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提言

道財政危機を作り出した原因と責任を明らかにし、ムダと浪費を削り、道民生活をささえる道政の推進を
〜「道財政立て直しプラン」に対する日本共産党の見解と提案〜

2005年02月08日

日本共産党道議会議員団

はじめに

平成15年8月8日、高橋はるみ知事は「道民の皆様へ〜道財政立て直しに向けて」を発表、「平成15年度の年間収支不足額は1,720億円に達し」「赤字再建団体転落ライン約650億円」を上回り、「赤字再建団体転落は、現実のものとして捉えなければならない」と危機をあおりました。さらに、その回避に向けて、「人件費の削減や組織機構のスリム化はもとより、これまで以上に徹底した経費の縮減や施策の見直し」を強調しました。

そして、16年8月、道は「道財政立て直しプラン」(以下「プラン」と略)を発表しました。この「プラン」は、道民に教育、福祉、道民サービス切り捨てと負担増を強いるものです。その先駆けとして重度障害者の医療費助成に1割負担を導入しようとしたとき、障害者が不自由な体をおして集会をもったり、道庁と道議会に集まり抗議しましたが、道はその声を無視して、16年10月からの実施を強行しました。ここに、道民犠牲の「プラン」の本質がしめされています。

日本共産党は、道財政の危機がこれまでの道政とその与党の悪政の結果であることをきびしく指摘するとともに、道民本位の財政危機打開の道を提案するものです。

  1. 福祉、道民サービス切り捨てる「道財政立て直しプラン」

    • 1)1,700億円もの歳出削減と負担増を道民におしつける

      「プラン」は、平成17年度(2005年度)からの10カ年計画で、2つの段階に分かれ、第1段階は「集中対策期間」として、17年度から3年間、15年度対比で1,700億円(注)の歳出削減と歳入確保をはかるとしています。

      1,700億円の内訳は、人件費610億円、公共事業費など390億円、義務的経費130億円、施設等維持費70億円、一般施策事業費380億円を削減し、さらに、道税など収入を120億円増やすものです。

      これが実行されると、道民生活に大きな影響がでます。

      第1は、これまで道民の要求で実現してきた、国の補助事業への上乗せ補助、さらに道単独補助の削減・廃止です。この中には、重度障害者、母子、乳幼児医療費を無料化していたものに1割負担を導入し、老人医用費助成は廃止すること。全国に誇るべき道単独の特定疾患治療研究事業(難治性肝炎など難病医療費助成制度)の廃止・見直し、私学助成の縮減が含まれています。

      第2は、フルコスト方式による使用料、手数料の値上げです。使用料・手数料は16年度に値上げされましたが、17年度高校授業料値上げが予定されています。道営住宅の家賃と駐車場料金の引き上げ、さらに家賃減免制度の改悪も行われようとしています。

      また、道立の施設の管理運営を民間に開放する「指定管理者制度」の導入をねらっています。これは公務労働の役割を否定し、住民サービスの切り捨てにつながりかねません。

      第3は、人件費の削減で、職員の給与を見直し・削減し、15年度から10年間で3千人の職員削減が計画されています。これまで、保健所の保健師の削減などがおこなわれてきましたが、道民サービスの低下と行政水準の下落を招くものです。

      第2段階は「構造改革期間」で20年度から7年間。「真に住民に必要な住民サービスを道自らの判断により選択し、実行する時代」と、第1段階での負担増と教育・福祉、道民サービス切り捨てを継続しながら、さらに、支庁制度と道の機構の見直しなど自治体リストラをすすめ、道立高校の配置の検討(いわゆる統廃合、間口削減)もおこないます。

      (注) 一般財源ベースの額。一般財源とは歳入の中で使途が特定されていない財源で、道税、地方譲与税、地方交付税などが含まれる。一般財源に道債を加えたものを一般財源ベースと言っている。

    • 2)財政危機引き起こした原因と責任にふれず

      なぜ、道財政が「赤字再建団体転落の危機」とまで言う事態に陥ったのでしょうか。「プラン」では、「過去に発行した道債の償還費が累増する中で、長引く景気低迷の影響から、近年、道税収入が大きく落ち込んだことや、国の地方行財政改革において、地方交付税などが大幅に削減されたことに加えて、介護保険や老人医療費などの義務的経費が増加していること」と述べています。

