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2008年予算特別委員会

【真下紀子道議、雇用問題、プルサーマル計画、原発の安全性などについてただす】 08.06.24

2008年6月24日 予算特別委員会第2分科会質疑概要

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

経済部所管の問題

実効ある季節労働者対策を

○真下紀子委員

初めに、季節労働者対策について伺います。

本道において、建設投資額は、この10年問で、4兆5500億円から2兆6500億円へと、率にして42%も落ち込んでいます。このもとで、建設労働者数の推移及び季節労働者数の推移がどうなっているのか、伺います。

○山根康徳雇用労政課長

道内の建設労働者数及び季節労働者数の推移についてでございますけれども、総務省の労働力調査によりますれば、建設業の雇用者数は、平成10年度の約30万人から19年度は約24万人に、厚生労働省北海道労働局の調査によれば、季節労働者数は、10年度の約18万7000人から19年度は約11万5000人に、それぞれ減少しているものと承知しております。

○真下紀子委員

そういった厳しい状況の中で、季節労働者の実態について、NPO法人の建設政策研究所北海道センターが昨年12月にアンケート調査を行っています。それによりますと、「今年は全く働かなかった」と回答した人が16.9%で、数にして357人、また、年収が200万円以下の方が全体の69.8%と、約7割を占めておりまして、年収が100万円未満は28.5%と、3割に近い。中でも、女性が大変厳しい状況になっています。建設労働者をめぐる厳しい雇用状況を道としてはどのように認識しているのか、伺います。

○山根雇用労政課長

季節労働者の実態についてでございますけれども、本道は、積雪寒冷という気象条件などから、冬期問の産業活動に制約を受けますために、季節労働者が建設業を中心に存在しこれら季節労働者の通年雇用化を図ることは、本道にとって重要な課題と認識しているところでございます。

○真下紀子委員

質問にお答えいただいていないと思います。

私は、実態をちゃんと把握すべきだというふうに思うわけです。生計を維持できるような雇用状況と認識しているのかどうか、そういったことを聞いているわけですけれども、お答えください。

○山根雇用労政課長

季節労働者の実態に関する再度のお尋ねでございますけれども、本道には、依然として多くの季節労働者が存在しておりまして、道といたしましては、昨年度スタートした国の通年雇用促進支援事業を最大限活用するなど、国の対策と道の対策との連携を図りながら、1人でも多くの季節労働者の通年雇用化を図ることが何よりも重要と認識しているところでございます。

今後とも、国や市町村などとの連携に努めながら、しっかり取り組んでまいる考えであります。

○真下紀子委員

雇用を確保することは重要だということはわかるのですけれども、それができていないから、生活が大変になっているわけですよね。働くこと自体が困難になっているという状況もありますし、冬期技能講習での収入がなくなって、雇用保険も平均で約5万円減って40日分とされた結果、生活保護受給について「希望する」と回答した労働者が約20%にも及んでいる状況です。冬期技能講習や雇用保険特例一時金は、季節労働者にとって命綱の役割を果たしてきたと考えます。

ところが、財務省は、雇用保険の国庫負担の全廃を検討しているわけです。雇用保険財政の赤字を理由に季節労働者対策を改悪して、今度は、黒字になったら国庫負担を全廃するなどということはとても許されるものではないというふうに思います。道として、季節労働者の特例一時金の回復とともに、雇用保険の国庫負担の全廃に反対する意思を表明すべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

○山根雇用労政課長

雇用保険への対応についてでございますけれども、特例一時金につきましては、国における雇用保険制度の見直しの中で、循環的な給付になっておりますこの一時金を雇用保険制度で支給を行うべきかなどの意見が出されまして、廃止などを含む厳しい議論がなされましたことから、道といたしましては、組織を挙げて制度の存続について働きかけを行った中、制度の存続が図られたところでございます。

また、国におきましては、昨年度から、国と地域の連携によりまして、雇用確保や就職促進のための事業に取り組む通年雇用促進支援事業を開始いたしますとともに、通年雇用奨励金を拡充するなど、通年雇用化をより効果的に進めるための対策が推進されておりまして、道といたしましても、今後とも、こうした国の対策との連携を十分に図りながら、季節労働者の通年雇用化の促進に積極的に取り組むこととしておるところでございます。

