当別ダム入札問題 −解説− | 08.08.27 |
北海道が実施した当別ダム(当別町)の入札に、高橋はるみ知事が道開発局の官製談合事件で指名停止処分を受けた建設業者を「特例」で参加させた問題が波紋を呼んでいます。公正であるべき入札が故意にゆがめられたからです。高橋知事はなぜ、官製談合に加担した不正業者をあえて「救済」しようとするのでしょうか。今後、公正な入札は保証されるのでしょうか。当別ダム入札工事をめぐる“闇”に迫ります。
(三上博介党道議団事務局長)
入札参加の指名停止業者名 | ||||
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道が7月29日に行った当別ダム(総事業費684億円、2012年度完成予定)本体工事の一般競争入札には、7共同企業体(JV)、計22社が参加しました。
問題は、入札に道開発局の官製談合事件などに関与して、道から指名停止処分を受けた5JV(11社)の企業が参加していることです。(―覧表)
道の「競争入札参加資格者指名停止事務処理要領」では、指名停止中の事業者を入札に参加させてはならないことになっています。
ところが道は「ダム建設には高い技術力が求められる」として、事務処理要領の「知事の承認を受けた場会は指名停止期間中の業者でも入札に参加させることができる」との「特例」を初めて適用したのです。
高橋知事は「(指名停止業者を入れないと)十分な競争性が担保されない」「完成時期を遅らせるわけにはいかない」(7月25日の記者会見)と「正当性」を強弁しましたが、「語るに落ちる」とはこのことです。
「競争性の担保」では、法的には2社以上の入札があれば「担保」されるのであり、むしろ談合を行った業者を多数参加させて公正さを損なう方が問題は大きいといえます。
ダムの「完成時期」でいえば、全国のダムで予定通りに完成した例はほとんどなく、それによって住民の暮らしがどう脅かされるのかについても道はまったく説明できません。
知事特例の発動は、全国初めて(特例があるのは4都県)であることもわかりました。
今回の道の行為は、かつて上川支庁の官製談合事件の苦い経験を反省して確立した談合防止のための罰則強化や、入札制度改革の到達点を自ら否定するだけでなく、地方自治の歴史にも汚点を残しかねないものといわざるをえません。
道は、指名停止業者を競争入札に参加させる“暴挙”を行い、道民の批判を受けましたが、それ以前、談合に関与した企業の指名停止期間をひそかに短縮していたことが第2回定例道議会での日本共産党の真下紀子議員の追及で判明しました。
道が開発局の農業土木工事の官製談合に関与した道内建設業3社の指名停止期間を9ヵ月と本来の半分に短縮していたのです。
高橋知事は「地域の経済や雇用に大きな影響を及ぼすから」と居直っています。
今後、ますます増える大手企業の指名停止の「救済」が真の狙いではないかとの疑念が深まっています。
「『伊藤組』の山口博司会長(元副知事)は高橋知事の後援会の会長」(「毎日」)と知事の姿勢を皮肉る報道もあります。
入札の公正さと透明性を失わせる一連の行為は、絶対に見過ごすわけにはいきません。
日本共産党道議団は道が入札を強行した翌7月30日、「入札をやり直せ」と高橋知事に申し入れました。
党道議団は、知事の特例を「不祥事の処分を事実上、有名無実化する脱法行為」と批判し、道に「公示による再入札の執行と違法行為を行った企業への指名停止期間の短縮は今後行わない」よう強く求めました。
日本共産党の申し入れの翌日、「当別ダムに賛成のわが党としては、道に意見は言いづらい」(民主党幹部)といっていた道議会民主党議員会も道に“抗議”しました。
8月5日の建設常任委員会では、自民党も「指名停止の形がい化は問題」と道の対応を指摘し、一貫して追及してきた党道議団の値打ちが光りました。
当別ダム工事の関連議案が提案される9月の第3回定例道議会が正念場となります。
党道議団は「不正は絶対許さない」立場で高橋知事に「入札やり直し」を迫ります。
(08年08月27日付「しんぶん赤旗」北海道のページより)
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