      いくつか原因なるものをあげていますが、最大の原因は道債の償還費が大幅に増えたことです。「プラン」でも平成16年度の道債償還費は4,230億円で、10年前の6年の約2倍に達したと指摘しているとおりです。「道財政の展望―これまでの10年・これからの10年」(平成13年9月)が、「財政危機の長期化」の要因として、「公共事業費の財源として借り入れた道債の償還額が年々増大し」「最大の歳出圧力となる」と指摘していたにもかかわらず「プラン」では、単に「過去に発行した道債の償還費が累増する中で」としているだけで、財政危機の最大の原因をうすめ、道債をふやす道政運営をしてきた責任をあいまいにしています。介護保険など義務的経費の増加は、高齢化の進行にともなう国の制度による負担ですから、財政危機の原因にあげるのは問題です。

    • 3)ムダと浪費の構造は変わらず

      財政危機の真の原因にメスを入れていないことにあらわれているように、削減を声高に叫んでいるにもかかわらず、これまでのムダと浪費の構造は基本的に変えるものではありません。

      平成13年に道みずから「公共事業のための借金」が財政危機の最大の原因と言っておきながら、公共事業の地区別再評価を12年度から行っていますが、廃止した事業は1件のみで、その後は、特定政策評価で日高横断道を凍結しただけです。

      さらに、今後の公共事業の選択の方向をしめした「社会資本整備の重点化プラン」では、あいかわらず空港、新幹線、高規格幹線道路の整備など大型公共事業が軒並みAクラス(最優先)に位置づけられています。道民アンケートでは「道路交通網の充実」と「道外と結ぶ交通網の形成」の優先度が低かったにもかかわらず、従来型の構造を変えようとはしていません。

  2. 道財政危機はいかにしてつくられたか。その原因と責任は

    道財政の危機は、平成9年8月、堀知事(当時)が「財政健全化方針」をしめし、道債残高が予算規模を上回り、財源不足を基金の取り崩しで補うきびしい財政運営におちいっていることを強調した時から明らかでした。ところが、堀知事は財政危機の真の原因にメスを入れず、それまでの悪政を継続し、失政による出費を拡大してきました。予算に賛成し、一緒に推進してきた自民党、民主党もその責任が問われます。

    • 1)国の景気対策に追随、公共投資を拡大。平成9年度からの6年間で1兆2,166億円

      道債の償還費が増大し、財政がきびしくなった最大の要因は国の景気対策に追随して、公共投資を拡大したことにあります。

      「財政健全化方針」をしめした平成9年以降も、景気・経済対策予算が9年は1,319億円、10年が4,643億円。「財政非常事態宣言」を出した以降ですらも11年2,107億円、12年が1,715億円、13年が1,096億円、14年が1,286億円、6年間で合計1兆2,166億円にも達しました。

      道の「財政健全化方針」とその「推進方策」(平成9年9月)では、「道債の発行の10%削減」という目標を明示し、「投資単独事業については平成9年度総額以下に抑える」としていました。ところが、それを決めた堀知事自身が国の景気対策に追随し、10年度には年間の公共事業(補助)は7,083億円、投資単独事業は2,650億円(最終補正予算)で史上最高となり、そのための道債発行をふやしました。

      日本共産党が、10年3定の本会議で景気対策の補正予算で道債の発行を増加させることは財政健全化方針と矛盾しないかをただしたのに対し、当時の堀知事は「景気・経済の回復が最優先課題」とし、「道債発行額の抑制は弾力的に対応」と方針転換し、財政健全化方針を投げ捨てたのです。その後景気は良くならず、財政危機を極限まで深刻化させた責任は重大です。

    • 2)苫東開発、石狩湾新港地域開発など大企業優先の大型開発を継続

      苫小牧東部開発と石狩湾新港地域開発は、工業用地の分譲がすすまず、苫東開発(株)が破綻し平成11年に新会社を設立、石狩開発は14年に破綻し民事再生手続きを行いました。このとき、それぞれ170億円と100億円の新たな出資を道民負担でおこないました。これまでに、投資した額だけでも国と道などが苫東は15年度まで2,541億円(うち道費483億円)、石狩湾新港には15年度まで3,156億円にのぼります。こうした大規模開発にわが党が計画段階から反対してきたことは言うまでもありません。

