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道議会での取り組み
2010年第2回定例道議会

【花岡ユリ子道議の2010年第2回定例会一般質問】 10.06.17

2010年6月17日 2010年第2回定例道議会

質問者 日本共産党 花岡ユリ子 議員

花岡ユリ子道議質問に立つ花岡ユリ子道議
  • 1.知事の政治姿勢について
    • (1)普天間基地問題及び移転訓練等について
    • (2)核廃絶について
    • (3)JR採用差別問題について
    • (4)肝炎対策について
  • 2.道民生活について
    • (1)北海道新幹線と並行在来線について
  • 3.第一次産業について
    • (1)エゾシカ対策について
  • 4.教育問題について
    • (1)教職員調査と「通報」制度について

○78番花岡ユリ子君

(登壇・拍手) 日本共産党道議団を代表して、知事、教育委員長、教育長に質問いたします。

普天間基地移設問題、米軍訓練移転問題できっぱりした態度を

まず、鳩山政権が退陣に追い込まれました大きな原因の一つである沖縄普天間基地移設問題に関して伺います。

米国政府との間で、名護市辺野古周辺に移設することを合意いたしました。これは、昨年の総選挙で、国外、最低でも県外と主張し政権交代を訴えた、みずからの公約を破ったばかりではなく、沖縄県民や国民の願いを踏みにじる、重大な裏切りだったと言わざるを得ません。

知事は、みずからの公約を破り、沖縄県民の願いより、アメリカとの合意を優先した鳩山氏の行動をどう評価されるのか、辞任するのも当然だったと思いませんか、まず伺いたいと思います。(発言する者あり)

二つ目は、米海兵隊の位置づけについてです。

鳩山前首相は、学べば学ぶほど、米海兵隊は抑止力として必要だったとわかったとの認識を示しその勉強不足を天下にさらしました。

しかし米海兵隊は、イラクやアフガニスタンなどへの第一線の殴り込み部隊であり、元米国務長官も、日本の防衛に充てられていないと明言していますが、知事はどうお考えでしょうか、お答えください。

第3は、沖縄の負担軽減のために、米軍訓練を本土で受け入れるべきとの考えについてです。

沖縄嘉手納基地の訓練の一部を受け入れた福岡県の築城基地の昨年の爆音回数は、過去最高を記録しました。

県道104号線越え実弾演習を受け入れた矢臼別では、155ミリりゅう弾砲だけというSACO合意が守られず、小火器や、今回は、非人道兵器の白燐弾が使用された可能性まで指摘されています。

他方、沖縄県の米軍嘉手納基地周辺では、外来機が続々と来るために、昨年度の騒音回数は、この5年で最も多いと言われています。

これでは、沖縄の負担軽減どころか、実際は、本土の米軍演習が沖縄並みに拡大強化されているということではないでしょうか。知事はどのように受けとめているのか、お答えください。

矢臼別演習場の火災事故、知事が直接国に申し入れるべき

次に、矢臼別演習場の火災事故の問題などについてですが、わずか10日間の演習で5回もの火災事故が発生しているという異常な事態です。何度申し入れても、原因究明と再発防止策がとられないということについて、知事はどのような認識をお持ちか、まず伺います。

地元4町からは、強い怒りを禁じ得ないなどの怒りの声が沸き上がっていることをどう受けとめているのでしょうか。

このような無法な訓練を繰り返すことは、断じて許されないことです。この際、知事御自身が、直接、原因究明と再発防止を防衛大臣に強く申し入れるべきと考えますが、お答えください。

さらに、こうした実態から考えれば、知事は、たとえ政府から米軍訓練の分散移転について要請があっても、これ以上、訓練移転は受け入れがたいと、はっきり言うべきではないでしょうか、見解を伺います。

核廃絶の流れ生かす具体的行動を

私は、先月の5月3日からニューヨークで開催されたNPT再検討会議の要請活動に、北海道代表団として参加してきました。

道内からは29名、日本からは約1800名もの方が参加してアピールを行いましたが、核兵器のない世界への流れを力強く進める行動となりました。

特に、核兵器の廃絶を求める国際署名には、高橋知事御自身の一筆も含め、日本じゆうで、実に690万策を超える署名が寄せられたところです。

NPT再検討会議が採択した最終文書で、核兵器の完全廃絶に向けた具体的措置を含む、核軍備撤廃に関する行動計画に取り組むことを合意いたしました。核兵器のない世界に向けて、重要な第一歩であり、前進であると評価をいたします。

