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論評/解説
教育支配の新たな段階/道教委「処分中間報告」の意味するもの

教育支配の新たな段階

道教委「処分中間報告」の意味するもの

政治的な「中間発表」

道教委が昨年来膨大な予算を使って実施してきた「不適切勤務実態調査」の中間報告を公表。新聞がいっせいに報道しました。「カラ研修1563時間」などと報道した新聞もあります。今回も調査中から学校現場の実態を無視した「調査」に批判が噴出、なし崩し的に「不適切」との断定を変えざるをえない事例も生じていました。

士別市の安川教育長は、「士別市教育研究会など『研究目的団体』の総会や会計監査への出席は本来業務ではないと処分と給与返還がおこなわれた」、さらに道教委からは被処分者は全校集会で謝罪し、PTAだよりなど印刷物での謝罪もすることと通知してきたと怒りをこめて述べています。

このような経緯から見て、「中間報告」はマスコミ報道をさせ、道民のなかに学校と教職員への不信を広げ、「処分ヘの反対」を封じ、学校と教職員への管理統制の徹底をねらったきわめて政治的な行為であると判断せざるをえません。

政治的背景の再認識を

今回の問題は、単に教師の勤務時間だけでなく、教師の仕事の内容や研修、組合活動などにわたって管理統制をしようとするもので、一昨年から文科省主導で開始された行政による教育と教職員への管理統制強化の「中間的」仕上げというべきものです。今回の調査の発端は自民党義家参議院議員の要求による会計検査院の調査とそれにもとづく文料省からの道知事と教育長への詳細な指示(全学校から提出させる書類の指定、道による直接の教職員調査など)によるものです。道教委は文科省の指示を忠実に実行しただけでなく、文料省から直接指示のない公立高校にまで範囲を拡大したのです。

教育的配慮も人権も無視

9・22えべつ革新懇など「どうなっている?北海道の教育」講演会 調査も授業中の教員を呼び出す、人権を無視した高圧的な詰問など、調査は教育的な動機ではなく、学校と教職員を抑えつけるのが目的です。「服務規律調査」でも個人の人権に関わると調査を拒否した教師が多数処分されています。大阪の「思想調査アンケート」同様のひどいことが道民の知らないところで実施されています。道教委の「指示・通知」に反する活動は認めず、違反すれば処分すると学校と教師を恫喝し、行政による支配を貫徹しようとするものです。

教育研究者佐貫浩氏は近著『危機の中の教育』で「新自由主義国家が、人権切り下げや国家主義の強制を進めるためには、この教育の現場で働いている人権意識や教育の自由についての感覚、そこから起こってくる新自由主義的教育政策への抵抗を突破しなければならない。その『抵抗勢力』を沈黙させる教員の服従体制が必要…」と述べています。道内でも「日の丸・君が代」強制を含め、政治・行政による教育統制は新たな段階を迎えています。

支配層は大阪のように地方首長主導と文科省・教育行政主導の二つの手法で教育と教職員への支配を徹底しようとしています。北海道は後者の手法で集中的な攻撃が行われているのです。

大阪のたたかいを教訓に

大阪ではなお橋下「人気」の強いなかでも府民的な反撃が職場からも地域からも開始され、「思想調査」を中止させ、思想調査を追及する裁判闘争も開始されています。北海道には大阪とは違った難しさもありますがこの攻撃に正面から立ち向かうたたかいを職場からも地域からも構築することが急がれます。そして貧困と格差が深刻化し、子育て、教育がかつて経験したことがない困難に直面しているいまこそ学校・教職員集団と地域の人々、道民との開かれた民主的な共同(協同)をすすめることが大事です。

民主勢力の責務が問われる重大な局面だと痛感します。

(森元昌輔)

(12年10月07日付「ほっかい新報」より)