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2010年予算特別委員会

【真下紀子道議、公契約条例の必要性、災害時の初動・情報伝達体制の整備、ダム建設、河川事業などただす】 10.10.01

2010年10月1日 予算特別委員会第2分科会質疑概要

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

建設部所管の問題

入札の最低制限価格引き上げの効果についてただし、公契約条例の必要性を指摘

○真下紀子委員

初めに、最低制限価格引き上げの効果について伺いたいと思います。

道は、2009年7月から、最低制限価格をおおむね90%に引き上げ、総合評価方式でも、低入札価格調査基準価格を同様に引き上げました。そのときには議論がありました。

先ほどの質問とも重複する部分は効率的に進めてまいりたいと思いますけれども、この引き上げ効果の評価として、工事施工中の建設工事下請状況等調査や、現場の建設労働者の賃金については、賃金台帳などによって実態調査を行うと、昨年の3定で答えておりました。

そこでまず、最低制限価格引き上げ後の調査はどのように行われたのか、また、これまでとの違いについても、お示しいただきたいと思います。

重複しておりますので、その調査結果がどうだったのか、指導事例ともあわせてお示しください。

あわせて、指導後の改善は、どのように確認され、報告されるのかまで、伺います。

○池田隆一委員長

建設情報課長橋田欣一君。

○橋田建設情報課長

下請状況等調査についてでありますが、平成21年度の調査は、それまで、完成後の工事から抽出していたものを、施工中の工事を対象に抽出するよう改めるとともに、直接、元請負人と下請負人への面接調査による方法に変更したほか、労務費の支払い状況や雇い入れ通知書の交付の有無といった新たな調査項目も追加するなどして、実施したところであります。

次に、調査の結果についてでありますが、今回の調査は、元請144社、下請469社に対しで実施し、40件の指導、要請を行ったところであります。

その中で、主な指導事項について申し上げますと、下請負人が法定保険に未加入であったものが25件、下請代金の支払い方法について、現金の比率が20%未満であったものが3件、下請代金の支払い時期について、発注者から支払いを受けてから1カ月以内に下請負人に支払いを行っていなかったものが3件、また、下請業者間での契約方法等について指導を行ったものが3件などとなっているところであります。

また、指導後の改善についででありますが、改善を指導した元請負人に対しましては、改善等状況報告書の提出を求め、必要に応じ、関係書類により確認を行うとともに、翌年度の調査対象とするなどして、その指導の徹底に努めているところであります。

以上です。

○真下紀子委員

引き上げ後の下請状況等調査については、施工中の工事を対象に、面接など、新たな項目も加えて実施をした、しかしながら、契約件数1500件のうちの約1割を対象にしても、40件の指導事例があったということですね。私は、やはり、これは十分ではないと思います。

そしてまた、この調査は、本来、適正な契約の確認を行うものであり、労働条件や労働福祉を確認するためのものであって、最低制限価格の引き上げとは直接関係なく、独自に強化すべきだったものであると考えます。

そこで伺いたいのですけれども、そうした観点から考えますと、公契約条例を制定したほうがいいのではという意見があります。公契約条例を定めた場合と比較すると、どうなるのかという点についてお答えください。

○橋田建設情報課長

調査の目的などについてでありますが、下請状況等調査は、元請負人と下請負人との契約状況や、下請代金の支払い状況などの実態を把握し、元請・下請間の契約関係の適正化を図ることを目的として実施してきたところであり、昨年7月に、公共工事の品質を確保する観点に加え、第3次緊急総合対策に呼応し、地域経済、雇用の下支えの役割を果たしている地域建設業が継続的に経営できる環境を整備する観点により、最低制限価格を引き上げたことから、その実効性を高める取り組みとして、調査方法を見直したものであります。

なお、いわゆる公契約条例につきましては、公共事業に携わる現場従事者などに支払われる賃金について、規定水準以上の支払いを受注者に義務づけるものであり、その目的が異なるものと承知しているところでございます。

以上です。

○真下紀子委員

最低制限価格の引き上げの目的には、雇用の下支えということがあったのですけれども、道の今回の調査と公契約条例については、目的が違うのだということをお話しになったと思うのです。

