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道議会での取り組み
2009年第3回臨時道議会

【真下紀子道議の2009年第3回臨時会質疑】 09.08.05

2009年8月5日 2009年第3回臨時道議会

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

○30番真下紀子君

(登壇・拍手) 私は、日本共産党を代表して、先ほど提案のありました議案について、知事及び教育長に質問いたします。

これまでの景気対策の効果について

昨年からの国際的金融危機に端を発した景気悪化と雇用破壊、国民生活の不安定化は深刻の度合いを増しています。

麻生内閣は、まずは景気だと言って、昨年8月から、4回にも及ぶ景気対策予算を組んできました。

道は、国の補正予算に呼応して、迅速かつ的確に第3次緊急総合対策を実施するとして、第2回定例道議会に続き、約800億円の補正予算案を、ことし既に3回目となる本臨時会に提案しています。

そこで、これまでの対策の効果について、知事の認識を伺います。

中でも、ばらまきとの批判を受けながら、知事が、本道経済の回復と道民生活の安定に期待を寄せた定額給付金については、派遣切りで、職場とともに住居まで失い、生命の危機にある方にきちんと行き渡ったのでしょうか。その効果もあわせてお聞きします。

雇用承継奨励事業費が全国で初めて提案されました。せっかくの道の取り組みであり、雇用継続に資するためにも、対象期間を今年度の初めまで遡及するなど、対象を拡充すべきではないでしょうか。

また、大企業については、現在、法人税率は30%、実効税率は約40%ですが、税額控除や各種減免措置で20%台となっています。実質、中小企業の税負担よりも低いほどに優遇されている大企業に対しては、危機的な道財政の中での道民の税金の投入、つまり、事業の対象とすべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

基金の造成と活用の取り組みについて

7月22日に、私たち日本共産党道議団は、道民生活対策に関する緊急要望を行い、その中で、医療施設耐震化臨時特例基金、地域医療再生基金、高校生授業料減免緊急支援基金など、すべての基金の造成と活用を求めました。

道は、14基金のうち、5基金の積み立てにいまだ着手していません。なぜ、この臨時会になってもなお、すべての基金をフル活用するための提案をしないのでしょうか。

全国の状況では、既に6月までの補正で、兵庫県や山口県が14基金のすべてを積み立てているのを初め、道がいまだ着手していない事業のうち、既に先行して取り組んでいる府県があります。

私どもが調査をしただけでも、地域医療再生基金は3県、医療施設耐震化臨時特例基金では5県、高校生授業料減免緊急支援基金では7県、消費者行政活性化基金は8県、地域グリーンニューディール基金は9府県が造成するなど、予算を措置済みです。

知事は、常々、全国でも北海道経済は厳しいと言いながら、全国と比較すると、国の交付金事業を迅速かつ的確に活用しているとは言いがたいと考えますが、知事はいかがお考えでしょうか、お答えください。

地域医療再生基金について

地域医療再生基金は、救急医療の確保、地域医師の確保など、地域における医療課題の解決を図るため、都道府県が策定する計画に基づく取り組みを支援するためのものであり、まさに北海道のために制度化されたようなものです。それをいまだ計上できないという、北海道の地域医療に対する危機意識のなさを何と表現していいのか、言葉を失ってしまいます。

知事は、地域医療再生交付金についてどう対応しようとしているのか、お伺いします。

道立紋別病院の移管について

また、経営が悪化している道立紋別病院は、5市町村の広域連合との移管基本合意を、当初、7月に予定していたにもかかわらず、医師確保ができないために、大幅にずれ込む見通しとのことです。地域医療再生基金の活用も含め、今後の道立紋別病院の移管の見通しについて、あわせて伺います。

医療施設耐震化臨時特例基金について

医療施設耐震化臨時特例基金は、災害対応としても不可欠であり、早期の造成と活用が求められています。

知事は、医療施設耐震化臨時特例基金の活用に関し、医療機関の意向についてどのように把握されているのでしょうか。根室市など、財政力が脆弱な公立病院に道費助成を検討するお考えはあるのか、また、基金造成のめどについても、あわせて明らかにしてください。

