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道議団の動き
臨時道議会/真下紀子道議の質疑要旨 11.03.30

臨時道議会

真下紀子道議の質疑要旨

30日に開催された臨時道議会での真下紀子道議の質疑の内容は以下のとおりです。

私は、日本共産党道議団を代表して、ただいま議題となりました「東北地方太平洋沖地震」に関連する災害対策などについて、知事に質問いたします。

質問に先立ち、この度の震災によって、お亡くなりになった方々、被害を受けられた方々に、衷心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

また、保健師をはじめ、災害派遣医療チーム、消防、警察など、多くの方々が被災地に赴き、懸命の救援・支援に当たられていること、さらに、総務部危機対策局をはじめ、多くの道職員の皆さんが、昼夜を問わず後方支援に奮闘されていることに対して、心から「ご苦労様」と申し上げるものです。

1 災害対応に係る知事の認識について

この度の地震による被害は、判明している部分だけでも未曾有のものとなっていますが、数万人にも及ぶ安否不明者が、今なお残されており、まさに「国難」とも言える状況にあります。

特に、被災された方々の救援、さらには福島原発事故の危機回避は、多くの人命に直結する、まさに緊急の課題です。

私たちは、この「国難」に対応するため、政治的立場を超え、日本国民の総力を挙げて、打開に向け取り組まなければならないと考えますが、知事の基本的な認識について、まず伺います。

2 道内被害への対応について

次に、道内被害への対応について伺います。

(1)水産業被害への対応などについて

本道における津波被害は、太平洋沿岸の広範囲にわたりました。

道のまとめによりますと、22日現在における水産関係被害は、養殖施設被害が16の漁業協同組合で166億円、漁船被害が714件で17億円、水産関連施設被害が268件で17億円に上るなど、明らかになっているだけでも、その被害は甚大なものとなっています。

私は、13日に浜中町、厚岸町に視察に伺い、水産業被害を目の当たりにしましたが、まさに言葉を失う悲惨な状況でした。

厚岸町長は「国は、個人補償の枠を超えて支援策をとるべき。そうしないと養殖漁家は立ち上がれない」と訴えていました。

知事は、この度の甚大な水産業被害をどのように受け止めているのか、伺います。

また、日高より東側の太平洋沿岸部の漁師の方々は、漁業施設共済にも特定養殖共済にも加入していないと聞いています。

漁船の更新や補修、養殖施設再建のため、道単独の助成措置を講ずるべきと考えますが、どのように対応されるお考えか、併せて伺います。

(2)緊急雇用交付金の活用について

平成12年の有珠山噴火、平成15年の台風10号被害の際には、道も市町村も緊急雇用交付金を活用して、被災者支援に取り組みました。

17日開催の経済委員会で花岡議員が取り上げましたが、漁業の支援、被災者の生活支援のためにも、八雲、えりも、豊頃、浜中など被災地向けに、緊急雇用交付金の特別枠を設定するなどして、道と市町村が一体となって取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

3 道外被災地への支援について

次に、道外被災地への支援について伺います。

去る17日、私たち日本共産党道議団は、道に対して、被災者の救援に全力を尽くすよう緊急の申し入れを行いましたが、道では、これを受け、18日に「道外被災県緊急支援対策本部」をスタートさせました。

(1)被災者の受け入れ体制について

被災地では、妊産婦、障害者、高齢者など、いわゆる「災害弱者」といわれる方々に過度な負担と犠牲が強いられている状況にあると聞いています。

道として、例えば、妊産婦さんの受け入れ枠を大幅に増やすことや、障害児や災害児の受け入れなど「災害弱者」の受け入れを積極的に行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

また、その際、北海道と歴史的にも地理的・経済的にも深い関係にある東北各県から、今後、1人でも多くの被災者を受け入れるため、「被災者・避難者の受け入れネットワーク」を構築し、道内の「官民挙げた受け入れ体制」を整備するとともに、そうした情報を積極的に被災地に発信していく必要があると考えますが、併せて、見解を伺います。

(2)生活用具の提供について

被災者の多くは、着の身着のままで避難されてきます。暖房機器や炊飯器、冷蔵庫など、最低限の生活用具は、行政が責任を持って提供すべきと考えますが、どのように対応されるおつもりか、伺います。

(3)総合振興局における対応について

この度の補正予算案では、借上避難所の開設や公営住宅入居のつなぎ対策として約3億円が計上されていますが、避難生活の長期化も懸念されることから、今後、さらなる対策を検討していく必要が生ずるものと考えます。

特に、東北地方と距離的にも近く、温泉などの保養機能を有する渡島・胆振の両総合振興局は、管内の市町村と協力して、被災者受け入れのためのネットワークや支援班を早期に設置するなど、本道の持つ保養機能を最大限活用した対策も検討していかなければならないと考えますが、見解を伺います。

