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道議団の動き
精神障害者に割引拡大/当事者団体と共産党 運動実る 12.08.07

精神障害者に割引拡大

乗合バス運賃 国交省が約款改定

当事者団体と共産党運動実る

国土交通省の乗合バスの標準運送約款(やっかん)が7月31日改定され、これまで運賃割引の対象とされていなかった精神障害者にも適用されることになりました。当事者団体の運動が、政治を動かしました。

委員会傍聴後、懇談する(左から)真下議員と江刺、細川の両氏
委員会傍聴後、懇談する(左から)真下議員と江刺、細川の両氏=7日、札幌市中央区

運送約款とは、鉄道や航空機、バス、タクシーなどの自動車、船舶などの運送事業者と乗客・荷主との間で定める契約のことです。事業者が、国交省が定める標準運送約款と同一の場合、その旨を届け出れば認可を受ける必要はありません。

今回の改定で、運賃割引の対象が、これまでの「身体障害者手帳」と「知的障害者の療育手帳」に加え、新たに「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者」にも拡大されました。

白川賢一・道保健福祉部長は、JRやタクシーのほか、航空会社などヘも要請し、精神障害者ヘの運賃割引制度が「早期に実現されるよう最大限努力する」と答えました。

委員会には、札幌精神障害者回復者クラブ連合会(「社団連」)会長・細川潮氏や視覚障害者の江刺誠一さん、車イスの障害者らが傍聴しました。

◇    ◆

2006年4月の障害者自立支援法施行により、身体、知的、精神の三つの障害は一元化されたにもかかわらず、精神障害者の医療費助成制度が立ち遅れるなどしています。公共交通運賃の割引制度も、精神障害者だけ対象となっていませんでした。

身体障害者と知的障害者の場合、JRとバス運賃、高速道路料金は50%割引き、タクシーも10%、航空運賃は会社、路線によって異なりますが、割り引きされます。一方、精神障害者については、JR、航空各社、高速道路ともに割り引き対象としておらず、身体、知的障害者とは大きな格差があります。

道精神障害者回復者クラブ連合会(道回連)、札幌市精神障害者回復者クラブ連合会(札回連)などの団体は、06年以降毎年、道に対して精神障害者への運賃割引適用を求める要望書を提出。国交省に対する標準約款の改正や、障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(障全協)の国会請願にも精神障害者の運賃割引を組み込むなど、全国の運動をけん引しました。今年2月には、全国から寄せられた約2万5000の国会請願署名が提出されました。

道も、道内交通事業者のほか、国へも要請。道議会も10年、同会からの請願を全会一致で採択し、国に意見書を提出しました。

◇    ◆

日本共産党も国会、地方議会で長年、後押ししてきました。高橋ちづ子衆院議員は08年、「3障害は同じ扱いをすべき」とただしました。大橋晃道議(当時)は1989年、「内部障害者と精神障害者の割引制度」の実現を要求。花岡ユリ子道議(同)は09年、道内41市町村がバス等の運賃助成をしているとして、「道として助成を」と求めました。

改正標準約款の施行は9月30日。バス会社が割引を実施するには、1カ月前までに、運輸局に対して運賃改定を届け出なければなりません。札回連の細川潮会長は「国の標準約款改定は力になります。バス会社やJR、札幌市などの事業者に直接要請します」と意欲を示します。


真下議員質問道「JRや航空の実現へ努力」

道保健福祉委員会で質問する真下議員
道保健福祉委員会で質問する真下議員=7日、札幌市中央区

この問題では7日の道議会保健福祉委員会で、真下紀子日本共産党道議が「バス運賃割引制度の対象に精神障害の方々が加わったことは、当事者団体の粘り強い運動の成果」とのべ、道としてのいっそうの取り組みを求めました。

精神疾患患者すべて(100%)が他の医療圈に通院している道内7つの2次医療圈
※道保健福祉部まとめ。診療報酬事務データ(2010年10月〜2011年3月)による。
居住する医療圈通院先の医療圈(通院比率)
南檜南渡島(100%)
北渡島檜山 南渡島(100%)
北空 上川中部(100%)
富良 上川中部(100%)
宗谷(49%):上川中部(31%):札幌(20%)
上川中部(69%):北網(18%):札幌(13%)
釧路(100%)

診療報酬事務のデータによると、一般的な保健医療を提供する道内21の二次医療圏のうち七つの医療圏では、精神疾患患者すべて(100%)が札幌や旭川(上川中部)、函館(南渡島)など他の医療圏に通院しています。真下道議は、「根室医療圈の精神障害の患者さんは100%、釧路まで通院している。負担は重い」と指摘しました。

真下議員は道が筆頭株主の北海道エアシステム(HAC)について、今年7月までの7カ月間で、のべ922人が身体障害者割引を利用していると紹介。精神障害者に対する航空運賃割引の実施を求めました。

白川賢一道保健福祉部長は、JRやタクシー、航空会社などへも要請し、精神障害者への運賃割引制度が「早期に実現されるよう最大限努力する」と答えました。

道回連など15団体でつくる「精神障害者にも身体・知的障害者と同等に運賃割引制度適用を求める実行委員会」の江刺誠一さんは真下道議の質問を傍聴し「バスに割引が適用になり、本当にうれしい。JRや航空機もという答弁も引き出してくれ、本当に良かったです」と話しています。

(12年08月11日付「しんぶん赤旗」北海道・東北のページより)