高校生授業料減免緊急支援基金について

道内でも、子どもの貧困が深刻になっています。これまでも指摘をしてきましたが、道内で奨学金を活用する生徒が増加しているだけではなく、高校の入学金や授業料が払えないために、高校進学をあきらめ、進学しても、修学旅行も部活動もあきらめ、中途退学を選択せざるを得ない子どもたちが増加し、深刻さは限界を超えていると言わざるを得ません。

今回の補正予算では、高校生授業料減免緊急支援基金の造成を今なお提案していませんが、知事及び教育長は、こうした子どもたちの現状をどのように認識しているのか、まず伺います。

また、道内の35市における奨学金、入学準備金などの制度について、私たちが調査を行った結果、4市を除き、貸し付け型だけではなく、給付型を含めての支援制度があります。道内の市町村や団体等が行っている各種奨学金制度の活用状況などについて把握しているのか、知事及び教育長に伺います。

さらに、修学困難な子どもたちにどう対応しようとしているのか、知事及び教育長にあわせて伺います。

社会福祉施設の耐震化について

私は、2006年第1回定例会で、社会福祉施設の耐震化が非常におくれていると指摘した上で、耐震診断を進めることが必須の条件であり、耐震改修促進計画が実効あるものとして機能するために、今後、道は必要な予算をつけて促進に努力すべきと求めました。

このたび、基金造成が提案されていますが、道のこれまでの取り組み、現在の耐震診断率と耐震化率、今後の目標と見込みについてお示しください。

介護職員処遇改善等臨時特例基金及び障害者自立支援対策臨時特例基金について

介護職員処遇改善等臨時特例基金及び障害者自立支援対策臨時特例基金の造成等が提案されています。

それぞれの職員の処遇改善に直接貢献する対策となるよう、万全を期すべきですが、道はどのように取り組むのか、伺います。

また、処遇改善がされたかどうかは、どのようにして確認をするのか、あわせて伺います。

介護職員処遇改善等臨時特例基金では、施設開設準備に要する経費の支援が盛り込まれています。地域要望にこたえた施設開設が可能となるよう、有効活用すべきです。道としてどのように取り組むのか、伺います。

要介護認定基準の変更に伴う影響調査等について

4月からの要介護認定基準の変更に伴う非該当・軽度化判定の増加が、直接、施設の収入のマイナスにつながり、経営が成り立たないという声が広がりました。これでは、せっかくの臨時特例基金による処遇改善も、意味を持たなくなってしまいます。

日本共産党は、現場の声を届けながら、判定基準の撤回、見直しを強く求めてきましたが、このたび、厚生労働省は、認定調査項目の74項目のうち、43項目もの定義修正を決定しました。

道としても影響調査等を行うべきではないでしょうか、また、この修正内容の周知にはどのように取り組むおつもりか、あわせて伺います。

母子家庭自立支援給付金支給事業の促進について

母子家庭自立支援給付金支給事業によって、母子家庭の母の就業支援手当の拡充が提案されていることは歓迎します。

しかし、昨今の雇用情勢の悪化から考えますと、制度そのものを、父子家庭を含めた一人親家庭のすべてを対象とすべきではないでしょうか。見解を伺います。

この間、自民党と公明党政権は、児童扶養手当を削減し、生活保護世帯の母子加算をなくしてきました。子どものいる世帯の貧困率が、所得再配分後においても減少せず、逆に増大しているのは、OECD加盟30カ国の中でも日本だけであり、異常事態と言えます。

就業期間中の実質負担を考えると、生活保護世帯は、生活費を削って参加することになり、今でさえ最低基準を割った状態でありながら、果たして参加できるのか、疑問です。これまでの対象者と、その実績及び生活保護世帯における実績を伺います。

また、生活保護受給者は、この給付金が全額収入認定されるというふうに聞いております。事業活用を促進するに当たって、こうした課題も含めて、どのような認識をお持ちか、伺います。

保育所入所待機児童の解消について

保育所入所希望者の要望にこたえ切れず、特に待機児童が多い札幌市及び旭川市の待機児童解消が課題であるということは、2004年から問題提起をさせていただいておりました。