こうした核廃絶という流れ、歴史的チャンスをより一層大きくする行動が、今まさに求められています。

知事は、平和を願う道民の代表として、積極的かつ具体的なアピールを行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

B型肝炎訴訟の早期和解成立を求めよ

次に、肝炎対策についてです。

先日、私たち日本共産党道議団は、B型肝炎訴訟原告団の代表や弁護団の方々との懇談の機会を持つことができました。

2006年6月、最高裁が、B型肝炎ウイルスの感染について、子ども期の集団予防接種の注射針などの使い回しが原因だとして、国の責任を認めてから、4年となります。

ことし3月12日には、札幌地裁が和解勧告を出しましたが、和解協議は、4ヵ月後の7月になったことに対して、原告弁護団は、事実上の先延ばしだと批判しています。

知事は、原告の方のうち、3月の和解勧告以降の2人を含めて、既に10人が亡くなっていることを御存じでしょうか。

道として、札幌地裁が示した、救済範囲を広くとらえるべきとの勧告に沿って、人道上の見地からも、国に対して、早期の和解成立を強く求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

また、原告団の方々との懇談の中では、医療費負担の重さにとどまらず、入退院を繰り返すことによって定職につけないことや、いつ発症するかという不安の中で、家族や仲間に支えられてきたことなども語っておられました。

道は、平成17年に、難病医療給付事業を見直した際、肝炎に関する医療費予算を、31億9000万円から23億2000万円に減額しました。

ことし1月に施行された肝炎対策基本法の第4条には、地方公共団体の責務が明記されました。その趣旨を踏まえ、患者の方々の医療費負担の軽減を初め、総合的な対策のために予算を拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

JR採用差別―JRと国の責任で雇用求めよ

1987年の国鉄分割民営化の際に、国労や全動労に所属する労働者の1047人がJRに不採用とされた問題で、ことし3月、当時の与党3党と公明党が、前原国土交通大臣に解決案を申し入れ、その後の4月9日、当事者と支援者の4者4団体の代表が、政府から正式に示された解決案について協議し受け入れを表明しました。

この問題が発生してから23年もの長い間、採用差別され続けてきた元国鉄マンの御本人はもとより、それを支え続けてきた御家族の皆さんにも、大変な御苦労と葛藤があったものと推察いたします。

知事は、こうした23年間も解決を引き延ばしてきたJR採用差別問題について、どのような認識をお持ちか、伺います。

政府の解決案では、「政府はJRへの雇用について努力する。」としていますが、JRによる採用を強制することはできないことから、人数などが希望どおり採用されることは保証できないという問題を残しています。

北海道の元国鉄マンも約440人含まれており、そのうち、約200人は、JR北海道での採用を希望しています。不当労働行為によって仕事を失ったのですから、JRが採用すべきです。

知事は、少なくとも、55歳以下の方については、JRと国の責任において雇用するよう、強く働きかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。

国とJRに並行在来線の維持求めよ

JR北海道は、5月12日の記者会見で、小樽―函館間を経営分離すると公式発表しました。そして、札幌―小樽間というドル箱路線だけは、JRで経営を維持し運行するということですが、これは、公共交通を担う企業としての役割を投げ捨てるやり方ではないでしょうか。

JR函館本線は、先人が築き上げてきた、かけがえのない公共財産であり、通学、通院、買い物など、住民が日常的に利用する必要不可欠な交通手段です。

知事は、道民の足を守るため、経営安定化基金や税制上の優遇措置を受けてきたJR北海道に対して、在来線の維持を強く求めるとともに、JR北海道が、国が株式を100%保有する事実上の国有全業であることを踏まえ、国としての責任と役割を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