      しかも、破綻が明白である船の入る当てもないのに、苫小牧東港と石狩湾新港に12年度からマイナス14メートル岸壁をつくり、計画最終年までに苫東には261億円(道費34億円)、石狩には337億円(道費50億円)ものムダづかいを継続しています。これらの開発はこれまでの投資がムダに消えるだけではありません。そのツケが毎年道民の負担で行われています。15年度の決算では、これら両地域の工業用水道事業への赤字補填(長期貸付)及び施設建設とダム負担金の償還に、石狩工水は5億1,900万円、苫東工水は15億5,800万円、さらに、石狩の公共下水道の赤字補填5億6,600万円にものぼっています。

      苫小牧東部開発と石狩湾新港地域開発計画は自民党の堂垣内道政時代から推進され、社会党の横路道政になって破綻があきらかになっても継続されてきました。工水事業はこれらの開発に伴う計画で、苫東工水は苫東地域にまったく企業立地が進まず、需要見通しもないまま、二風谷ダムに1日25万トンの利用を見込み昭和58年沙流川総合開発に参加し専用施設の建設を強行し、水を使っていないにもかかわらず、ダム建設負担金を払い続けています(注)。石狩湾新港地域工業用水道は給水能力3万5千トンという過大な計画で平成7年度横路知事のもとで専用施設建設を行いました。15年度の給水量は計画の10分の1の2,429トンで赤字を累積させています。これを推進してきた自民党、社会党(現民主党)両党の責任は重大です。

      このほか広域農道、日高横断道路(平成14年度までの事業費540億円)、大規模林道などわが党が指摘したムダな公共事業にも巨額の予算が使われてきました。

      また、企業誘致条例にもとづく助成金は、日立北海セミコンダクタ(株)に27億6,568万円、トヨタ自動車北海道(株)に19億5,650万円、千歳シリコン(株)(現三菱住友シリコン(株))に16億200万円、日石三菱精製(株)10億1,100万円など特定の大企業に過大な税金を投入しました。

      (注) 道が二風谷ダムと平取ダムからの取水中止を正式に決定したことから、ダム負担金の返還を国に求めています。

    • 3)住宅供給公社、エア・ドゥなど道の失政による膨大な出費

      北海道住宅供給公社は経営破綻し、平成15年に特定調停を申し立て、翌年2月に調停が成立しました。これにより、道は公社にこれまでの281億円の既存貸付以外に新たに114億円の貸付と金融機関に228億円の損失補償を行いました。貸付金は返済されるとの見通しを立てていますが、全額返済されるのは47年後の話です。228億円は公社借金の穴埋めに使われてしまいました。

      公社は道の出資によってつくられ、道が指導監督を行ってきました。また、理事長などに道の幹部が天下りしていました。公社は本来の勤労者向けの住宅供給の使命を忘れ、バブル期に高級マンションに手をだしました。公社が出した財務諸表は多額の売れ残りの分譲資産をかかえ、その資金計画も毎年借入金が累増していくものでした。道がしっかりチェックしていれば、ここまでひどい債務超過になることはまぬがれたのです。

      エア・ドゥへの貸付金も民事再生手続きで17億8,000万円を放棄、補助金も18億4,000万円をつぎこみました。

      道が100%出資する北海道土地開発公社の長期保有地の含み損(簿価と処分見込額との差額)が179億円もあり、不必要な公共用地をあてもなく買い込んだ責任は重大であり、今後整理が必要となります。

    • 4)国の法人税減税と地方交付税の削減による影響

      さらに、国の政策による税収減と独自財源の縮減が道財政に大きな影響を与えています。国の大企業減税の影響で、法人道民税と事業税が減少しています。超低金利政策により過去には300億円ぐらいあった利子割りが2桁台に落ち込んでいます。

      平成16年度からは「三位一体改革」がすすめられ、不当な地方交付税(臨時財政対策債を含め)の削減の影響が860億円にもなり、一般財源ベースの6.3%にもなり、深刻な財源不足をもたらしています。