4月現在で、両市の待機児童は624人とのことですが、当初予算措置も含め、このたびの安心こども基金の活用によって、今年度の保育所入所待機児童はどの程度解消されるのか、その見込みを伺います。

道立試験研究機関の機能充実について

これまでも、道立試験研究機関の機器更新の停滞等について、疑念の声が寄せられており、私たちは、その充実を求めてきました。

私たちとは立場は違いますが、道立試験研究機関の機能充実について、道経連の会長がじきじきに知事に進言されたと報道されています。道立試験研究機関は道民の財産であり、その機能の充実強化は当然のことであるにもかかわらず、これまでそれを怠ってきた知事の姿勢に対する苦言ではありませんか。

知事は、こうした進言をどう受けとめ、今後、道民財産としての試験研究機関の充実強化にどのように取り組むのか、伺います。

特別支援学校施設整備について

最後に、このたびの補正予算案で、特別支援学校施設整備費が提案されていますが、今回の整備による充足状況と今後の見通しについて、教育長に伺います。

以上、再質問を留保して、私の質問を終わります。(拍手)


高橋はるみ知事の答弁

○知事高橋はるみ君(登壇)

 真下議員の質問にお答えをいたします。

最初に、これまでの景気対策の評価に関し、まず、景気・雇用対策の効果についてでありますが、国においては、極めて厳しい状況が続いている我が国の経済・雇用情勢を踏まえ、昨年来、数次にわたる総合的な対策を実施してきており、道においても、こうした国の施策展開に呼応し、切れ目のない対策の実施に全力で取り組んできたところであります。

例えば、雇用・中小企業金融対策では、雇用関連の交付金を活用し、これまでに、約700件、約3800人の雇用創出につながる事業を実施してまいりましたほか、中小企業への資金供給の円滑化策として創設されました国の緊急保証制度についても、昨年10月のスタート以来、道内で、ことし7月末までに、約2万3000件、約3800億円の保証が実行され、こうした国の制度とも連動する平成20年度の道のセーフティーネット貸し付けの実績は、前年度の5倍となる約6600件、約1200億円に達したところであります。

また、公共事業などの投資的事業につきましても、平成20年度補正予算に基づく事業を約300億円執行するとともに、平成21年度においても、6月末時点で、公共事業や投資単独事業を約1500億円執行いたしたところであります。

本道の経済、雇用は、依然として厳しい状況にありますが、これまで取り組んできた国や道のさまざまな対策が、本道の景気、経済の下支えや雇用の創出に効果を発揮してきているものと考えているところであります。

次に、定額給付金についてでありますが、総務省の7月27日時点での給付状況の調査によりますと、道内では、給付対象世帯の92.8%の247万世帯、給付予定金額の95.8%の811億円が給付済みであり、全国平均と比べ、世帯数で1.4ポイント、金額で0.7ポイント、それぞれ上回っているところであります。

本道の景気、経済の状況については、依然として厳しい実態にあり、私といたしましては、暮らしの面で深刻な影響が及んでいる道民の皆様方にとって、今回の給付金が家計への緊急支援として、不安の解消や消費の刺激などに一定の効果が発揮されることを期待いたしているところでございます。

市町村における給付金の申請期限が、受け付け開始日から6カ月となっておりますことから、まだ申請書を受け取っていない方々への周知などについて、引き続き、市町村に対して適切に助言をしてまいります。

次に、雇用承継奨励事業費に関し、まず、対象などについてでありますが、本事業につきましては、特に厳しい雇用情勢が続くことが懸念される本年度後半において、その厳しい状況を緩和するために、雇用の場を守り、新たな離職者の発生を食いとめることを目的として、事業などの承継に対するインセンティブを与えるために、緊急対策として実施するものであり、道といたしましては、今後、事業や施設設備などを承継するとともに、従業員を再雇用する企業を奨励金の対象とする考えであります。

次に、支給対象についてでありますが、地域を支えていた企業の倒産や事業所の閉鎖など、雇用の場が失われている状況の中、道内外からの積極的な投資を呼び込むことにより、雇用の場の存続を図るとともに、安定した雇用形態による再雇用を促進することをねらいとしているところであり、中小企業に限らず、大企業も対象としているところであります。

