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道議会での取り組み
2010年予算特別委員会

【真下紀子道議、高橋知事に道営競馬の存続、エゾシカ対策、ダム建設、河川事業などただす】 10.10.06

2010年10月6日 予算特別委員会知事総括質疑概要

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

知事、道営競馬の存続を表明

○真下紀子委員

私は、道営ホッカイドウ競馬について初めに伺います。

競馬が存続できなくなれば、生産者のみならず、関連産業に携わる地域住民の生活の崩壊につながると、切実な声が私どものところにも寄せられております。

地元自治体や生産者の皆さんは、競馬事業を存続させるため、血のにじむような努力を続けていることもわかりました。

昨日の農政部所管審査において、ホッカイドウ競馬は、中央競馬、地方競馬に馬を供給するという重要な役割を果たすほか、雇用の創出や地域経済に大きな役割を果たしているという、競馬事業の比類のない重要性についても答弁があったところです。

知事も、競馬改革ビジョンの最終年であることしは、収支均衡を見通せる段階に来ていると答弁しておりますが、競馬事業の存続について改めて決断すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○工藤敏郎委員長

知事高橋はるみ君。

○高橋知事

競馬事業についてでありますが、ホッカイドウ競馬は、軽種馬生産だけでなく、関連産業も含めて、地域の経済、雇用への波及効果が大きく、日高、胆振地域の活性化に不可欠な事業であるとともに、全国への競走馬の供給基地としての役割も果たしているところであり、将来にわたって安定的に継続していくことが重要であると考えております。

こうした観点から、道といたしましては、北海道競馬改革ビジョンに即したさまざまな競馬改革に取り組んでまいった結果、赤字体質からの転換が着実に進み、収支均衡が見通せる段階まで来たところであります。

また、これまでの我々の強い働きかけにより、地方競馬の共同馬券発売システムの来年度の運用開始や、相互発売に向けた日本中央競馬会との協議が具体化するなど、新たな動きも見られるところであります。

私といたしましては、こうした中、ホッカイドウ競馬の重要性や情勢の変化などを総合的に勘案した上で、ホッカイドウ競馬の存続を決断するものであります。

以上であります。

○真下紀子委員

事業継続に当たって、前途多難ということには変わりないわけです。ホッカイドウ競馬の将来を見据えて、先駆的な対応を怠らないように、知事に強く求めておきます。

エゾシカ対策についてソフト、ハードの両面の国の支援もとめる

○真下紀子委員

次に、エゾシカ対策についてです。

エゾシカがもたらす深刻な被害を減らしていくためには、一刻も早く、適正管理頭数に向けて捕獲頭数を大幅にふやすしかありません。

道の計画による年間の捕獲頭数が11万5000頭というのは、必要捕獲頭数の13万4000頭には及ばず、その結果、生息数の増加に歯どめがかからずに、増加を黙認する計画と言わざるを得ません。

適正な生息数を目指すに当たっては、目標年次と目標頭数を設定し、一定の期間で早急に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○高橋知事

エゾシカの捕獲対策についてでありますが、エゾシカの個体数の増加による被害は極めて深刻であると認識をいたしておりますことから、道においては、本年度から3年間、市町村や関係機関との連携のもと、緊急捕獲対策を実施することといたしたところであります。

本年度の緊急対策では、これまでの捕獲数に2万頭程度上乗せをし、11万5000頭を見込んでいるところでありますが、一方で、委員が御指摘のとおり、生息数を拡大させないために必要な捕獲数は13万4000頭と試算されておりますことから、来年度以降は、本年度に実施する越冬地調査の結果をもとに、できるだけ多くの捕獲数を上積みし緊急対策期間の最終年には、13万4000頭を超える捕獲を目指し、適正な生息数となるよう、取り組んでまいる考えであります。

以上であります。

○真下紀子委員

分科会でも議論したのですけれども、捕獲頭数の大幅な増加を目指すためには、殺処分後の解体処理施設の整備や解体処理技術者の養成とともに、行政単位を超えた広域での対応などが重要な課題となります。

また、国は、来年度予算の概算要求で関係予算を盛り込んだとのことでありますけれども、災害と言われるほどの被害への対応ですから、ソフト、ハード両面にわたる十分な国の支援も不可欠だと考えております。

知事は、こうした問題を解消しながら対策を推進するとともに、国費の確保にも最大限取り組む必要があると考えますが、見解を伺います。

○高橋知事

エゾシカ対策の推進についてでありますが、エゾシカの生息数増加を大幅に抑えるためには、広域的な取り組みが重要と考えているところであり、農林業被害額の大きい振興局では、市町打々関係機関などで構成するエゾシカ対策関係連絡協議組織を設置いたしているところであります。

こうした中、今年度から実施する緊急対策により、今後、大幅な捕獲頭数の増加が見込まれることから、道では、こうした連絡協議組織を活用しながら、食肉または残滓の処理施設の受け入れ能力や、衛生的なシカ肉処理技術に関する情報を地域に提供するとともに、市町村間や受け入れ施設との調整を図るなど、広域的に取り組む体制が構築されるよう、積極的に取り組んでまいる考えであります。