しかしながら、強化されたとはいえ、この調査では、先ほどの議論で出ておりましたが、全国的にも低い設計労務単価との乖離の状況を調べるにとどまっているわけですよね。それも、10%以上乖離しているものだけが調べられているということにとどまっているわけです。賃金引き上げに対する強制力も、もちろんありません。

労働者の賃金への波及効果まで考えますと、私は、やはり、公契約条例の必要性が高まっているということを指摘申し上げざるを得ません。

それで、最低制限価格引き上げのときに、道のほうは、落札率が上昇して、建設業への経営支援、雇用の下支えにつながると考えたはずですが、いかがでしょうか。

また、落札率がどのように変化をし、実質的に金額ではどのような効果となったのか、伺いたいと思います。

○橋田建設情報課長

最低制限価格の引き上げなどについてでありますが、昨年7月の最低制限価格の引き上げは、公共工事の品質を確保する観点に加え、第3次緊急総合対策に呼応し、地域経済、雇用の下支えの役割を果たしている地域建設業が継続的に経営できる環境を整備する観点から、実施したものでございます。

建設管理部が発注した工事にかかわる平均落札率につきましては、平成20年度が91.7%でありましたが、平成21年度については93.4%と、1.7ポイント上昇したところであります。

また、平成21年度の契約金額の約1475億円に単純に1.7%を乗じますと、約25億円となるところであります。

以上です。

○真下紀子委員

1.7%の上昇ということでしたが、昨年のときには、規模の小さい事業ほど落札率が高くなると当時説明を受けました。だから、中小零細企業に対する波及効果が高いかのような説明を受けたわけですけれども、その後どのように変化したのか、伺います。

○橋田建設情報課長

落札率についてでありますが、建設管理部発注の一般土木工事について申し上げますと、全体の平均落札率は、平成20年度が91.5%で、平成21年度が93.8%と、2.3ポイント上昇したところであります。

また、C、D等級の中小建設業者の平均落札率は、平成20年度が90.9%で、平成21年度が93.4%と、2.5ポイント上昇したところであります。

以上です。

○真下紀子委員

平均と比べても、大層な違いはないと。金額についても、一律に引き上げるということは、大きな工事ほど利益金額が大きいことは自明の理ですから、本当に中小零細企業に対する効果が高いとは言い切れない状況ではないかと私は思います。

それとあわせて、落札率に関して、93%以上の落札率は談合の疑いが濃いという指摘かあることは御存じと思います。道民の税金は、公正な契約によって、適正かつ効率的に使われなければなりません。

そこで伺いますけれども、道が発注する印刷について、契約方法は違いますけれども、見積もり合わせに当たって設定されている基準は、予定価格の何%になっているか、参考までに伺いたいと思います。

○橋田建設情報課長

印刷物の発注についてでありますが、出納局の「本庁の物品購入等事務集中処理方法書」によりますと、平版印刷物の製造に係る見積合わせについて、予定価格の70%に相当する額を見積基準価格としていると承知しているところであります。

○真下紀子委員

印刷業のほうは70%なのです。驚くような違いだと思うのですけれども、この70%は低過ぎるとは私は思います。しかしながら、業種間に違いがあり過ぎるのではないかと思います。70%という中で、印刷業は熾烈な競争をさせられているわけです。これも道が決めていることですよね。

ですから、業種間でこういう違いがあるということは、道民から見ると驚くようなことだと思いますし、印刷業については引き上げが必要なレベルだと私は思います。だからといって、建設業界のほうが公正な競争をしているかどうかということについては、道民から納得されるようなシステムにしなければならないと思います。

道は、当面の措置として、調査結果を踏まえて、実施期間を検討するとのことでしたが、どのようにお考えになっているのか、伺いたいと思います。

○池田隆一委員長

建設部長宮木康二君。

○宮木建設部長

最低制限価格の引き上げについてでございますが、昨年7月の最低制限価格の引き上げは、公共工事の品質を確保する観点に加え、第3次緊急総合対策に呼応し、地域経済、雇用の下支えの役割を果たしている地域建設業が継続的に経営できる環境を整備する観点から、当面の措置として実施したものであります。

本道経済や道内建設業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあり、今後の推移を見きわめ、適切に対応してまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

