北海道消防広域化推進計画素案に関する申し入れ |
08.02.06 |
北海道知事 高橋 はるみ 様
2008年2月6日
日本共産党北海道委員会
委 員 長 西野 敏郭
日本共産党道議会議員団
団 長 花岡ユリ子
道は06年6月に成立した「改正」消防組織法(以下、改正法)と同年7月に消防 庁が策定した「消防の広域化に関する基本指針」(以下、基本指針)にもとづいて、07年度中に北海道消防広域化推進計画(以下、広域化計画)を策定するため、昨年11月に広域化計画素案(以下、素案)を作成し、各消防本部や関係市町村に意見紹介をおこない、2月末前後には広域化計画(案)に仕上げる予定とされています。素案は、改正法や基本指針にもとづいて、1消防本部の管轄人口を現行の10万人から一挙に30万人規模に拡大する立場から、現在の68消防本部を21本部に統廃合しようとするものです。
また素案は、現在の消防署・所や消防団の配置や職員数、消防関係自動車の配備数は現状のまま維持し、本部の統廃合によって浮く管理部門の職員を、消防力の高度化や専門化に対応できる部門に再配備し、充実をはかるなどとしています。
しかし、素案に対して、すでに昨年11月道内6ヵ所で市町村長などに説明した段階から、「…そこそこの消防力を持っており、…国が言うようには困っていないので、広域化の必要性は感じない」とか「広域化すれば何がよくなるのか見えてこない。今の方がきめ細やかな対応が取れるのではないか」など、広域化を望まない声が多くあがっています。
これは、素案が消防に責任を負っている市町村や消防本部の意見や要望から出発したものでなく、国の方針にそった机上プランだということを示すものではありませんか。このような素案を計画にするには問題が多すぎます。素案は、根本的に見直すべきです。
以上をふまえ、以下の4点を申し入れます。
記
消防は、市町村が責任を有し、管理、費用負担、消防本部機関の設置などを行うこととされています(消防組織法第3章)。このため、国は「改正」法や基本指針で「自主的な市町村の消防の広域化」という文言を用いる一方、対象とする市町村の組み合わせや広域化計画の策定期限まで決めて広域化を推進する構えです。
これでは自主的とは名ばかりで、上から広域化を押し付けるものです。消防団など関係者の合意もありません。道の素案も、国の方針にそって上から広域化計画を押し付けるものとなっています。このような押しつけ素案はいったん撤回し、市町村や地域住民の声をくみあげ、現場の消防力が住民の生命や財産に責任を負えるよう充実・強化するものに根本から見直すことです。
組合消防の自賄い方式の解消を、財政上の主体性の確立のために重要な課題だとしていますが、市町村が、住民の生命や財産に責任を負う立場から、財政的にも体制的にも自賄い方式の継続をもとめることは当然ありうるうることです。自賄い方式の解消は一律機械的には行わないことです。
いざ火災だ、救急搬送だといっても、とても住民の生命や財産に責任を負えない大規模な広域化を急ぐのでなく、現場の市町村の消防力の充実・強化こそ急ぐことです。そのためには、国の消防力整備基準にてらし、充足率が73%の職員の増員やいまだ100%に満たないはしご車(90%)や化学消防車(84%)、救助工作車(73%)の配備こそ急ぐことです。そのために、国や道が財政支援をつよめることです。
充足率を満たすための道としての推進計画を立てるとともに、地方交付税措置を大幅に拡充すべきです。
救急車の配置・更新に係わる道費補助制度を復活すること。
素案は、1本部の規模といい本部数といい、道州制やコンパクトシテイ構想の先取りとも重なって受け取られかねないものです。住民不在で安上がりの「地方分権改革」の先取りのような消防の広域化をおこなわないよう国にも申し入れること。
以 上