      [人件費は財政悪化の原因か]

      道は「プラン」で人件費の10%削減をしめしましたが、「道職員が多すぎ、給与も高すぎるのが財政悪化の原因」と考える方もいます。しかし、人件費は「プラン」の数字を見ても平成6年の8,090億円が平成16年には7,640億円に減少しており(いずれも予算)、すでに1.7%の独自縮減をおしつけて民間賃金水準を下回り、ラスパイレス指数も98.5で47都道府県の中で下から13番目まで下がっています。財政危機を悪化させた原因とは言えません。教員、警察を含め道職員8万人の給与削減は、地域の購買力にも深刻な影響を及ぼします。

      職員配置の非効率はたださなくてはなりませんが、公務労働につく公務員の一方的な削減は、道民サービスの下落につながるものであり、より慎重な検討が求められます。

  3. 日本共産党の提言、追及で実現した無駄遣いの是正

    日本共産党は、計画段階から苫東開発など大型開発に反対してきました。共産党の追及で是正されたムダづかいもたくさんあります。共産党の指摘のとおり道政・財政運営をしていれば、こんな深刻な財政危機は避けられたに違いありません。

    共産党が、むだな大型公共事業と道の失政を追及してきたことは先にのべました。ここでは、共産党の提案と道民の運動で実現した無駄遣いの是正の例をしめします。

    • 1)官官接待などの追及、食糧費・交際費の大幅削減

      平成7年に表面化した「官官接待」は道民の怒りを呼び、共産党と道民世論、裁判を含む運動の力で、6年度に食糧費は7億3,200万円、交際費は1億2,900万円でしたが、15年度食糧費は4,596万円に、交際費は2,278万円に大幅に減少させました。

    • 2)官製談合追及で落札率(価格)の低下

      平成11年に上川支庁の農業土木工事の談合が公正取引委員会によりあきらかにされました。日本共産党は官製談合と政治家の口利きを追及し、この結果入札制度が見直され、平成9年度99%の落札率が15年度で95.3%(建設、農政、水産林務部発注分)に下がりました。その分道の歳出が節減されました。他の党は口利き疑惑で名前が上がった議員がいたため、まともな追及はできませんでした。

    • 3)日高横断道路などムダと浪費の公共事業の中止

      「時のアセスメント」で、党が中止をくりかえし要求していた士幌高原道路(91億円)、苫東工水事業(684億円)、松倉ダム(200億円)、白老ダム(170億円)、トマムダム(70億円)などが中止・凍結され節約されました。

      日高横断道路(道道静内中札内線)は平成15年2月に事業凍結がきまり、15年以降の事業費980億円のムダづかいをやめさせました。ところが、このとき日高・十勝選出の自民と民主党の道議は、道民世論に背を向け、一緒に継続をせまりました。日高横断道路は一部が開発局が施行する開発道路区間ですが、この見直しの中で他の6つの開発道路も中止、見直しが行われ821億円(うち道費164億円)の節約になります。(注)

      広域農道は日高中部地区などの中止を要求してきましたが、オホーツク中部の採択が見送られ、着工中のものも国と道の見直しで今後186億円の削減になります。

      (注) 平成17年2月の見直しで、さらに、5路線が中止になりました。

    • 4)道議会庁舎の建て替えを凍結させる

      道議会庁舎の建て替え計画が平成7年に持ち出されましたが、現行面積の2.5倍で304億円もかけるものでした。党道議団は「豪華庁舎」ではなく、簡素で道民に親しまれるものにするよう見直しを求め、9年にはいったん凍結されました。その後も経費圧縮による改築案などが検討されましたが、日本共産党は当面耐震など必要最小限の改修を行うよう提案しています。

  4. 日本共産党は道民生活と産業・雇用を支え、財政再建をはかります

    道の「財政立て直しプラン」では、1,700億円もの歳出削減による道民の痛みは10年間にとどまらず、その後も長期に続くことになります。「プラン」が言っていることは収支不足が改善され、財政だけは「健全化」されるということです。

    長野県では財政再建のため厳しい削減措置をしめしながらも、いわゆる「長野モデル創造枠予算」など福祉・医療、環境、教育、産業・雇用など重点施策を実行しながら財政再建を図ろうとしています。