なお、対象労働者1人当たりの支給額については、経営基盤の違いなどを考慮し、中小企業は50万円、大企業は25万円といたしているところであります。

次に、基金事業に関し、まず、基金に係る予算の措置についてでありますが、道といたしましては、国の経済対策に係る支援措置については、早期の予算化に努めてきたところでありますが、高等学校の授業料減免事業等の特例交付金などに係る五つの基金については、本道への交付見込み額や制度内容の詳細が明らかでなかったことから、現時点で予算化していないものであり、今後、できるだけ早期に必要な予算を措置してまいる考えであります。

次に、地域医療再生計画についてでありますが、道では、このたびの交付金を活用して、医師確保を初め、周産期医療や救急医療など、地域が直面するさまざまな医療課題に対応してまいりたいと考えているところであり、現在、道内の21のすべての2次医療圏において、地域の医療機能の充実に必要な事業について検討を行っているところであります。

国においては、都道府県に対し、本年10月中旬までに地域医療再生計画を策定し、提出するよう求めておりますことから、道といたしましては、今後、北海道医療対策協議会などとも十分に協議を行いながら、期限までに計画を策定してまいりたいと考えております。

また、道立紋別病院については、西紋別地域の5市町村長連名で、紋別病院の移管に関する協議書が提出され、現在、道において検討を行っているところであります。

道といたしましては、地元市町村が来年4月1日の移管を目指していることを踏まえ、医師確保に全力で取り組みながら、できるだけ早く地元との協議を進めてまいる考えであります。

次に、医療施設耐震化臨時特例交付金についてでありますが、この交付金は、災害拠点病院、救命救急センター及び2次救急医療機関が行う耐震整備に対し助成することを目的として創設されたものであり、道では、現在、対象となる354の医療機関に対し、本事業に対する要望の有無や事業の概要などについて調査を実施いたしているところであります。

今後、これらの結果を取りまとめた上、北海道総合保健医療協議会の御意見もお伺いしながら、8月末までに、道としての基金事業計画書を国に提出し、その後、国の内示を受けて基金を造成することといたしているところであります。

また、市町村立病院の耐震化整備については、この交付金のほか、地域活性化・公共投資臨時交付金や起債といった財政措置があることから、その活用についても、適切な助言に努めてまいりたいと考えております。

次に、修学支援についてでありますが、道といたしましては、私立高校において、経済的理由により中途退学などに至る生徒がいる実態を踏まえ、こうした理由により子どもたちの修学が困難となることのないよう、保護者への支援措置を講じる必要がありますことから、これまでも、私立高校の生徒に対して、授業料軽減補助制度や奨学金制度、入学資金貸付制度などにより、保護者負担の軽減に努めてきたところであります。

道内の市町村などが行っている各種奨学金制度などの状況につきましては、そのすべてを承知しているわけではありませんが、道といたしましては、現行の支援制度の有効かつ積極的な活用に努めるとともに、経済動向などに応じた適切な修学支援について、保護者負担の状況、私学経営の状況や道の財政状況も見きわめながら検討を重ね、経済的理由により修学が困難となることのないよう、努めてまいりたいと考えております。

次に、社会福祉施設の耐震化についてでありますが、道においては、道内の建築物の耐震化を図るため、平成18年12月に北海道耐震改修促進計画を策定し、これまで、耐震改修に係る相談窓口の設置や、講習会の開催による技術者の育成などを行うとともに、国庫補助制度などの活用を図りながら、社会福祉施設などの耐震化の促進に努めてきているところであります。

今臨時会に提案をしている社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金の対象となる施設は、本年6月に実施した調査によりますと、道内で288カ所となっております。

このうち、耐震性を有する施設は195カ所で、耐震化率は67.7%となっております。

また、耐震診断が必要な、昭和56年の建築基準法改正の前に建設された施設の104カ所のうち、耐震診断を実施したのは18カ所で、その実施率は17.3%となっているところであります。

このたびの基金を活用して耐震化整備を予定している施設は35カ所であり、平成23年度末における耐震化率は82%となる見込みであります。

道といたしましては、今後とも、耐震改修促進計画を踏まえ、社会福祉施設の入所者の方々などの安全で安心な生活を確保するため、耐震化の促進に努めてまいる考えであります。

