日本共産党 北海道議員団ホームページ
ホーム
道議会での取り組み
2008年第1回臨時会

【真下紀子道議、景気悪化からくらし守れとただす】 08.11.06

2008年11月6日 第1回臨時会質疑

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

○真下紀子君

(登壇・拍手)私は、日本共産党を代表して、先ほど提案されました議案第1号について質問いたします。

初めに、原油・原材料価格高騰等への対策についてですが、農業者に対する肥料・燃油価格高騰緊急対策事業など、私たち日本共産党道議団として求めた要望が盛り込まれたことは評価をいたします。

そこで、今回の原油・原材料価格高騰等への一連の対策の実施による道内における効果をどのように見込んでいるかをお聞きします。

今回の緊急総合対策のうち、民生部門への原油・原材料価格高騰対策を見ますと、3定で計上された福祉灯油特別対策事業が挙げられています。

私は、3定の予算特別委員会で、福祉灯油制度について、上限の撤廃と、現在対象から除外されている生活保護世帯も対象とすべきと主張しました。また、除外している政令市、中核市への拡充も求めました。道民の生活安心確保に向けた対策を目的とする今回の緊急総合対策においては、これら上限額の撤廃と対象の拡充を行うべきではないでしょうか、お答えください。

国の燃油高騰水産業緊急対策では、対象となるには5隻以上とすることや、10%以上の省エネ対策が条件となっており、漁業者から改善を求められています。

これら漁業者の声に対し、どのように道は対応してきたのか、また、今後の対応についてもあわせて伺います。

次に、公共事業に関連してお聞きします。

今回提出された予算案を見ますと、公共事業費が道の負担べ一スで80億円であり、そのうち、国の直轄事業負担金は63億円で、実に8割を占めています。地方が国庫補助負担金の交付を受ける場合には、事前説明などに関連し、膨大な事務手続が求められるのに対し、国の直轄事業は、地方自治体に対し、地域の課題や自治体の財政状況に関する事前の協議などもなく、ただただ莫大な負担金を請求書に基づき支払わされているのが現状です。

ことしの北海道開発関連施策の要望の中で、直轄事業負担金の廃止と、廃止されるまでの間のさらなる情報提供の充実を道は求めています。

今回、国からは、従前に比べ、どのような情報が提供され、充実が図られているのか、お聞きします。

平成17年4月の記者会見で、高橋知事は、国の景気対策に関連して、補助事業に比べ、国の直轄事業の方が地元企業への発注割合が低いという問題を指摘していました。

そこで、この発言の根拠を伺います。

補助事業と比較した場合の国の直轄事業の地元への発注の状況について、知事の認識をお聞きします。

また、高橋知事は、公共事業をふやすということが景気にプラスになったかどうかということについて、効果としては、投入したほど景気にはプラスの影響はなかったと見るのが素直とも発言をしております。今回の補正においても同様の認識でしょうか、お答えください。

次に、景気対策に伴う行財政改革への影響についてですが、過去の大規模な景気対策時に発行した道債の償還費など歳出が増加する一方で、歳入面では、地方交付税が縮減する中、道税収入も全国に比べて伸びないことが要因となり、収支不足が極端に悪化し、平成18年2月に、「新たな行財政改革の取組み」を道は策定しました。しかし、その見通しの甘さから、ことし2月に、早くも対策の変更を余儀なくされました。

知事は、その中で、次世代を担う子供たちに借金という負の遺産をできる限り残さないと述べ、新規道債の発行の抑制を図ることが最優先の課題としています。

また、高橋知事は、日ごろから、私が知事になって引き継いだこの借金は、私のときにしっかりと対処しておかなくてはならないと、胸を張り、3年前の自民党でのセミナーでは、道の財政構造は、実質、10年前から破綻していたと聞いた、何でもう少し早く改革をやってくれなかったのだとの思いはあると、堀前知事への批判ともとれる発言まで行っています。

