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2012年第1回定例道議会

【真下紀子道議の2012年第1回定例会一般質問】 12.03.12

2012年3月12日 2011年第1回定例道議会

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

  • 1.泊原発の再稼働とエネルギー政策の転換について
  • 2.災害対策と道産資源の活用について
  • 3.TPP問題について
  • 4.総合交通体系について
    • (1)HAC問題について
    • (2)北海道新幹線問題について
  • 5.税と社会保障一体改革の影響について

○30番真下紀子君

(登壇・拍手)(発言する者あり)私は、知事に順次質問いたします。

原発推進反省するのか、北電の「絶対的安全不可能」発言をどう受けとめるのか

これまで、自公政権時代から、2009年のプルサーマル計画の容認、昨年の再稼働問題での対応など、知事は、一貫して原発政策推進の立場です。

昨日――3月11日は、1年前に福島原発事故が起きた日です。1年が過ぎても、いまだ収束しない原発事故を前にして、知事に反省の思いはおありか、伺います。

北電は、泊原発廃炉訴訟の弁論で、絶対的安全は不可能と、開き直りともとれる発言をしています。万全な安全を否定したものですが、知事は、北電の主張をどう受けとめるのか、伺います。

検証も対策もないまま泊原発再稼動の判断をすべきでない

原子力安全・保安院が、連動地震の再評価を北電に求めました。今でも、垂直方向の基準地震動への対策は不十分です。

避難道路や防潮堤も整備されず、UPZ圏内の避難訓練も行われていないなど、危険な状況における泊原発の稼働継続はあり得ません。

泊原発3号機の定期点検は早急に行われるべきであり、再稼働の判断を行うためには、道が国に求めている二つの説明だけでは不十分です。

これらの安全対策が前提ではないでしょうか。何の対策もないまま、再稼働の判断をすべきではないと考えますが、知事の見解を伺います。

脱原発は道民世論、新しいエネルギー政策へ目標と計画を明確に

北海道新聞の世論調査では、64%が泊原発の停止を求め、75%が再嫁備に対し慎重な考えであり、脱原発へ、新たな価値観が明らかです。

脱原発、新しいエネルギー政策のために、道民の意見を把握すべきではないでしょうか。知事の見解を伺います。

道の省エネ・新エネ促進行動計画の第2期素案では、原発をどのように減らしていく計画をお持ちなのか、また、原発にかわる代替エネルギーをどのようにふやしていく計画となっているのか、明確にお答えください。

山形県のエネルギー戦略案では、2031年までに、2008年の電力消費量の約25%――原発1基分の100万キロワットの新たなエネルギー資源の開発を目指すために、風力で10倍、太陽光で19倍、中小水力で7倍など、具体的な数値目標を示し、工程表とともに、今月中の策定を目指しています。

一方、高橋知事は、再生可能エネルギーは主要なエネルギーの一つと言いますが、再生可能エネルギー関連予算は、前年度並みの4億円にとどまり、柱は企業誘致であり、何の新味もありません。

本道は再生可能エネルギーの宝庫と言うのであれば、何より、地域経済活性化に寄与する方策を希求すべきではありませんか。そのお考えを伺うとともに、具体的に、何を、どこに、いつまでにと、目標と年次計画を明確にして取り組むべきと考えますが、知事のお考えを伺います。

防災対策に道産木材の活用、自然エネルギーを生かした電源の確保を

昨年6月に、全国から注目を集める、岩手県住田町の木造仮設住宅を視察してきましたが、東日本大震災の教訓から、冬の寒冷に対応できる仮設住宅の必要性を痛感してまいりました。

土台となった道産カラマツ材にとどまらず、道産木材を活用した木造仮設住宅への取り組みを本格展開すべきと考えますが、今後、どのように取り組むおつもりか、伺います。

また、広範な本道において、災害時の地域電源確保は重要です。

長野県では、災害時の地域孤立に対応する自然ェネルギー発電を検討しています。本道でも、こうした電源確保を防災計画に盛り込むべきと考えますが、伺います。

知事の米韓FTPへの認識、TPP問題の情報発信、運動の決意ただす

次に、TPP問題です。

TPP参加により、北海道は、経済も暮らしも壊滅的打撃を受けます。TPPに先行している米韓FTAでは、毒素条項と呼ばれるISD条項、ラチェット規定などが大問題となっています。