    • 1)日本共産党は、道民生活を守りながら産業・雇用を支えるための財源を生み出し財政再建をはかります(基本的方針)
      • ① ムダと浪費の公共事業はきっぱり中止し、必要性と優先性、事業の内容・規模の総点検をすすめる

        道は、公共事業を「プラン」で平成19年度までに19%削減すると言っていますが、従来型のムダな大型公共事業の削減こそ思い切って行うべきです。大型公共事業は本州の大手ゼネコンが受注し、道内への経済効果も少ないからです。

        1. イ)船の来る当てのないマイナス14メートル岸壁は中止

          苫小牧東港、石狩湾新港のマイナス14メートル岸壁が建設されていますが、この岸壁を必要とする貨物を積んだ大型船は苫小牧西港でも年に4隻しか来ていません。西港で十分対応できるのに東港につくる必要はありません。また、石狩湾新港では、石炭とチップを積んだ船を見込んでいますが、年に数隻程度の利用しか考えられず、建設を中止すべきです。

        2. ロ)平取ダム、サンルダムなど必要性、自然環境に問題のあるダム事業は見直すこと

          ダムの中には水道やかんがい用水など過大な水需要を見込み計画され、また、貴重な自然環境を破壊するものがあります。洪水対策としても有効性に疑問が出されているものもあります。しかも、計画変更のたびに工事費が増加され膨大な税金が投入されています。長野県では、脱ダムを宣言し河川改修や森林整備で洪水対策をおこなう方向に転換しつつあります。必要性に疑問があり、自然環境を破壊するダムは直ちに中止し、すべてのダムについて必要性や規模の妥当性をあらためて検討すべきです。知床の世界遺産との関わりで問題になった治山ダム、砂防ダムも大型のものは総点検を行い、今後の事業も見直すべきです。

        3. ハ)高規格幹線道路、開発道路などの見直し

          削減ばかりが目につく「プラン」のなかで高規格幹線道路だけは重点的整備をうたっています。しかし、高規格道路は関係地域の理解を得ながら、整備の内容、進度の見直しをおこなうべきです。開発道路も抜本的に見直しを求めます。

          道道夕張新得線の赤岩トンネルは2キロ程度のトンネルに140億円もかけます。道道についてはトンネルや新しい橋梁を造るのに1ヶ所数十億円もかかります。道道上厚真苫小牧線や道道美唄浦臼美浦大橋などは中止を含め抜本的見直しを行うべきです。その他の事業費規模の大きな道道整備についても、必要性、優先性を十分吟味し、中止を含む実施時期の再検討を行い、実施する場合でも事業の内容・規模を見直すべきです。

          [生活密着型の公共事業への大胆な転換。建設業の経営と雇用対策に力]

          共産党は公共事業を否定しているわけではありません。公共事業は特養ホーム建設、学校の耐震改修、道営住宅の建設・修繕など中小企業と地元企業に仕事がまわり雇用効果の高い事業への転換をはかります。

          また、公共事業の減少で影響を受ける建設業と建設労働者への対策をきめ細かく実施し、住宅リフォーム事業など新たな事業を開拓し雇用の継続をはかることを応援します。

      • ② 地場産業の育成、地域資源循環型の産業づくり、環境・リサイクルを重点に北海道経済を立て直し、道税収入の確保をはかります

        工業団地をつくり道外からの大企業を誘致して経済の発展をはかるやり方は失敗しました。北海道の資源と産業を生かし、カネもモノも道内で循環する方向で産業振興策をつくる方向に転換が求められています。また、その方向での地域からの努力も始められています。

        北海道の基幹産業である農業、漁業、林業など1次産業をしっかりささえ、担い手の育成にも力をそそぎます。中小企業を守り、環境やリサイクルなどの新しい産業をおこします。

      • ③ 福祉、暮らしをささえ、道民生活の安定を最優先課題に

        財政のきびしい中でも道民生活の安定を最優先にすることは、地方自治法の自治体の役割からも当然です。教育、福祉・医療を守ることは道民の暮らし、消費を支え、さらに雇用もふやし、景気の回復のためにも大きな力となります。

