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道議会での取り組み
2008年予算特別委員会

【真下紀子道議、飼料・肥料高騰対策、釧路湿原保全などについてただす】 08.06.23

2008年6月23日 予算特別委員会第2分科会質疑概要

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

農政部所管の問題

なたねの栽培に道の支援を

○真下紀子委員

初めに、食料自給率の向上について、特に自給率の低い菜種生産に関して1点だけ伺います。

滝川市では、菜種の自給率向上に寄与すべく、たきかわ菜の花プロジェクトという活動が行われていますが、菜種の栽培に対する国の支援が20年度で廃止をされる予定になっており、地域の方々は今後の生産継続に大きな不安を持っていると伺いました。国の支援が廃止されるに至った経過と、今後、道として菜種の生産にどのように対応していくお考えか、伺います。

○花岡正博農産振興課長

菜種生産に対する対応についてでございますが、菜種に対する支援といたしましては、平成12年産まで、大豆なたね交付金暫定措置法に基づき、生産者に対する交付金が交付されてまいりました。

平成13年産からは、当該暫定措置法の対象品目から菜種が除外されたことに伴いまして、なたね契約栽培推進対策事業が5年問措置され、定額の助成が行われてきたところでございます。

さらに、18年産からは、高品質なたね産地確立対策事業が措置されまして、自立した産地確立のための対策が実施されているところでございますが、この事業につきましては、3年問という事業時限がございまして、本年度をもって終了すると国の方からお伺いしてございます。

道といたしましては、滝川市におきます、菜種油を原料とした付加価値の高い食品開発に対し昨年度から3年間助成をすることとしておりまして、さらに、道立農業試験場におきましては、単収の向上などの試験に取り組んでいるところでございます。

今後とも、こうした対策を通じまして、地域の取り組みを支援してまいりたいと考えております。

以上でございます。

飼料価格高騰対策とともに再生産が可能な生産者乳価をメーカーに求めよ

○真下紀子委員

次に、飼料自給率の向上について伺います。

酪農家の運動で、補給金の30銭引き上げが決まりましたけれども、生産者乳価の推移がどうなっているのか、また、乳価の推移、飼料価格の高騰が道内酪農経営にどのように影響しているのか、初めに伺います。

○川上修畜産振興課長

乳価の推移と道内酪農経営への影響についてでございますが、加工原料乳生産者補給金は、平成17年度及び18年度におきまして、生乳1キログラム当たりで10円40銭であったものが、19年度では15銭引き上げられて10円55銭に、そして、20年度は、当初、前年より1円引き上げられまして11円55銭とされたものが、今回の期中改定でさらに30銭引き上げられまして、7月以降は11円85銭となってございます。

生産者の手取り乳価は、こうした国からの補給金などと、乳業メーカーが支払う取引乳代から成りますが、本年度につきましては、ホクレンと乳業メーカーの価格交渉におきまして、生乳1キログラム当たりで平均5円10銭の引き上げが実現されたところでございます。

この取引乳代や補給金等の引き上げに加えまして、今般措置をされました酪農経営安定対策等の活用により、配合飼料価格の高騰による道内酪農経営への影響については、現時点では相当程度緩和されているものと考えております。

以上でございます。

○真下紀子委員

相当程度緩和されているということですけれども、もう一点聞いてから、また伺いたいと思います。

穀物価格の高騰で、配合飼料価格安定制度の基金に穴があくということで、4%ルールに基づく補てんを停止せざるを得ないという状況ですけれども、制度の見直しについてはどのように評価をされていますか。

○川上畜産振興課長

配合飼料価格安定制度の見直しについてでございますが、今回決定をされました畜産物価格等の追加対策では、配合飼料価格安定制度の安定的な運用を図る上から、異常補てん基金の発動基準の引き下げや、長期無利子資金の貸し付けにより、通常補てん基金の財源を確保する一方で、通常補てんのうちの4%追加補てんにつきましては停止をすることとなったところでございます。

この追加補てんの停止によって生ずる飼料費の増加に対応しまして、酪農経営の安定を図るため、加工原料乳生産者補給金を、制度の発足以来初めて期中改定するとともに、関連対策として、新たに、北海道酪農経営緊急強化対策等が措置されたものと考えております。

以上でございます。

○真下紀子委員

そういった対策をとって初めて、これまでと同様の経営状態になったということだと思うのですけれども、結局、それでは酪農経営の厳しさというのは変わらないことになるのじゃないかと思います。

乳業大手3社は、約57億円、約61億円、約123億円と、それぞれ経常利益を上げて、株主にはきちんと配当しているのですね。再生産が可能な乳価の確保をメーカーに要請していくべきだと私は思います。この点については指摘をしておきたいと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。

