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北海道新幹線・札幌延伸計画は抜本的見直しを 12.03.08

北海道新幹線・札幌延伸計画は抜本的見直しを

党道委員会が「提言」

−並行在来線切り捨て、地方ヘの財政負担押しつけで進める札幌延伸に反対−

3月8日、日本共産党北海道委員会が提言を発表しました。そのポイントを紹介します。

記者会見する畠山和也さん
記者会見する畠山和也さん

日本共産党は、北海道新幹線についてこれまでもその都度、提言を発表してきましたが、政府が札幌延伸を正式に決めるなど新しい段階にきましたので、改めて札幌延伸についての政策提言を3月8日に発表しました。

1 並行在来線問題

発表した提言のポイントは第1に、並行在来線問題です。

整備新幹線の建設とひきかえに「並行在来線をJRから分離する」という着工条件は、全国整備新幹線鉄道整備法にはありません。

自公政権時代の「政府・与党合意」をそのまま民主党政権が引継いで着工条件にしており、まったく不当なものです。

そもそも沿線住民の生活の足となっている在来線と、全国の中核都市を有機的に連結する高速交通としての新幹線は、おのずからその役割を異にしており、それを同一条件で論じ、在来線切り捨てを新幹線建設の前提条件としている政府のやり方は、全く道埋にあわないものです。

沿線住民にとって在来線の切り捨ては、死活問題です。住民の交通権を一方的にうばうもので、地域の衰退につながりかねない重大な問題を含んでいます。ですから余市町では、町民2人に1人が存続署名をおこなっているのです。函館市民も「経営分離に反対する」署名が11万人も集約されているのも、地域振興にとってなくてはならない鉄路だからです。これを住民合意もなく、一方的に在来線を切りすてるやり方は撤回すべきです。

政府は未着区間の建設財源に、JR各社が国に払っている新幹線の貸付料を充てるとしていますが、この貸付料の一部を活用するだけで在来線の赤字を補填できるのですから、並行在来線の安定した維持をはかるべきです。

函館〜小樽間253キロという長大本線がJRから経営分離したら地域の崩壊にもつながりかねない重大な問題をふくんでおり、並行在来線は国とJRが責任をもって維持していくべきです。

2 建設財源問題

提言のポイントの第2は、建設財源問題です。

札幌延伸の建設費は1兆6700億円という巨額な建設費です。新幹線整備法によって、建設財源の負担割合は、2対1になっているので、5000億円にのぼる負担が生じます。道の試算でも、建設財源に充てる新幹線の施設利用料(貸付料)を未着工3区間の距離に応じた配分と、道債発行に対する地方交付税措置がされるなどの条件設定のもとでも2900億円と、巨額なものです。

2003年の国交省の試算では、1兆800億円と見積もっていた建設費が、今回公表された額は1兆6700億円と、5900億円も高騰しています。今後の資材高騰を考慮するとさらなる費用負担がかさみます。自治体に過大な負担を押しつけず、国とJRの責任で再検討すべきです。

札幌延伸は75%がトンネルですので、この工事に伴う自然環境問題、開業時までには100万人を超える人口減少問題や地域振興の問題など札幌延伸に伴う課題は山積しています。こうした問題についての全体構想も道民に明らかにせず、「着工先にありき」では重大な禍根を残すことになります。改めて北海道の総合交通体系についての道民的議論をよびかけます。

(12年03月18日付「ほっかい新報」より)