公共の仕事というのは、一定の水準を確保して、それが標準的になるようにという役割もあると思います。あわせて、公正な競争性を担保して、道民の税金が効率的に活用されることが大前提です。

中小零細企業や労働者に波及させていくという点でも、今回の引き上げは十分ではない、そういう目的を達成しようとするのであれば、やはり、公契約条例を設置していくことが急がれるのだということを指摘しておきたいと思います。

豪雨による天人峡・旭岳温泉の道道崩落事故についてただし、災害時の初動体制、情報伝達体制の整備もとめる

○真下紀子委員

次に、天人峡・旭岳温泉の道道崩落による事故等について伺います。

8月24日未明の豪雨被害について、現地調査を行ったことも反映させながら、以下、伺ってまいります。

私が、その際、道路パトロールはされているのかと聞きますと、それは把握していないというふうな説明をされたわけですが、それが25日でした。その後、道路パトロール、通行規制が行われていないことや、初動体制の虚偽報告などが次々と明らかになっていったわけです。

そこで、質問通告の順位を変えて質問してまいりたいと思います。

天人峡美瑛線の、道路が陥没、欠損した先端部まで行って調査をしたのですけれども、180メートルにも及ぶ道路が川で削られてなくなっているという、非常に衝撃的なところでした。忠別川の両側がえぐられていたのです。そのときに私は考えたのですが、平成15年の豪雨被害のときにも、居辺橋のつけ根が濁流にえぐられて崩落していましたよね。それで、平成15年の豪雨被害の後、橋梁の安全点検が行われたと承知しておりますけれども、調査結果がどうだったのか、また、その対策はどのようにとられていたのかということを伺います。

○池田隆一委員長

高速道・市町村道担当課長菊地隆君。

○菊地高速道・市町村道担当課長

調査結果についてでありますが、平成16年に、洪水流による護岸の崩壊や、橋梁基礎及び橋梁背面の洗掘が予想される橋梁を調査した結果、早期に対策を要するものが18橋あり、そのうち、13橋は護岸工などの対策済みで、残りの5橋については、現在、対策工事を実施しております。

また、その他の橋梁につきましても、パトロールや年1回の定期点検により、橋台の洗掘などの把握に努めており、対策が必要となった場合には、随時、対応してまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

素人目に見ますと、上忠別橋の事故も同じような形のものだったのではないか。なぜ、上忠別橋がこの点検の対象外になったのか、違いは何か、お聞かせください。

○菊地高速道・市町村道担当課長

上忠別橋についてでありますが、平成16年の調査時点では、橋梁基礎の洗掘がなく、水衝部に橋台や橋脚があるなどにより、護岸の崩壊、橋台背面の洗掘が予想されなかったことから、調査の対象外となったところでございます。

○真下紀子委員

違いがあったのかもしれませんが、このときに橋のたもとをもう少し強化されていれば、今回のような事態になったのかどうかということも考えるところです。

それで、こうした点検をまたやると思うのですけれども、今後、上忠別橋と同様の問題が生じるおそれがある橋梁について、どう調査を実施し、どのような対策をとられていくのか、伺っておきたいと思います。

○菊地高速道・市町村道担当課長

今後の対策についてでありますが、近年、全国的にも、局地的な大雨が頻繁に発生するといった気象状況の変化もあることから、急流河川と近接した道路、橋梁などの緊急点検や、災害調査委員会の調査・検証結果なども踏まえ、災害の防止に向けた対策を実施してまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

幾ら強化しても流されてしまう場合もあるわけですから、やはり、道路パトロールとか通行規制で、そういう災害に遭わないよう、避難するということが重要になってくるのだと思います。

もう一つ聞いておきたいのですけれども、今回、ゲリラ的な豪雨だったということで、忠別ダムに貯水が行われまして、貯水量を超えて放流が行われたわけですけれども、住民には、どのようにして、どの範囲まで、その放流の情報が届いたのか、伺っておきたいと思います。

開発局のほうは、今回の放流は下流域には影響がないとしていると聞いておりますが、下流域では、やはり、放流に対する不安の声というのも出ておりました。旭川市民など、下流域の住民にはダムの放流情報をきちんと伝達すべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