なお、国におきましては、現在、歳入歳出全般にわたりまして、さまざまな議論が行われているというふうに承知しております。道といたしましては、その動向を見守ってまいる考えでございます。

以上です。

○真下紀子委員

検討の俎上にのせられているわけですから、早い対応を求めておきたいと思います。

それでは、昨年から実施されてきた季節労働者通年雇用促進支援事業について伺います。

全道的な通年雇用の目標数と到達数、費用対効果について、数値及び評価を示していただきたいと思います。

○宮原真太労働局長

通年雇用促進支援事業についてでございますが、平成19年度事業につきましては、それぞれの地域の実情に応じて策定をされた事業計画に基づきまして、雇用確保や就職促進などの取り組みが進められたところでございまして、きめ細やかな個別カウンセリングの実施により就職に結びついた協議会や、事業の採択に関する制限などにより事業計画の策定が円滑に進まなかった協議会、事業の周知に苦労した協議会があるなど、協議会ごとの事業実施状況はさまざまであったと承知をしているところでございます。

本事業の実施に係る通年雇用の目標数は、全体で約1200人とされておりまして、その実績につきましては現在集計中ではありますが、通年雇用化に向けた効果的な取り組み事例も見受けられるところでございます。

こうした状況を踏まえ、道といたしましては、協議会間の情報の共有化を図るとともに、各協議会における季節労働者の参加を促すための普及啓発活動の強化を図るなど、この事業の実効がさらに上がるよう努めていくことが必要と考えているところでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

この支援事業では矛盾が出ておりまして、国の縛りがきついために、実施主体である地域協議会が独自に施策をやりにくい、こういう声が出ています。

具体的には、技能講習を行う上で交通費も支給できない、予算の中で独自の就労対策が具体化できないなど、こういった声が出ているわけです。その地域に合った施策を企画立案できる制度に改めるように、道として国に働きかけるべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

○渡辺健経済部長

国への働きかけについてでありますが、19年度事業につきましては、事業の再委託に関する制限などにより事業計画の策定が円滑に進まなかった地域もあったことから、道といたしましては、20年度事業の実施に向けて、この事業がより実効の上がるものとなるよう、昨年12月に、国に対して、再委託制限の緩和など、必要な制度改正の要望を行ったところでございます。

国においては、こうした要望や事業の実施状況などを勘案し、20年度事業について、事業の再委託が可能な割合を3割から5割に引き上げるなどの改正が行われたところでございます。

道といたしましては、今後とも、各協議会における事業の実施状況を見きわめるとともに、地域の御意見も伺いながら、必要に応じて、制度改正の要望を行ってまいる考えでございます。

○真下紀子委員

せっかく部長から答弁いただいたのですけれども、やはり、十分とは言えないと思います。

事業計画さえ策定できないというのであれば、道が何らかの援助を行うべきだと思いますし、また、制度自体が使いづらいのであれば、国にしっかり具体的要望を行うべきだというふうに考えておりますので、その点を指摘しておきます。

派遣労働の実態調査を

○真下紀子委員

次に、正規雇用の促進について伺います。

道内の雇用状況全般についてですけれども、正規雇用・非正規雇用労働者数の年度ごとの推移及び正規・非正規労働者の賃金はどうなっているのか、道と道労働局のそれぞれの資料で示していただきたいと思います。

○中西英夫雇用労放課参事

本道の正規・非正規労働者の推移についてでございますが、平成20年2月に発表されました総務省の労働力調査の詳細集計によりますと、正規労働者につきましては、平成14年の144万人から、各年で増減はございますけれども、平成19年には137万人となっているところでございます。

また、非正規労働者につきましては、平成14年の69万人から平成19年には79万人と、増加傾向にあるところでございます。

また、賃金についてでございますが、厚生労働省の毎月勤労統計調査によりますと、平成19年平均の北海道における一般労働者の月間現金給与総額は37万2053円と、前年比で3.9ポイントの減少となっておりまして、また、パートタイム労働者では9万440円で、前年比で0.3ポイントの増加となっているところでございます。