肥料・資材価格高騰に苦しむ農業者への支援を

○真下紀子委員

いずれにしても、道内の酪農家だけではなく、農業者の厳しい経営状況の上に、今度は肥料の値上げがかぶってきます。全農は、7月から化学肥料の価格を50%から70%引き上げることを発表しました。肥料の値上げの影響の試算を示していただきたいと思います。

○茂木悦雄食品政策課参事

肥料の値上げの影響についてでございますが、農林水産省の18年度農業経営統計調査によりますと、道内の農家における1戸当たりの農業経営費のうち、肥料費につきましては、水田作経営でおおむね10%の68万円、畑作経営でおおむね17%の276万円、酪農経営でおおむね4%の166万円となっております。

このように、肥料費は、生産コストの中で大きなウエートを占めておりますことから、肥料価格の大幅な値上げは、農業所得の減少など、農業経営に大きな影響を与えることが懸念されているところでございます。

○真下紀子委員

化学肥料に頼ってきた農業のあり方というのも問われるわけですけれども、それが一気に解決できるわけでもなく、これだけ大きな影響があるということを道もお認めになったわけですけれども、これだけ影響が大きい中で、道としてはどういった対策を講じようとしているのか、伺っておきます。

○竹林孝食の安全推進局長

肥料価格の値上げに対する対応についてでありますけれども、道といたしましては、関係団体と連携しながら、国に対し肥料など農業生産資材の安定供給と価格安定のための対策や、省資源的な環境保全型農業のさらなる推進、資材価格の高騰が農産物価格に反映される環境づくりなどを求めてまいりたいと考えております。

また、平成9年に関係団体とともに設置いたしました北海道農業生産資材費低減推進協議会におきまして、情報の交換と共有化に努めますとともに、農業改良普及センターを通じ、肥料費の低減に向けた技術の普及を図るなど、農業径営に対する影響を最小限にとどめるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

とにかく、農家が破綻しては、食料が消費者のところには届かないわけですから、ぜひとも道の絶大なる支援をお願いしたいというふうに思います。

釧路湿原の保全ため農地防災事業、農地開拓の検証を

○真下紀子委員

それでは、農地防災事業と釧路湿原の乾燥化への影響等について伺います。

1980年に、日本最大の湿地の釧路湿原が、国内第1号のラムサール湿地として登録されたわけですけれども、過去60年問で3割もの湿地面積が乾燥化によって消失し、87年の国立公園指定以来、1割の面積がさらに縮小しているという、本当にひどい状態で乾燥化が加速していることが国の調査で判明しております。重大な事態だと思いまして、私ども日本共産党道議団としては、花岡ユリ子団長と一緒に現地を調査いたしました。

釧路湿原周囲での川の直線化、自然再生事業にも一つの原因があるのですが、これについては建設部所管審査で質問させていただきましたけれども、そのほかに、住宅や道路の建設、森林伐採など複合的要因と並んで、大規模な農地開拓が乾燥化の原因の一つとして挙げられております。私は、これを見てきまして、まさに人災そのものという率直な感想を持ってまいりました。

そこで初めに、そもそもの湿地の役割と釧路湿原の乾燥化の実態、その原因などについて農政部の認識を伺っておきます。

○坂井秀利農村振興局長

釧路湿原に対する認識などについてでございますけれども、釧路湿原は、我が国最初のラムサール条約登録湿地でございまして、原生的な自然が残され、多様な動植物の生息地であるほか、保水・浄化機能など、人々の暮らしを支える重要な役割を果たしていると認識しております。

乾燥化の実態といたしましては、行政機関や地域住民、NPOなどから成る釧路湿原自然再生協議会が2005年3月に策定いたしました釧路湿原自然再生全体構想によりますと、 1947年に約2万5000ヘクタールあった湿原が、1996年には約1万9000ヘクタールにまで減少し、この50年間で2割以上も消失したとされてございます。

また、その原因としましては、1960年代からの農地や市街地の開発による自然林の減少、さらには河川の直線化などにより、湿原内に多量の土砂が流入したこととされているところでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

人問が生活していく上で農地は欠かせないものなのですけれども、残念ながら、湿原の乾燥化の原因の一つとなっているということです。

そこで、大規模に行われた国営農地開発事業と農地防災事業の実績について伺います。

○佐々木厚仁農村計画課参事

事業の実績についてでありますが、釧路湿原の周辺におきましては、昭和20年代から60年代の初頭にかけまして、国営の開墾建設事業、農地開発事業や、道営の農地開発事業などが行われてきました。

その後、平成12年度より、以前に整備された泥炭土壌の農地が地盤沈下して、牧草の生育不良を起こしている状況の改善を目的として、国営総合農地防災事業が3地区で実施され、農地の保全や排水路の整備など、合わせて約2000ヘクタールの農地が整備対象となっています。

以上でございます。

○真下紀子委員

私も、現地を見て本当に驚きましたけれども、大規模な農地開拓が行われていました。この大規模な農地開拓が釧路湿原の乾燥化の原因となっているというふうに指摘を受けているわけですけれども、道としてもそういう認識を持っているのか、改めて伺いたいと思います。