○池田隆一委員長

河川課長久野顕君。

○久野河川課長

ダムの放流の情報伝達についてでございますけれども、北海道開発局からは、8月24日の降雨の際に、忠別ダムの放流に当たっては、関係機関へ通知するとともに、ダム直下から旭川市東光のツインハープ橋付近までの、放流により直接影響のある約23キロメートル区間の17カ所に設置されている警報所において、放流の30分前にサイレン音により放流の周知を行い、あわせて、当該区域において、警報車における巡視を実施したものと聞いているところでございます。

○真下紀子委員

今回は、深夜から未明の時間帯ということもあったと思うのですけれども、河川敷を利用する住民が非常に多くなっていますことから、放流による被害が出るというようなことはあってはならないと思います。ですから、このことはしっかりと受けとめていただきたいと思います。

次に、先ほど来議論になっておりますけれども、道の防災体制についてです。

総合振興局の防災対応職員の体制について、道は、複数人体制とすることにしたわけですけれども、過重な職員の負担では、安心の防災体制とは言えないわけです。

人員削減が進む総合振興局、振興局それぞれにおいて、十分機能して持続可能な体制でなければならないと考えますが、いかがでしょうか。

○池田隆一委員長

建設政策課長佐々木城也君。

○佐々木建設政策課長

複数人体制についてでありますが、複数人体制につきましては、9月1日には総務部危機管理監から、また、9月2日には建設部長から、各振興局長に対して通知しております。

各建設管理部におきましては、夜間や休日の対応につきましては、管理職による対応を基本とし運用しておりましたが、このたびの災害を踏まえまして、一般職も含めた複数人体制とすることにより、特定の職員に負担が偏ることがないようにしております。

また、現在、北海道防災体制検証チームによりまして、初動体制に関する改善策などを検討しており、その結果を踏まえて、必要な防災体制の見直しを行うなど、道民の皆様の安全で安心な暮らしの実現に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと考えているところです。

○真下紀子委員

同じように道路や河川を管理している開発局では、第3次までバックアップ体制がとられているということでした。

また、状況は違いますけれども、医療現場の当直等についても、第3次までバックアップ体制がとられているということです。

それで、拘束しなければならない人数がふえるということは、それだけ負担がふえるわけですけれども、災害対応については、そのような対応をとっているということもあるので、参考にしていただきたいと思いますし、職員に過度な負担があって、メンタルが壊れるですとか、さまざまな悪影響があってはならないと思いますので、必要な増員があれば増員するなど、考えていただきたいと思います。

初動体制についてなのですけれども、これらの一連の災害対応の報告を受けまして、担当職員に連絡がつかず、出勤していなかったことが、道路パトロールと通行規制が実施できなかった大きな原因だというふうにされているのですけれども、どのように改善をしようとしているのでしょうか。

同時に、管理担当者が、事業担当者に連絡がつかないまま放置していたということについて、どのように考えて、どのように改善するのかもあわせて伺いたいと思います。

○池田隆一委員長

建設管理局長寺田朗君。

○寺田建設管理局長

初動体制についてでありますが、このたびの大雨に関し、当番管理職が出勤せず、初動体制がおくれたことにより、結果的に、道路パトロールや事前通行規制が行われなかったことについて、重く受けとめているところでございます。

このため、9月2日に、建設管理部担当副局長会議を開催し、防災体制の再度徹底や、不測の事態を想定し、原則、複数人体制を基本とすること、非常配備体制を確認するため、建設管理部の本所、事業課及び出張所間において、必ず出勤報告がなされるよう徹底することにより、当番管理職と連絡がつかない場合のバックアップ体制を整えることなどを指示したところでございます。

○真下紀子委員

私の後段の質問の趣旨がなかなか伝わらないようです。災害時の指示、連絡体制に問題があったのではないかという質問を私はしているわけです。

緊急時に、情報、連絡、指示が錯綜する中で、今回も、富良野川の水防警保への対処が優先され、その中で、きちっとした連絡ができなかったということなのですけれども、災害時は、そういうことになるわけです。そうした中でも的確な判断がなければ、複数人体制にしても同じことが起こると思いますけれども、ここのところはどのように改善をしていくのか、伺いたいと思います。