○真下紀子委員

パートタイム労働者という区分けですから、わかりにくいのかもしれないけれども、やはり、相当厳しい状況があるというふうに思います。道内のパートの求人賃金は、時給が774円になっています。週に40時間、フルタイムで働いても1ヵ月で12万7000円にしかなりません。

その中で、全国的に急増している派遣労働者について伺いたいと思いますけれども、道内の派遣事業所数、派遣先件数、派遣労働者数について、この3年間の推移を示していただきたいと思います。道と道労働局それぞれでどう把握しているのか、伺います。

○中西雇用労政課参事

派遣事業所数などについてでございますが、派遣事業者から北海道労働局への報告が義務づけられております事業報告によりますと、道内における派遣事業所数、派遣先件数、派遣労働者数は、それぞれ、平成16年度は、609事業所、9851件、3万9431人、また、17年度におきましては、852事業所、1万3501件、3万8982人、さらに、18年度におきましては、1123事業所、1万6511件、5万5213人となっているところでございます。

○真下紀子委員

今、貧困やワーキングプアについては、各テレビ局でも繰り返し特集を組んで、世間では心を痛めている方が大変多いと思います。自分の周辺にも、そういう方がたくさんいらっしゃるという状況です。

道の今の調査とは全く違いまして、京都府が先進的な派遣労働者実態調査を昨年行っています。京都府の調査について、概略の説明を願います。

○中西雇用労放課参事

京都府におきます実態調査についてでございますけれども、平成18年10月に京都府が行いましたパートタイム労働者等の労働実態調査の中で、派遣労働者が就業している事業所数、派遣期間、業務、就業させる理由、今後の受け入れ方針について調査をしたと承知しております。

派遣労働者が就業している事業所の割合につきましては、16.2%となっており、事業所規模が大きいほど就業している割合が高く、最も多い派遣契約期間は1年以上となっておりまして、従事している業務は、一般事務が40.4%で一番多くなっているところでございます。

また、就業させる理由といたしましては、「欠員補充等必要な人員を迅速に確保でぎるため」が64.5%となっておりまして、3年後の増減予測につきましては、「あまり変わらない」とする事業所が39.1%という調査結果になっているところでございます。

○真下紀子委員

道が把握している状況と、京都の調査では、言い方は悪いのですけれども、雲泥の差があり、北海道は労働者の状況を真剣に把握しようとしているかどうか、ちょっと疑問に思うわけです。

そこで、この京都府の調査内容を参考にして、北海道を見ますと、派遣事業の年間売上高というのは、道内では700億円にも達するわけですけれども、前年から33%伸びています。派遣先から受け取る派遣料金と派遣労働者に支払われる賃金の差額、つまりピンはね率――マージンと言っているそうですけれども、ピンはね率は31%から34%で、まさに人買い業だと言わざるを得ません。

このピンはね率の上限を設定するとともに、派遣の中でも特に不安定な登録型派遣や日雇い派遣は厳しく制限すべきだと思います。そうしたことを道としても国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○宮原労働局長

労働者派遣制度についてでございますが、本年2月、労働者派遣制度の法的・制度的な考え方について専門的な検討を行うための研究会が厚生労働省に設けられまして、派遣契約単価と労働者に支払われる賃金の差について規制すべきとの意見があるが、どのように考えるか、登録型、常用型はそれぞれどのような機能を果たしており、何が問題となっているか、日雇い派遣はどのような機能を果たしており、何か問題となっているかも含めまして、今後の労働者派遣制度のあり方全体について議論がなされているところでございます。

道といたしましては、派遣労働者の雇用の安定や、安心して働ける環境の整備が図られることは重要であると考えておりまして、今後の国における議論の状況を注意深く見守る考えでございます。

○真下紀子委員

働き方の選択の自由を奪うということはそもそも考えておりませんけれども、派遣型であろうと、やはり、働いて生計を担える状況をつくるということは原則的なことだと思うわけです。

この点では最後の質問になるかなと思いますけれども、京都府の、派遣労働者やパートタイムの労働調査の特徴というのは、事業所だけでなくて、労働者も調査対象にしていることなのです。それをベースにして、相談窓口である非正規労働ほっとラインや、正規雇用拡大のためのジョブパークなどを推進しています。