また、国費事業に関しては、ソフト、ハードの両面にわたる大規模な支援事業が概算要求されており、道といたしましては、来年度予算の成立はもとより、本道の実情に即した事業となるよう、引き続き、市町村や農業団体などと十分に連携を図りながら、国などに対し強く働きかけてまいる考えます。

以上であります。

○真下紀子委員

その際、道がみずから設置した環境科学研究センターという研究機関が非常に大きな役割を果たしておりますので、こちらとも十分に連携を図りながら、一層の努力をお願いしたいと思います。

ダム事業の「検証」についてただし、ダム優先の河川事業の転換もとめる

○真下紀子委員

次に、ダム建設について伺います。

ダム事業の見直しについて中間取りまとめが示されましたが、事業主体が検証することで、もとのもくあみになるのではないか。推進をしてきた側である事業主体ですから、もとのもくあみになり、建設へのゴーサインを出すことになると懸念されておりますが、反対意見も含めた住民意思の反映について、どのような対応をおとりになるつもりなのか。

また、利害関係者の検討の場への参加については、どのような考えかを含めて、知事の、中間取りまとめへの受けとめと、今後の取り組み姿勢について伺います。

○高橋知事

ダム事業に係る中間取りまとめについてでありますが、9月27日に開催されました、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議において、「今後の治水対策のあり方について」の中間取りまとめがまとめられ、国土交通大臣に提出されたと承知をいたしております。

この中間取りまとめでは、複数の治水対策案を立案した上で、安全度を初め、コスト、実現性、持続性など七つの評価軸について評価を行うものとされており、これまでより、幅広い検討要素が加わったものと認識をいたしております。

また、検証の実施に当たっては、事業者が、関係地方自治体から成る検討の場を設置し検討するとともに、この場の公開や、主要な段階でパブリックコメントなどを行うほか、学識経験者や関係住民などの意見を聞くこととされているところであります。

道といたしましては、この中間取りまとめに沿った検証により、科学的合理性、地域間の利害の衡平性、透明性の確保などが図られるものと考えており、今後、これらの検証において、地域の意向が反映されるよう、努めてまいりたいと考えております。

以上であります。

○真下紀子委員

補助ダムについては、推進してきた道が検証し国の直轄ダムについては、道は意見を述べるわけですけれども、推進者である国の開発局が検証していく、そういう形になっております。そして、そこが最も情報を持っているわけで、今まで、その情報がなかなか住民に知らされてこなかったということもあります。

特に、北海道で問題だと考えているのは、反対する意見を持った方や、今回評価するときに考えられる対案を提案されている方々とは、知事はなかなかお会いにならなかった。こういうような特殊な状況のもとで、知事はどのように検証した上で意見をまとめようとしているのか、伺いたいと思います。

○高橋知事

ダム事業の検証などについてでありますが、道が実施するダム事業の検証については、中間取りまとめに示されておりますように、複数の治水対策案を立案した上で、安全度を初め、コスト、実現性、持続性など七つの評価軸に沿って評価を行うとともに、利水の観点からの評価なども加え、総合的な評価を行って、対応方針を決定してまいる考えであります。

また、直轄ダムにつきましては、北海道開発局が、中間取りまとめに沿って同様に検証を行うものと承知しているところであり、道といたしましては、関係自治体から成る検討の場において、国から示される検証内容や、地元の意向などを踏まえ、国に対して意見を述べるなど、適切に対応してまいります。

以上であります。

○真下紀子委員

その対応が適切かどうかというのは、住民が判断することだと思うのです。

知事の答弁の中で、地域の意向が反映されるよう努める、それから、地元の意向などを踏まえる、こういう御答弁だったわけですけれども、それでは、反対や慎重な意見をお持ちの方々とも、知事は意見交換の場を持つということでよろしいのでしょうか。

○高橋知事

ダム事業の検証についての重ねての御質問でございますが、9月27日に取りまとめられました中間取りまとめに沿う形で、私どもが実施しております補助ダムについても検証を進めてまいりたいと考えているところであります。

その進め方につきましては、先ほど御答弁を申し上げましたとおり、まずは、事業者、すなわち道自身が、関係地方自治体から成る検討の場を設置し検討するとともに、この場の公開や、主要な段階でパブリックコメントを行いますほか、学識経験者や関係住民など、幅広いさまざまな皆様方の御意見を聞く、こういったことを通じて検証を進めてまいり、地域の意向が十分に反映されるよう、努めてまいりたいと考えております。

以上であります。

○真下紀子委員

知事はいつもそうなのですけれども、意見交換をするということをはっきりと明言しません。その知事の態度がどうしてなのかということが私はわかりました。

知事は、議会ではこういった答弁をするのですけれども、9月29日の記者会見において、補助ダムの厚幌ダムについて、七つの評価軸による評価の結果として、必要性ということでは変わらないのではないかと、検討前から既に結果の予見発言をしております。これから検討する主催者である知事の発言として、余りに検討を軽んじている発言ではないかと私は考えますが、いかがでしょうか。