今回の補正予算に計上された道債は、国に言われるがままに計上した直轄事業負担金と補助事業、道単独事業への財源として116億円となっています。半分が交付税措置されるとしても、道の純然たる借金は約60億円にもなります。こんなことで、知事がよく言われる、借金で借金を返す負の連鎖からの脱却が図られるとお思いでしょうか、お答えください。

また、この道債の計上に伴う道財政への影響、特に、平成26年度末をめどに5兆円を目指している道債残高への影響をどのように認識しているのか、伺います。

次に、中小企業への金融対策です。

緊急総合対策の基本方針では、カジノ資本主義の破綻による米国発の金融危機、株価の暴落、貸し渋り懸念に対応し、中小企業の経営環境悪化への対策を講ずるとされています。

国は、保証の対象業種を185業種から545業種に追加した緊急保証を導入し、全国で6兆円規模で信用保証協会によるセーフティーネット保証を拡充するとしています。

しかし、実態を見ますと、保証協会の保証実績の推移は減少しています。地区別保証承諾が100%以下はどのくらいになっているか、市、町村について、それぞれにお示しください。

減少の理由は、新たに導入された責任共有制度にあることは明らかです。昨年10月に、信用保証協会による100%保証を80%にして、銀行に貸し倒枠のリスクを負わせた責任共有制度の影響について、知事はどうお考えか、伺います。

日本共産党は、昨今の貸し渋り、貸しはがしの元凶である責任共有制度を廃止し、従来のとおり、信用保証協会による100%保証に戻すことを求めてきました。

中小企業者の資金繰り対策のため、道は、国に対し、責任共有制度の廃止を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

中小企業者が保証を受ける際のもう一つの大きな問題に、保証料率があります。

現在、財務その他経営に関する情報をもとに、リスク計測モデルにより、9段階に区分した保証料率が採用されていますが、このようなリスクに応じた保証料率の導入による小規模企業への差別的な引き上げはやめさせるべきではないかど考えますが、いかがでしょうか。

次に、雇用対策にっいてです。

道内の雇用情勢を見ますと、例えば、8月の有効求人倍率は、一昨年が0.55倍、昨年は0.52倍、ことしは0.45倍と、一層厳しさを増しています。現在の雇用状況について、知事の認識をお聞きします。

今回の補正予算では、道民の生活安心確保に向けての対策を高らかにうたっていますが、雇用の確保は、生活の安心のために不可欠であり、要望が最も強いものでありながら、道の対策にはなぜ雇用対策予算が盛り込まれてこないのでしょうか、お答えください。

次に、離島航空路線についてお聞きします。

今回、国内航空ネットワーク形成推進費として5600万円余りが計上されていますが、補助対象者は、日本で冠たる上場企業の全日空です。財政難に瀕している道民の税金が投じられるのは納得いかないと考える道民も多いと考えます。企業努力を一層求めるべきです。

仮に、税金を投入するのであれば、当然、新千歳空港−利尻空港間の路線維持の確約をとってしかるべきと考えます。全日空に対し確約をとっているのか、明らかにしてください。

次に、耐震化の問題です。

ことしは、国内外において大地震が発生し、大きな被害が生じました。国は、補助率の大幅アップなどの措置を行っています。

道は、地元に仕事が落ちにくい直轄事業に多額の税金を投入するのではなく、地元への発注の割合も高く、何よりも道民の命を守ることにつながる公共施設、とりわけ、橋梁や建築物の耐震化を今回の緊急対策として取り組むべきではないでしょうか、お答えください。

次に、減額予算についてです。

今回の補正予算には、増額分である緊急総合対策予算のほか、減額分として、軽費老人ホームの入居者負担軽減のための補助金などの福祉予算や、地域政策の根幹をなす地域政策総合補助金が減額計上されています。