それらの動向を注視することで、TPP参加の影響をはかり知ることができると考えますが、米韓FTAに関し、知事は、どう認識され、TPPとの関連やは、どのような影響をお考えか、伺います。

TPPの交渉過程は、国民に秘匿して進められようとしています。

道民会議が始動しましたが、さらなる道民への情報発信に、知事はどう取り組もうとするのか、運動の先頭に立つ決意とあわせて伺います。

HACの意義ふまえ、抜本的な経営改善対策の検討を

知事は、HACの意義について、離島路線や地域医療への貢献などを挙げています。離島路線の重要性は、長崎県における機体の重整備の補助や、離島路線利用保証補助などからも明らかです。

今後、支援のあり方を検討するために、道庁内に専門チームを設置し、収支不足の状況などを分析するとのことですが、HACが長期的かつ安定的に経営を行うために、道が積極的にHACを活用するための方策に加え、他県における支援の状況や、HACの地域医療への貢献状況などについても検証を行い、HAC社はもとより、すべての出資自治体とも協力した、当面の資金繰り対策にとどまらない、抜本的な経営改善対策が必要と考えますが、知事の見解を伺います。

新幹線札幌延伸は拙速を避け、並行在来線問題、道民負担など道民への説明を

次に、北海道新幹線に関連して、昨年12月、知事、副知事らが沿線の15自治体を訪問し、首長に対して、経営分離の決断を迫りました。

このような強引なやり方に対して、森町議会から、住民や議会が検討できる十分な時間的余裕を確保することを求める意見書が上がりました。至極当然のことです。

JRが、路線ごとの収支を地域に情報開示せず、道は、経営分離後の見通しも示していない中で、同意を強要するかのような進め方は、住民の意思決定をないがしろにするものと考えますが、知事の認識を伺います。

また、知事は、国が何らの積算根拠も示していない中で、2900億円の道負担分を表明しています。

国立社会保障・人口問題研究所の推計で、23年後の道内人口は441万人にまで減少するとされており、社会規模の縮小化が予想されています。

北海道新幹線といった大規模公共事業にあっては、将来の必要性や財政負担など、沿線住民はもとより、道民の方々全員への説明と議論がなされるべきと考えます。知事に所見を伺います。

消費税増税が道民生活と地域経済に及ぼす影響について問う

最後に、税と社会保障の一体改革に関連して伺います。

消費税が5%に増税される前年の1996年に、法人事業税の課税対象とならなかった道内法人は6割を下回っていましたが、2010年では、割合が7割を超えています。

また、同じ時期における勤労者世帯の可処分所得は、月額で46万3000円から39万3000円へと、15%も減少しています。

消費税増税以降、道民の暮らしは、これほどひどい状況ですが、消費税率が10%に増税された場合、道民の消費税負担額は幾らになると推計されているのか、示されたい。

あわせて、消費税増税が暮らしと地域経済に及ぼす影響について、知事はどのようにお考えか、伺います。

以上、再質問を留保して、私の質問を終わります。(拍手)


高橋はるみ知事の答弁

○知事高橋はるみ君

(登壇)真下議員の御質問にお答えをいたします。

最初に、泊原発の再稼働とエネルギー政策の転換に関し、まず、原子力発電についてでありますが、今回の福島第一原発事故は、原子力発電所の安全性を大きく損ない、信頼を著しく失うことになった事態であると受けとめているところであり、国において、今回の事故をしっかりと検証し、原子力発電所の安全性をより高める対策に取り組む必要があるものと考えております。

私といたしましては、道民生活や産業を支える電力の安定供給を図るためには、新エネルギーの積極的な導入により、多様なエネルギー源による電源構成とすることが不可欠であると考えております。

次に、北電の発言についてでありますが、先月13日の口頭弁論において、北電が、科学技術の活用においては、いかなる危険も生じ得ないという意味での安全性を求めることは不可能である旨の発言をしたことは承知いたしております。