4 原子力発電所の事故などについて

次に、原子力発電所の事故に関連して伺います。

(1)事故に対する知事の認識について

福島第一原発の放射能拡散は、農産物、原乳、水道水源にまで及び、人間の生存すら脅かしています。

風評被害は、もとより防がなくてはなりませんが、情報が正確・迅速に伝えられていないこともあり、国民の不安と不信は限界に達しています。

今回の震源の断層破壊は、南北500キロメートル、東西200キロメートルに及び、津波により、機器冷却系の機能が失われ、炉心溶融に至るという苛酷な事故となりました。

原発の安全管理にとって、核分裂連鎖反応による熱と核分裂生成物の崩壊熱、この2つの熱の制御が最大の課題ですが、福島では、使用済み核燃料の崩壊熱のコントロールが不能に陥っています。

この事故対策は、東京電力まかせではなく、東海JOCのように、原子力安全委員会に権限を与えて対処すべきと考えます。

そこで、まず、炉心溶融を引き起こしたこの度の事故に対する知事の認識を伺います。

(2)原子力発電所の安全性に対する知事の認識について

歴代の日本政府は「苛酷事故は起こりえない」として、苛酷事故を国の規制対象から除外し、事業者の「自主的活動」として、世界で唯一、国としての事故対策も緊急的計画も持っていませんでした。

国際原子力機関(IAEA)は、2つの大事故を受けて、1988年に「基本安全原則」の勧告を行ったのに、日本の対応方針は作られていません。

日本は、世界有数の地震国であること、何基も集中立地していること、しかも人口密集地域に近接しており、最もシビアアクシデント対策が必要なのにも関わらず、「原発安全神話」にしがみついてきました。

知事の通産省の11年後輩である、新潟県の泉田知事は「安全対策は独立した組織で」と正論を発信しています。

「原発安全神話の崩壊」、「独立した機関による安全対策の欠落」について、知事はどのような所見をお持ちか、伺います。

(3)泊プルサーマル計画の見直しについて

静岡県の川勝知事は「原発依存からカジをきれ」と発信し、脱原発、ソフトランディング構想を打ち出しています。

知事も、泊プルサーマル計画を一度立ち止まって見直すため、道民参加型の検討委員会を立ち上げるなどの考えはないのでしょうか、見解を伺います。

(4)泊原発の安全性などについて

大津波は非常用電源を襲い、また、引き潮時には、海水取り入れが出来なくなります。

この点について、泊原発は、完全な備えがあると言い切れるのでしょうか。

また、北電のバックチェックに当たって、変動地形学的な調査はなされているのか、伺います。

(5)道の防災計画の見直しについて

23年前のいわゆる「原発道議会」では、当時の日本共産党道議団長である本間喜代登議員らが、「避難範囲が10キロではあまりに狭い」「避難道路が当丸峠一般では危うい」と指摘をしています。

道の防災計画の避難区域を30キロまで拡大して対応する、また、そのために弁護士や専門家を加えた、道民検討委員会といったものを設置すべきです。

知事の見解を伺います。

5 今後の災害対策について

最後に、今後の災害対策について伺います。

(1)耐震化整備などについて

1) 避難所の耐震化などについて

この度の災害における避難所の状況をみたとき、避難所のハード・ソフト両面での整備が、2次災害を防ぐためにも大変重要だと感じています。

道内では、平成20年10月現在で6,458カ所の避難所が指定されていますが、耐震化の状況はどうなっているのか、また、福祉避難所は、道内の多くの市町村が指定できていない状況と聞いていますが、実態はどうなのか伺います。

また、この度の災害を踏まえ、避難所の耐震化や、災害弱者にも対応できるように福祉避難所の指定を早急に進めるべきと考えますが、見解を伺います。

2) 小中学校の耐震化について

本道の小中学校の耐震化率は60%に過ぎず、全国47都道府県の中でも下から5番目という状況です。

青森県、宮城県など10県では、県単独の助成制度を設けています。

災害時には避難所ともなる学校と児童の安全を守るため、道単独助成制度の創設を検討すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。

(2)津波災害等への対応について

1) 連動型地震と大津波を想定した対策について

今回の地震では、太平洋プレートのエネルギー蓄積を思い知らされました。

十勝沖、根室沖で発生しうる連動型地震と大津波を想定した抜本的対策が必要であることが浮き彫りになったと言えます。

北大の地震火山センターの知見も生かして、十勝沖、根室沖の連動型地震と大津波対策を産学官の知恵を結集して検討していく必要があると考えますが、見解を伺います。

2) 避難計画の作成などについて

道内市町村で津波ハザードマップ作成しているのは41市町村に過ぎず、また、避難計画を作成している市町村は18市町村に過ぎません。

大津波の恐怖が、道民の皆さんの意識にある今こそ、避難計画の作成や避難訓練に取り組むことが必要であり、有効であると考えますが、どのように対応されるおつもりか伺います。