○寺田建設管理局長

初動体制についてでございますが、管理課長は、必要に応じて職員を増員することとなっており、今お話のありましたように、水防警報の市町村などへの通知業務が集中したことなどから、情報収集を担当する職員を動員すべき状況だったと認識しております。

○真下紀子委員

やはり、災害時の具体的事例に基づいてきちっと検証することとあわせて、そういった実践的な災害演習をきちっとしておかないと、そういうときに、とっさの判断というのがおくれるのではないか。管理職には、厳しいかもしれませんが、そういう能力が求められるということだと思うのです。

それで、公務労働については、生命、安全を守るということで、ここの部分では、これまで行革が先行されてきて、人員削減がされてきましたけれども、ここは一歩立ちどまって、人員についても、災害対応ができるようにきちっと見直すべき時期に来ているのではないかと私も思いますので、その点は指摘をしておきたいと思います。

ダム建設の検証、治水対策のあり方について

○真下紀子委員

次に、ダム建設について伺いたいと思います。

ダム建設の再検証をめぐって、有識者会議の提言どおり、ダム中止の新基準が示されました。道は、どのように受けとめて、これまでの再評価との違いをどのようにお考えなのか、伺います。

○池田隆一委員長

政策調整担当課長片沼弘明君。

○片沼政策調整担当課長

新基準についてでありますが、9月27日に開催されました、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議におきまして、「今後の治水対策のあり方について」の中間取りまとめがまとめられ、国土交通大臣に提出されたものと承知をしております。

従来の再評価では、現行案の妥当性について、事業の必要性、環境、住民の動向、事業達成の見込みの観点から評価を行ってきたのに対しまして、この中間取りまとめでは、複数の治水対策案を立案した上で、コストを初め、持続性、柔軟性、地域社会への影響など七つの評価軸について評価を行うものとされており、これまでより、幅広い検討要素が加わったものと認識しているところであります。

○真下紀子委員

七つの評価軸で評価をしていくということですが、直轄ダム、補助ダムそれぞれについて検討の場を設けることになります。推進する立場の意見聴取だけでは、客観性、科学的合理性、透明性などを欠くのではないかと考えます。

また、事業を受注する企業の関係者は、利害関係者として明らかにすべきだとも考えます。

反対を表明している専門家、市民からのさまざまな意見を反映できるものでなければ、今回の検証の意義が問われるのではないかと思いますが、道のお考えを伺います。

○片沼政策調整担当課長

検討の場についてでありますが、このたび示されました中間取りまとめでは、「検討に当たっては、科学的合理性、地域間の利害の衡平性、透明性の確保を図り、地域の意向を十分に反映するための措置を講じることが重要であり、」とされており、そのため、事業者が、関係地方公共団体から成る検討の場を設置し、相互の立場を理解しつつ、検討内容の認識を深め、検討を進めることや、検討過程においては、事業者が、関係地方公共団体から成る検討の場を公開するなど情報公開を行うとともに、主要な段階でパブリックコメントを行い、広く意見を募集することが定められており、その上で、学識経験を有する者、関係住民、関係地方公共団体の長、関係利水者の意見を聞くこととされているところであります。

道といたしましては、この中間取りまとめに沿って、適切に検証を進めていくとともに、直轄ダムの検証につきましても、道として意見を述べるなど、適切に対処してまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

パブリックコメントにとどまらず、パブリックコメントをやった上で、意見をさらに聞いていくということなのですが、私は、流域住民のみならず、国民的財産として関係住民の意見を聞くという立場に立ったほうが、関係住民というところではよいのではないかと思います。

その上で、1点だけお聞きをしたいのですけれども、道としても意見を述べるということになっておりますが、道は、これまで、ダム政策を推進する立場でしたよね。道の従来の主張というのは、今回、評価軸が示されたわけですから、評価軸に沿って検討された意見へと変更になると考えていいのかどうか、伺いたいと思います。

○池田隆一委員長

土本局長田中実君。

○田中土木局長

直轄ダムの検証についてでございますけれども、開発局におきましても、関係地方公共団体から成る検討の場を設置することとされており、相互の立場を理解しつつ、検討内容の認識を深め、検討を進めることや、検討過程においては、事業者が、関係地方公共団体などから成る検討の場を公開するなど情報公開を行うとともに、主要な段階でパブリックコメントを行い、広く意見を募集することが定められており、その上で、学識経験を有する者、関係住民、関係地方公共団体の長、関係利水者の意見を聞くこととされております。