私といたしましては、原子力発電所は何よりも安全を優先し、対応すべきものと考えているところであり、北電においては、原子力発電所の安全性をより向上させるため、今後も、さまざまな安全対策を講じていく必要があるものと考えております。

次に、再稼働などについてでありますが、私といたしましては、原子力発電所は何よりも安全を優先し、道民の不安の解消に努めながら、対応すべきものであると考えているところであり、泊発電所1、2号機の再稼働に当たっては、従来から国に回答を求めている二つの疑問点や、泊発電所の耐震安全性、ストレステストの評価結果など、さまざまな情報について、まずは詳細な説明をいただき、その上で、道の考え方を整理し、慎重に対応してまいる考えであります。

一方、避難道路や防潮堤については、できるだけ早期の整備を図る必要があるものと考えているところであり、また、防災訓練の実施に当たっては、広域的な住民避難を含め、実効性のあるものとなるよう取り組んでまいります。

次に、省エネ・新エネ促進行動計画についてでありますが、新たな行動計画においては、省エネ・新エネ促進条例の趣旨を踏まえ、中長期的に、持続可能な省エネルギーの実現と、新エネルギーを主要なエネルギー源の一つとすることを目指す姿としたところであります。

このため、太陽光や風力などのさまざまなプロジェクトの早期実現や、エネルギーの地産地消の推進、民間活力の積極的な活用による関連産業の振興などの施策を積極的に展開し、新エネルギーの導入促進に努めてまいります。

なお、エネルギー政策に係る道民意見の把握などについては、担当の部長から答弁をさせていただきます。

「国民合意、道民合意がないままのTPP交渉参加には反対」という、揺るぎない姿勢で対応

次に、TPP問題に関し、道民への情報発信についてでありますが、国は、TPP交渉に関し、関係国との事前協議により得た情報を国民に提供し、十分な国民的議論を経た上で結論を得るとしているところでありますが、先日開催をしたTPP問題連絡会議における国からの説明では、関税撤廃の対象範囲を初め、分野ごとの交渉状況について明らかにされないなど、説明は不十分なものでありました。

このため、道といたしましては、改めて、国に対し、明確な回答を求め、関係国との協議の状況などについて、再度説明を行うよう要請するとともに、この問題に対する道民の皆様方の理解の促進に向け、懸念される影響や、これまで明らかになった情報を新聞やホームページでお知らせするなど、一層の情報発信に取り組んでまいる考えであります。

いずれにいたしましても、道といたしましては、十分な情報提供がなく、国民合意、道民合意がないままでのTPP交渉への参加には反対するという、揺るぎない姿勢で対応してまいります。

なお、米緯FTAについては、担当の部長から答弁をさせていただきます。

次に、HACの経営改善についてでありますが、HACは、離島の皆様方の交通の確保、地域医療への貢献といった公益性を担い続けることが必要と考えているところであり、道といたしましては、HACの利用促進について、職員への呼びかけや、関係自治体などに対する働きかけを強く行っているところであります。

現在、HACにおいては、新たな事業計画を策定しているところでありますが、道といたしましては、地域医療への貢献状況も含め、幅広い観点から、HACの事業計画の精査を行い、経営改善が図られるよう、努めてまいりたいと考えております。

次に、北海道新幹線の札幌延伸に係る沿線自治体の同意などについてでありますが、札幌延伸については、長年にわたり、沿線自治体や経済団体の皆様と一体となって、要請活動を進めてきておりますが、昨年の秋から、急速に、未着工区間の整備促進への機運が高まってきたところであり、沿線自治体の皆様方には、それぞれ、さまざまな課題を抱えておられる中、御判断をいただいたものと考えております。

また、札幌延伸が実現いたしますと、首都圏を初め、東北・北関東地域との交流の拡大などが期待できるところであり、道といたしまじては、本道経済の活性化や道民生活の向上といった、さまざまな効果について、これまで以上に広報啓発に努め、道民の皆様方の御理解のもと、北海道新幹線の着実な整備が図られるよう、取り組んでまいる考えであります。

