泊原発3号機でのプルサーマル計画等に関する申入れ |
08.10.24 |
2008年10月24日
北海道知事 高橋 はるみ 様
日本共産党北海道委員会
委員長 西野 敏郭
日本共産党道議会議員団
団 長 花岡ユリ子
北海道電力(株)の泊発電所3号機でのプルサーマル計画に関する道と地元4町村の検討作業は、「プルサーマル計画に関する有識者検討会議」(以下、有識者検討会議)が、9月20日の第6回検討会議で中間報告をとりまとめ、道民への閲覧と道民意見の募集(10月3日から10月31日まで)を実施中であり、有識者検討会議としての検討はいよいよ大詰めの段階を迎えつつある。
有識者検討会議の中間報告は、北電のプルサーマル計画について、道民の意見や他県の検討などを参考に諭点を24に整理(プルトニウムとMOX燃料の特性、プルサーマルの実績、MOX燃料の製造、輸送・搬入、貯蔵、炉内使用、使用済MOX燃料の貯蔵、搬出、処理・処分の各工程、外部影響、環境保全、安心の確保など)して検討をすすめた結果、その大半について北電の考え方や対策の妥当性について基本的に理解できるとしている。
中間報告は、プルトニウムの周辺住民への影響については、国内の原子力発電所が放射性物質を閉じ込める構造をもち、多重防護が施されているので、燃料破損にいたる事故が発生したとしてもプルトニウムが環境中に出て行くことはないと断じ、北電がプルトニウムの特性を十分確認し安全性確保の措置を実施するので、その妥当性は基本的に理解できるというものである。
しかし、核燃料サイクル全体を通じて、仮に万全の対策を講じた積もりでも万全でありえないことは新潟県中越沖地震での柏崎刈羽原発被災例からも明らかである。プルトニウムなど放射性物質が環境中に出て行く可能性がゼロとはいえないのである。
また、使用済みMOX燃料の再処理は、国も2010年頃から検討というだけで、いまだに未着手であるのに「技術的には可能」として国にすみやかな検討や解決をもとめているだけである。六ヵ所村の使用済ウラン燃料の再処工場は事故続きでいまだに本格稼動に至っていないのに、それには何も触れず技術的に可能というのはなぜか、理解できない。使用済みMOX燃料の再処理は、ウラン燃料のそれよりはるかに困難といわれているからである。
さらに、耐震指針については、新潟県中越沖地震被災を否定できず、新耐震指針にもとづき評価中だから今後確認する課題としているだけである。
一方、有識者検討会議の検討事項とされていないプルサーマル実施の必要性や経済性などについては、知事と地元4町村長が最終的に判断するとされているだけであり、その検討経過に道民の意見をどのように反映させるのかについては明らかではない。
以上をふまえ、以下の諸点について申し入れる。
記
そもそも原子力発電は、いまだに十分な安全性の保障がなく技術的にも未確立であり、さまざまな事故も続発しており、本来段階的に撤退すべきものである。ましてウランよりはるかに危険な放射性物質であるプルトニウムを燃料とするプルサーマル計画は、危険を増大するだけであり国にも北電にも撤回を求めるべきである。
泊原発3号機でのプルサーマル計画についても、ウラン燃料を使う場合と比べてもはるかに危険性が高く、安全性に保障があるといえないうえ、使用済みMOX燃料の再処理などの核燃料サイクルも未確立であり、北電のプルサーマル計画に同意せず撤回をもとめること。
当面、知事と地元4町村長が、有識者検討会議の最終報告(提言)を踏まえ、さらに必要性や経済性についても考慮し最終判断するとしているが、最終判断に至る過程にも道民意見反映の機会を設けること。
泊原発について以下のことを北電と国に求めること。
(1) 1、2号機について安全性の総点検をおこなうこと。
(2) 泊原発周辺地域の活断層の徹底調査を求めること。
(3) 新潟県中越沖地震被災の教訓をふまえ、国の耐震設計審査指針の抜本的見直しと泊原発の耐震性の抜本的強化を求めること。
世界でも例がない全炉心MOX燃料使用の商業用原発となる青森県大間原発は、経済産業省が本年4月23日に建設を許可し、(株)電源開発が5月27日に着工しているが、異常時には津軽海峡をはさむ近接地の函館市をはじめ道南地域に重大な影響を及ぼすことは必至であり、建設中止を求めること。当面、函館市などとともに緊急に経済産業省と(株)電源開発に、大間原発実施計画について緊急時計画区域に準じる地域として函館市、道南地域での住民説明会の開催を求めること。
以 上