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道議団の動き
ダム事業検証全国集会開かれる 10.10.03

ダム事業検証全国集会

ダムによらない治水、利水で

負担かけず資源守れる

10月3日、北大構内で「北海道のダム事業を検証する全国集会」―サンルダム、二風谷・平取ダム、当別ダム―が開かれました。

集会は、ダム事業の検証結果を「北海道自然保護協会」の佐々木克之氏が報告。現地からの報告として、サンルダムを「下川自然を考える会」の宮田修氏、平取ダムを「平取ダム建設問題協議会」の松井和男氏、当別ダムを「当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会」の安藤加代子氏がそれぞれ報告。水源連共同代表の嶋津暉之氏が検証会議に参加しての報告。総合討論〜河川を国民のものに〜で、大河原雅子参院議員(民主党)や日本共産党の真下紀子道議、伊藤牧子札幌市議(市民ネット)と嶋津氏が発言し、最後に参加者から、集会アピールを採択して終了しました。

3回の検証結果は!

佐々木氏は、ダム事業検証の目的について、ダム推進の国交省・地方自治体による検証作業では民意を反映した検証になってなく、市民自ら検証作業を行ない、今後予想される検証作業に反映することが重要と提起し、国交省が凍結しなかったダムについても検証作業の対象にしました。

検証は、①利水、②沙流川の治水、③天塩川と当別川の治水、④環境問題、⑤地域振興、⑥費用対効果の6点について実施する計画で、今年3月から3回実施、提言を国交省・有識者会議に送付してきました。

3回の検証作業で、サンル、平取、当別とも、ダムによらない方法がよりよい治水となり、水道水や灌漑用水も確保できる、河川生態系が保全され、地域住民の財政や生活に負担をかけず、漁業資源や観光資源を守ることが明らかになった、と活動内容を報告しました。

サンルダム―必要性なく環境を破壊

真下氏はサンルダムの問題点について次のように発言しました。

開発局が作成したパンフで、256キロメートルに及ぶ天塩川は、「人工構造物のない最長の川」と紹介しているほど豊かな自然に恵まれ、サクラマスとその稚魚のヤマメの宝庫です。

09年第3回定例道議会で、道内で見直しを求められている国直轄4ダム、道の補助ダム1か所の費用対効果について、初めて知事は「費用便益比は、1.1から2.5で、中止が表明されている八ッ場ダムの3.4よりも、すべて下回る」と認めました。

名寄市も下川町も今後人口減少が予測され、需要が増加するめどはなく、治水対策では堤防、河道掘削、排水機場の整備が進めばダムは必要ないとの考えを示しました。

魚道についても、準絶滅危惧種のヒメギフチョウ、絶滅危惧Ⅱ類に指定されているカワシンジュ貝が甚大な影響をうけることを指摘しました。

また有識者会議の報告「中間まとめ」に対して、①事業を推進してきた国と地方自治体で公平な検討ができるのか、②反対派住民が直接検討に加わることができない、③サンルダム、平取ダムの現地視察した知事は、推進派の自治体首長の意見だけ聞くにとどまった、④専門家会議の委員のほとんどが利害関係者であることを問題提起し、その中で下流域の北るもい漁協天塩支所が、当初からシジミ貝への影響などを理由に反対したことにふれ、産業界からの反対はめずらしい、自然と調和した漁業振興にとりくむ漁業者の気骨を見せているとのべました。

最後に真下氏は、今後道議会では「水道事業や農家への負担とともに、道財政に与える影響についても明らかにさせていく必要がある」と決意を明らかにしました。

(原)

(10年10月10日付「ほっかい新報」より)