次に、介護職員等の処遇改善についてでありますが、介護職員の人材確保や処遇改善などを目的として、本年4月に介護報酬が引き上げられたところでありますが、国においては、さらなる処遇改善を図るため、このたびの経済危機対策において、介護報酬とは別に、介護職員処遇改善交付金を交付することとしたところであります。

この交付金の適用は10月からとなっておりますことから、道といたしましては、事業者の方々が早期に準備できるよう、8月に説明会を実施し、事業内容を周知徹底するとともに、処遇の改善が図られるよう、積極的に取り組んでまいる考えであります。

また、改善結果については、事業者の方々に対し、実際に改善した賃金などを記載した実績報告書の提出を求めるとともに、実地指導における重点項目に加えるなどして、確認を行うことといたしているところであります。

なお、障害者自立支援対策臨時特例交付金についても、同様に取り扱うことといたしているところであります。

次に、施設の開設支援についてでありますが、今回の介護職員処遇改善等臨時特例基金では、特別養護老人ホームや老人保健施設等の開設準備のため、6カ月を限度として、住民説明会等に要する経費や、介護や看護の職員を雇い上げる経費などについて助成することとされたところであります。

道といたしましては、地域住民の方々に介護事業に対する理解を深めていただくとともに、開設時から安定した質の高いサービスが提供されることが大切であると考えているところであり、この基金の積極的な活用について、事業者の方々に対して十分に周知し、施設開設が円滑に行われるよう、適切に対応してまいります。

次に、要介護認定方法の見直しについてでありますが、本年4月1日から実施をしている要介護認定の方法については、国において、実施から一定期間、検証を行うこととされており、過日、要介護認定の見直しに係る検証・検討会において、認定調査項目に係る定義の修正などの検討結果が取りまとめられたところであります。

国では、今後、認定調査員のテキストを見直し、8月から9月にかけて、その内容を周知するとともに、見直し後の要介護認定の実施状況について検証を行うことといたしているところであります。

道といたしましては、市町村への情報提供や、認定調査員に対する研修を行い、要介護認定が円滑に実施されるよう、適切に対応するとともに、市町村や関係団体から、見直し後の要介護認定に係る影響について御意見を伺い、必要に応じて、国に提言をしてまいります。

次に、母子家庭自立支援給付金の対象世帯についてでありますが、国においては、この事業の創設に当たり、父子家庭は、常用雇用が大半であることなどから、この給付金の支給対象には含めず、母子家庭等就業・自立支援センターによる就労支援サービスの提供を行うことといたしたところであります。

道といたしましては、このたび、安心こども基金を活用し、母子家庭とあわせて、父子家庭に対しても、職業紹介を行う企業等と連携した職場開拓、相談支援などの就業支援を行うことといたしたところであります。

次に、母子家庭自立支援給付金事業の実績などについてでありますが、この給付金は、母子家庭の母親の就業を促進する観点から、職業訓練中の生活の負担軽減を図り、資格取得を容易にすることを目的とするものであり、平成20年度における全道の支給実績は78件、そのうち、生活保護世帯に対する支給実績は1件となっているところであります。

また、この給付金が生活保護世帯に対して支給された場合には、その全額を収入認定することとされているところでありますが、資格取得に要する経費については、生活保護の技能修得費として支給されるところであります。

道といたしましては、この給付金がより積極的に活用されるよう、今回の補正予算において、支給金額の引き上げや、支給期間、支給人員の拡大など、事業拡充を図ることといたしているところであり、今後、市町村や関係機関と連携し、拡充した給付金制度について周知を図るほか、母子家庭等就業・自立支援センター事業を実施するなどして、母子家庭の自立に向けた取り組みを促進してまいりたいと考えております。

次に、保育所の待機児童の解消についてでありますが、道においては、札幌市及び旭川市に対し、安心こども基金の積極的な活用について働きかけを行い、平成21年度当初の計画では、両市で240人の定員増となるよう、保育所の整備が予定されているところであります。

また、札幌市においては、今年度内の追加整備の協議がなされる予定と聞いており、両市における待機児童の解消が着実に進められているものと考えております。

道といたしましては、今後とも、札幌市や旭川市を初め、待機児童を抱える市町村において、安心こども基金を活用した待機児童の解消が図られるよう、引き続き支援に努めてまいります。