一言で言えば、今回の道の緊急総合対策は、福祉対策、地域対策予算の減額と多額の借金により成り立っているのが実情と言えます。

減額分については、それぞれ執行の見込みが今後ないことから計上したとのことですが、今回の緊急総合対策を見ますと、既決予算対応という項目も多く見られ、特に、地域政策総合補助金は、今後の地域の状況によっては対応が必要となってくる場合も想定されるのではないでしょうか。今年度の地域政策総合補助金について、地域からの要望、執行の状況についてもあわせて伺います。

国は、追加の経済対策を発表し、2兆円の給付金を盛り込んでいますが、1999年に自公政府が景気対策の目玉とした地域振興券をほうふつさせる、ばらまきとの批判が高まっています。地域振興券については、国の経済白書でも、消費全体を押し上げる効果は必ずしも確認できていないと言わざるを得なかったものです。

知事は、地域振興券の効果をどのように考えていますか。また、知事は、この給付金を選挙目当てのばらまきとはお考えにならないのか、あわせて伺います。

また、麻生総理は、緊急対策まで講じようとするこのときに、3年後には消費税の増税をお願いすると言っています。景気に最も冷や水となるのが消費税の増税ではないでしょうか。国に対し、消費税の増税を行わないよう強く求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

以上、再質問を留保して、私の質問を終わります。(拍手)


高橋はるみ知事の答弁

○知事高橋はるみ君

(登壇)真下議員の御質問にお答えをいたします。

緊急総合対策に関し、まず、原油・原材料価格高騰対策などについてでありますが、原油や原材料価格の高騰が、道内の産業活動や道民生活など、地域経済に深刻な影響を与えていることから、道では、第3回定例道議会で議決いただいた原油・原材料価格高騰対策関連予算に基づき、現在、中小企業向け融資や福祉灯油特別対策などに取り組んでいるところであります。

さらに、二のたびの国の補正予算に呼応し、肥料や燃油価格高騰に対応する1次産業対策や、地方のバス路線確保に向けた交通対策など、原油・原材料価格高騰などへの対策を盛り込んだ予算案を本臨時会に御提案を申し上げたところであります。

道といたしましては、これまでの取り組みに加え、国と連携をし、このたびの緊急対策を迅速かつ着実に推進することによらて、道民の皆様の不安や産業活動への影響ができる限り緩和されるよう、最大限努力をしてまいる考えであります。

次に、福祉灯油事業についてでありますが、道といたしましては、昨年来の灯油価格の高騰に対応するため、市町村からの御要望を踏まえ、人口規模による補助基準額を撤廃するとともに、昨年の各市町村の平均給付額などに基づいた補助基準単価を新たに設定することにより、補助額の大幅な拡充を図ったところであります。

また、政令市などにつきましては、道との役割分担を勘案し、生活保護世帯については、国の責務や制度において暖房経費があることなどを踏まえ、道の補助制度の対象とはしていないところであります。

道といたしましては、今後とも、すべての市町村において、この補助制度を活用し、それぞれの地域実情に応じて給付対象世帯や給付額の拡大など、福祉灯油事業の一層の充実に取り組んでいただけるよう、積極的に働きかけをしてまいる考えであります。

次に、漁業者への対策についてでありますが、国は、燃油高騰水産業緊急対策として、燃油価格高騰分の9割を国が負担する、省燃油操業実証事業を7月に創設いたしたところでありますが、道といたしましては、この事業が本道漁業の実情に合ったものとなるよう取り組むことが重要と考えております。

このため、道といたしましては、これまで、漁業者の方々の要望を踏まえ、漁業関係団体と連携をし、国に対し事業の弾力的な運用について働きかけを行ってきているところであり、国においては、事業採択となる隻数の緩和措置が講じられたところであります。

道といたしましては、今後とも、1人でも多くの漁業者の方々がこの事業を活用できるよう、国へのさらなる働きかけに努めてまいる考えであります。

次に、直轄事業負担金についてでありますが、道においては、北海道開発予算要望や、道と北海道開発局による直轄事業に係る連絡調整会議など、あらゆる機会を通じて、直轄事業負担金の廃止や事前協議のルール化など、情報提供の充実について国に要請をしてきているところであります。