一方で、道の方は、労働福祉実態調査の対象は事業者に限られていて、労働者からの聞き取りが行われていない、そのために実態がよくわからない、こういう状況なわけです。

これだけ雇用状況が悪化しているにもかかわらず、支庁に置かれている労働相談ホットラインヘの相談実績も前年度を下回っていますけれども、この点については、どう分析して、どう認識をしているのか、まず伺います。

それとともに、道が今やるべきことは、独自に非正規労働者や派遣労働者に焦点を当てた実態調査をする、その上で対策を講じることで、これを絶対にやらなければならないと思うのですけれども、部長に前向きな答弁をぜひ伺いたいと思います。

○渡辺経済部長

非正規労働者の実態把握などについてでありますが、平成19年度に、各支庁に設置している中小企業労働相談所に寄せられた労働相談件数は2913件と、前年度に比べて536件の減となっているところでございます。

これは、北海道労働局や労働基準監督署で設けている総合労働相談窓口の認知度が上がってきていることや、各団体においても相談窓口が設けられてきていることなどが背景にあるものと考えているところでございます。

今後とも、道の広報やホームページなどにより、中小企業労働相談所や国の労働相談窓口の周知に努め、広範な労働相談に的確に対応してまいる考えであります。

次に、実態把握につきましては、道といたしましては、総務省の労働力調査などの国の調査結果のほか、道が毎年実施しております労働福祉実態調査を活用するなどして、非正規労働者に関する状況の把握に努めてきたところでございます。

また、労働者派遣事業につきましては、指導監督権限を有する北海道労働局に提出される事業報告を通じ、把握に努めてきたところであります。

さらに、労働福祉実態調査において、新たに、派遣労働に関する項目を設け、実態把握の強化に努める予定にしております。

道といたしましては、今後とも、国などと連携して、非正規労働者に関する状況を踏まえながら、関係法令や各種支援制度の周知を図るなどして、労働者が安心して働ける環境づくりなどに取り組んでまいる考えでございます。

○真下紀子委員

日本の就職氷河期と呼ばれた時期に急増した非正規雇用者が65歳以上になったときに、これまでの低水準の賃金と、十分な年金が保障されていないままですと、77万4000人が生活保護受給者になるだろうと、シンクタンクの総合研究開発機構が試算をしています。ですから、早期に対策をとるということが将来への責任だというふうに思います。

最後に、一つ、部長にお願いをしたいと思うのですけれども、相談が非常に減っているのですけれども、去年、原課で「働く若者ルールブック」というのをつくってもらいました。これは手づくりなのですよ。ことしは予算がつくと思っていましたけれども、一方で、観光ガイドブックの「ぐるぐる〜と北海道」は、観光連盟に補助金を出してつくっているのですが、この差を見てください。

若者に対する本当に責任ある行政というのであれば、この「働く若者ルールブック」について、内容の検討も必要だと思いますけれども、せめて、もう少し若者が喜んで手にとるようなものにしていただきたいということをぜひ部長にお願いしておきたいと思います。答弁は求めません。

安全性未確立のプルサーマルからの撤退は世界の流れ

○真下紀子委員

次に、エネルギー政策の転換についてです。

今、地球が回復不可能となる前に、地球温暖化を食いとめることが最重要課題となっております。北海道は、冬期の暖房や広域性から、確かに民生部門のCO2排出量は全国平均よりは多いけれども、CO2の排出量の最大要因は、37%を占めるエネルギー・生産部門などとなっているわけです。北海道の北電厚真火力発電所は全国20位の中に入っています。

そこで、私は、エネルギー政策の転換が求められている今、再生可能エネルギーの拡充を飛躍させて、ドイツやデンマークなどのように、地球温暖化防止に大きく貢献させたいというふうに考えているところです。

以下、伺ってまいります。

北海道省エネ・新エネ条例において、道は、原子力を過渡的エネルギーと位置づけていますけれども、その理由をまず伺います。

○嶋崎資源エネルギー課長

北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例におきます原子力の位置づけについてでございますが、平成12年に制定いたしました北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例におきましては、原子力は、発電時に温室効果ガスを排出しないことなどのすぐれた特性を有している反面、放射性廃棄物の処理及び処分の方法が確立されていないことなどの問題があることから、過渡的なエネルギーと位置づけられたところでございます。

