日本共産党 北海道議員団ホームページ
ホーム
論評/解説
第2回定例道議会をふり返って

道民安全 くらし守る論陣

光る 真下道議の奮闘

2012年度第2回定例道議会が6日、閉会しました,3週間の会期申に、野田首相のゴーサインで福井・大飯原発3号機が再稼働しました。全国で原発再稼働反対の運動が広がるなか、日本共産党の真下紀子道議は、泊原発をめぐる問題に鋭く切り込み、道政を大きく動かしました。

(道議団事務局長・小田一郎)

「原子力ムラに迫った」

「道新」編集委員の大西隆雄氏は、定例会を振り返った論説記事で「真下紀子氏は…『原子力ムラ・北海道版』の一端に迫った」と評価しました(8日付)。

真下道議の一般質問(6月27日)に対して道が認めた点は、①泊原発1、2号機のストレステストを泊の原子炉を製造した三菱重工が受注した②北電子会社の北電総合設計が、泊周辺の活断層調査を請け負ってきた③原子力に関する道の2つの専門委員会の委員3人が、原発企業や団体から寄付を受け取っていた——ことです。

メーカー(三菱重工)が、自社製品(原子炉)に、〝落第点〟を付ける訳がありません。真下道議が、事業者任せのストレステストのやり直しを求めたのは当然です。

北電総合設計の現在の社長と監査役は2000年当時、北電社員として泊3号機建設をめぐる「やらせ」に参加し賛成を表明した人物です。さらに同社には、道幹部職員2人が天下っていることがわかりました。

寄付金問題では、道のプルサーマル専門会議の3委員が、総額692万5千円を受領。3人はともに、原子力の専門家で北大教授です。真下道議は、原発関連企業等からの寄付の公表と「原発利益に染まっている人を選任しない」ことを提案。高橋はるみ知事は、「寄付金等により(公正性に)影響を受けるとは考えない」と強弁しました。

真下道議が明らかにしたのは、産(北電、三菱重工)・学(北大)・官(道)が、やらせと原発マネー、天下りポストで癒着する「原子力ムラ・北海道版」の構造的な問題です。

翌28日、「赤旗」だけでなく、全国紙、地方紙がいっせいに、原発委員への寄付金問題を報道しました。「道新」は29日付のコラム欄、7月2日付の社説でも取り上げ、「影響はない」との認識を示した知事や専門委員を「自覚が足りない」と喝破しました。

連係プレーで

知事は4日の予算特別委員会で、真下道議に委員選任のあり方を「検討する」と表明。「影響はない」との一般質問の答弁から、変更せざるをえなくなったのです。

マスコミ報道と、政府が原子力規制委員会の委員選任基準として寄付金の公開などを示したことから道政与党の自民党までこの問題を取り上げました。真下道議の道理ある質問が、知事答弁を覆させました。

北電への要請行動
ストレステストの一部を三菱重工に委託したことを明らかさせた北電への要請行動=6月7日

真下質問には、原発関連の企業・団体から大学関係者に流れた寄付金についての「赤旗」の情報公開請求、北電への要請行動(6月7日)で畠山和也党道政策委員長が、「ストレステストの評価の一部を三菱重工が実施した」との回答を引き出したことなどが生かされた連係プレーです。

また、三菱重工などから550万円を受け取っていた元北大教授が原子力防災の有識者専門委員会座長も兼務し、SPEEDIに類似する三菱重工の放射能拡散予測システムを特段に紹介していたことを追及しました。

昨年11月、やらせに関する道の検証委員会の報告書で指摘された、原子力の専門家でないプルサーマル委員への「レク」についても質問。道は、道職員と北電職員が同行して事前に説明していた事実を認めました。

暮らしと環境、安全を守る

真下道議は、医療機関で消費税が「損税」となっており、10%に増税されれば、地域医療の崩壊を招きかねないことを告発しました。医療機関は、仕入れる医薬品や医療機器には消費税がかかっているにもかかわらず、社会保険医療費は非課税扱いとされ転嫁できないからです。。道立8病院の損税合計額は年間約3億円、札幌医大で5億円になることが明らかなりました。

消費増税反対の立場からの論戦は自・民・公にはみられません。


撤去工事が施工されたせたな町・良瑠石川の治山ダムを視察する真下道議ら=5月23日

せたな町・良瑠石(らるいし)川の現地調査に基づき、河川の生態系の回復を求めたのが、治山ダム・砂防ダムの見直しについての質問です。良瑠石川では、試験的なダムの撤去が実施され、サケやアユの遡上の増加が確認されています。治山ダムは全道に約2万4千基、砂防ダムは1125基。知事は、「下流域の安全を確保しつつ自然環境への影響を考慮し対応する」と答えました。

6月28日、道の新たな津波浸水予測図が示されました。大平洋側38市町188地点のうち、11市町46地点で高さ20mを超える津波が来る可能性があると予想されています。

真下道議は避難路と避難所の整備等で道がどのような役割を果たすのか、災害弱者の安全な避難をどのように実現するのかなど質しました。道から、「道営住宅が一時避難所として指定されている例はないが、今後の対応を検討したい」との答弁を引き出したことは前進です。

北海道エアシステム(HAC)への財政支援のため、1億1千5百万円の補正予算案が追加提案されました。真下道議は、採算ライン等の情報や、離島路線はもとより都市間路線における医療関係者の利用などの公共性、バスやJRを含めた道内総合交通体系のあり方など道民への説明を求めました。

HAC、公益法人
—道政のゆがみただす

さらに、道建設部が事務局を務めたHACの経営検討委員会が、会議録を作成しないまま9時間30分の録音記録を破棄した問題を取り上げました。これは、「読売」が情報公開請求をしてわかったものです。

真下道議の質問に対して、知事は「公文書の作成、保存、利用などの関係規定見直しのなかで、会議記録の取り扱いも検討する」と応じました。

公益法人への補助金と天下りについても質しました。包括外部監査で、「補助金の効果が全く検証されていない」と結論付けられた12の公益法人のうち、11団体に道職員24人が天下っていることが分かりました。真下道議は、補助金と天下りそれぞれを是正するよう求めました。

知事が提案した議案は11件。日本共産党は、総額約42億円の補正予算案など4件に反対しました。 真下道議は反対討論で、並行在来線(五稜郭−木古内間)の第3セクター会社の設立に向け、JR北海道から派遣される職員人件費を、道が全額負担する「法的根拠はない」と指摘。赤字路線を“切り捨て”るJR北海道が、人件費を負担すべきだと主張しました。

他会派は、11件すべてに賛成しました。意見案・決議案では、協会けんぽへの国庫補助率引き上げを求める意見書など8件が全会一致で可決。日本共産党は、東京オリンピック招致決議などに反対しました。

(12年07月15日付「ほっかい新報」より)