このたび、国の補正に係る直轄事業につきましても、事業計画書において負担金や事業概要が示されたところでありますが、道といたしましては、今後とも、あらゆる機会を通じ、直轄事業負担金の廃止と、廃止するまでの間の情報提供の充実について、国に強く働きかけるとともに、特に、維持修繕費に係る直轄事業負担金の廃止につきましては、先般、道州制特区推進法に基づき、国に対して提案を行ったところであり、その実現に向けて、全力で取り組んでまいります。

次に、中小企業者等への発注の状況についてでありますが、道における、平成19年度の工事に係る道内中小企業者との契約実績は94.8%となっており、これに対し、道内にある国の出先機関等の工事に係る実績は73%となっているところであります。

道といたしましては、厳しさを増す経営環境に配慮するとともに、中小企業の経営基盤の強化を図るため、平成15年度に受注機会の確保に関する推進方針を策定し、道内中小企業者等の受注機会の確保、拡大に全庁を挙げて取り組んでいるところであり、国の出先機関等に対しても要請を行ってきているところであります。

今後とも、引き続き、さまざまな機会を通じて働きかけを行い、道内中小企業者等の受注機会の確保、拡大に努めてまいる考えであります。

次に、今回の補正予算における投資的経費についてでありますが、このたび補正計上した投資的経費につきましては、さきに国において決定された、安心実現のための緊急総合対策の実施に伴う国の補正予算に呼応し、地震、集中豪雨等による災害の防災対策などとして必要な道路、河川、漁港、造林などの事業費を計上したところであります。こうした事業の実施により、道民の安全、安心の確保に努めてまいる考えであります。

私といたしましては、このたびの対策により、道民の皆様方の不安が少しでも緩和されることを期待いたしているところであります。

次に、補正予算の財源についてでありますが、今回計上した補正予算は、さきに国において決定をした、安心実現のための緊急総合対策の実施に伴う国の補正予算に呼応して、道として緊急に措置を要する諸対策を実施するため、所要の予算措置を講じるものであり、その財源として、116億円の道債を見込んだところであります。

こうした道債の多くは、後年度において国の地方財政措置も見込まれるものの、道財政への影響は少なからず生じるものと考えているところでありますが、私といたしましては、現在取り組んでおります、新たな収支対策を基本としつつ、その時々の収支見通しや諸情勢も見きわめながら、持続可能な行財政構造の確立に向けて、全力で取り組んでまいる考えであります。

いずれにいたしましても、このたびの緊急総合対策は、現下の厳しい道内経済情勢も踏まえて講じなければならない諸対策であり、現在の道政上の最重要課題であると考えております。

次に、道債残高への影響についてでありますが、道債残高の見込み額につきましては、今年度の当初予算をもとに、新たな収支対策を踏まえて、平成26年度末におおむね5兆円程度と見込んでいるところであります。

このたびの補正予算案では道債を116億円増額したところであり、この結果、道債残高の増加は見込まれるものの、現時点において、当初目標の変更までには至らないものと考えております。

次に、保証承諾の状況についてでありますが、平成20年度の保証実績を9月末で見ると、市部においては、1万8220件、1901億2800万円の保証申し込みに対し、1万7862件、1867億8700万円の保証承諾となっており、承諾の割合は、件数で98%、金額で98.2%となっているところであります。

また、町村においては、4267件、410億900万円の申し込みに対し、4220件、404億6000万円の承諾となっており、承諾の割合は、件数で98.9%、金額で98.7%となっているところであります。

次に、責任共有制度の影響などについてでありますが、制度導入前の6カ月間と本年の同期間を比較すると、保証承諾額は同程度で推移しており、金融機関や商工団体からの聞き取りにおいても、制度の導入によることに限定した影響はないとの回答を得ておりますほか、融資については、個々の企業の経営状況や担保などによることもあり、制度導入により、資金供給に支障を来しているとは必ずしも言えないと認識をいたしております。