また、湿地への土砂流入を防ぐために設置された沈砂池は効果が低いという指摘を受けてまいりました。この点についてはどのように評価をしているのか、伺います。

あわせて、事業の前後に環境評価を行っていたのかどうかということについてもお答えいただきたいと思います。

○佐々木農村計画課参事

湿原の乾燥化と事業の環境評価についてでありますが、まず1点目の、釧路湿原の乾燥化につきましては、市街地の開発や河川の直線化のほか、かつて行われた農地開発も原因の一つとして考えられているところであります。

また、沈砂池については、釧路湿原自然再生協議会に設置いたしました土砂流入小委員会において、その効果を検証しながら、事業を進めていると承知しております。

2点目の、事業の環境評価についてでありますが、関係地区につきましては、環境影響評価法に基づく環境評価の対象に該当しておりませんが、現在整備中の南標茶地区、鶴居第2地区につきましては、学識経験者などで構成いたします環境情報協議会が開催され、環境との調和への配慮について協議されていると承知しております。

また、事業主体である北海道開発局は、排水路工事で発生いたします汚濁水の流出を抑制するために設置いたしました沈砂池を工事完了後も残し、堆積土砂などの調査を行っているというふうに聞いてございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

沈砂池は、ほとんど土砂がたまっていないようです。効果がほとんどないようです。

また、環境の方ですけれども、非常に深刻な事態でして、約200万年前からすんでいた、先住種であるキタサンショウウオが絶滅の危機に瀕しているという、大変な事態になっているわけです。

それで、私は、河川の直線化については建設関連の仕事だというふうに認識していたのですけれども、よく調べてみますと、1966年から1980年まで、国の直轄明渠排水事業ということで、農地整備が進められて、久著呂川を直線化した、これは農業関連の方の仕事なのです。

この直線化によって、下流への排水が促進されたのですけれども、非常に流速が遠くなりまして、久著呂川の上流というのは、川底の掘削が進んで、のり面などのコンクリートの塊までが流されて、その上流に橋があるのですけれども、そこの橋脚も危ない状態になっているわけです。

こういった工事が農地開拓の名のもとで行われていたということに私はとても驚きました。こういった直線化された川を放置しておくと、土木工事をエンドレスに行わなければならないということも問題ですけれども、非常に乾燥化が進んでいくというふうになります。どのように対処しようとしているのか、伺っておきます。

○長橋敦農村計画課長

今後の対応などについてでありますが、久著呂川については、国の直轄明渠排水事業として整備が進められ、その際、河川を直線化したことによって流れが速くなるなど、湿原への土砂流入量が以前に比べて増加してきたものと思われます。

これらについては、釧路湿原自然再生協議会で定めた釧路湿原自然再生全体構想に基づいて対処されていくものと承知しております。

○真下紀子委員

確かに、釧路湿原自然再生全体構想に基づいて対処をしていくということなのですけれども、こういった農地防災事業は、道が25%の費用負担もしているということなのです。ですから、やっぱり、その辺もきちっとした検証が必要だと思いますし、環境への大きな影響を農地開拓が与えてしまったという点では、これからの農地開拓でも考えなければならないことが相当あると思いますので、知事にも、建設部の総括質疑事項とあわせて伺っておきたいと思います。お願いをしたいと思います。

最後に、部長に認識を伺っておきたいと思いますけれども、釧路湿原という大変重要な自然の恵みを私たちは持っていながら、そこをどんどんと乾燥化させてしまったという反省に立ってこの乾燥化を防ぐために、自然環境を熟知して、総合的な対策をとっていくべきだと。そういったところでは、農政部もやっぱり役割を果たさなければならないというふうに思います。今後、釧路湿原の乾燥化を防ぐべく、農政部としてはどのようにお考えか、部長に伺います。

○細越良一農政部長

湿原の乾燥化防止についてでございますが、釧路湿原には、貴重ですばらしい自然が多く残されており、こうした自然の保全と、失われた自然の再生は大変重要な課題であるというふうに考えております。

このため、道といたしましては、2005年に策定されました釧路湿原自然再生全体構想の目標が達成されますように、今後とも、国や関係する機関、団体、地域住民などと連携を深めながら、湿原の保全と農業の振興の両立に努めてまいりたいというふうに考えております。

○真下紀子委員

私も、湿原の保全と農業振興とを両立させなければいけないというふうに思います。そこのところでどういった折り合いをつけていくのかということでいえば、やはり、農政の専門家である皆さんの知恵もかりなければならないと思いますので、ぜひ、その点はお願いしたいと思います。

知事との議論の中でも、そういったことも含めてお話をさせていただきたいと思いますので、委員長におかれましては、お取り計らいをお願いいたします。

終わります。ありがとうございました。


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