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提言

道議会改革の提言

道議会改革の提言

−道民の期待に応え、道民の役に立つ議会改革を進めます−

2011年02月10日   日本共産党道議団

目 次

1.提言の立場

2.ムダをなくし、道民に信頼される道議会に

(1)海外視察旅費を廃止します
(2)政務調査費を2割引き下げ、公開性を高めます
(3)議員報酬の2割削減、費用弁償の旅費の見直し、日当廃止で議会経費を大幅縮減します

3.道民と「双方向」で、道民の願いが反映する道議会に

(1)道民への「公開」と「参加」を拡大します
(2)答弁調整の廃止、積極的な政策立案など、「二元代表制」にふさわしい役割の発揮に努めます
(3)代表質問を毎定例会で。委員会質疑の時間「制限」廃止を

4.道議会議員としての倫理の確立を

5.道議会定数問題〜“道民と道政とのパイプ”を細くする定数削減ではなく、議員報酬や政務調査費等の徹底した見直しで議会経費の縮減を図ります

1.提言の立場

「公費での海外視察は中止すべき」「議員報酬は大幅削減を」――。

道議会に対して、道民の厳しい視線が注がれています。最近のマスコミ世論調査では、「道議定数を減らすべきだ」という道民が6割を超えています(「道新」2010.12.22付)。

道議会は2009年第2回定例会で、「北海道議会基本条例」(以下、「条例」)を全会一致で可決しました。「条例」では、「議決機関として、及び知事その他の執行機関に対する監視機関としてその責務を深く自覚し、道民に対する必要な情報の公開と説明責任を果たしながら、不断の改革と研さんに努める」(前文)とうたっています。

日本共産党道議団は2002年と2006年に、その時々の課題をふまえつつ「議会改革の提言」をおこなってきました。

また、年4回の定例会と毎月の常任・特別委員会で、「二元代表制」の一翼として知事の事務執行を監視・評価し、地方自治を前進させる立場で質問を重ねてきました。議会質問で道民の切実な要求を代弁することは議員の本分です。

さらに日本共産党道議団は、「議会経費」についても、改革の中身を先行して実践してきました。

ひとつは、1993年以降、党議員個人や会派による海外視察をいっさいおこなっていないことです。

もうひとつは、政務調査費の全面公開(1円からの領収書添付)を主張するとともに、10年前から求めに応じて、すべての領収書の自主的な公開を続けてきたことです。道議会としても、昨年4月からの全面公開が実施されました。

ほかにも、費用弁償の削減(改訂前「往復50km未満」15,000円と「50km以上100km未満」16,000円→3,300円など)と出張旅費の減額(大臣より高かった旅費を知事とともに見直し)、インターネットによる本会議や総括質疑の中継、タバコ自動販売機の撤去――など、日本共産党の提案が、道議会改革に結びついています。

日本共産党道議団は、道議会改革を願う道民のみなさんの世論、道議会の取り組みと党議員団みずからの実践の上に立ち、新たに「道議会改革の提言」を発表します。

2.ムダをなくし、道民に信頼される道議会に

(1)海外視察旅費を廃止します

4年間で1人90万円の「海外視察」に対して批判が強まっています。特定会派は、改選を半年後に控えた昨年秋、海外視察費のほぼ上限まで執行してデンマークなどに行きました。09年度には、韓国に行った道議6人の報告書が、多くはインターネットなどからの無断引用だったことが明らかになりました。

  1. 海外視察旅費を廃止します。必要であれば、自費で行くべきです。今期(4年間)でみれば、2,940万円が節約になります。全国的には、三重など4県議会で制度そのものがなく、15県議会が中止・凍結しています。
  2. 廃止までの措置として、「条例」19条の「議会活動に関する資料の公開」にふさわしく、詳しい調査報告と公開を義務付けます。

(2)政務調査費を2割引き下げ、公開性を高めます

政務調査費は現在、議員一人当たり・ひと月53万円。昨年、道議会議員の秘書が個人のパソコンを政務調査費で購入し、道議が18万円を返還しました。

  1. 今年度から、公開される領収書が「1円以上」となりました(全面公開)。公開に当たり、支払先個人名が「黒塗り」されていますが、個人であっても公金を受け取っているのですから、原則公開とします。
  2. 二つの会派がそれぞれの党本部に、「調査委託費」「人件費」「会費」として多額の政務調査費を納め、訴訟の対象になっています。また、年間100万円を超える高額な車リース契約も明らかになっています。領収書に限らず、政務調査費の執行を裏付ける資料の公開範囲を拡大します(契約書、活動記録簿、成果物など)。
  3. 2割削減し、原則として会派支給とします。年間1億2500万円の節約になります。