また、責任共有制度は、小口零細企業保証などを除き、信用保証協会と金融機関とが適切な責任分担のもと、中小企業者に対して支援を行うことを明確にすることを目的として導入されたものであり、信用保証制度が有効に機能するよう努めていく必要があるものと考えております。

道といたしましては、今後とも、こうした趣旨を踏まえながら、企業の資金調達状況や経営実態を随時把握し、中小企業への資金供給の円滑化に努めてまいる考えであります。

次に、保証料率についてでありますが、保証協会の保証料につきましては、企業の経営安定化を支援するセーフティーネット保証や、小規模、零細な企業を支援する特別小口保証などを除き、経営状況に応じて、全国一律の9段階設定となっており、こうした料率の幅を設けることにより、保証の利用機会の拡大を図ることを目的といたしているものと承知いたしております。

道といたしましては、今後とも、国の緊急保証制度を積極的に活用しながら、中小企業への資金供給が滞ることのないよう、信用保証協会や金融機関と連携を図り、信用力や担保力が脆弱な企業に対して、きめ細やかな対応に努めてまいる考えであります。

次に、本道の雇用情勢に係る認識についてでありますが、原油・原材料価格の高騰などの影響により、全国的に雇用情勢が下降局面にある中、本年9月の本道の有効求人倍率は0.47倍、7月から9月期の完全失業率は4.9%となっており、全国の有効求人倍率の0.82倍、完全失業率の4.0%と比べますと、本道の雇用情勢は依然として厳しい情勢にあるものと認識をいたしております。

次に、雇用対策についてでありますが、道では、地域における雇用の創出や維持、安定を促進するため、新一村一雇用おこし事業を実施するとともに、雇用創造に意欲的に取り組む市町村に対して、国の新パッケージ事業の有効活用に向けた情報提供や助言などを行っているところであります。

また、ジョブカフェ北海道において、フリーターなどに対する職業カウンセリングを行うなどして、若年者が安定した職業につけるよう支援をいたしているところであります。

今般、国の、安心実現のための緊急総合対策において、雇用情勢が厳しい地域における雇用確保・就労支援対策や、非正規労働者の雇用安定対策について、支援制度の創設や拡充がなされたところであり、道といたしましては、既存施策の効果的な推進を図ることはもとより、こうした国の支援制度の活用促進に努めるなどして、国や関係機関との密接な連携のもと、雇用情勢の改善に向けて取り組んでまいる考えであります。

次に、離島航空路線の維持についてでありますが、離島の日常生活に必要な航空路線の維持を図るため、国においては、平成11年度から、都道府県との協調のもと、個々の離島路線の収支に着目をして、部品の購入費など、路線の運航費に係る必要な経費に対して補助を行っているところであります。

全日空の利尻−新千歳間の航空路線については、冬期の需要などが低迷しており、平成19年度で約3億6000万円の経常損失が発生しているところでありますが、現在、1日1往復の通年での運航を行っているところであります。

このたびの補正予算の計上については、同社において、今般の燃油価格の高騰に伴うコスト増により収益が悪化していることから、年度途中ではありますが、当該路線の補助申請を行うこととしたものであり、これを受けて、国において、緊急総合対策として、当該路線を補助対象路線に追加したことから、道としても、国と協調して補助を行うこととしたものであります。

道といたしましては、平成20年度については、路線運航の継続を前提として補助を行うものでありますが、補助額が多大であることから、引き続き、事業者に対し、一層の企業努力を求めてまいりたいと考えております。

次に、公共施設の耐震化についてでありますが、国の、安全実現のための緊急総合対策においては、児童生徒の安全確保に加え、災害時における地域住民の応急避難先の役割を果たす学校施設等の耐震化対策が盛り込まれているところであります。

これを受け、地域活性化・緊急安心実現総合対策交付金制度が創設され、学校施設等の耐震補強・改築事業の地方負担に対し、交付金が新たに充当されることとなったところであり、道では、この制度について市町村に対し周知を図るとともに、その積極的な活用を促しているところであります。

