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談話
民意ゆがめる暴挙/北電の「やらせ問題」を斬る

民意ゆがめる暴挙

北電の「やらせ問題」を斬る

道民の世論をゆがめる北電のやらせ問題が9〜10月の北海道最大の社会問題となり、道民の不信をよびおこした。

泊原発1、2号機の再稼働がこれからの焦点ともなる中で、改めて北電やらせ問題をえぐってみたい。

(S)

北電は「おわび」しているか?

北電社長のやらせ関与を追及する真下道議
北電社長のやらせ関与を追及する真下道議=26日、北海道議会特別委員会

道議会エネルギー特別委員会は10月26日、北電佐藤佳孝社長を招き質疑を行なった。「現場がよかれと思って一生懸命仕事をやった結果、こういうことがおこったんだと思う。経営者として現場の苦労を知らなかったことを反省しなくてはならない」。

しかし、反省すべき根本はそこにはない。やらせの結果がバレたことにあるのではなく、道民世論をじゅうりんし、逆転させた(例えば10月の意見募集に北電関係者を多数動員した)ことにある。結果ではなく。原因そのものへの反省がない。

「偽装民主主義」「民意をゆがめた」ことを、北電管理職が意図的に実施・実行(例えば、本人の了解もえることなく、住民の名を借用して意見を提出。また、発言の意思がない人に発言原稿を渡して発言させた)したことにある。

北電の社長がおわびしたのは「信頼を損ねる結果となったことをおわびする」(10月17日の記者会見)にすぎない。

結果におわびするのではなく、やらせ自体への反省と謝罪がない。

社長は知らない?

北電の経営者・社長らは「やらせ」を知らなかったことにして、自らの責任を消去しようとしている。しかし。現場を知らない経営者なら失格である。まして社の命運をかけた泊3号機のプルサーマル問題を左右する手続きなのだから。

その重大事遂行をどうすすめているかをつかんでいないことがありうるのか。「道新」11・10・27は――「第3者委員会の報告書をすべて受け入れるといいながら『それは第3者委の問題だ』というなら、北電の説明責任はどこにあるのか」。共産党の真下紀子氏は同社上層部の、やらせ関与について「事実認定は第3者委員会に委ねた」と繰り返す北電側に対して、いら立ちをあらわにした――と3面トップで報じた。

第3者委員会は、経営者の直接関与は確認できなかったとしたが、間接的関与・教唆を否定していない。いわば灰色としている。佐藤社長は、自らの胸に手をあて真相を語るべきなのに、説明責任を放棄している。これは信頼回復の道を自らふさぐものである。

道の関与は闇の中

いま焦点になっているのは、やらせに道の関与――道と北電の話し合い(08・7・8)で、道の原子力安全課長が、「反対意見が多いので、地元から反対派の主張を打ち消す意見もほしい」と発言した――である。

プルサーマル(MOX燃料)実施は国策であり、08年度末までに合意すれば、総額60億円の交付金が支給されるため、道政は合意を急いでいた背景がある。

道は「そんなことをいうはずがない」と否定している。いった、いわない、の水かけ論になりがちだ。しかし、道がもし否定するのならハッキリした証拠を示すべきである。

一番いいのは当日の会議メモを出すことである。正式な記録はないというが、課内打ち合わせならともかく、外部の方、とくに重要問題で打ち合わせする時、メモをとらないことなど道庁の職場ではありえない。

当日だけではなく。何回も打ち合わせは繰り返されている。しかも道側は、意見総数と賛否割合(否が6割)を北電側に伝えている。とすれば賛否逆転するには何通の賛成意見があればいいのかがわかる。それだけでも北電に示唆したことまちがいない。

北電が暗示・教唆・助言と受けとめたことはまちがいない。ありがたいと感じた。道が否定するなら課長ら3人のパソコンの全面復元をして、道民の前にさらすべきである。それをしないなら、道のいい分は説得力をもちえない。道の検証委員会の本気度が問われる。

北電のやらせ問題('08年)での第3者委員会の主な認定内容
注=「朝日」11.10.15より
 開催日(2008年)主な認定内容第三者委の評価
ご意見を伺う会 5月30日〜6月1日 北電が泊原発の地元4会場に2人ずつの動員依頼。4つの質問例文を作成、例文とほぼ同じ内容の質問があった (プルサーマル計画への)判断がゆがめられたとする証拠は見いだせす
道の意見募集 6月〜7月 7月8日会議メモに、道から北電側への「地元から反対派の主張を打ち消す意見も欲しい」との発言があった、と記載 道も関わっており遺憾だが、意見の集約結果をゆがめたか不明
プルサーマルシンポ(国主催) 8月31日 反対派の参加を退けるため計143入の動員を予定。北電社員92人も出席。推進は住民用に13の質問案を作成、2人が案とほぼ同じか趣旨に沿う質問をした アンケート結果や推進派と反対派の質問者数の割合に影響
プルサーマルシンポ(道など主催) 10月12日 北電社員ほか協力会社 商工会なと計300人の動員を予定。アンケートにも推進派意見を反映するよう要請 参加者の動員とアンケート記入要請はアンケート結果に少なからず影響を及ぼした疑い
中間報告に関する意見募集 10月 「パブコメ」と題する意見例文集に3O例文を掲載。前者で200件の意見提出が進められ、例文を基にしたと思われる意見もあった 意見の集約をゆがめた可能性が相当程度認められる

(11年11月06日付「ほっかい新報」より)