最後に、道立試験研究機関の充実強化についてでありますが、平成22年4月の地方独立行政法人化に向けて、研究機能や連携機能の強化、効果的、効率的な業務運営の確立などといった視点に立ち、市町村、関係団体から、機能の充実強化などについて御意見があり、これらの御意見を踏まえ、具体的な制度設計を進めているところであります。

このたびの道の補正予算編成に当たっても、来年4月の法人設立に向け、必要な試験研究用機器・備品等の整備に要する経費を取りまとめ、提案させていただいたところであります。

法人化後におきましても、今般措置することとしている機器等の十分な活用を図るなどして、道内産業の振興の支援などに寄与する試験研究機関となるよう、機能強化に取り組んでまいる考えであります。

以上であります。


教育長の答弁

○教育長髙橋教一君

(登壇) 真下議員の御質問にお答えいたします。

まず、子どもたちの修学機会の確保についてでございますが、道教委といたしましては、生徒の修学の機会を確保するため、これまで、授業料免除制度や奨学金制度による修学支援に努めてきているところでございます。

近年におきましては、公立学校の生徒に対する奨学金貸与者数は、ここ数年、横ばいの状況にある一方で、道立高校の授業料免除者が増加傾向にあり、これには、昨今の道内の厳しい経済情勢といったことも、その背景にあるものと考えているところでございます。

奨学金制度につきましては、道教委の公立高等学校等生徒奨学事業以外の奨学金の活用状況につきましては把握するところとはなっておりませんが、各種奨学金の募集案内を受け取った学校におきましては、生徒に対し適切な周知がなされているところでございます。

こうした中、道教委といたしましては、家庭の実情に応じた多様なニーズに対応することができるよう、奨学金の貸付金額の選択制の導入や償還年限の延長など、制度の見直しを行ってきたところでございまして、今後、この奨学金が有効に活用されますよう、在校生や入学予定者に対して一層の周知を図ってまいりたいと考えております。

次に、特別支援学校における教室不足への対応についてでございますが、道立の養護学校において、平成21年4月現在で、学級数が、学校整備時の普通教室数を上回っている状況は、13校、100教室となっているところでございまして、こうした学校におきましては、特別教室を普通教室に転用するなどして対応してきているところでございます。

このたびの整備に当たっては、このうち、今後も引き続き、教室不足が見込まれる学校を対象といたしまして検討してきたところでございまして、学校の敷地の状況などにより増築が困難な学校を除く6校につきまして、26教室の整備を行うものでございます。

道教委といたしましては、今後におきましても、障がいのある児童生徒にとって望ましい教育環境を確保するという観点に立って、在籍者数の推移や進学希望の動向などを見きわめながら、道有財産はもとより、市町村立学校の廃校となる校舎の活用なども視野に入れ、教室不足の解消に向けた対策を検討してまいりたいと考えております。

以上でございます。


真下紀子議員の再質問

○30番真下紀子君

(登壇・拍手) 指摘を交えて、再質問いたします。

まず、雇用対策についてです。

知事は、3800人の雇用創出と答弁されましたが、その内訳は、緊急雇用で3100人、ふるさと雇用で700人で、つまり、3100人は、45日から6カ月未満の短期雇用にすぎないのです。

一方で、7月末、厚生労働省が発表した、非正規労働者の雇いどめ状況によりますと、昨年10月以降、北海道で、4335人の派遣、パート、期間工と呼ばれる労働者が職を失っており、仕事と同時に住居を失った労働者も少なからずいます。

先日、公園の障がい者用のトイレで2週間も過ごしていた、非正規切りされた方がいらっしゃいました。最後の4日間は水だけで暮らしていたということですが、近所の方の説得で、命を取りとめたそうです。

まさに、非正規切りは、雇用破壊、そして、生存権の破壊という状況となっています。今こそ、知事が望ましいと常々述べている、安定した雇用に向けて施策の強化を図るべきときではないでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