道といたしましては、これまでも、あらゆる機会をとらえ、市町村が有する公共建築物の耐震化へ向けての早期の敢り組みを働きかけてきたところであり、今後とも、市町村との連携を強めながら、その促進を図ってまいる考えであります。

なお、道が今回計上しております補正予算の中では、緊急輸送道路に指定されている路線における2橋の耐震補強を前倒して実施することといたしております。

道といたしましては、公共施設の耐震化は、道民の皆様の安全で安心な生活を確保する上からも大変重要なことと考えており、今後とも着実な推進に努めてまいります。

次に、地域政策総合補助金の減額などについてでありますが、本年6月に、各支庁において実施をした地域政策総合補助金に関する補助要望調査では、市町村合併後の新たなまちづくりを支援することを目的として、本年度創設をした市町村合併緊急支援事業などの特定課題分を除いた、いわゆる一般分については、当初予算で計上された25億8000万円に対し、市町村や民間団体から、760件、28億9000万円の要望が寄せられたところであり、各支庁においては、これらの要望事業について、地域特性を踏まえた優先順位に基づき、予算の範囲内で交付決定を行い、その執行を進めてきているところであります。

補正予算案における地域政策総合補助金の減額につきましては、市町村合併緊急支援事業分として6000万円を当初予算で計上したところでありますが、その交付対象として見込んでいた江別市と新篠津村の合併協議が調わず、また、現在、合併協議を進めている他の市町村においても、本年度中には、この補助金を用いて行う事業の実施が見込まれないことから、今回、減額補正を行うことといたしたところであります。

次に、地域振興券と生活支援定額給付金についてでありますが、地域振興券の交付事業は、当時の国における金融、雇用、社会資本整備など、さまざまな面からの緊急経済対策の一環として実施されたものであり、消費の拡大と景気回復に役立てようとしたものと承知をしております。

また、このたび示された国の生活対策におきましては、家計への緊急支援としての効果を迅速に実現するとともに、低所得者にも広く公平に行き渡らせるため、仮称ではありますが、生活支援定額給付金を、総額2兆円を限度として、今年度内に実施することとし、その実施方法等について早急に検討することとされているものと承知をいたしております。

私といたしましては、この給付金が家計への支援の一つとして、生活者の不安を解消するといった効果が十分発揮されるよう、きめ細やかな制度設計の上、実施されることを期待しているところであります。

最後に、消費税に関連してでありますが、税制のあり方につきましては、国民の暮らしや景気への影響、さらには地方分権の推進といった、幅広い観点から検討される必要があるものと認識.をしており、消費税の見直しについても、今後の経済動向などを含めた多面的な検討を行った上で、国会の場などで十分な論議がなされ、国民の理解のもとに進められるべきものと考えております。

以上でございます。


真下紀子議員の再質問

○真下紀子君

(登壇・拍手)再質問いたします。

先ほど、私が、地域経済への波及効果に関連し、直轄事業の地元への発注割合を質問した際、道と国の出先機関等との具体的な契約実績とあわせて、道内中小企業対策の推進に取り組んでいかれるとの答弁をいただきました。

また、雇用対策についても答弁をいただきましたが、これらを聞いて思いますのは、今年度、知事が、談合業者の入札参加に加え、指名停止期間を半減させるという、全国初の重大な決断をされたことです。

3定議会での私の質問に、地域経済の状況にかんがみ、雇用への大きな影響を勘案した結果だ、当面続けると知事は答弁され、地域経済と雇用対策を理由に、不正の正当化を主張されました。

その後、入札監視委員会から厳しい指摘を受けた上、道民批判も強く、ましてや、知事の判断に対し、だれからの支持も得られなかったことにようやく気づかれたようで、次の議会も待たずに、記者会見で指名停止期間の半減について見直しをすると発言しています。しかし、これでは、余りにも議会軽視ではないでしょうか。