消費税増税で道民負担1兆1570億円に。実施には地域経済への配慮、丁寧な説明、十分な理解が必要

最後に、消費税の負担などについてでありますが、道税における地方消費税に関する収入額は、平成22年度で1157億円となっております。

この額には、一定の指標に基づいて計算した、他府県との清算分が含まれているところではありますが、消費税の1%に相当することから、この額を単純に10倍いたしますと、1兆1570億円となるところであります。

消費税の影響につきましては、これまでも、制度創設時や税率引き上げの際に、さまざまな見解が示されているところであり、一概に、その影響について申し上げることは難しいと思うわけでありますが、税率の引き上げは、国民負担の増加を伴うものでありますことから、その実施に当たっては、地域経済への配慮とともに、国民への丁寧な説明を行い、十分に理解を得ることが重要と考えるところであります。

以上でございます。


○総合政策部長荒川裕生君

(登壇)TPP問題に関しまして、米韓FTAについてでありますが、米韓FTAは、昨年11月に韓国国会で可決され、今月発効する予定でありますが、いまだに、国内で激しい議論が続いているものと承知をしております。

その内容は、関税品目の98%以上が撤廃され、農業分野では、除外品目が米及び米関連製品のみとなったほか、郵政や共済事業、医療、食の安全、安心など、さまざまな分野で、国内ルールの変更がなされるものと聞いております。

さらに、一度自由化した後は、新たに制限を設けることができないというラチェット規定や、相手国に投資した企業が不利益をこうむった場合に、国際仲裁機関に請求ができるISD条項が設けられておりまして、相手国企業の思惑で、政府や自治体の政策が変更を迫られ、自国民の安全、安心を守るための規制も制限されかねないといった強い懸念も報道されているところでございます。

こうした事実は、TPPの影響を考える上で大変参考となるものと認識しておりまして、引き続き、情報収集に努めてまいります。

以上でございます。


○経済部長坂口収君

(登壇)泊原発の再稼働とエネルギー政策の転換に関し、初めに、エネルギー政策に係る道民意見の把握についてでありますが、エネルギーの安定供給は、道民生活や産業活動を支える上で重要な課題であるとともに、原発の事故を契機として、エネルギーに対する道民の方々の関心が高まっているものと認識をしております。

新たな行動計画においても、有識者会議の開催やパブリックコメントなどを行いながら策定しているところであり、今後とも、議会の御議論はもとより、専門家や関係団体との意見交換、パプリックコメントの実施などを通じて、道民意見の把握に努めてまいる考えであります。

次に、行動計画の目標と取り組みについてでありますが、地域の特色あるエネルギーを身近な暮らしや産業に有効に活用していく、エネルギーの地産地消は、地域経済の活性化に寄与することから、こうした取り組みを全道的に広げていくため、新たな行動計画においては、ロードマップを盛り込んだところであります。

また、今後、数値目標を設定することとしており、新エネルギーの導入促進に向け、一つ一つ着実に取り組みを進めてまいる考えであります。

最後に、災害対策と道産資源の活用に関し、電源の確保についてでありますが、災害時において、避難された方々への、食料や医薬品はもとより、電源の確保が重要と考えております。

電源の確保を図るためには、本格的な復旧までに、安定的な電力供給が求められますが、その手法の一つとして、地域に身近に賦存する新エネルギーの効果的な活用なども検討してまいりたいと考えております。

以上でございます。


○建設部長武田準一郎君

(登壇)災害対策と道産資源の活用に関し、木造の応急仮設住宅についてでございますが、道では、災害救助法に基づき、プレハプの仮設住宅を建設してきたところでございますが、このたびの東日本大震災では、プレハブの供給に不足が生じたことから、木造の仮設住宅も建設されたところでございます。

このように、木造の仮設住宅も選択できることにより、災害時に、速やかに、必要な戸数の供給が可能となるため、道といたしましては、今後、関係団体などと連携しながら、地域材も活用した、木造の仮設住宅における標準仕様や供給体制などについて、検討してまいりたいと考えております。

以上でございます。


真下紀子議員の再質問

○30番真下紀子君

(登壇)指摘を交え、再質問いたします。

脱原発に向けた具体的行程示すべき

知事の答弁では、原発事故への反省もなく、脱原発に向けた北海道の行程も、再稼働と、その前提である対策がどこまで必要か、全く見えてきません。

道新の世論調査では、不安派は86%と高率で、安全派は14%にとどまり、電気料金が上がっても原発はとめておくというのが64%にも上っています。

知事と道民の間には大きな乖離があるのではないかと考えますが、知事の認識を伺うとともに、脱原発に向けた具体的行程については、全く答えていないので、再答弁を求めます。