道といたしましても、直轄ダムの検証に当たりましては、それについての意見を述べるなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

以上です。

○真下紀子委員

同じ答弁を繰り返されても困るのですけれども、私は、単に、評価軸をきちっと踏まえた上で道の意見を検討し直して、意見を述べるかどうかということをお聞きしただけなのです。

これはお答えにならないということで、後に回します。

維持管理費や堆砂除去費用、それから、水道料金や農家の負担などについても数字を示して、道や開発局が持つ情報というのを住民にしっかりと公開して、議論を進めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

また、道財政の負担の見通しについても、具体的に示しながら議論を進める必要があると私は考えますが、いかがでしょうか。

○片沼政策調整担当課長

ダムの検証についてでありますが、このたび示されました中間取りまとめでは、検証の検討に当たってば、複数の治水対策案を立案した上で、それらを、コストを初めとするさまざまな評価軸で評価することとされており、各治水対策案のコストには、維持管理費に要する費用を見込むこととされているところであります。

また、検討に当たってば、情報公開に努めることも定められており、この検証の中で、維持管理費を含め、道や、利水に係る共同事業者等の費用負担などについて明らかになるものと考えているところでございます。

○真下紀子委員

私の聞き方が悪かったのかもしれませんが、道財政負担についての見通しということは、道の財政に与える影響ということだったのですけれども、なかなかその点についてはお答えをいただけませんでしたし、先ほど言った、評価軸に対する道の意見集約の過程での検討ということも、なかなかお答えがすっきりしておりませんでしたので、知事に直接お伺いしたいと思います。お取り計らいをお願いいたします。

河川事業と生物多様性について

○真下紀子委員

次に、河川事業と生物多様性について伺ってまいります。

石狩川上流部の一部区間、旭川市などでは、人工構造物の設置により、サケの遡上が途絶えていた時期が50年ほどありました。

河川事業による河川環境への影響と生物多様性に関して、道がどのような認識をお持ちなのか、初めに伺いたいと思います。

○田中土木局長

河川環境への影響などについてでございますが、河川事業は、自然災害から人命や財産を守るなど、道民の安全、安心を確保する上で必要不可欠な事業であり、道といたしましては、北海道らしい豊かな自然を次世代に引き維ぐため、多様な植物が育ち、多くの生き物がすむ生きている川づくりを北海道の目指す川の姿として、豊かな自然環境と調和した川づくりを進めているところでございます。

○真下紀子委員

今の御答弁にあった趣旨が、川づくり基本計画に盛り込まれているというふうに伺っております。

そういった川づくりについて、旭川市では、大雪と石狩の自然を守る会など、市民団体を中心に、開発行為によって遡上しなくなった野生のサケの回復に、30年前から取り組んでおります。

2008年から、独立行政法人水産総合研究センターのさけますセンターが、第3次生物多様性国家戦略を踏まえて、石狩川本流サケ天然産卵資源回復試験を実施することが決定されまして、2009年3月から、毎年、50万尾のサケの稚魚が石狩川と忠別川に放流をされました。放流は2011年まで、試験は2016年まで続くと承知をしております。

そこで、旭川市内を流れる石狩川、忠別川、美瑛川などにおいて、サケの遡上の最大の障害と指摘されているのが、1964年に設置をされた、石狩川の農業用取水堰の花園頭首工です。この花園頭首工は、既に役目を終えて、不要な構造物となっていると伺っておりますが、現状についてお示しください。

○久野河川課長

花園頭首工の現状についてでありますが、深川市に位置する花園頭首工は、国営かんがい排水事業により、昭和62年に、上流の北空知頭首工に統合され、農業用取水堰としては不要となったものと承知しているところでございます。

しかしながら、この施設の管理者であります北海道開発局は、この頭首工を撤去すると、河床が低下し、直上流の橋梁や護岸の安全性に影響を及ぼすことが予測されるため、直ちに撤去することはできないとしております。

○真下紀子委員

昔は、先ほどの局長の答弁にあった、生きている川づくりというような観点で河川事業をやっていたものではないから、こういうことが起こったのかなと思いますけれども、基本は、やはり、この花園頭首工の全面撤去ではないかと考えます。