知事は、この談合の救済策を、今回の予算に計上されている公共事業等においてもなお続けるのかどうか、それとも、素直に反省をして、道民に謝罪し、撤回をするのか、議会での明快な答弁をまず求めます。

また、第3回定例議会からのわずかな期間において、金融危機に端を発した経済状況の悪化は、だれの目にも明らかになっています。

こうした環境の中、知事が、指名停止期間の半減措置を見直すというのであれば、この重大な決断をした理由について、3定議会での答弁で言及された、地域経済と地域雇用の状況を踏まえた、わかりやすい説明を求めます。

次に、地元への発注の促進についてですが、先ほどの答弁で明らかなように、国直轄事業に関する情報提供は、これまでと同様であり、不十分なままです。

今回の緊急総合対策の公共事業のうち、8割を占める国直轄事業の事業主体である国の出先機関における地元中小企業への発注は、道の発注よりも格段に低く、この5年を見ますと、道の発注は4.5ポイント増加したのに対し、国の出先機関からの発注は、3ポイントの増加にとどまるだけではなく、逆に、平成17年度をピークに減少しています。知事の発言どおり、国の直轄事業が経済効果としてプラスとは言いがたいのが現状です。

そこで伺いますが、先ほど、受注機会の確保に関する推進方針を国の出先機関にも要請を行っているとの答弁がありましたが、地元中小企業者の受注確保の推進のため、せめて道と同水準までの引き上げを要請してはいかがでしょうか。

国の直轄事業と、住民の命を守ることとなる公共建築物の附震化工事とでは、耐震化工事の方が、地元中小企業への発注割合が高く、地域の経済、雇用への効果も高く、より効果的な中小企業対策だとお思いにはなりませんか。再度認識を伺います。

次に、減額予算について伺いますが、今年度の地域政策総合補助金は、地域の要望にこたえ切れていません。

合併がとんざし、見合いの財源があるならば、制度本来の運用である、すなわち合併分ではなく、地域政策総合補助金本体分として活用し、追加募集を行い、地域のために役立てるべきではありませ々か。

地域振興条例を提案しようとしている道においては、なおのこと、減額補正を提案するのではなく、有効活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。

次に、指摘します。

福祉灯油事業についてです。

福祉灯油事業について、すべての市町材は大変な努力をしています。給付対象や給付額を拡充し、生活保護世帯を除外しないように取り組んでいる市町村もあります。県単位で見ても、昨年度は、生活保護世帯を除外したのは北海道と福島県だけではありませんか。

特に、厳冬期の北海道で、月にわずかな薪炭費しか支給されない生活保護世帯の除外は、私は納得できません。対象の拡大については、道の姿勢いかんで拡充することは可能です。ところが、道が、9500円の上限設定を解除せず、生活保護世帯を除外し続けるというのでは、市町村の足かせとなり、安心と頼りになる地方行政とは言いがたいことを厳しく指摘しておきます。

離島航空路線の維持についてです。

航空路線の維持の確約もとれないという答弁には、驚きを禁じ得ません。

知事は、航空業者の社会的責任についてはどうお考えなのでしょうか。知事が常日ごろ言っておられる、すぐれた民間ノウハウを今こそ発揮していただくわけにはいかないのでしょうか。

1円でも借しいはずの道財政から。単年度で360億円もの利益を上げている、日本を代表する企業である全日空に5600万円もの補助をするという知事の大盤振る舞いは、大企業に物言えぬ、道の弱腰を露呈したものと言わざるを得ません。民間に任せればすべてうまくいくというような幻想は既に崩れていることに気づくべきです。

以上、再々質問を留保して、再質問を終わります。(拍手)