道民は、現在のように対策が不十分なまま、泊原発の再稼働を受け入れる状況ではありません。

泊原発の垂直方向の基準地震動が、これまでに起きた大地震に耐えられるのかを伺うとともに、耐震性の確保、広域避難訓練の実施、避難道路や防潮堤の整備を再稼働の前提条件として考えるのか、明確にお答えいただきたいと思います。

再生可能エネルギーヘの取り組みの目標を明らかにすべき

知事の、再生可能エネルギーヘの取り組みは、看板倒れとの印象を受けます。

なぜかといえば、山形県知事は、卒原発を提唱した知事として、目標を明らかにした新エネルギー戦略を今年度中に策定すると、起点を決めていますが、高橋知事は、脱原発には触れず、お題目のように、省エネ、新エネの言葉を繰り返すのみだからです。これでは、取り組みに大きな差が出てくるのも当然です。

知事が、再生可能エネルギーを主要な電源とするためには、いつまでに、どれだけ必要か、お示しいただきたい。

私は、需要に応じて、どんどん供給する時代から、供給力を見据えた需要を考える縮小社会の検討も必要な時代に入ったと考えます。こうした提案をするのは私だけではございませんが、知事は、こうした提案も検討してはいかがでしょうか、あわせて伺います。

TPP問題、米韓FTA問題は道民にもっと周知すべき

TPPの影響を考える上で参考となる米韓FTAの規定により、地産地消、水資源やGM条例など、住民の安全、安心を守るための道の政策の変更が迫られかねない旨、部長から答弁をいただきました。

私も、TPP問題を調べていくうちに、この問題の重要性を認識したところですが、こうした米韓FTA問題などを含め、道民にもっともっと周知すべきと考えますが、知事のお考えを伺います。

新幹線問題について、情報を公開し、道民意見を聞く場を設けるべき

新幹線についてです。

道民に十分な情報提供がなされていない中では、札幌までの着工は到底認められません。沿線の15自治体でさえ、その3分の1に当たる5自治体で、住民説明会が開催されておらず、まして、沿線以外の道民は、かやの外に置かれているのが現状です。道民全体で将来の負担を担うのですから、道は、国、JRに情報を開示させ、道民に提供する責務があります。

全道において、道民の意見を聞く会を開催するなど、さまざまな情報を公開し、直接、道民の意見を聞く場を設けるべきと考えますが、見解を伺います。

指摘――消費税増税は生活と経営を圧迫し、道内経済、道財政にも悪影響

知事は、1月4日の記者会見で、消費税増税は避けて通れないと明言をされ、消費税増税を知事として評価されていますが、先ほど知事から御答弁があったように、単純に計算しても、消費税の5%増税で5000億円も負担がふえ、道の年間税収を超えます。税率10%の消費税では、道民負担は1兆円を超えるのです。

知事は、地域経済への配慮が必要との甘い認識にとどまっていますが、赤字でも売り上げにかかる消費税の過酷さを全くわかっていないと思います。

景気の低迷が続く本道にあって、消費税の増税は住民の生活と経営を圧迫し、苦しむのは道民です。また、消費税増税によって道内の経済情勢が悪化すると、道財政にも悪影響を及ぼすことは明白です。

道民の暮らしを守るためにも、消費税の増税ではなく、富裕層や、大きな利益を上げている大企業への増税、優遇税制の見直しが必要であることを指摘しておきます。

以上、再々質問を留保して、私の再質問を終わります。


高橋はるみ知事の再答弁

○知事高橋はるみ君

(登壇)真下議員の再質問にお答えをいたします。

最初に、省エネ・新エネ促進行動計画の考え方についてでありますが、行動計画では、脱原発の視点に立って、新エネルギーの利用を拡大する旨を定めた省エネ・新エネ促進条例の趣旨を踏まえ、将来を見据えて、新エネルギーを中長期的に主要なエネルギー源の一つとすることを目指す姿といたしております。