定額給付金についてですが、40億円の事務経費を使ったにもかかわらず、いまだ36億円が受給資格者に届いていません。

知事は、不安の解消や消費の刺激などに一定の効果を期待すると答弁されましたが、一時的なばらまきのツケ回しで、消費税増税が今後準備され、不安は、解消どころか、逆に増すばかりです。ばらまき型の施策ではなく、生活保障と住宅確保などのために、生活福祉資金や住宅生活資金などの改善と拡充こそが必要であるということを指摘しておきます。

基金の積み立てのおくれについてです。

答弁では、交付見込み額や制度内容の詳細が明らかでないと、知事は弁解をされておりましたけれども、自民党・公明党政府が鳴り物入りで予算を組んだにもかかわらず、自民党の前衆議院議員の皆さんたちと並んだポスターにおいてにこやかにほほ笑んでいる高橋知事のもとで、実際にはこの交付金を迅速に使うこともできず、選挙目当ての場当たり的な制度設計であるということが明らかになったのではないでしょうか。

他府県では、第2回定例会で対応をしておりまして、この時期に臨時会を開催しているのは北海道だけです。北海道の取り組みのおくれが際立っていることを指摘せざるを得ません。

三位一体改革で地方を疲弊させ、社会保障費を削減し続けた反省がないまま、緊急、緊急と言っての一時しのぎの繰り返しではなく、家計を温め、雇用を確保する政策への転換こそが景気対策となることを知事も認識すべきであることを指摘しておきます。

子どもの貧困についてです。

私は、経済的理由によって修学をあきらめる子どもが一人たりとも出ないようにすることが、希望ある未来にとって不可欠と考えます。しかし、現状の制度では対応し切れていないということを、今の答弁で知事もお認めになりました。

2005年の第2回定例会で、私が、社会権規約批准国の151カ国中、規約第13条第2項の無償教育の漸進的導入の適用を留保している国について聞きましたが、今は、マダガスカル及び日本の2カ国だけです。

OECD加盟国の中でも、高校の授業料を取っているのは、日本以外に、韓国、イタリア、ポルトガルの3カ国のみです。今や、授業料の無償化は世界標準です。

私たち日本共産党は、授業料の無償化、返済不要の奨学金制度を国として確立することを求め続けてきましたが、総選挙を控えて、国政の課題となっていることを、私は心から歓迎を申し上げます。

知事も、7月30日の記者会見で、必ずしも貸し付けにこだわらない発想が出てきていると発言し、認識を新たにし始めそうですが、安心と希望の日本を実現するために、せめて道が、早急に高校生授業料減免緊急支援基金の設置を行い、進学できない子ども、中途退学せざるを得ない子どもたちを早期になくす努力をすべきことを指摘しておきます。

介護認定方法の見直しは、国民運動の成果です。

本道では、いまだ4月以降の見直しに伴う道央圏の主治医研修も行われていないうちに、さらに変更となるという混迷ぶりです。

政府が目指した給付費削減を目的とした介護保険制度の見直しが破綻したのですから、国民が求める介護の社会化へ大きく前進させる必要があります。そのために基金を有効に活用していただくことを指摘しておきます。

最後に、ただいまの教育長の答弁で、特別支援学校施設の整備教室数が26教室とのことですから、まだ未整備の教室数が74教室となっていることになります。これら養護学校義務校の教室不足への今後の対応も必要です。あわせて、高等養護学校への受け入れ体制の整備も望まれるところです。施設整備に当たっては、必要となる整備計画を立てて取り組むべきと考えますが、この点はいかがでしょうか。

特に高等養護学校に関しては、旭川では、遠く離れた美深、小平、雨竜まで通わなければならない状況にあり、身近な地域から通学できる学校の設置が不可欠な要望となっております。

こうした状況の中で、旭川市においては、旭川市に高等養護学校をつくる会が設立され、署名活動を展開しており、現在、8万もの署名が集まっております。この飛躍的な署名の広がりを教育長はどのように認識しているのか、伺います。

また、この署名活動においては、紹介議員として、旭川選出の6名の議員全員が、会派を回るときに、超党派で一生懸命尽力していることを紹介しておきたいと思います。

また、この要望をしっかりと受けとめて、あらゆる方策を講じて、この状況を早期に改善すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。

