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論評/解説
北電の横暴な体質を告発する奮闘/3月議会 13.03.31

北電の横暴な体質を告発する奮闘

3月議会

安倍政権は国民多数の願いに背いて原発再稼働の推進、新増設の容認、原発輸出の推進を公言。原子力規制委員会が7月にも策定する予定の「新安全基準」をテコに、原発の再稼働を強行しようとしています。北電の川合社長は1月30日の記者会見で、「電力の値上げを認めるか(それがイヤなら)泊原発の再稼働を(認めよ)」と、恫喝まがいの発言を行ないました。いずれも許せない行為です。

国民は昨年の熱い夏も、今年の厳しい寒さも、原発なしで乗り切りました。今度は「原発ゼロの日本」をめざし、日本共産党の底力を示す番です。

(一)社外監査役は?

企業に社外役員が置かれるようになったのは約20年前からです。当時、野村証券や山一証券など証券会社をめぐる不祥事が相次ぎ、企業の健全性や透明性を上げるためには「社外の視点」が必要との声が高まったことが背景にありました。「社外監査役」も同じで、「日本監査役協会報告書」では「社外監査役とは『社外からのクリーンな目で、厳しく会社をチェックする』のが役目」と述べています。

高額報酬に株の配当

北電の3人の社外監査役は、月に1〜2度の会議に出席するだけで年額700万円〜800万円もの報酬をもらっています。金額が高いことに加えて、3人全員が北電の株を多数保有し多額の配当を得ていることが真下紀子議員の調査でわかりました(「北電社外監査役がなぜ株保有?/真下道議が透明性を問う」)。

最も多かったのは弁護士の野崎幸雄氏で、北電の会長、社長に次ぐ9800株を保有していました。3人とも、就任当初は株の保有はゼロでしたが、年々保有株を増やし続け、北電との関係を深めている実態は「社外監査の役割」からはずれていると言われても仕方がありません。

真下議員が、こうした事実を示し「これでは『社外監査役』としての役割が形骸化する」と質問したのに対して、高橋はるみ知事も「法的には問題ない」としながら、「株の取引については適正におこなわなければならない」と答えざるをえませんでした。

「出自」からして〝落第〟

弁護士の社外監査役は、元名古屋高等裁判所の長官から北電に「天下り」したとして、マスコミに報道された人物です。彼が長官就任当時石川県の志賀原発訴訟が金沢地裁等で争われていたこと等からも、泊原発1・2号機廃炉訴訟を抱えていた北電にとっては貴重なアドバイザー的存在であったと推認されます。

彼は、14年間も北電の社外監査役を続けながら、その間判明しただけでも「みずほ銀行」や「東京ドーム」など常時3〜4か所の大企業の監査役を兼務していました。合計するといくらの報酬だったのか? 社外監査役として具体的にどんな役割を果たしたのか? 株の配当額も含め北電は道民に説明すべきです。

北洋銀行幹部の社外監査役は、最も社外監査役にふさわしくない人物と言わざるをえません。

彼も当時、社外監査役と他社の取締役を兼務していただけでなく、北電の大株主である北洋銀行の常勤役員でもあるのです(現在は頭取)。企業のサイフを握っているスポンサー的存在の大銀行の役員が、「公正・中立」な社外役員の責務を果たせるはずがありません。

そもそも少なくとも3人のうち2人は、〝出自〟からして「社外監査役」にふさわしくない人であったことが質問で明らかになったのです。北電は、早急に「社外の厳しい監査の目」を持っている人に代えるべきです。

(二)社員議員に給与が二重払い

北海道電力社員議員一覧
寄附元の団体名属  性主な肩書・職業
北電労組政治連盟伊達市議元北電社員
北電労組政治連盟道央地本道議・札幌市東区北電社員
北電労組政治連盟本店地本札幌市議・厚別区北電社員
北電労組政治連盟室蘭地本苫小牧市議北電社員
室蘭市議北電社員
北電労組政治連盟函館地本函館市議北電社員
北電労組政治連盟道北地本旭川市議北電社員
北見市議北電社員
北電労組政治連盟道東地本釧路市議北電社員
帯広市議北電社員

北電は、現役社員が地方議員を兼務する「社員議員」に対し、議員活動で仕事を休んでも給与を支払っていた「特例」を、2月からこっそり廃止していたことがわかりました。これは、3月11日の一般質問で真下道話が「北電は(前回4定で質問)北電社員の厚遇を改めるべきではないか」と高橋知事に見解をただしたのに対して、道が明らかにしたものです。

真下議員は、昨年の12月定議会の一般質問でこの問題を取り上げ、道議会や道内の市議会に「社員議員」が9人(表)おり、そのうち8人の市議は議員報酬以外に北電から給与を受けている実態を示し「議員への給与は総括原価方式で電気料金に含まれる。給与まで道民に支えさせるのはおかしい」——と高橋知事の認識を問いました。

知事は答弁で、「北電の社員が9人いる」ことは認めましたが「地方自治法で電力会社の社員が地方議員になることは禁じられていない」として、兼職には問題がない旨の見解を示していました。

しかし、真下議員の調査ではこれらの議員の中には、福島の原発事故以降も住民が求める脱原発の意見書の委員会や本会議議決に「欠席」し、「抵抗」している人もいることがわかっています。

今回の特例の廃止について、北電の広報部は「社会通念を踏まえて見直しをした」と発表したのですが、実際は「(恥ずかしくて)胸を張って改善したとは言えないから、共産党が質問するまで隠していた」(全国紙記者)と言われています。

真下議員の一貫した追及に、北電が「白旗を揚げた」としたらうれしい限りです。

(三上博介)

(「ほっかい新報」13年03月31日より)


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