その策定に当たっては、議会での御議論はもとより、有識者検討会議やパプリックコメントなどを通じ、幅広い道民意見をお伺いするとともに、今後、ロードマップに基づき、計画に盛り込んだ施策を―つ一つ着実に進め、目標達成に向けて取り組んでまいります。

次に、泊発電所の再稼働についてでありますが、泊発電所の耐震安全性については、現在、北電において、陸域及び海域の追加の地質調査や、敷地前面海域の連動断層の南端を陸域まで延長した地震動評価を実施すると承知いたしております。

私といたしましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、泊発電所1、2号機の再稼働に当たっては、耐震安全性を含め、さまざまな情報について、国からの詳細な説明を求めているところであり、この中で、耐震安全性についても、しっかりと説明をしてもらう必要があると考えております。

また、避難道路や防潮堤について、できるだけ早期の整備を図るとともに、広域的な住民避難を含め、実効性のある防災訓練となるよう取り組んでまいります。

次に、省エネ、新エネの促進についてでありますが、私といたしましては、この計画において、中長期的に、持続可能な省エネルギーの実現と、新エネルギーを主要なエネルギー源の一つとすることを目指すことといたしているところであり、目標数値については、10年後の太陽光や風力などエネルギー種別ごとに、今後設定をしてまいります。

次に、TPP問題の周知についてでありますが、関税撤廃を原則とするTPP協定が締結された場合には、農林漁業や関連産業、食の安全や医療など、本道経済や道民生活に甚大な影響を及ぼすことが懸念されるところであります。

このため、道といたしましては、安全、安心を守るための制度の変更も迫られかねないISD条項など、米韓FTAに関する情報も含め、懸念される影響や明らかになった情報について、道民の皆様方の理解が一層深まるよう、新聞、ホームページを初め、さまざまな媒体や機会を活用し、積極的な発信に努めてまいる考えであります。

最後に、北海道新幹線への理解の促進についてでありますが、札幌延伸については、まずは、一日も早く、正式に認可、着工がなされることが重要であると考えているところであり、着工後、早期に、沿線自治体の皆さん方による協議会を設置することといたしております。

新幹線の整備計画や地元負担などについては、道議会を初め、この協議会などに逐次御説明するとともに、広く情報を公開してまいる考えであります。

また、新幹線が地域経済や道民生活にもたらす効果を含め、さまざまな機会をとらえて情報発信に努めるなど、道民の皆様方の御理解のもと、北海道新幹線の着実な整備が図られるよう、鋭意取り組んでまいる考えであります。

以上でございます。


真下紀子議員の再々質問・指摘

○30番真下紀子君

(登壇)指摘を交え、再々質問いたします。

脱原発に向かう決意を示すべき

まず、原子力政策に対する知事の姿勢についてです。

行動計画に関する知事の答弁では、脱原発という条例の視点に立って、脱原発を中長期的に目指すとして、脱原発の決定を先延ばしするものです。原発被害を前に、多くの人が原発推進について反省をし、原発をとめようとしているときに、知事の姿勢は、まるで何事もなかったかのようです。

現時点で、知事は、本気で脱原発に向かう決意をお持ちか、はっきりとお聞かせ願いたいと思います。

再稼働の前提を明確にせよ

また、再稼働の前提があいまいです。まず、知事は、垂直方向の基準地震動を幾つと認識しているのか、答えていないので、お答えください。

安全対策を言いながら、知事は、地震対策、津波対策を講じていなくても、再稼働の判断をしようとしているのですか。そうでないなら、対策をとってからの再稼働だと明確に御答弁ください。

目標期限を持ってエネルギー政策を転換すべき

エネルギー政策の転換についてですが、長野県では、東電が、79年ぶりに、農業用水を活用した大町新堰発電所――1000キロワットを1年で建設し、運転開始を目指しているところを視察してまいりました。原発が使えない中、本気で取り組めば、こうしたことは可能な時代なのです。

