2008年第2回定例道議会 |
【08年第2回定例会花岡道議の反対討論】 |
08.06.28 |
日本共産党を代表して、議案第3号、第4号、6号から9号、12号から16号に対し、反対で討論をおこないます。
議案第3号「道総合振興局設置条例」は、道の行政改革のために地方を切り捨て、道民が強く反対している条例案です。
わが党は、①道民の暮らしと産業を支える職員を、地方にしっかり確保する、②「限界集落」問題に象徴される高齢化や過疎化など、地域がかかえる困難に対して、自治体と力をあわせて住民の暮らしを支える、③地元との合意を何よりも大切にし、拙速な「改革」はおこなわない――これが道理ある立場だと考えています。以下、反対理由をのべます。
第1に、道の支庁制度改革案に対して、当該地域だけでなく全道の自治体関係者が、依然、反対していることです。
今定例会開会日の九日、根室、留萌、桧山、日高の4支庁の関係者約五百人が、道庁前でムシロ旗を掲げ、「地方を切り捨てる支庁再編反対」と訴えました。
知事は会期中、振興局に“格下げ”しようとしている当該地域を回るなど「説得」を重ねたにもかかわらず、二十五日には留萌管内の関係者が、翌二十六日は根室市議会議員のみなさんが全会一致の反対決議をもって、道庁を訪れました。
反対の声は振興局にされる地域だけでなく、町村会や町村議長会が25日、札幌市内で開いた集会には、全道百二十一市町村から六百人が参加して、反対決議を上げました。
知事は、「私のことばが届いていない」と説明不足を認めているではありませんか。道民合意ができていないもとで、知事のトップダウンによる再編を強行することは、地方分権と民主主義の理念に反し、将来に重大な禍根を残すものです。
第2に、道民生活にもっとも身近な保健・福祉や教育、第一次産業をはじめとした産業振興などが、ないがしろにされる中身だからです。
「新しい支庁の姿・修正案」によると、保健・福祉分野では「少子化対策」「市町村保健活動の支援」「環境保全活動」などが総合振興局に集約されます。
産業振興では、「農畜産物の生産振興」「漁協に関する事務」「森林保全と利活用」などが振興局から引き離されます。知事部局でない教育局も十四から九に再編され、「学校の訪問指導」が広域化されます。
「地域振興がまったく見えない」「住民の暮らしを支えるという、行政の役割を投げ捨てるのか」という批判はもっともです。
いま知事は、「地域振興所例」など、批判をかわすための“手形”を振り出しています。しかし、美辞麗句に包まれた除湯例が制定されたとしても、実効ある対策は何ら担保されてはいません。「っちきを無視する道政に、期待できない」という声があがるのは当然です。
第3に、道職員の「三割削減」を至上命題とし、支庁職員を減らすことで地域経済をいっそう衰退させるからです。
肥大化した知事制作部など本庁機能をそのままにして、道州制も視野に、将来は支庁をなくしてもよいとするのは、地域作りに逆行するものです。本庁をスリム化し、市町村と連携を強めて地域を支援する支庁づくりこそ大切です。
道は、五振興局地域に配置する職員の約四割=九百人を集約しようとしています。「業務量が概ね六割になる」という理由ですが、業務量が増える総合振興局職員も、合計五百人を削減しようとしているではありませんか。
「財政再建」をいうのなら、▽談合の疑惑解明と防止策強化により税金の浪費を正すこと、▽法人事業税の超過課税の実施、▽北電やNTT、紙・パルプ大企業の電柱道路占有量の引き上げ、▽ムダなダム計画の中止――など、歳入・歳出両面にわたる総点検を、道民参加で進めるべきです。その努力をまともにやらず、支庁切り捨てを先行させるのは、あまりに身勝手です。
第4に、今定例会での、わたしの一般質問に対し、知事が「五年後を目途」とした見直し規定を口実に、第二段の再編に言及したことは重大です。
あくまで「六連携地域構想」にそって、五年後には宗谷支庁や後志支庁を再建の検討対象とし、「行政のスリム化」だといって、支所を含む四十保健所の統廃合に手を付けようとしています。出先機関の配置の見直しすべてが、住民や自治体関係者にとって「地方切り捨て」なのです。
支庁制度をふくむ道政改革は、何よりも道民本位で進められるべきであり、知事がいう「広域分散型」だからこそ、支庁の役割が、いま以上に大事になるはずです。
マスコミは、“都市部よりも、小規模町村が多い地域では町村を支える支庁の役割は増大する。都市部に総合振興局を置き、小規模町村が多い地域は振興局に格下げするとは、与党議員からも「あべこべだ」という声が出ている”と紹介しているではありませんか。
本条例案は継続審議とし、時間をかけて道民的な議論を尽くすことこそ、道民は求めています。それが議会制民主主義を守り、道議会に課せられた責務であります。強行採決による幕切れには断固、反対です。
このような異例な事態を引きおこした知事と、与党には重大な責任があるということを厳しく指摘し、本条例案への反対討論とします。
議案第4号「道税条例の一部改正案」は、株取り引きの優遇課税の一部について、今後2年間延長するものであり反対です。
議案第6号は、温泉採取の新規手数料にかかわるものであります。 ガス爆発など「災害防止のため」という根拠はあるものの、中小温泉業者を中心に1,105万円もの負担増はあまりに大きく、温泉事業を圧迫するものであり反対です。
議案第7号と第9号、第12号は、道立高等技術専門学院と農業大学校、漁業研修所に関して、先の公立高校授業料改定に横並びで、引き上げようとするものであり、反対です。製造業と農業、漁業の技術の習得と後継者育成という、本来の目的に反するものであります。
議案第8号は、規制緩和路線のもと、薬剤師以外に動物用医薬品の販売を認めるものであり、事故防止と安全確保の観点から反対です。
議案第13号は、教職員の時間外命令にかかわる案件です。道教委の「国の学校教育法施行規則に合わせる」というだけの説明では、教育上の必要性はまったく伝わってきません。説明責任は果たされておらず、賛成できません。
議案第14号は新幹線建設そのものでなく、駅舎建設負担金にかかわる案件です。地元負担が3千万円の木古内町は軽減を求め、北斗市も同様です。駅舎と周辺整備事業の基本計画がないなかでの地元負担金が先行するというのでは、今後、事業費が雪だるま式にかさむことも懸念され、反対です。
議案第15号は、国営土地改良事業にともなう自治体負担に関する案件です。地元農業関係者から、「負担の増大」に耐えかねて、「見直し」の声があがっている別海かんがい排水事業が含まれており、反対です。
議案第16号は、「空港整備にともなう地方自治体の負担金」にかかわるものです。事業費16億5千万円の稚内空港の滑走路延長について、見積額が適正かなど示されておらず、賛成できません。
以上で討論を終わります。