済対策はほとんどみられず、国直轄負担金250億円をすんなり計上したことです。
道単独事業の一般施策は観光客誘致1億円、商店活力向上1,000万円ぐらいです。
公共事業費762億円の内訳は、道路等単独事業30億円、補助事業432億円、直轄負担金250億円です。
投資的経費は、単独・補助かはともかく、国直轄事業負担金250億円の中には、河川87億円、道路77億円、新幹線48億円などが入っています。
新幹線については、江差線を並行従来線としてJRから経営分離し、強行しています。
しかも負担金請求の内訳明細が不明朗です。08年度分について全国知事会の異論が出て一部情報公開されたのに、道開発局から提出された資料では、事務費(特に人件費)が異常に高く、事業費比率が7%(補助4%)と高く、退職金や庁舎営繕費等も合まれていることが判明しました。スンナリと計上、支出すべきものではありません。
公共事業の生活密着型への転換がせまられているのに、道営住宅改善12億円だけ。中味の転換はみえません。
(単位・億円) | ||
北海道 | 長 野 | |
予算規模 (うち起債) ・投資的経費 (直轄負担金) |
1092 416 730 250 |
575 147 236 67 |
基金造成 ・緊急雇用創出 ・林業再生 ・森林整備 ・自殺対策 ・介護処遇 ・障害者 ・安心こども |
220 95.6 119.9 3.4 3.2 − − − |
301 73.8 43.0 − 2.1 130.5 30.7 20.9 |
主な施策 ・インフル ・不妊治療 ・緊急雇用 ・就職支援員 ・地域経済活用 ・学童クラブ ・消費者相談 |
1.09 0.38 7.12 − − − − |
1.71 0.52 11.40 0.32 0.31 0.44 0.58 |
第2に、国の諸交付金も道民支援型に有効活用する姿勢がよわく、14基金(高校生授業料減免緊急支援基金など)が予定されているのに、今回はわずか4基金です。
長野県では、7基金301億円を計上してその事業実施をとりこみ、介護基盤(小規模持養ホーム)、学童クラブ創設、消費者相談などを具体化し予算化しています。
福岡県では市町村緊急雇用対策助成費として6億円を計上しました。
道の場合、あまりにも対応が鈍感で、道民生活下支えによる内需拡大策がみえず、生活支援・安心構築のほとんどが着手すらされていません。
第3に、地域活性化・経済危機対策臨時交付金の活用は、173億円の枠があるのに今回計上したのはその半分の84億円にすぎず、しかも大半は公共投資で、生活支援・雇用創出への工夫が欠落しています。
交付金の充当事業には、道路・河川など投資単独事業30億円、工業試験場等大陽光発電など施設整備28億円が入っていますが、これらは地域活性化公共投資臨時交付金(全国1.3兆円、道配分未定)を充当すべきです。一般施策は13億円で、観光客誘致、商店街、新型インフルエンザ対策と、ハイブリッド車購入など、施設整備・備品購入です。
新型インフルエンザ対策でも長野県では7.4万人分のタミフルも用意しますが、道には欠落しています。また長野県は母子家庭には技能訓練促進費の支給額引き上げ、支給期間の延長をして支援しますが、道は手つかずです。
党道議団では、人口減少や高齢化が深刻ないわゆる「限界集落」などの活性化策をサポートする集落支援員の養成と配置を提案していますが、無視されたままです。
長野では地域資源活用・農商工連携の地域推進員を配置しますが、道はゼロです。
鳥取県では農村マイクロ水力発電導入の予算を計上しました。道はナシです。
道の補正予算は従来型対策の延長にとどまっていますが、環境・自然エネルギー対策の抜本充実、「子どもの貧困」解決はじめ生活支援・雇用創出型への大転換こそ求められています。
(09年06月21日付「ほっかい新報」より)
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