エゾシカ対策事業の継続と対策の拡充を

次に、エゾシカ対策についてです。

エゾシカによる被害は、農林業で40億円を突破し、交通事故は1800件以上発生するなど、今や、放置できないレベルに至っています。

地域によっては、農業経営に深刻な影響を及ぼしており、市町村とも連携した、より効果的な被害防止策が早急に求められています。

国は、平成20年度に鳥獣被害防止総合対策事業を創設し市町村の取り組みを支援してきましたが、この事業は、22年度で打ち切りとされています。事業の継続と対策の拡充が必要と考えますが、道としてどう取り組むのか、伺います。

道教委「通報制度」、関係者の声聞かなかったのはなぜか

最後に、教育問題について伺います。

道教委は、3月30日付の教職員服務規律調査に続き、5月31日から、学校教育における法令等違反に係る情報提供制度を実施いたしました。

道教育委員会の会議では、服務規律調査について、さまざまな配慮を求められ、今回の通報制度については、誹諧中傷による混乱を懸念する意見などが出されているものと承知しています。

それにもかかわらず、なぜ、道議会の議論を経ることもなく、また、通報する側となる各学校のPTAを初め、道民に全く知らされない中で実施したのか、伺います。

道の行政基本条例にある、道政の公開性や、道民の理解と参加という趣旨に反するやり方だと考えますが、あわせて教育長の見解を伺います。

今回の、いわゆる北教組事件は、通報制度が未確立だったから発生したのではないと考えます。通報制度と北教組事件との関連、要因について、教育長に見解を伺います。

要綱では、法令等違反行為の第1の例として、「学習指導要領等に基づかない指導」を挙げています。

仮に、教育内容について疑義があるのであれば、教職員と児童生徒、保護者などの自主的な意見交換を通して問題を解決するのが当たり前であります。

それを壊してしまう、情報提供という名の密告奨励制度は中止すべきだという、教育界、弁護士の方々の声を教育委員長はどう受けとめているのか、伺います。

法令等違反行為の第2の例として、教育公務員の「政治的行為」を挙げています。

教職員の政治活動を、一律、法令等違反行為と決めつけた上、教職員の政治活動があたかも違法な行動であるかのような印象を広め、教職員の正当な権利の行使を妨げることにもにつながるのではないでしょうか。

また、教育基本法第16条にある、「教育への不当な支配」に道を開く危険性が高いのではないでしょうか。

地方の行政機関による一要綱で、憲法が保障する教職員の政治活動の自由が制限されてはならないという批判も、法律の専門家の方々から出ています。教育委員長は、こうした幾つかの批判をどう受けとめているのか、伺います。

以上、再質問を留保して、終わります。


知事答弁

多田健一郎副知事の答弁

○副知事多田健一郎君

(登壇) 知事の政治姿勢に関し普天間基地問題及び移転訓練などについてお答えを申し上げます。

まず、普天間問題への前総理大臣の対応についてでありますが、辞任されたときの御発言によりますと、前総理におかれましては、普天間飛行場の移設問題も含め、さまざまな政治情勢も踏まえ、辞任されたものと承知をしております。

次に、いわゆる抑止力についてでありますが、沖縄の米海兵隊と抑止力の関係に関しては、国内外でさまざまな御意見があることは承知をしておりますが、防衛は国の専管事項であり、道としては、渉外知事会とも連携し、米軍基地の整理、縮小や、日米地位協定の見直しなどを国に対して求めているところでございます。

次に、沖縄県の負担軽減のための米軍訓練移転についてでありますが、矢臼別演習場における米軍の実弾射撃訓練につきましては、沖縄県で行われておりました県道104号線越え実弾射撃訓練が、平成9年から、全国5カ所の演習場に分散して実施されているものであり、平成8年度を最後に、沖縄県では行われていないところであります。

また、干歳基地では、沖縄県嘉手納飛行場などに所属します米軍機の訓練の一部を受け入れているところであります。

北海道は、既に、この両方の訓練を受け入れており、沖縄県の負担軽減のためにー定の貢献をさせていただいていると受けとめているところであります。

次に、矢臼別演習場での火災事故等に係る、火災の原因究明などについてでありますが、今回の訓練に伴い発生した火災について、火災発生の都度、道や地元4町から北海道防衛局に対して、その原因究明と再発の防止などを要請したところであります。