以上でござい卓夫ます。

○真下紀子委員

放射性廃棄物の処理及び処分の方法が確立されていない、こういうことなのですね。

ところが、北電は、4月18日に、原発にプルサーマルを導入するため、道と4町村に対して実施計画に向けた事前協議の開始を申し入れています。しかしMOX燃料のプルトニウムの含有率は8%から13%で、ほかの国の2倍近くだというふうに聞き及んでおります。実証炉での実験も行われていない。MOX燃料専用の高速増殖炉「もんじゅ」も、95年に重大事故を起こしたままで、実用化には至っていません。

実証炉での実験も行われていないにもかかわらず、無謀にも、ウラン燃料専用の巨大出力の商業用軽水炉、実用炉でプルサーマル発電を行う安全性の科学的根拠をどう考えているのか、伺います。

○木田勇産業立地推進局長

プルサーマル計画の安全性についてでございますが、プルサーマル計画に開しましては、何よりも安全性の確保を最優先に検討を進めるべきものであり、また、その安全性については、科学的かつ専門的な見地からの検討が必要であることから、有識者検討会議を設置し、安全性に関して24の論点を挙げ、その検討を進めることとしているところでございます。

この検討会議では、国内外におけるMOX燃料の使用実績についても論点の一つとしており、今後、原子炉の種類や、プルトニウムの含有率など、使用する燃料の特性について比較検討するなどして、安全性の確保について科学的な観点から検討してまいる考えでございます。

○真下紀子委員

つまり、これから検討するということですよね。

それでは、国内外におけるMOX燃料の使用実績ということについてなのですけれども、日本では、MOX燃料を使って泊原発と同じ規模で実証したという実績がありますか。

○嶋崎資源エネルギー課長

国内でのMOX燃料の使用実績についてでございますが、国内では、商業用原子炉におきまして、昭和61年度から平成6年度までの間に、少数体実証試験として、6体の燃料集合体が、日本原子力発電株式会社敦賀1号機と関西電力株式会社美浜1号機で使用されたところでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

泊原発で予定している規模で実証をしていますか。

○嶋崎資源エネルギー課長

泊発電所と同規模の商業炉での実績はないものと承知してございます。

○真下紀子委員

走りながら確かめるということですね。これは本当に極めて危険だと言わざるを得ないと思います。

次に、耐震性についてですけれども、世界で起きるマグニチュード6以上の地震の20%強が集中するのが地震大国・日本だというふうに言われています。

政府の地震調査委員会は、北上低地西縁断層帯ではマグニチュード7.8の地震の発生確率をゼロ%と評価していました。また、岩手県の活断層調査でも、今回とほぼ同じ規模の地震――マグニチュード7.3が300年以内に発生する確率はゼロ%と評価をしていました。

しかし今回は評価が覆されたことになるわけですけれども、地震調査委員会の調査などでは、泊原発の断層についてはどのような調査結果となっているのか、伺います。

また、泊発電所は、基準地震動を370ガルから550ガルに見直しましたけれども、今回の岩手・宮城内陸地震では4022ガルを記録しているようです。新潟県中越沖地震では、柏崎刈羽発電所の想定の約4倍の揺れを記憶していました。泊原発における耐震性について本当に十分と言えるのかどうか、また、2号機の地震計の設置の件を含めて伺いたいと思います。

○嶋崎資源エネルギー課長

泊発電所の耐震性に関してでございますが、本年1月に文部科学省の地震調査委員会で行いました主要活断層の長期評価結果によりますと、泊発電所から約52キロメートル離れた黒松内低地帯の断層が示されており、300年以内に地震が起きる確立は20%から40%以下となっているところでございます。

また、本年3月に北海道電力が取りまとめました耐震安全性評価の中間報告書におきましては、泊発電所から約22キロメートル離れた尻別川断層などを最も影響を及ぼす活断層とするなどしまして、新たな国の耐震指針に基づき、耐震性の見直しを行っているところであり、最終的には、1、2号機につきましては本年11月までに、また、3号機につきましては本年9月までに報告される予定となってございます。

