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申し入れ

泊原発「安全確認協定」に関する要望書

12.07.30

2012年07月30日

北海道知事

高橋はるみ 様

日本共産党北海道委員会
委員長
西野 敏郭
政策委員長
畠山 和也
日本共産党道議会議員
真下 紀子
日本共産党小樽地区委員会
委員長
千葉  隆
国政対策委員長
菊地 葉子

泊原発「安全確認協定」に関する要望書

泊原発から10キロ圏内の4町村(泊、共和、岩内、神恵内)と別の枠組みで、道と後志管内16市町村、北海道電力が締結する「安全確認協定」(新協定)案が明らかになりました。

4町村と締結している「安全確保協定」(現行協定)は「地域住民の健康を守り、生活環境の保全を図る」ことを目的としているのに対し、新協定では「周辺の安全確認等」に限定され、現行協定に盛り込まれている「計画等に対する事前了解」や、道と町村職員による「立入調査」の項目は外され、事後的に16市町村等で構成される連絡会が報告を受けるだけとされています。住民の命と健康、財産を守るという地方自治体の責務を果たす上で支障となります。

昨年3月の福島第1原子力発電所事故は、同月末までに、大気中に放射性物質90万テラベクレルを放出しました(東電推計)。ひとたび過酷事故が起きれば、高濃度の放射能汚染が飯館村をはじめ50キロ圏にもおよぶなど、被害は極めて広範囲となり、収束も困難であり、数万人規模の住民が迅速かつ広域(遠隔)に、長期間の避難を余儀なくされています。

福島の現実は、協定内容を、10キロ圏内か否かで「線引き」することに合理性はないということを示しています。後志町村会長の宮谷内留雄蘭越町町長が、「4町村と同じ協定」を求めており、島根原発にかかわって、鳥取県知事も「島根並み」の協定を求めていくとしています。

また、現行協定は福島第1原発事故前に定められ、内容は極めて不十分であり、事故が発生しうることを前提に、住民が実際に避難し安全確保が図られるように、道と自治体、北電がそれぞれ役割と責任を果たすように内容を強化しなければなりません。

日本共産党は、停止中の原発は再稼働せず原発ゼロの日本と北海道を実現することが、福島事故からくみ取るべき教訓だと考えています。そして、北海道の豊かな自然条件を生かし、再生可能エネルギーの抜本的な拡大を進めることです。

その上に立って、新協定にかかわり、下記のとおり申し入れるものです。

  1. 「安全確認協定」でなく「安全確保協定」とし、自治体が政策形成過程に参画することを保障すること。現行の協定を、福島事故を教訓として改定・充実すること。
    • ① 新協定案には、原子炉施設の新増設や廃止などの際の「事前了解」(現行協定第2条)、過去に敷地内での火事、作業員の内部被ばくが発生した時に実施された「立入調査」(同第13条)は盛り込まれていない。周辺自治体を通過する「核燃料の搬送」(第9条)についての事前報告もない。事後報告にとどめず、協定を結ぶすべての自治体がみずからの意見が反映することができる枠組みとすること。
    • ② 「公害防止」(第4条)や「環境モニタリング」(第5〜8条)について、少なくとも現行規定より後退させず、全市町村を対象とすること。
    • ③ 「措置要求」(第14条)にもとづき、泊原発敷地内や周辺の断層調査にかかわる資料と経過、原子炉格納容器のフィルタ付ベント設備の設置、その他の安全対策などについて情報公開等を求め、住民への説明責任を果たすこと。この条項でできないのなら、安全確保のために情報公開を求めることができる条項を設けること。
    • ④ 災害につながりうる「異常時の措置」(第12条)、「防災対策」(第21条)の条項を充実し、道と自治体、北電それぞれが住民の命を守るためにどのような役割を果たすのか明記すること。賠償や除染についても規定を設けること。
  2. 協定の対象範囲を科学的知見にもとづいて定めること。
    • ① 行政区域の区分でなく、科学的な放射性物質の拡散予測にもとづき具体的な対策を行うための協定とすること。
    • ② 京都府や滋賀県の知事らは、国に対して、SPEEDIにもとづく拡散予測の公表や、地方自治体みずからがSPEEDIをつかって拡散予測を実施できることなどを求めているが、道はいずれも要望していない。国任せの同心円によるUPZにこだわらず、道みずからが科学的な拡散予測を実施し、自治体とも協議したうえで協定の対象を定めること。
    • ③ 九電・玄海原発の協定では、30キロ圏外の福岡市も対象とした。190万人が住み、政治・経済、医療などの機能が集中する札幌市が、40キロ〜80キロ圏に位置するという北海道の社会的条件を考慮し対象範囲とすること。
  3. 泊原発の安全対策も、敷地内と周辺の地層調査もまったく不十分であり、1,2号機の再稼働を認めないこと。
    • ① 道が16町村に示したとされる「道の考え方」で、「再稼働は(地元自治体との)協議事項ではない」と記していることは重大である。事前了解に、再稼働への同意を含めること。再稼働は泊1,2号機の安全が大前提であるから、道は、新協定を結ぶすべての自治体の事前了解なしの再稼働は認めないとの立場を堅持すること。
    • ② 福島事故を教訓に、原発事故が起こりうるものとの前提に立ち、数万人以上の迅速で遠隔、長期にわたる避難等を盛り込んだ防災計画の策定と、実際の避難訓練による検証を行わないもとで再稼働は行わないこと。

以 上