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道議団の動き
TPP交渉参加「慎重に検討を」/北海道、政府に要請 10.11.02

農業衰退は地域の崩壊

TPP交渉参加「慎重に検討を」

北海道、政府に要請

国のありようを根本から変えるといわれる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への交渉参加問題で、北海道は、道農業協同組合連合会など17団体で構成する北海道農業・農村確立連絡会議と連名で、「国民合意が取れるまで十分な時間をかけて慎重に検討すること」を求める緊急要請を10月下旬に農水省にしていたことが2日までにわかりました。

緊急要請では、TPPについて、外国からの輸入品にかける関税を原則100%撤廃する貿易自由化をめざすものと指摘。そのうえで、「仮に重要品目の関税撤廃の例外措置が認められない交渉となった場合は、本道農業ですら、米国や豪州と比べ土地や社会条件等が大きく異なることから、その格差は関係者の構造改革努力だけでは埋められず、戸別所得補償で農家所得を確保するとしても、対応できない部分もあることから、農業生産を継続することが困難となることが危惧(きぐ)されます」としています。

運送・卸・小売・・・各業種に影響

農業のほか「地域の関連産業も甚大な影響を受ける」と指摘するとともに、農業が営まれることによって脈々と築かれてきた歴史と伝統に根ざした地域固有の文化を伝承する役割などの機能も失われ、地域社会が崩壊することが懸念されます」としています。

具体的な要請として国際貿易交渉に当たって「農業・農村の多面的機能の発揮や食料安全保障の確保を図るなど、日本提案の実現を目指すというこれまでの基本方針を堅持し」て、「食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なわないよう対応すること」を求めています。

北海道が緊急要請する際に、TPP参加の影響試算や「農業が地域の雇用・経済に果たす役割」として畑作地帯A町の場合を公表しています。(図表参照)

それによると、A町の場合、町内の仕事に従事する人1万700人のうち、6800人(64%)が農業関連なのです。

図表の説明として、「農村は農業を中心に運送業、卸、小売など多くの“仕事”と“人”が関連して成立する。農業の衰退は、地域の雇用・経済に大きなダメージを与え、地域の崩壊につながりかねない」としています。

北海道は、畑作を例に挙げた理由について「関税の撤廃となると、米や牛肉のように全国的に大きな影響を与えますが、畑作も、例外ではありません。とくに、一つの作物だけ作るのではなく輪作です。砂糖のもとのビートやでんぷんの原料になるバレイショなどへの影響が心配です」(農政部)と、のべました。

図表:北海道農政部農政課作成資料より

(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/nsi/tppsisan)

図表:農業が地域の雇用・経済に果たす役割(畑作地帯A町)

(10年11月04日付「しんぶん赤旗」より)