道といたしましては、柏崎刈羽原子力発電所の耐震評価などによって得られました新たな知見が、泊発電所の耐震安全性評価結果に十分反映されているかどうかを確認し、必要な対策について北電に申し入れるなど、適切に対処してまいりたいと考えております。

なお、2号機における地震計につきましては、観測用地震計3台の設置工事が、定期検査とあわせて現在進められていることを道として確認しております。

以上でございます。

○真下紀子委員

岩手・宮城内陸地震は、確率がゼロ%でも起きたわけですね。泊発電所の方は20%から40%の確率が予想されていて、大変危険な状態ではないかと思いますが、耐震性の見通しは未知数だというふうに思います。

また、法的な根拠はないにしても、観測用の震度計はいまだ3台しか設置をされていない、そういう対応しか北電はとっていない、こういうことがわかりました。

次に、経済的メリットについてですけれども、政府の原子力政策大綱で、ウラン資源の節約は1割から2割だけではないかというふうに考えます。 MOX燃料の加工費というのは、ウラン燃料に比べて格段に高いと聞きました。ウラン燃料の有効利用とおっしゃいますけれども、0.5%から0.57%の利用率になるだけではないかと思いますし、一体、電気料金が安くなるのかどうか、甚だ疑問です。

経済的メリットについて議論するには、原料の偏在性、移送コスト、移送に伴う警備と危険性、MOX燃料の再処理技術の確立、あるいは保管、放射性廃棄物処分費用などなど、すべてコストとして検討されなければならないわけで、全体を試算したことがあるのかどうか、伺います。

あわせて、核燃料サイクル交付金についても伺っていきます。

プルサーマルの導入に同意すると、総額で60億円の交付金が交付をされるというふうに言われていますけれども、交付金と引きかえに危険性の増幅を押しつけるようなエネルギー政策は転換を求めるべきではないかと私は考えています。経済的メリットもなく、危険なものは入れてはならないという立場なのですけれども、道はどのようにお考えか。

あわせて、世界においても、プルサーマル発電を行っているのは、原発が稼働している国の中で4カ国だけです。そのうち、ドイツとベルギーは原発の廃止を決めていると承知しておりますが、世界の流れは、プルサーマルからの撤退ではないかと思いますけれども、どのように把握しているのか、お答えください。

○木田産業立地推進局長

経済性などに関してでありますが、国におきましては、燃料サイクルコストの計算に当たり、燃料の取得価格や再処理、高レベル放射性廃棄物の貯蔵、輸送、処分、さらには使用済み燃料の中間貯蔵などの、いわゆるバックエンド処理単価などを用いて、発電コストの試算を行っていると承知しているところでございます。

北海道電力では、こうした試算をもとに、泊発電所でのプルサーマルの規模及び使用割合から、原子力発電コストに与える影響は1%程度であるとしているところでございます。

また、核燃料サイクル交付金制度についてでございますが、国におきましては、発電用施設の設置及び運転の円滑化を図るため、電源開発促進税法、特別会計に関する法律、発電用施設周辺地域整備法の、いわゆる電源3法に基づきまして、交付金制度を整備しているところでございます。

道におきましては、これまで、水力発電施設や火力発電施設などの立地に伴い交付される電源立地地域対策交付金により、立地地域の公共用施設の整備等が図られているほか、泊発電所に関しては、このうち、原子力発電施設等立地地域長期発展対策や電源立地等初期対策などの交付金も活用して、地元町村の住民生活の利便性の向上や産業の振興が図られてきたところでございます。

核燃料サイクル交付金につきましては、プルサーマルの実施受け入れに同意した都道府県において実施される公共用施設の整備事業や福祉対策事業、地域活性化事業などに対して交付されるものと承知しているところでございます。

また、世界のエネルギー政策の流れについてでございますが、2006年末現在で、プルサーマルを商業利用している国は、フランス、ドイツ、ベルギー、スイスの4カ国で、さらに、実証試験を行っているアメリカを加えますと、プルサーマルを実施している国は5カ国であり、このうち、ドイツについては、2002年4月に、原子力発電所の運転期間を32年問とすることなどを定めた改正原子力法を施行しており、また、ベルギーにつきましては、2003年1月に、原子力発電所の段階的閉鎖に関する法律を制定しているところでございます。