(3)議員報酬の2割削減、費用弁償の旅費の見直し、日当廃止で議会経費を大幅縮減します

地方自治法は、道民の税金を使う議会経費について、住民福祉の増進のため「最小の経費で最大の効果」を求めています(第2条第14項)。

  1. 道議会として2006年以降、議員報酬10%分を独自削減しています。議長、副議長以外の議員の年間報酬額は、10%削減で約1360万円。道民所得の低下のもとで、条例報酬(90万円)そのものを2割削減します。それによる節減効果は、条例報酬ベースとの比較で約3億円、現在の10%削減ベースと比べても1億9600万円になります。
  2. 費用弁償は08年度の見直しで、年間約4600万円を削減しました。さらに実費を上回る部分を原則廃止します。具体的には――
    • 「報酬の二重取り」と批判の大きい日当相当分3,300円を廃止します。
    • 宿泊料相当額14,900円を札幌市内のホテル料金の実勢価格(1万円前後)に引き下げます。
    • 定例会中の休会日に、「議案調査」のためとして費用弁償が支給されている議会は32道県です。支給に当っては、実際に登庁していることの確認を義務付けます(現在、北海道と香川県、鹿児島県の3議会だけが確認していません)。
    • 議会開会日の前後にも認められている宿泊費について、ホテル領収書等による確認と宿泊しない場合の返還を義務付けます。日本共産党道議団は、日当分についてはすでに返還しています。
  3. 委員会の道外・道内視察は理事会で協議した上で、目的にそった簡素なものとします。会派会長会議の弁当(年間15〜20万円)を廃止するとともに、夜間議会となった場合の夕食弁当(うなぎ、すし)を節減します。
  4. 議長肖像画の作成費は40〜45万円。作成と掲額をやめます。

3.道民と「双方向」で、道民の願いが反映する道議会に

(1)道民への「公開」と「参加」を拡大します

道政の「主人公」は道民・有権者です。道民のみなさんに議会活動が十分知らされること、議決された「結果」だけでなく議会議論の「過程」が公開されること、さらに、議会議論に道民が直接参加することが十分保障されるために、以下の諸点を提案します。

  1. 毎年の当初予算審議に当たって関係者からの公聴会(または参考人審議)を開きます。参考人は、学識経験者に限らず一般住民も招請します。
  2. 請願・陳情は、道民の基本的権利です。「紹介議員がいなければ回覧するだけ」という扱いではなく、請願・陳情は必ず審査します。希望する請願人・陳情人の意見陳述をおこないます。
  3. 予算委員会と決算委員会、常任・特別委員会の質疑、質問記録をインターネットで公開します。マスメディアやインターネット等を活用した積極的な広報・公聴をいっそう広げます。
  4. 議会傍聴を簡単にできない地域に住む道民のみなさん向けに、「出張報告会」や「タウンミーティング」をおこないます。

(2)答弁調整の廃止、積極的な政策立案など、「二元代表制」にふさわしい役割の発揮に努めます

道議会と道側との「答弁のすりあわせ」が、厳しく批判を受けています。道議会が「二元代表制」の一翼としての役割を発揮するために、以下の改革を提案します。

  1. 質問と答弁を細部にわたり事前に「調整」し、議場で原稿を読みあうだけの行き過ぎた「意見交換」を見直します。
  2. 本会議場での「一問一答」方式の採用、質疑のなかで知事から議員への「反問」の実施、議員間・会派間の討論(議員間討議)――について、課題を整理しながら進めます。
  3. 行政へのチェック機能の空洞化につながる、議会を通さない「要綱」や「専決」による事務執行を極力制限します。

(3)代表質問を毎定例会で。委員会質疑の時間「制限」廃止を

  1. 予算特別委員会につづき、2010年秋から決算特別委員会でも、「持ち時間制」が適用されました。「答弁調整」を助長し、少数会派の質問時間が著しく短縮されるなどの弊害を生じさせています。議員の質問時間と、決算特別委員会での書面審査日数を十分に保障します。

4.道議会議員としての倫理の確立を

「条例」では、議員みずからの政治倫理にかかわっては、「資産等の公開」(第14条)を定めているだけで十分とはいえません。

  1. 「企業・団体献金禁止」決議をあげます。日本共産党は国会、地方議会を通じて企業・団体献金を受け取っていませんが、道議会他会派にも「決議」をあげることを働きかけます。指名登録業者や補助金を受け取っている団体・企業からの献金、およびパーティー券の押し付けは直ちにやめるべきです。
  2. 政官業の癒着、談合などの事件の根絶のために、「口利き」を記録させ公表するシステムをつくります。鳥取や長野、高知など19府県では、議員による職員への働きかけについて、記録を残す制度があります。

5.道議会定数問題〜“道民と道政とのパイプ”を細くする定数削減ではなく、議員報酬や政務調査費等の徹底した見直しで議会経費の縮減を図ります

道議会の定数削減を求める道民世論の背景には、道議会と議員への不信や道の5兆7千億円にのぼる借金、さらに「道民の雇用は大変。議員だってリストラの対象」などの思いが重なりあっています。

日本共産党道議団は、道民のみなさんの意見を真摯に受け止めています。

道民の切実で多様な願いを道政に反映させることを大前提に、議会定数については議会経費の縮減などと一体に検討されるべきです。海外視察費の廃止、政務調査費と議員報酬の2割削減、費用弁償の改廃(一部)で3億6800万円の縮減になります。現在の報酬額でみれば議員17人分に相当します。

議員定数は、道民の道政への参画にかかわる問題です。議員だけでなく、「道政の主人公」である道民のみなさんの参加で議論されるべきだと考えます。

道議会議員が「道民の願いを道政に届け実現する」「行政をチェックする機能を果たす」という本来の役割を果たすこと、また、道民のみなさんの税金を使って議会活動をおこなっているという自覚にもとづき不断に「道議会改革」を推進する――この立場から、日本共産党道議団の「提案」をお示ししました。

道民のみなさんの率直な意見をお待ちしています。

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