札幌開建は、直ちに撤去はできないとしていますけれども、後年次での完全撤去の検討ということを明らかにしています。完全撤去のめどについてはいかがでしょうか。

○久野河川課長

完全撤去のめどについてでございますが、北海道開発局から、花園頭首工の撤去に当たっては、河床の低下を防止する機能を確保する必要があることから、その上流で予定している河道掘削や橋梁の改築の完了後に行う予定であると聞いているところでございます。

○真下紀子委員

つくるときにも、必要があってつくったわけですけれども、撤去するにも予算が大分必要になって、今のところ、いつ撤去するということがなかなかはっきりと言えないということなのですね。

しかしこれは、豊かな生物多様性が、河川事業も含めた人類の開発行為によって失われている典型的な例だと思いますけれども、こうした場合の次善の策として、サケの遡上のために、2000年に魚道を設置されております。その魚道効果を調査しているわけですけれども、道は、その結果をどめように把握しているのか、伺います。

○久野河川課長

調査結果についてでありますが、北海道開発局からは、魚道設置後の平成12年度以降、魚道上流部において捕獲調査を実施しており、その結果、サケが54尾など、13種の魚類の遡上が確認されており、魚道の一定の機能は確保されていると聞いているところでございます。

しかしながら、昨年度実施した魚道の機能調査の結果では、魚道の入り口が見つけづらいなどの課題についても明らかとなったと承知しているところでございます。

○真下紀子委員

今の答弁にもあったように、この魚道は、やはり、改善が必要な状況にある。計20回の調査で捕獲されたサケが54匹ですから、全く効果がないとは言いませんが、十分な効果とは言えない状況だと思います。

そこで、札幌開建が、2009年末に魚道の改善策を公表しました。市民団体も、札幌開建に対して改善を求めていたわけですけれども、札幌開建は、ホームページヘの改善案の公表をもって回答としていて、直接会って話をしようとしません。

その後、右岸の改善とともに、新たに左岸に魚道を設置しようとしているとお聞きしておりますが、どのような検討過程を経て、どのように改善をしようとしているのか。改善により期待する見込み値をどう考えて、時期と予算については、どのような見通しなのかもあわせてお答えください。

○久野河川課長

改善策などについてでございますが、北海道開発局では、昨年度実施した魚道の機能調査などの結果を踏まえ、右岸にある既設魚道の改善方策や、左岸側に新たに魚道を設置する対策を、専門家の意見も聞きながら検討するとした改善案を取りまとめ、平成21年12月に公表したところでございます。

この改善案では、魚が集中している箇所に魚道の入り口を変更するなど、右岸にある既設魚道の部分的な構造改善に加えまして、なるべく多くの魚類が遡上できるよう、川岸に魚が集中している左岸側にも、新たに魚道を設置することとしていると承知しているところでございます。

その後、この改善案につきましては、専門家から、十分に改善効果が見込めるという意見をいただいていると承知しているところでございます。

また、左岸側の魚道の新設につきましては、本年度から来年度にかけて行う予定であり、その予算としては、平成22年4月に北海道開発局が公表した「旧花園頭首工の魚道について(第2報)」によりますと、1億円台とされておりまして、直轄事業負担金は、その5割を見込んでいると聞いているところでございます。

なお、右岸にある既設魚道の改善につきましては、新設する左岸側の魚道の遡上状況を確認した上で取り組むものと承知しているところでございます。

○真下紀子委員

私は、今の答弁を聞いて、ちょっと考えたのですけれども、実は、私の質問の情報―ダム関連の質問だったのですけれども、それが開発局の出先まで届いていて、道と開発局には非常に綿密な情報ネットワークあるということを実感したわけです。

そういうような関係の中で、直轄事業負担金として、花園頭首工の魚道について、1億円台の5割を道も負担するという関係にあるわけですけれども、花園頭首工の魚道について、道は、改善策等と、道としての意見というのを述べたことがあったのかどうか、伺っておきたいと思います。

