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「いのちを脅かす国保広域化やめよ」の声を 10.09.19

「ほっかい新報」9月19日付記事

国保値上げ、徴収強化への道?

「いのちを脅かす国保広域化やめよ」の声を

真下道議議が質問9月7日保健福祉委員会

153万人の道民が参加する国民健康保険は、市町村毎に(広域連合の後志、中空知、大雪のぞく)保険運営がおこなわれてきました。しかし「国保広域化」になると、これまでの国保が解体=広域化され、国保料値上げなど住民負担増と徴収強化への機能特化するおそれが強い―新しい段階を迎えています。

このことが7日の道議会保健福祉委員会の真下紀子道議の質問で明らかになりました。市町村でどう対処すべきか、考える時です。(S)

9月中旬に市町村に説明会 年末に広域支援方針

34市の08年度国保会計への一般会計から繰入れ(被保険者一人当り)(単位:円)
保険者名法定内法定外合計基金保有額
市計29,65513,28242,9372,781
町村計23,1604,37627,53618,924
市町村計28,04011,06739,1076,796
札幌市31,239②25,06556,3040
函館市30,0701,75531,8250
小樽市34,71912734,8460
旭川市28,363④13,74242,10510
室蘭市33,299033,2990
釧路市32,7312,30235,0334,922
帯広市30,2511,98832,2397
北見市24,67773125,40811,336
夕張市33,28615133,4370
岩見沢市29,0664,00133,0670
網走市27,1002,83729,9370
留萌市32,533032,5330
苫小牧市28,750⑦10,28339,0330
稚内市25,171⑥12,33537,8060
美唄市30,603030,60353,900
芦別市23,54711323,66061,256
江別市21,2831,61825,90129
赤平市41,615①73,059114,6740
紋別市27,8101,44529,2557,761
士別市22,1372,31224,44933,721
名寄市27,579027,57936,999
三笠市23,297⑩ 6,41729,71494,337
根室市30,6091,09531,70412,800
千歳市26,422⑨ 7,82234,24482
滝川市33,568033,56824,245
砂川市29,792029,7921,993
深川市27,350027,35022,605
富良野市27,4942,31529,80911,035
登別市30,958030,9580
恵庭市25,409⑧ 8,60534,0140
伊達市27,88574128,62610,566
北広島市17,771⑤13,40731,1780
石狩市26,509③18,11144,6200
北斗市20,1395,23525,3740

改正国保法が通常国会で成立し、5月19日の国の「広域化等支援方針」の策定を受け、道は市町村にアンケートも行ない、国保運営の広域化と安定のため、支援方針の策定に入っています。真下質問に対して、保健福祉部は「道の考え方等について8日〜14日まで、全道6か所で市町村等への説明会を開催する」「素案を策定したら改めて説明会をひらき意見を聞く」と答えました。

国保が広域化(道ないし広域連合)されると、①住民、被保険者の声がほとんど届かなくなる、②後期高齢者医療広域連合のように、地元市町村の意向すら反映されなくなり、③法定外繰入れ169億円が廃止、④市町村単独事業が廃止、⑤国保税・料の徴収に特化する恐れが大です。ですから法による広域化(市町村国保の解体)推進を認めないという立場から、厳格なチェック・追及が必要です。市町村への申し入れ、議会質問も欠かせません。

目標収納率かかげ交付金減額の除外緩和?

広域化支援方針の内容は、①事業運営の広域化、②財政運営広域化、③県内標準(収納率目標、赤字解消など)の3本(細かくは12本)です。

国は収納率向上を盛りこんだ支援方針を年内に決定すれば、これまで進めてきた低収納率へのペナルティを解除するというアメを提示しています。

道は7月、初めはいずれも検討するとしてきた収納目標を、国の働きかけや他県状況等から、盛りこむことを決定しました。

これまで国の調整交付金算定にあたり、収納率が低い町村には5〜15%の減額(ペナルティ)を課し、道内45保険者で23億円の交付金がカットされてきました。5年間で平均1万円超保険料引き上げの要因となっています。

真下道議は、「ペナルティはそもそも廃止されるべき」とのべ、「道の支援計画で国のペナルティを除外されて総枠が同じなら、道の配分によって高い収統率の市町村は交付金削減が逆に増える」と矛盾を明らかにしました。また収納目標設定によって、これまで払うに払えなかった国保料の徴収強制が深刻化します。

一般会計法定外繰入169億円が廃止へ

広域化(道へ一本化)の狙いは、各市町村が一般会計から法定外繰入れを廃止させる狙いがあります。一般会計の繰入れは、7・5・2割減免など法定繰入れ(08年度決算・全道で428億円、1人当り2.8万円)と市町村単独上のせの法定外繰入れ(同169億円、1.1万円)があります。

法定繰入れは、地方交付税で需要額に算入され国が措置(保障)します。国は、国保への国庫補助金を削減しながら、市町村が独自に上乗せしている法定外繰入れの縮小をせまってきました。もし国保財政や事業運営が広域化されると、169億円は廃止され直ちに道民負担(1.1万円)に転化されることになります。

各市町村では、①当面して法定外負担を全道平均の1.1万円以上に引上げる、②広域化しても今の法定外負担を継続する、後期高齢者のように市町村排除・住民無視の広域化はさせない――ことを強く要求していくことが大切です。

社会保障として再生へ

真下道議は国保法1条、4条をあげ、「社会保障としての国保再生を」強く指摘しました。

「相互扶助」に歪曲され、国保証とりあげが横行する国保行政を、住民主権で再生させる声を強くあげるときです。

(10年09月19日付「ほっかい新報」より)