答弁によっては再々質問を留保して、私の質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)


高橋はるみ知事の再答弁

○知事高橋はるみ君

(登壇) 真下議員の再質問にお答えをいたします。

雇用対策についてでありますが、本道の厳しい雇用情勢に対応していくためには、雇用の悪化の影響を可能な限り食いとめる努力をしながら、新たな雇用の場を着実に生み出していくとともに、地域にある雇用機会を求職者の雇用に結びつけていくことが重要と考えております。

道といたしましては、本臨時会で御提案申し上げた雇用承継奨励事業を初め、離職を余儀なくされた方々の再就職支援など、緊急的な対策にしっかりと取り組むとともに、新一村一雇用おこし事業などの道独自の施策はもとより、国の施策の活用も最大限図りながら、産業施策と雇用施策を両輪として、将来にわたって安定した雇用の場の創出に努めているところであります。

これに加えて、就業環境整備と人材確保の一体的な取り組みへの支援のほか、職業訓練の充実、若年者への就職支援などにより、道民の皆様が安心して暮らせる雇用環境の創出に全力で取り組んでまいる考えであります。

以上であります。


教育長の再答弁

○教育長髙橋教一君

(登壇) 真下議員の再質問にお答えいたします。

特別支援学校の整備などについてでございますが、特別支援教育を受ける児童生徒は、全体としては増加傾向にありますものの、少子化が進む中で、学校や地域ごとに見ていくと、在籍者数の推移や進学希望の動向などにより、教室不足数が変動するため、それらをすべて見きわめた整備計画を策定することは難しい面があるとは考えておりますが、先ほど申し上げましたように、障がいのある児童生徒にとって、望ましい教育環境を確保することは重要な課題でありますことから、引き続き、必要な対策を検討してまいりたいと考えております。

また、旭川市への高等養護学校の設置につきましては、旭川市や関係団体などから御要望をいただいており、このことは、できる限り身近な地域において、障がいのある生徒に専門的な教育を受けさせる機会を確保したいという、地域の思いのあらわれであると認識をしているところでございます。

道教委といたしましては、これまで、高等養護学校の配置につきましては、既存の特別支援学校の設置状況や各障がいごとの児童生徒等の状況などを十分考慮しながら検討してきたところでございますが、今後とも、できる限り身近な地域において、指導や支援を受けられる体制を整備し、きめ細やかな教育を推進することなどを示した特別支援教育に関する基本指針の考え方を踏まえつつ、受け入れ体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

以上でございます。


真下紀子議員の再々質問・指摘

○30番真下紀子君(登壇・拍手)

 ただいまの知事からの答弁で、道民が安心して暮らせる雇用創出に全力で取り組むと、力強く答弁されました。

知事のそのかたい決意を実現可能にするために、私から、最後に一つだけ提案をさせていただきたいと思います。

雇用対策に最も必要なのは、何よりも、深刻な雇用危機を招いた張本人である大企業の雇用破壊をどう規制するのか、このことを失業問題の土台に据えることだと考えております。

私は、昨年の12月に、トヨタ自動車北海道と、いすゞエンジン製造北海道に直接出向いて、雇用を守る社会的責任を果たすように申し入れ、また、派遣労働者の中途解雇は行うべきではないと、是正を求めてきました。

こうした全国での活動を見ていたユニクロの柳井正会長が、韓国紙のインタビューに、大企業が次々と労働者を首切りしていることを厳しく批判した上で、大企業に共産党の人々だけが訪ねていって、雇用を維持せよと求めたが、総理や自民党の要人が行かなければならなかったと発言し、話題となっています。

知事、正社員を非正規労働に置きかえて、格差と貧困を広げた根本を一緒にただしていくために、いつも経済界からの求めに応じるだけではなく、北海道の知事が、雇用を維持拡充せよと大企業に求める行動をとったなら、道民をどれだけ勇気づけることになるでしょうか。はかり知れない効果が期待できることは間違いありません。

知事は、この提案に対して、イエス・アイ・キャンと答弁をしていただきたいと思います。

また、早い時期にそういう答弁をしていただけることを期待して、質問を終わります。(拍手)


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[日本共産党道議団編集]

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