他方、近年、地球環境問題やエネルギーの安定供給等の観点から、原子力発電所の新増設に向けた動きが見られるようになっており、イギリス政府も、2006年7月、原子力発電所の新規建設に向けた方針転換を発表したほか、電力需要が急増している中国やインドでは、原子力発電所建設計画の進展が見られるものと承知しているところでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

最後の質問にしたいと思いますけれども、今の答弁を伺って、まず、経済性のメリットについてです。

見積もりの根拠というのは示されておりません。バックエンド処理単価とおっしゃいましたけれども、見積もりの根拠は示されておりません。金額自体を御存じでしたら、ぜひお示しをいただきたいと思います。これが1点です。

それからもう一点は、世界のプルサーマル発電の動きについてですけれども、これについては、いろいろ答弁されました。しかし最後に言った中国、インドというのは、プルサーマルに限定して進めようとしているわけではありません。ですから、世界の流れの中で、プルサーマルの商業利用というのは2カ国のみなのですね。皆さんがおっしゃったように、海外の豊富な実績とはほど遠いわけです。なぜふえないのか、理由があれば、教えていただきたいと思います。

私は、プルサーマルに固執するのは、再処理工場で取り出されて、たまる一方のプルトニウムを核弾頭の原料に転用しないということを世界に示す必要があるからではないか、そういうふうに考えるわけです。

そんな政略的な判断でエネルギー政策を決めてはならないと思いますし一般質問での答弁にもありましたように、反対、慎重姿勢の専門家などを含めた議論のもとで、安全の担保なしにゴーサインを出さないように強く求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

また、北海道は、ローカルエネルギーとして、再生可能エネルギーの拡充にこそ活路を見出して、プルサーマル発電、原発に依存しない道を選択するよう強く求めたいと思います。再生可能エネルギー拡充の取り組みの抜本的強化について部長の考えをあわせて伺って、終わりたいと思います。

○渡辺経済部長

何点か御指摘いただきましたけれども、まず、原子燃料のサイクルバックエンドの総事業費につきましては、原子力に開する審議会小委員会の資料等によりますと、国全体で18兆8000億円という試算の数字が出ておりますので、参考までに申し上げます。

また、中国、インドにつきましては、プルサーマルの取り扱いに開し公表されたことがないために、プルサーマルの導入を検討しているか否かは承知しておらないところでありますけれども、委員が御指摘の国などでプルサーマルの導入事例が見られるところでございます。

それから、有識者検討会議における検討についてでございますけれども、泊発電所におけるプルサーマルの計画につきましては、安全性を最優先としながら、さまざまな角度からの議論を展開していくために、「ご意見を伺う会」などでの意見の反映に努めるとともに、議論のテーマによりましては、委員以外の専門家もお呼びするなどして、聞かれた場における議論を重ねながら、慎重に検討を進めていくこととしているところでございます。

次に、再生可能エネルギーの拡充についてでありますが、道といたしましては、これまで、道立試験研究機関による研究開発や、普及効果の高い製品、技術に対する表彰、最新の製品、技術を紹介する展示交流会の開催などを通じ、雪氷や太陽光、バイオマスなどの新エネルギーの開発、導入の促進に取り組んできたところであります。

また、北海道電力におきましては、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法に基づく、平成19年度における新エネルギー等の基準利用量を達成しております。

積雪寒冷、広域分散型という地域特性を有し、道民1人当たりの温室効果ガスの排出量が全国平均の約1.4倍という現状にある本道におきましては、新エネルギーの開発、導入の促進は、地球温暖化防止の観点から重要であると認識しておりますことから、道といたしましては、新たに、北海道産業振興条例などを通じた製品開発への支援、雪氷エネルギーの工場などへの導入モデルプランの策定などに取り組むとともに、北海道電力に対し引き続き、買い取り枠の拡大を要請してまいる考えでございます。

○真下紀子委員

終わります。


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