○田中土木局長

道としての意見についてでございますが、現在、北海道開発局と北海道において、所管の治水事業等の円滑化を図ることを目的とした北海道開発局・北海道治水事業連絡調整会議が設置されておりまして、この場などにおいて、魚道の設置を含む事業などに関し、意見交換を行っているところでございます。

以上です。

○真下紀子委員

情報提供を受けたり、意見交換をされているということなのですけれども、意見交換会のときには、道からも意見を出したということはあるのですか。意見交換とは言っているけれども……。

私が聞いた限りでは、道からの具体的な意見というのはなかったように聞いております。お金は出すけれども、意見は出さないというのは、ちょっと道としての姿勢が問われるのじやないかなと私は思うところです。

札幌開建の改善策についてなのですけれども、日本の魚道に関しては、本当に有効な役割を果たしているところは余りないというふうに言われていますが、花園頭首工の魚道についても、大幅な改善は期待できないという指摘もされているところです。

来年の秋には、数千の規模で3年魚が戻ってくる可能性があるわけですけれども、開発局は、先ほど申し上げましたとおり、改善策をホームページで公開するだけであって、直接対話を拒んでいる状況なのです。

新河川法では、市民参加を重視しています。それは皆さんのほうがよく御存じだと思いますけれども、市民参加の場を持って、遡上や降下の調査の内容、事後評価のデータや検証結果などを公開していく必要があると私は考えます。そうすることによって、住民の中に、生物多様性への関心が高まるだけでなく、実体験ができて、まちづくりの夢を実現する、何物にもかえがたい取り組みになるのではないかと考えますが、部長はどうお考えでしょうか。

そしてまた、私が、こういう質問をして、意見を言ったということは、多分、すぐに知れるところと思いますけれども、ぜひ、道からも、直接、開発局に要望を上げていただきたいと、心から部長にお願いをしたいわけですけれども、いかがでしょうか。

○宮木建設部長

市民参加についてでございますが、道におきましては、これまでも、河川法に基づく河川整備計画の策定段階から、学識経験者や住民の方々の御意見を伺っており、河川改修の実施に当たっても、ワークショップを開催するなどして、地域の意向を反映するよう努めてきたところであり、市民が参加する川づくりを進めていくことは、川に対する理解や関心を高める観点などからも、大変重要であると考えているところでございます。

ただいま委員が御指摘の趣旨につきましては、北海道開発局に伝えてまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

部長、ぜひ、よろしくお願いいたします。

生物多様性に十分配慮した河川事業などについて道の認識ただす

○真下紀子委員

質問としては最後になります。

生物多様性に関する取り組みについてなのですけれども、開発行為は、生物多様性を壊す原因の一つとなってきたと考えられております。最大の原因とも言われているわけですけれども、現状の北海道環境配慮指針(公共事業編)だけでは、河川事業を進める上でも十分でないことは明らかですし、国際生物多様性年のことしCOP10がもうすぐ開かれますけれども、生物多様性に十分配慮するために、道としてどう取り組もうとしているのか、部長のお考えを伺います。

○宮木建設部長

生物多様性に関する取り組みについてでございますが、本年7月に策定されました北海道生物多様性保全計画では、生物多様性は、遺伝子の多様性、種の多様性、生態系の多様性といった、三つのレベルの多様性が複合することによって成り立っており、こうした生物多様性を守ることは、私たちの暮らしの基盤を守るだけでなく、私たちが暮らす地域の伝統や文化を重んじ、安全で豊かな生活を送る上で、非常に大切なことであるとされているところでございます。

河川整備に当たりましては、今後とも、川づくりの基本であります多自然川づくりを推進し、生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全、剔出するとともに、地域の暮らしや歴史、文化との調和にも配慮した川づくりを進めてまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

河川事業は、新たな段階へ移行する時期だと考えております。

そしてまた、この事業は、旭川のまちづくりにも関連する非常に重要な事業でして、36万人都市・旭川を流れる川に野生のサケが戻ってきて、それが、もう一度、卵を産んで帰っていったら、今度戻ってくるときは、完全に天然のサケになりますよね。そういうような環境ができることを私も願っておりますので、ぜひ御協力をお願いしたいということを申し上げまして、質問を終わります。


※人名・地名等、コンピュータの機種によって表示できない旧字、異字等は通用字体に改めているものがあります。

[日本共産党道議団編集]

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