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道議団の動き
道下水道事業でも談合疑惑 −解説− 08.07.20

道開発局、札幌市に続き…

道下水道事業でも談合疑惑

共産党道議団が追及

官製談合が相次いで発覚した北海道開発局では、本省のトップまでも逮捕される事態に発展し、札幌市でも公正取引委員会が立ち入り調査に入るなど、官製談合事件疑惑で大きく揺れています。

北海道ではどうだったのか。6月道議会で党道議団が、その闇に迫りました。

(三上博介)

なんと!道下水道事業落札率95%が6割、99%台も

03年度から3年間の道発注の下水道工事の平均落札率が93・7%で、官製談合の疑いがもたれでいる札幌市発注の大手重電メーカー9社の落札率と同水準であることが党道議団の追及でわかりました。

全国市民オンブズマン連絡会議は、落札率95%以上を「談合の疑いが極めて強い」とみるが、道の下水道工事では、発注件数の6割強の107件が95%を超えていました。

さらには、03年度の厚田村(現石狩市)で行った浄化センターの機械設備工事(99・9%)などの4件の工事では99%台と極めて高落札率でした。

談合疑惑の大手電機メーカーも高落札率

党道議団の調査で、札幌市発注の下水道電気設備工事をめぐる談合疑惑で公正取引委員会の立ち入り調査を受けた大手電機メーカー9社のうち6社が、道の下水道工事を5年間で40件中25件受注していることが新たにわかりました。

平均落札率は93・5%で、談合の疑いが極めて高いとされる95%以上が9件もあります。また、9社のうちの一つ、三菱電機北海道支社には一時期2人の道OBが天下りしていたことも判明しました(当初、道は重電9社への天下りは「いない」と言っていたが、党道議団の追及で「2人いた」と認めざるをえませんでした)。

道OBの天下り先業者の落札率は97・3%!

表1 道の下水道工事の落札率
※党道議団の調査
事業名予定価格(千円)当初契約金額(千円)落札率業者名
十勝川流域下水道78,54076,02096.8%川田工業(株)
十勝川流域下水道87186198.8%川田工業(株)
十勝川流域下水道1,0291,00896.0%川田工業(株)
石狩川流域下水道116,287113,61097.7%神部・宮永JV
石狩川流域下水道71,29567,72595.0%宮永建設(株)
共和町特定環境下水道228,207223,12597.8%佐々木・菱中・新太平洋
共和町特定環境下水道80,14678,75098.3%佐々木・菱中・新太平洋
合計276,376561,09997.3% 
道の下水道工事の請負業者と天下り
業者名称氏名退職時役職名
川田工業(株)山田郁夫監査委 技術監査監
宮永建設(株)伊東和規稚内土現 管理部長
佐々木・菱中・特定JV
((株)佐々木組)
上野 寛稚内土現 事業部長
佐々木・菱中・特定JV
(菱中建設(株))
古屋 稔企業局長(建設部参事)
佐々木隆一建設部建築整備室 参事

さらに驚いたのは、道のOBの「天下り」を受け入れた企業の落札率が、すべて95%以上という高率であったことです。03年度から5年間で7件の工事を受注した道内4企業(5人が天下り)の平均落札率は、なんと97・3%(表1)

道職員の天下りを受け入れれば、ほとんど予定価格で落札できること(すなわちボロ儲けが保障される)が“証明”されたといえます。

しかし、道は「受注の結果は、企業の経営状況などに応じて見積もりをした結果」と同じ答弁を繰り返し、札幌市の工事と同じように談合が疑われる高落札率であることは認めながらも、党道議団が求める全道調査などは「実施しない」と述べました。

サンルダム建設、釧路湿原農地防災事業でも

表2 サンルダム建設に係る付替道路工事
受注業者への道開発局からの天下り状況
業者名氏名摘要
大永建設(株)旭川支店大城義久石建
新島工業大谷敏明旭建
(株)岸田組札幌営業所加藤清志稚建
(株)山伏パコム旭川営業所唐太陸一留建
(株)田中組阿部芳昭開土研
  〃 川村修一樽建
  〃 倉橋力雄本局
  〃  旭川支店新土居義光網建
  〃 徳光 宏本局
  〃 森 良稲函建
  〃  網走出張所木村哲二網建
秋津道路(株)佐々木昭彦樽建
(株)生駒組荒田哲巳旭建
  〃  札幌支店宇佐美吾市帯建
  〃  札幌支店金子正夫札建
  〃  札幌支店藤井正明函建
(株)西村組札幌支店相場廣志留建
  〃  札幌支店谷間循一本局
(株)草別組札幌支店中山忠雄稚建
道路建設(株)札幌支店吉田淳一室建
北海舗道(株)吉川 勝網建

談合が疑われるのは、下水道事業だけではありません。自然保護団体など多くの道民が反対しているサンルダム建設に係る付替え道路工事でも、談合の疑いがあることがわかりました。

サンルダム建設では、07年度までの3年間に15件の道開発局発注の付替え道路工事があり、そのうち12件が落札率90%以上、9件は95%以上であること。また工事の受注業者のうち、11社に開発局OB21人が天下りしていることが党道議団の独自調査で明らかになりました(表2)。付替え道路の建設事業では道も約2億7千万円を拠出しています。

また、道負担が約13億円の釧路湿原の国営総合農地防災事業118件でも、落札率90%以上が109件、95%以上が76件を占めていることがわかりました。

これらの入札結果について、真下紀子道議が予算委員会総括質疑で「官製談合の疑いがある」と追及しましたが、高橋知事は「入札は適切に行われたと聞いている」としながらも「道も応分の負担をしていることから、国に資料提出を求める」と答えざるをえませんでした。

真相解明に消極的な知事

今回、党道議団が追及した道の下水道事業や、開発局のサンルダム建設事業などをめぐる談合疑惑では、談合の必須条件である「高落札率、指名競争入札(競争性なし)、天下り」の3点セットがそろっています。

全国オンブズマンの全国調査(平成18年度)では、北海道庁の公共工事(予定価格1億円以上)の平均落社率は全国で最高の94・4%で、全国最低の長野県(73・2%)並みだった場合、約274億円が節約できたと試算しています。10%落札率が下がれば約140億円も節約できるのですから、知事は談合疑惑の解明にもっと真剣に取り組むべきなのに、相変わらず腰が引けています。

それどころか、今回の開発局の談合に関与した三つの企業の指名停止期間を、18ヵ月から9ヵ月に(半分に)短縮してやるサービス振りです。これでは、「談合に甘い知事」と言われても仕方がありません。

公共工事をめぐる“闇”の解明は、これからが正念場です。

(08年07月20日付「ほっかい新報」より)

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