しかしながら、要請の趣旨が生かされず、10日間の訓練で5回の火災発生が繰り返されたことは、大変遺憾であると思っているところであります。

次に、地元の声についてでありますが、今回のたび重なる火災につきましては、住民の安全、安心を脅かすものであり、まことに遺憾であると、道と地元の認識は一致をしており、道と地元4町から或る矢臼別演習場関係機関連絡会議として、北海道防衛局に、原因究明や再発防止などを要請したところであります。

次に、国への申し入れについてでありますが、道と地元4町から成る矢臼別演習場関係機関連絡会議に対し北海道防衛局から、たび重なる火災発生の原因などの概略について御説明はあったものの、再発防止策、及び、関連機関への連絡や地元住民への情報提供のあり方などにつきましては、今後、具体的な協議を行うこととしているところでございます。

道といたしましては、その結果を踏まえ、地元4町と連携を図りながら、国へ要請してまいる考えでございます。

次に、新たな訓練移転問題への対応についてでありますが、全国知事会では、政府から具体的な提案があった場合には、関係する市町村や住民の方々の御理解を前提として、真摯に対応していくことを見解として表明したところでございます。

道といたしましては、仮に、国から具体的な御提案があった場合には、この見解を踏まえ、道内では大変慎重な御意見もありますことから、地域の意見を十分お聞きするなどして、慎重に対応を検討していかなければならないものと、これまでも申し上げてきたところでございます。

次に、B型肝炎訴訟についてでありますが、平成元年6月、札幌地方裁判所に提訴した、道内のB型肝炎患者の方々が国に損害賠償を求めた事案につきましては、乳幼児期の集団予防接種における注射器の連続使用が原因であるとして、平成18年6月、最高裁判所で判決が確定したところであります。

このような判決を踏まえて、その後、平成20年3月には、道内の多くのB型肝炎患者の方々が国に対して損害賠償を求めて、札幌地方裁判所に提訴されるとともに、全国的にも、多くの地域で同様の提訴がなされているところと承知をしてございます。

こうした中、本年3月、札幌地方裁判所により和解勧告が出され、7月には和解協議が開始されるものと承知をしておりますが、現在係争中の原告団の方々の中には、道内在住の3人を含め、10人の方々が既に亡くなられており、道といたしましても、一日も早い解決が図られることを願っているところでございます。

最後に、肝炎対策についてでありますが、道におきましては、昭和49年度から、国に先駆けて、道単独で、難治性肝炎を特定疾患治療研究事業の対象疾患として認定し、治療に係る医療費の助成を行ってきたところでありますが、平成17年度に、このうち、ウイルス性肝炎について、原因が判明してきたことや、治療方法が一定程度確立されていることなどから、特定疾患の対象から除外し、新たに創設したウイルス性肝炎進行防止対策医療給付事業に移行するなど、制度の見直しを行ったところでございます。

国では、平成20年度から、肝炎治療特別促進事業として、新たに、インターフェロン治療に対する医療費の助成を実施するとともに、本年1月に施行されました肝炎対策基本法に基づきまして、今後、肝炎対策の総合的な推進を図るための基本的な指針を策定することとされておりますので、これらの動向も見きわめながら、適切に対応してまいりたいと考えております。

以上でございます。


高井修副知事の答弁

○副知事高井修君

(登壇) 花岡議員の質問にお答えをいたします。

最初に、知事の政治姿勢に関しまず、核兵器の廃絶についてでありますが、知事は、これまでも、あらゆる核兵器を廃絶していかなければならないとの認識を示すとともに、唯一の被爆国である我が国として、核兵器のない平和な世界の実現に積極的に取り組んでいくことを強く期待する旨、表明してきたところであります。

次に、JR不採用問題についてでありますが、JRに採用されなかった1047名のうち、521名は道民の方々であり、国鉄分割民営化後の23年間もの長期間にわたって、解決に至らなかったことは、当事者の方々とともに、御家族の方々も含めて、大変な御苦労をされてきたものと受けとめております。

これまで、道といたしましては、関係の労働組合からの要請を受け、一刻も早い円満な解決が図られるよう、関係機関に働きかけを行ってきたところであり、また、道議会におきましても、同様に、早期解決を求める意見書を可決し、政府への働きかけを行っていただいたところであります。