高橋はるみ知事の再答弁

○知事高橋はるみ君

(登壇)真下議員の再質問にお答えをいたします。

最初に、公共事業の経済効果に関連をし、指名停止期間の短縮措置についてでありますが、道内経済は、ことしに入り、北海道を代表するような住宅メーカーを初めとする企業の倒産など、大変厳しい状況に置かれておりますことから、長期にわたる指名停止は、地域の経済や雇用に大きな影響を及ぼすことなどを総合的に判断して、道発注以外の工事に係る事案で、かつ、その期間が12カ月以上のものについては、当面、その指名停止期間を2分の1に短縮することといたしたところであります。

その後、道内建設業の倒産件数は、昨年1年間の件数をも既に上回っており、さらに、アメリカのサブプライムローンの破綻に端を発した世界的な金融危機により、急激な円高などが続く中で、金融機関の融資姿勢が厳格化するなど、道内建設業界においても、資金繰りや、将来に対す

る不安感や閉塞感が急速に増してきているものと受けとめております。

このように、道内の経済状況は、短縮措置を判断した時点に比べ大きく変化してきている中で、こうした措置に対して企業においての不公平感が増幅していくことも懸念され、この措置を継続することには、道行政に対する道民の方々の不信感も募っていくものと考えられるところであります。

こうしたことから、今後、新たな事案が発生した場合には、このたびのような適用は行わないことといたしたところであります。

次に、国への要請こついてでありますが、道といたしましては、引き続き、国の出先機関等に対して、道の実績なども示しながら、道内中小企業者等のより一層の受注機会の確保、拡大に向け、働きかけを行ってまいる考えであります。

次に、耐震化工事の推進についてでありますが、先ほどもお答えいたしましたとおり、公共施設の耐震化は、道民の皆様の安全で安心な生活を確保する上からも大変重要なことと考えており、公共建築物の耐震化が早期に進むよう、今後とも、道教委や市町村との連携を強めながら、その促進を図ってまいります。

最後に、地域政策総合補助金の減額予算についてでありますが、地域政策総合補助金につきましては、各支庁において、市町村や民間団体からの要望事業について、一地域特性や緊急性などを踏まえた優先順位に基づき、予算の範囲内で交付決定を行い、その執行を進めてきているところであります。

このたびの補正予算案における地域政策総合補助金の減額については、今年度創設をした市町村合併緊急支援事業分として、当初予算で計上したものであり、今年度中にはこの補助金を用いて行う事業の実施が見込まれないことから、厳しい現下の道財政の状況を踏まえ、減額補正を行うことといたしたところであります。

以上であります。


真下紀子議員の再々質問

真下紀子君

(登壇)再々質問をいたします。

一層の経済悪化の中ですが、知事は、公共事業の契約に伴う指名停止期問の半減措置は行わないという、こういう御答弁でした。これでは、知事が理由にした、道内中小企業の支援対策にも、雇用対策にもならないということを、みずからがお認めになった答弁です。

半減措置は、談合という経済犯罪に対するペナルティーを骨抜きにするだけではなく、不正救済のための措置です。入札監視委員会で、モラルハザードを招くとの厳しい指摘がありましたが、全くそのとおりです。

知事は、今後は行わないと、議会でやっと明らかにされました。しかし、議会で、知事が当面続けると明言したのは、わずか1カ月前です。議会での指摘に真摯に向きあわず、1カ月で撤回するというのは、朝令暮改の批判を免れません。

知事が、この措置の継続によって、道民の中に不信感を募らせると答弁したことは重いものであり、政策判断の誤りをみずから認め、撤回したのですから、私は、これ以上の質問はいたしません。

ただ、議会を招集しながら、その前に、記者会見で議会答弁を撤回する発言を行うような議会軽視は、今後厳に慎むべきであり、道民に対しては謝罪が必要と指摘をしておきます。

経済動向がさらに悪くなっている中、道内企業支援対策をもって、理由にもならない理由を弄するのではなく、知事が王道による対策に取り組むことを強く求めて、質問を終わります。(拍手)


※人名・地名等、コンピュータの機種によって表示できない旧字、異字等は通用字体に改めているものがあります。

[日本共産党道議団編集]

pagetop