        日本共産党は、医療費助成への1割負担は中止し、高校授業料の据え置き、私学助成を守ります。

      • ④ 道政における不正とムダをなくし、支出をおさえます

        道警の裏金問題で明らかになった捜査用報償費などに徹底したメスを入れ、削減をはかります。「天下り」先確保のための関与団体を思い切って整理し、補助金、出資金の適正化をはかります。

      • ⑤ 国に地方交付税など税財源の確保を求めます。直轄事業負担金は見直しを

        地方交付税は、現に地方公共団体が実施している医療、福祉、教育など住民生活に不可欠な行政サービスの実態をふまえ、地方財政計画に反映させ、必要な交付税総額を確保します。「三位一体改革」として打ち出されている国庫補助・負担金の廃止・削減を行う場合は、それに見合う財源を必ず確保するよう要求します。

        直轄事業負担金は廃止を含む見直しを求めます。維持費の負担金はただちに廃止を求めます。

      • ⑥ 高利の道債の借換をすすめます

        道債で3%を超える金利のものが1兆円をこえます。市中銀行だけで見ても3,209億円(平成16年3月末)あります。ただちに銀行との話し合いをおこない、低利に切りかえるべきです。

    • 2)医療費助成など切実な道民のための施策を守る財源を緊急につくりだします(当面の財源不足に対する対応)

      道民生活に大きな影響を与え、関係者や道民から大きな批判が起こっている次の事業の見直しは中止します。財源は、以下のように提言します。

      • ① 切実な道民要求に必要な事業費約93億円

        道が見直しを実施、あるいは、計画しているつぎの事業を基本的に現行のまま継続した場合の必要額は次のとおりです。

        1. イ)道単独医療費助成への1割負担導入を行わないと年間で50億円程度です。
        2. ロ)特定疾患治療研究事業(道単独の難病医療費助成)は肝炎と橋本病に15年度44億円の予算が使われています。いま計画されている肝炎、橋本病の見直しの影響額は24億円と推計されています。
        3. ハ)私立学校等管理運営対策費補助金は高校、幼稚園で平成15年度は道費上乗せ額は約29億円でした。15年度以降削減が続いていますが、当面15年度の1人当たり単価を維持するため10億円を確保します。
        4. ニ)17年度予定の高校授業料値上げ(月300円)をおさえるため約1億円。
        5. ホ)道営住宅家賃、駐車場料金、家賃減免見直しの影響額は経過措置後1億7,000万円程度です。
        6. ヘ)市町村への国保補助金は、16年度の6億円を維持します。

          総額約93億円程度の財源を確保することが必要です。

      • ② これらに要する財源の確保対策
        1. イ)苫小牧東港と石狩湾新港のマイナス14メートル岸壁工事の中止(18年度で終了予定なので事業費ベースで17年度46億円、18年度42億円、19年度以降50億円。道費で確保できる分は合わせて17億円)。
        2. ロ)高規格道路は16年度の道負担は137億円です。抜本的に見直します。高規格道路を含め道路事業全体における直轄負担金は15年度予算ベースで610億円です。直轄負担のあり方を見直すことを求め、改善されない場合は事業の縮小を求め、負担金を減らします。

          国の直轄維持費負担金90億円はただちに見直すことを求めます。

        3. ハ)苫東地区を通る道道上厚真苫小牧線は中止します。また、美唄浦臼線美浦大橋は145億円を要するものですが、近くに奈井江大橋があるので工事を凍結します。さらに、トンネル工事と橋梁をともなうなど大規模な道道整備は、防災、安全対策上緊急性を要するものを優先させ、整備内容の見直しを行います。
        4. ニ)平取・サンルダムなど国の直轄ダム工事費も16年度道負担31億円にのぼります。ムダなダム計画の中止を求め、負担金の削減をはかります。

          二風谷ダムに対する苫東工水事業の負担金は204億円全額の返還を国に強く求めます。

        5. ホ)広域農道については日高中部地区などさらに事業の見直しを行います。
        6. ヘ)高利の道債の金利の引き下げを求めます。銀行からの借り入れのなかに金利引き下げ条項が入っているものはただちに協議、実行をもとめます。
        7. ト)「天下り」先確保のための関与団体への出資、補助金はきびしく見直します。

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