こうした中、本年4月に、政府から、「国鉄改革1047名問題の解決案」が提示され、関係する労働組合など、4者4団体が受け入れを表明し、解決に向け、大きく前進したことは、大変喜ばしいことと考えております。

次に、雇用問題についてでありますが、本年4月の解決案の中で、「政府はJRへの雇用に努力する。」と示されていることから、和解成立後に、JR各社に対して国の意向が示されるものと承知しており、こうした中で、雇用問題についての解決が図られることを期待しております。

最後に、北海道新幹線に関しまして、並行在来線の取り扱いについてでありますが、整備新幹線の認可、着工に当たっては、運営主体となるJRの同意や、並行在来線の経営分離に対する沿線自治体の同意等が基本条件とされ、経営分離する区間につきましては、JRの経営判断などにより決定されているところであります。

道といたしましては、並行在来線の取り扱いは、沿線地域の住民の方々の通動、通学、通院などにかかわる大変重要な問題でありますことから、JR北海道が決定する経営分離区間につきましては、地域の意向にも十分配慮して判断していただきたいと考えており、今後とも、JR北海道と、並行在来線の取り扱いなどについて率直な意見交換を行ってまいりたいと考えております。

なお、国に対しましては、先行他県とも連携し経営分離後における並行在来線に対する支援措置の拡充について、引き続き強く求めてまいる考えであります。

以上であります。


高原陽二副知事の答弁

○副知事高原陽二君

(登壇) 第1次産業に関し、エゾシカ対策についてお答えいたします。

エゾシカによる農林業被害などが拡大する中、地域における被害防止対策は喫緊の課題であり、道といたしましては、国の鳥獣被害防止総合対策事業を活用し、市町村の取り組みを支援していくこととしておりますが、この事業は、本年度で終了予定となっておりますことから、地域の御意見などを踏まえ、来年度の国費予算編成に向けまして、本事業の継続と支援の充実を強く要望してまいりたいと考えております。

以上です。


教育委員長の答弁

○教育委員会委員長神谷奈保子君

(登壇) 花岡議員の御質問にお答えいたします。

まず、情報提供制度についてでありますが、私自身、子育てを経験した立場からしましても、学校現場が直面する日々の諸課題につきましては、御指摘のように、保護者を含めた関係者間の話し合いを通しまして、主体的に解決されることが望ましいと考えております。

しかしながら、教職員の法令違反や、学習指導要領に基づかない指導などの問題につきましては、教職員の皆さんの任命権者である道教委と、服務を監督し、学校を設置している教育委員会とが連携しながら、しっかりと対応していかなくてはならないものと認識しております。

私といたしましては、学校と家庭と地域が信頼し合って、子どもたちを励まし、育てていくことが大切であると考えておりますが、このような信頼関係の前提となるのは、子どもたちのお手本である先生方に、きちんと法令を遵守していただくことと考えております。(発言する者あり)

こうしたことから、今回の制度は、教職員に法令等に違反する行為があった場合などに限りまして、道民の皆様から情報をいただき、いただいた情報の内容を十分確認した上で、適切な対応を行うことによりまして、子どもたちをはぐくむ教育現場に信頼を確保しようとするものであると考えております。(発言する者あり)

次に、教育公務員の政治的行為についてであります。

今回の一連の問題に関しまして、子どもたちの教育に直接携わっている教職員が加入している職員団体の幹部が逮捕、起訴されまして、有罪判決が下されたというこのたびの事態につきましては、まことに残念なことであり、現場の教職員はもとより、保護者や地域の方々にも非常に大きな不安や不信を与えたものと考えているところでございます。

全体の奉仕者である公務員は、政治的中立性の確保が求められておりますが、特に教職員につきましては、心身ともに発達段階にある児童生徒の価値観の形成に対しまして強い影響力を有することから、政治的中立性が一層強く求められているものと考えているところであります。(発言する者あり)

こうしたことから、私といたしましては、本制度の趣旨と内容をしっかりと道民の皆様にお伝えするとともに、寄せられた情報の内容を十分確認した上で、市町村教育委員会に調査をお願いするかどうかを決めるなど、適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