また、こうした建設ありきの立場を表明した上で検討に入るのは、公正さを欠くと言わざるを得ないと思います。発言の訂正を求めるとともに、検討に当たっての知事の考えをもう一度伺います。

御自身の発言のことですよ。

○高橋知事

補助ダムの検証についての重ねての重ねての御質問でございますが、9月29日の私の記者会見におきまして、「結論において余り予見をするべき性格のものではないと思いますが、補助ダムについては、節目節目で検証を行いながら、ここまで進めておりますので、こういった七つの評価軸による治水の評価、加えて、利水部分の総合評価などを踏まえた結果としての必要性ということについては変わらないのではないかというふうに現段階では考えている」、このように御発言を申し上げたところであります。

いずれにいたしましても、今後、国のほうから示されました中間取りまとめに沿って、適切に検証を行ってまいりたいと考えているところであります。

以上であります。

○真下紀子委員

スタート時点から適切さを欠いている知事のもとで検討がされるということで、非常に不安を覚えます。

ダムによらない、よりよい治水対策を対案にして、住民とともに検討し直すのが中間取りまとめの趣旨であって、さらに言えば、河川は国民共有の財産なわけですから、それを住民が考えるという民主主義の立場で検討するのが、この趣旨だと思うのです。

知事は、そもそも、河川をだれのものとお考えになって、検討しようとしているのか、伺っておきたいと思います。

私見でどうぞ……。

そんなに相談しないと、わからないのですか。

○高橋知事

河川についての御質問でございますが、委員の御質問の趣旨を、必ずしも私は理解ができているわけではございませんが、私自身の思いを申し上げれば、河川というのは、地域のものであり、市民のものであり、道民のためのものである、このように一般的に考えておりますが……。

以上でございます。

○真下紀子委員

一般的にですか。

そういった基本的な認識を示すのに、周りと御相談しなければならない知事のもとで検討に入るというのは、非常に不安を覚えるわけです。

もう一点ですけれども、私は、道財政への影響について、最後に伺ってまいりたいと思いますが、今後も道財政の見通しは厳しいと考えますが、建設部は、道財政への影響について明確に答えることができませんでした。

ダム建設による負担、あわせて住民への負担とともに、道財政に対する影響がどのようになっていくのかということを具体的にお示し願いたいと思います。

○高橋知事

ダム建設による財政負担についての御質問でございますが、このたび、検証の対象となった直轄の4ダムと補助の1ダムでは、今後7年間で、道の負担は約250億円でございまして、さらに、将来の維持管理費なども必要となる見込みであります。

いずれにいたしましても、地域住民の皆さん方が安全で安心して生活するための治水対策は、今後も必要なものと考えているところであり、厳しい財政状況の中にあっても、選択と集中などにより、効率的な財政運営に努め、必要な財源の確保を図ってまいりたいと考えております。

以上であります。

○真下紀子委員

先はどの質問で、医療的ケアを要する重度障がいの子どもたちに対する財源については、見つけて道として考えるということは答弁せずに、ダムについては、こうした負担をこれからも継続していくという知事の決意表明だと思うのですけれども、そんなことでいいのでしょうか。

さらに、今、これから7年間で250億円ということでしたけれども、これまでの道負担が幾らになっているのか。そして、北海道だけではなく、国民全体の税金で行われる事業ですから、全体の事業費総額についてもお示しください。

基本的な数字ですから、そんなに答弁に困るのは困りますよね。

○高橋知事

検証対象ダムに係る総事業費等についての御質問でございますが、検証の対象となった五つのダムにつきましては、これまで、全事業費で約3000億円、このうち約270億円を道費として支出してきたところであります。

道といたしましては、地域住民の安全を確保するための治水対策に必要な費用として支出してきたところであります。

以上であります。

○真下紀子委員

基本的な数字をなかなかお答えになれない中で、今後とも選択と集中によって財源を確保するということを答弁されていたと思うのですけれども、本当に具体的な議論がされない中で、知事は、進めるということありきで話を進めているとしか思えません。

それで、その270億円についても、道債となって残っているわけですよ。もう既に支払ったのではなくて、借金となってその多くが残っていて、今後さらに250億円かかる。事業費総額では3036億円で、国民の負担でダムをつくろうとしているわけです。本当にこれが必要なことかどうかということで、ダムよりも有効な治水対策がほかにないのか、利水対策がないのか、かんがい対策がないのか、こういう議論を進めましょうというのが、今回の検討の目的なのです。

そして、専門家の方々の中には、今、河川・治水対策の行政の転換点に立っていて、これまでのダム優先で来た河川事業を、破堤しにくい堤防整備に振り向けるべきであり、河川の掘削など、今緊急に安全を確保するためにやるべき仕事がある、そのほうが地元企業の仕事にもつながるということをはっきりと示されている方たちがいる。そういうことにまず耳を傾けて、検討していただきたいと私は思います。

今後は、ダムによらない治水、水道水、かんがい用水により、河川の生態系が保全されて、住民の財産、そして自然環境を守ることにつながるのだということを私は主張して、知事に御提言を申し上げ、質問を終わります。


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