2008年道政展望 |
07.12.23 |
昨年再選された高橋はるみ知事は、「道の財政危機からの脱却」をスローガンにして、これまで以上にくらしや福祉切り捨ての姿勢を強めています。
11月6日には、公約違反の道職員の給与9%カットの継続、あらゆる施策の一律10%カット、使用料や手数料の全面的見直しなどの「新たな行財政改革の見直し」を発表し、これをやらないと“第二の夕張”になりかねないとばかりに、道民に痛みを押しつけようとしています。
市町村合併や支庁再編、自治体病院の統廃合等も“不退転の決意”で進めるとしています。
他方、大企業優先と天下り、ムダと浪費に“甘い姿勢”は変わりません。
他県では行っている1億円以上の大企業への超過課税は拒否、わずか4分の時間短縮にすぎない千歳インターチェンジ新設に20億円もの税金を投入、上限37億円の企業誘致補助金は“青天井”に改悪など。
党道議団は、「国いいなりをやめ、ムダと浪費をなくして、道民のくらし優先の施策に」と、高橋知事を厳しく追及し、内容はまだ不十分ながら子どもの医療費助成の小学生までの拡大(入院のみ)や、福祉灯油への道の補助拡大などを実施させました。新婦人の会や道生活と健康を守る会をはじめとする団体や道民の共同の成果です。
原油価格の高騰で灯油や石油製品ばかりか、日用品までが軒並み値上がりし、くらしや地域経済に大きな影響が出ています。
特に灯油の高騰は低所得者や高齢者を直撃しています。「福祉灯油」が全道の自治体で行えるよう、道が財源を確保し、生活保護世帯にも適用するよう国にも求めます。
道は乳幼児医療費補助の対象年齢を、入院費に限ってこれまでの就学前から小学校卒業まで拡大することを明らかにしました。一歩前進ですがまだ不十分です。所得制限の撤廃や、通院費へも補助を拡大するなど、さらなる改善を知事に求めていきます。
知事は、今回自民党の質問への答弁で「助成拡大」を約束しましたが、新婦人など道民の運動が対象拡大の力になっていることは衆知の事実です。この問題では、道議会の全会派の中で日本共産党道議団の質問回数が断然トップです。
最低生活を保障するためには「時給1000円」が必要という世論が大きくなりつつあります。「生活保護より低い道の最低賃金(654円)で暮らしていけると思うのか」との質問に対して、知事は答弁できず「国会での審議の状況を見守っていく」と述べるだけの無責任な態度を示しました。
広範な道民各層と力を合わせ国と道に対し、思いきった引上げ努力をするように、働きかけを強めることが必要です。
ムダと浪費の問題では、高すぎる行政委員の報酬問題と、ポスター等選挙費用の「水増し疑惑」が、わが党議員団の追及で連日、マスコミに大きく報道され、道民から大きな反響がありました。
道の労働委員会委員や選挙管理委員などの行政委員が、月1〜2回の会議(開催時間はわずか20分〜40分)出席で、月額30万円前後の報酬をもらっていたことが初めて明らかとなりました。全国では真面目に働いても年間200万円に満たない「ワーキングプア」が1000万人以上にもなるのに、「これはひどい」「PTAの役員だが、有給をとってボランティアだ」との抗議の声が寄せられました。行政委員の報酬を日額制にすれば、約9000万円の節約が可能です。すべての行政委員会の職務実態を明らかにさせ、「日額制」など、実態に応じた支給を行うよう、条例改正を急ぐことを厳しく求めます。
高橋知事は、国いいなりで冷たい官僚的体質と、談合や天下り、大企業に対する姿勢が“甘すぎる”ことにあります。
知事の政治資金の8割以上は政治団体・企業からの献金とパーテイ収入で占められています。ところが、その個人献金も、道内最大企業の北海道電力の役員全員が、社長5万円、常務3万円など、役職によるランク付けで、しかもほぼ同じ日に3年連続で献金していることが、わが党の調査で判明しました。形を変えた企業ぐるみ献金です。最近、北電の南山会長が知事の後援会の会長に就任するなど、両者はますます関係を深めています。
政治資金については、今後も道民の厳しい監視が必要です。
05年に退職した元道幹部8人が、道の要綱で「2年間禁止」されている道の指定業者に関連会社を経由して今春「再々就職」している“脱法的天下り”の実態が党道議団の調査でわかりました。「指名業者への天下りの“2年間禁止”」は、上川支庁の官製談合事件などの苦い経験からつくられたものですが、“骨抜き”となっています。天下りの横行は談合などの不正と表裏一体です。2年間静かにしていれば、大手を振って指名業者に天下りできる欠陥要綱は、早急に見直しをすべきです。
今年も道による道民へのさらなる「痛み」の押しつけが予想されますが、党道議団はこれまで以上に道民要求を大切にして、道政のゆきすぎをしっかり監視し、各市町村議員や国会議員と連携を強めて、要求実現に向けて全力をつくす決意です。
(「ほっかい新報」07年12月30日、08年01月06日合併号より)