以上でございます。(拍手)(発言する者あり)


教育長の答弁

○教育長髙橋教一君

(登壇)(発言する者あり) 花岡議員の御質問にお答えいたします。

まず、情報提供制度に関する要綱制定についてでございますが、道教委といたしましては、本道の子どもたちの教育に携わる教職員が加入しております職員団体の幹部が、政治資金規正法違反で逮捕、起訴され、有罪判決を下されたこのたびの事態につきまして、保護者や地域の方々に大きな不安と不信を与え、本道教育に対する信頼を著しく損なうものとして、厳しく受けとめているところでございます。

道教委といたしましては、これまでも、保護者を初め、道民の皆様から、学校教育に関するさまざまな御意見や御指摘をちょうだいしているところではございますが、本制度は、このたびの事態の重大性にかんがみ、地教行法に基づく、道教委の指導助言の責務を果たし学校教育に対する道民の信頼の確保を図ることを目的として、特に、学校や教職員の法令等違反に関して、道民の皆様から情報提供をいただき、道教委として必要な対応を図ることについて、要綱として定めたものでございます。

次に、このたびの事態との関連についてでございますが、本制度は、このたびの北教組にかかわる事態に関連し職員団体の活動による学校運営への影響や、教職員が禁止されている政治的行為を行っている疑いがあることなどが報道され、国会や道議会においても議論されたことを踏まえ、正すべきことは正すこととし、学校教育に対する道民の信頼の確保を図るため、導入したところでございます。

以上でございます。(発言する者あり)


花岡ユリ子議員の再質問・指摘

○78番花岡ユリ子君

(登壇・拍手)(発言する者あり) 指摘を交え、再質問いたします。

矢臼別演習場での火災事故に関して、数度にわたる要請にもかからず、火災事故の発生が繰り返されることについては、大変遺憾であると、地元からの怒りの声に対しては、道と地元の認識は一致しているとの答弁でした。

もし、それが本当の気持ちならば、副知事を先頭に、関係自治体の関係者が、何度、火災の原因究明と再発防止の徹底を求めても、アメリカ海兵隊側からは、何らの具体的な前向きな答えが返ってこないのですから、ここはもう知事の出番ではないでしょうか。

地元の方々の切実な思いを踏まえて、知事みずからが、早急に防衛大臣に強く申し入れるべきと考えますが、いかがでしょうか、再度、見解を伺います。

知事は、5月27日に開催された全国知事会における鳩山前首相の協力要請に対して、具体的に、まず提案があるのが大前提と発言し総理、政府のほうから個別具体的な提案があれば、それを踏まえて、地域として責任を持って意見の集約をしていくとも述べられました。

しかし既に2ヵ所で米軍訓練を受け入れていると強調しながら、一方で、こうした訓練移転の可能性を検討する姿勢を示したことは、矛盾であり、大きな問題です。

北海道としては、明確に、これ以上、訓練移転は受け入れがたいと、はっきり言うべきではないでしょうか、いかがでしょうか。

次に、肝炎対策についてです。

集団予防接種が原因のウイルス性肝炎の責任について、国とは次元が違うものの、道や市町村が予防接種にかかわったことは事実です。道は、「和解を願う」という姿勢ではなく、かかわった当事者として、根本的な責任を有する国に対し早期の和解成立を強く求めるべきと考えますが、再度、見解を伺います。

その際、知事には、本道の患者さんたちが全国に発信したこの訴訟の原告の皆さんと直接お会いしていただき、また、御苦労を聞いていただき、その思いをしっかりと受けとめた上で、国に申し入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、あわせてお答えください。

次に、JR採用差別問題に関して指摘いたします。

先日、元国鉄労働者の方から、この23年間のお話をお聞きする機会がありました。そのお話では、国鉄時代、自負と誇りを持って仕事をしてきた、家族の方々も、夫の頑張りを見ているだけに、こんな不当なことは許せないと、ともに闘ってきたと話されています。

こうした優秀な国鉄マンの不当な採用差別は、JRの大きな損失なのです。ぜひ、知事には、元国鉄マンの方々に会っていただき、これまでの御苦労をお聞きした上で、JRや国に対して、雇用責任を果たすよう、強く働きかけるべきと考えますが、指摘をしておきます。