早急に、目標期限を持って、原発を稼働させなくても、電力を供給できる北海道を一緒につくろうではございませんか。知事、いかがでしょうか。

指摘――道民負担不明のまま新幹線延伸の政策決定をして将来に過大な負担を残すことは容認できない

新幹線問題についてです。

新幹線の正式着工前に知事が行ったことは、地方自治の本旨に照らしてどうかが今問われています。知事から発せられる情報は、経済的にも効果が高いなど、プラスのことばかりです。

人口減少、高齢化を迎える将来、道民負担がどれほどに上り、JRが過重負担となる部分だけを切り離した後の並行在来線維持に一体どれだけの税金を投入するのか、全く明らかにしていないではありませんか。

情報を開示しないまま、政策決定をするということは、住民自治とは相いれないと言わざるを得ません。このような中、新幹線について正式決定をすることには反対です。こうした声は私だけではありません。道民の声を幅広く聞くことを強く求めます。

いつか来た道を繰り返し、将来の世代に大きな借金を押しつけることを容認できないと、強く指摘しております。

以上で再々質問を終わります。


高橋はるみ知事の再々答弁

○知事高橋はるみ君

(登壇)真下議員の再々質問にお答えをいたします。

最初に、エネルギー政策などについてでありますが、道民生活や産業活動を支える電力の安定供給を図るためには、多様な電源構成が重要であります。

このため、今後、新エネルギーを中長期的に主要なエネルギー源の一つとすることを目指し、事業を一つ一つ着実に進め、エネルギーの安定供給が図られるよう努めてまいります。

次に、泊発電所の再稼働についてでありますが、原子力発電所の耐震安全性評価については、施設ごとに行うこととされているところであり、泊発電所の基準地震動は、水平方向が550ガル、鉛直方向が368ガルと評価されているところでありますが、現在、北電において、敷地前面海域の連動断層の南端を陸域まで延長するなどして、地震動や津波の評価を実施すると承知いたしております。

私といたしましては、泊発電所1、2号機の再稼働に当たっては、さまざまな情報について、国からの詳細な説明を求めているところであり、この中で、耐震安全性についてもしっかりと説明をしてもらう必要があると考えているところであり、その上で、道の考え方を整理し、慎重に対応してまいります。

最後に、新エネルギーの導入などについてでありますが、本道においては、太陽光と風力、小水力など、豊富な資源を有していることから、私といたしましては、その優位性を十分に活用しながら、新エネルギー産業の誘致活動やエネルギーの地産地消などの施策を進め、新エネルギーの本道への導入促進に努めてまいる考えであります。

以上でございます。


真下紀子議員の特別発言

○議長喜多龍ー君

真下紀子君の質疑は、同一議題について既に3回に及びましたが、会議規則第57条ただし書きの規定により、この際、特に発言を許します。

真下紀子君。

知事が原発依存脱却の決意をすることを道民は強く期待している

○30番真下紀子君

(登壇)議長の許可をいただき、特別発言をいたします。

泊原発は、縦揺れに弱い構造だということが明らかになりました。

何度伺っても、知事は、脱原発の視点をなぜ明確にできないのでしょうか。昨年来、道も関与したやらせ、安全神話、巨額の原発マネー、これらによって原発が推進されてきたことを私は明らかにしてまいりました。知事が対策をとらないまま、見切り発車するなら、まるで知事が原子力村の一員に見えてしまいます。

知事が原発依存から脱却する決意をして、国の対応を待たずに、道が率先して再生可能エネルギーを普及することに何の障害もありません。道民は、知事にそのことを強く期待しているのです。

昨日――3月11日、広島、長崎の被爆音の方は、原発の事故は、原爆による被爆と同じだ、子どもたちにその苦しみを繰り返させてはならない、原発の稼働を許してはならないと訴えられたとお聞きしました。

私は、知事とはいろんなことで意見が違いますが、知事がお子さんを連れて、広島、長崎の原爆資料館に行ったときに、知事が流した涙の意味は何だったのでしょうか。子どもたちへお話をした、その言葉は何だったのでしょうか。

私は、母親として子を思う気持ちをぜひとも政策に生かしていただきたいと思いますし、本当の意味で、知事が、原子力村から北海道に住民票を早く移していただきたいと述べまして、特別発言を終わります。


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[日本共産党道議団編集]

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