次に、並行在来線についてです。

北後志や函館市の首長は、在来線の存続を強く求めています。道は、このような地元自治体の声を丁寧に聞くべきであり、ましてや、経営分離の同意を押しつけることはあってはならないと思います。

最後に、教育問題についてです。

要綱制定の過程で、道民の意見聴取などがどのように行われたのか、質問したにもかかわらず、そのようなことには全く答えていないと言わざるを得ません。

道教委の説明では、通報制度の説明は、5月19日に、4種校長会と町村教育委員会連合会、21日に、都市教育委員会連絡協議会と北海道PTA連合会、27日は、高等学校PTA連合会ということで、これらを合わせても8団体で、しかも、それぞれのトップの方にしか説明していないということです。全く形式的で不十分です。

8団体からどんな意見が出されたのか、また、その後、8団体が、各市町村教委やPTA、校長たちに説明し、その結果、どんな意見が上がってきているのか、そして、道教委として、それを掌握しているのか、教育長の明確な答弁を求めます。

教育委員長の御答弁で、教育公務員の政治的中立性が一層強く求められていると、殊さら強調されましたが、再度お尋ねします。

憲法では、教育公務員の政治的自由を保障しており、制限されるのは、地位を利用した政治活動であること、一地方が定めた条例や要綱で、最高規範である憲法に抵触するような制度をつくってはならないこと、以上の2点について、教育委員長御自身の見識をお示しいただきたいと思います。

以上、再々質問を留保して、終わります。(拍手)


多田副知事の再答弁

○副知事多田健一郎君

(登壇) 知事の政治姿勢に関し普天間基地問題及び移転訓練などについてお答えをいたします。

まず、矢臼別演習場での火災事故などに係る国への申し入れについてでありますが、今後、地元4町と道から成ります矢臼別演習場関係機関連絡会議におきまして、再発防止策などについて具体的な協議を行うこととしております。その結果を踏まえまして、道としても国へ要請してまいる、こういう考え方でございます。

次に、訓練移転問題への対応についてでありますが、道としましては、仮に、国から具体的な御提案があった場合には、全国知事会の見解も踏まえ、道内では大変慎重な御意見もありますことから、地域の意見を十分お聞きするなどして、慎重に対応を検討していかなければならないとの考えでございます。

最後に、B型肝炎訴訟についてでありますが、札幌地方裁判所に提訴した本件につきましては、本年3月の札幌地方裁判所の和解勧告を受け、7月には和解協議が開始されるものと承知をしており、道といたしましても、一日も早い解決が図られることを願っているところでございます。

なお、道といたしましては、道政推進に当たって、これまでも、さまざまな機会や協議会の場などで、患者団体の方々とは意見交換などに努めているところでございます。

以上でございます。


高井副知事の再答弁

○副知事高井修君

(登壇) 花岡議員の再質問にお答えいたします。

北海道新幹線に関し、並行在来線の取り扱いについてでありますが、先ほどもお答えしたとおり、道といたしましては、並行在来線の取り扱いは、沿線地域の住民の方々の通勤、通学、通院などにかかわる大変重要な課題であると考えておりまして、JR北海道が決定する経営分離区間については、地域の意向にも十分配慮して判断していただきたいと考えており、その旨、JR北海道に伝えてきたところであります。

以上であります。


教育委員長の再答弁

○教育委員会委員長神谷奈保子君

(登壇) 花岡議員の再質問にお答えいたします。

情報提供制度についてでありますが、教員も、一私人としては、思想の自由、表現の自由に基づく政治活動の自由が保障されておりますが、教員は、心身ともに発達段階にある児童生徒の価値観の形成に対しまして強い影響力があります。

こうした教育の特性を踏まえて、教育における政治的中立を図るため、公職選挙法による、教育者の地位利用の選挙運動の禁止があります。

また、教員は、公務員としての身分を有することから、教育公務員特例法第18条により、国家公務員法と、これに基づく人事院規則による、一定の政治的行為の制限がなされているものと承知しているところでございます。

最高裁におきましては、こうした制限は、合理的で、必要やむを得ないものであり、合憲であるとの判決が出されているものと承知しているところでございます。

今回の情報提供制度は、こうした法令等違反行為に限定し情報の提供を受けようとするものであります。地教行法などの関係法令に照らしても、問題はないものと考えているところでございます。

以上でございます。(発言する者あり)


教育長の再答弁

○教育長髙橋教一君

(登壇) 花岡議員の再質問にお答えいたします。

制度に対する意見についてでございますが、本制度の実施に当たりましては、各学校種の校長会や教育委員会連合会、PTA連合会に具体的内容の説明を行い、その際に、このたびの事態を受けて、道民の不信感が蔓延しており、信頼回復のために、このような制度が必要であることは理解するといった意見があった一方で、学校で解決すべき課題が道教委に伝えられ、学校現場が混乱しないかと懸念する意見があったところでございますが、制度の趣旨や内容について説明し、御理解をいただき、要綱を決定したところでございます。

その後につきましては、特段の意見は寄せられていないところでございます。

いずれにいたしましても、本制度は、このたびの事態の重大性にかんがみ、地教行法に基づく、道教委の指導助言の責務を果たし、学校教育に対する道民の信頼の確保を図ることを目的として、道教委の責任と権限におきまして実施することとしたところでございます。

以上でございます。(発言する者あり)


花岡ユリ子議員の再々質問・指摘

○78番花岡ユリ子君

(登壇) 指摘を交え再々質問を行います。

矢臼別演習揚での海兵隊の訓練で火災が5回も起きた問題で、軍事ジャーナリストで、沖縄大学客員教授の前田哲男氏は、米海兵隊の実弾演習による野火は、沖縄では米軍山火事として広く知られている、政府がそれを前提とした対策を進めていないのは怠慢だと、厳しく指摘しています。

知事としても直接国に申し入れ、もしも聞き入れられないときは、矢臼別演習場訓練を受け入れないと明言すべきです。そのことを強く指摘しておきたいと思います。

肝炎対策について指摘します。

双方が和解するという形式論ではなく、間違いを犯した国に対して、それを認めさせ、正すよう、道として働きかけていただきたい、そのことを強く求めておきたいと思います。

答弁でもあったとおり、国の責任が断罪されてから4年間で、10人の原告がお亡くなりになり、そのうち、道内関係者が3人だということは承知しているわけですから、知事が原告団の皆さんと会うことが、原告にとどまらず、訴訟に参加していない患者さん、家族の皆さんを激励することになります。原告の方々と会って、思いを受けとめていただきたいということを重ねて要望し指摘といたします。

教育委員長が、教員も政治活動の自由が保障されているという認識を示されたことは大事なことだと考えます。

その上でですが、通報制度の要綱の別紙では、法令違反になるおそれについて例示されています。

法令違反とは特定できなくても、おそれがあるからということで、教職員が監視下に置かれ、憲法で保障されている諸権利が不当に侵害されかねない危険性を指摘しておきたいと思います。

要綱制定にかかわって、その後、8団体からは特段の意見が寄せられなかったとの答弁がありましたが、それは、道教委が、それぞれの市町村教委や学校長、PTAに説明し、意見を集約することを求めていないからです。

制度に賛成、問題なしとぃうことではなく、関係者にさえ知らされないで、密告奨励制度をつくったという事実は消えません。特に、一般教職員は、調査の結果、法令違反行為があると認定されれば、懲戒処分につながる可能性もあります。

教育現場で日々苦労している教員に対して、強制的に服務規律調査を行うのではなく、通報制度に対する意見を今からでも聞くべきです。

制度の是非について、教職員をはじめ関係者の意見集約をこれからでも行うよう求めておきます。教育長に答弁を願います。

以上で私の質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)


教育長の再々答弁

○教育長髙橋教一君

(登壇) 花岡議員の再々質問にお答えいたします。

情報提供制度に対する意見についてでございますが、道といたしましては、今後、本制度に対しまして関係団体等から意見が寄せられた場合には、教職員の服務規律を確保し、学校運営の適正化を図るという本制度の趣旨や、寄せられた情報の取り扱いなどについて、しっかりと御説明し理解を得てまいりたいと考えております。

以上でございます。(発言する者あり)


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[日本共産党道議団編集]

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