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道議会での取り組み
2008年予算特別委員会

【真下紀子道議、木質バイオマス活用、漁業振興・燃油高騰対策などただす】 08.06.20

2008年6月20日 予算特別委員会第2分科会質疑概要

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

水産林務部所管の問題

木質バイオマス活用・ペレットストーブ利用拡充求める

○真下紀子委員

水産林務部への質問の最後になりまして、重複もありますので、多少簡潔にまとめながら質問させていただきたいと思います。理事者の皆さん、御協力をお願いいたします。

木質バイオマスエネルギー等について初めに伺います。

北海道は、1998年に新エネルギー・ローカルエネルギービジョンを策定して、国に先駆けて、バイオマスを新エネルギーとして位置づけてきました。しかしその後の取り組みというのが遅々としてなかなか進まないというように感じております。

ローカルエネルギーとして、また、温室効果ガス削減に効果を上げるためにも、高い目標を待った取り組みを行うべきと考えて、以下、質問してまいります。

一つ目ですけれども、木道での木質バイオマスの活用状況と今後の展開の見通しについて、二つ目に、ペレットストーブの普及状況と今後の見通しさらには供給力について、三つ目に、ペレットボイラーの普及状況と今後の見通しについてあわせてお答えをお願いします。

○中島俊明林業木材課長

お答えいたします。

木質バイオマスの活用状況などについてでございます。

製材工場の端材や林地に残された未利用資源など、いわゆる木質バイオマスは、チップやペレットに加工されまして、木材加工工場の乾燥用のボイラーや一般家庭のストーブなどの燃料として利用されており、平成19年度の全道の利用量は、13万5000世帯の暖房消費に相当いたします約39万立方メートルとなっております。

このほか、最近は、バイオエタノールの原料となります柳の試験栽培や、バイオエタノールを低コストで効率的に生産する研究も下川町などで始まっており、道といたしましては、原油価格の高騰の中、北海道洞爺湖サミットの開催を契機といたしまして、さまざまな分野において木質バイオマスの活用がより一層広がっていくものと期待をしているところでございます。

また、ペレットストーブの普及状況などについてでございますが、道では、これまで、ペレットストーブなどの導入促進とともに、ペレットの生産施設の整備など、利用と供給の両面にわたって取り組みを進めてきたところでございます。

このような取り組みによりまして、ペレットストーブにつきましては、家庭や公共施設などへの導入が進み、平成19年度未までに全道で約400台が導入されたほか、ことしの冬に向けましては、道立の林産試験場と民間企業が共同開発しました北海道型ペレットストーブの供給体制が大幅に強化されることになっております。

また、木質ペレットの供給体制につきましては、これまで、九つの地域で生産施設が整備され、本年度は、伊達市においても新たに計画をされており、供給能力は約1万トンに達するものと見込んでおります。

次に、ペレットボイラーの普及状況などにっいてでございます。

道では、これまで、本道の基幹産業である農業の温室ハウスなどでの木質ペレットの利用を促進するため、市町村や関係業界と連携をして、ペレットボイラーの実用化に向けた調査検討や実証導入に対し支援をするとともに、その成果の普及啓発に取り組んできたところでございます。

このような取り組みにより、伊達市などでは農業用ペレットボイラーの導入に既に取り組んでいるほか、恵庭市の食品加工業でもペレットボイラーが導入されるなど、道内での導入は、平成18年度未の8台から、19年度未には73台へと急速に広がっているところでございます。

また、チップボイラーは、これまで、主として木材加工工場の発電施設や乾燥施設などで使われておりましたが、最近は、温泉施設やクリーニング店など、さまざまな分野に広がってきております。

道といたしましては、木質バイオマスは、化石燃料に比べて価格的にも優位となっておりますことから、ペレットボイラーなどの多様な分野での普及に一層努めてまいりたいと考えております。

以上でございます。

○真下紀子委員

皆さんの努力が報われてきて、大きく注目をされていると思いますので、ぜひ今後も普及に努めていただきたいというふうに思います。

燃料として使うだけでなく、ドイツで開発された技術によって、2009年から、木質繊維の断熱材を生産、販売する工場が苫小牧市に建設されて、操業を開始すると聞いております。普及に向けて、道としても注目が必要ではないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

○野呂田隆史林務局長

お答えいたします。

燃料以外への活用についてでありますが、間伐材や未利用資源などの木質バイオマスの利用拡大を図るためには、エネルギー分野だけでなく、新たな分野での利用開拓も必要であり、木質断熱材の生産は、木質バイオマスの付加価値の向上につながる新たな取り組みであると考えております。

このため、道では、木質断熱材の生産の構想段階から、新会社設立に向けた助言や、関係部局と連携した企業立地に関する調整などを行うとともに、今年度実施する生産施設の整備に対し支援しているところでございます。

今後は、関係団体などと連携して、6月19日から札幌市で開催されております環境総合展2008や、今後、開催を予定しております森林づくりに関する展示会などで、木質断熱材などの製品を道民の方々に紹介するなどして、木質バイオマスの利用拡大に努めてまいる考えでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

ドイツのバイエルン州では、森林比率が20%から30%のところだそうですけれども、ペレットストーブの利用が住宅戸数の約半分に達していて、雇用にも地域活性化にもつながっているということだそうです。

私は、木質バイオマスを北海道のローカル資源として、過疎地域を初め、北海道の地域振興の柱の一つに位置づけて、地域政策総合補助金の対象だけではなく、もっと高い普及目標を設定して取り組むべきと考えますけれども、部長の見解を伺います。

○武内良雄水産林務部長

木質バイオマスの普及についてでございますが、間伐材などの木質バイオマスを地域のエネルギーや断熱材などの原料として活用することは、森林の整備や林業・木材産業の活性化はもとより、石油などの化石燃料の代替エネルギーとして、地球温暖化の防止に貢献する上で重要な取り組みというふうに認識しているところでございます。

このような中、道内では、温泉施設やクリーニング店、農業用の温室ハウスなどで木質バイオマスを幅広く利用しようとする動きが広がりつつあるところでございます。

このため、道では、今年度からスタートいたしました新しい北海道森林づくり基本計画において、木質バイオマスのエネルギー利用量を、平成29年度には、道内全世帯の灯油消費量の10%に相当する67万立方メートルと、ほぼ倍増させることとしているところでございます。

道といたしましては、木質バイオマスの利用拡大に向けた地域の取り組みをさらに加速させるために、市町村や関係団体などと連携して、道民の方々や企業に対して普及啓発を行うとともに、林地に残されました未利用資源の効率的な集荷による原料の安定確保に取り組むなどして、木質バイオマスの一層の利用拡大を図ってまいる考えでございます。

以上でございます。

森林環境税と森林整備について

○真下紀子委員

では次に、森林環境税と森林整備について伺います。

温室効果ガスの吸収源として注目される森林の整備のために、道においては、森林環境税の導入が検討されております。道民意見も伺っていますけれども、増税ということであり、道民こぞって賛成という状況とはなっていないと思います。

そこで伺いますけれども、まず、森林環境税導入を先行した他県と違い、北海道は、国有林と公有林の比率が高く、水源涵養、土砂流出防止、それから洪水防止などの国土保全、生物多様性保全、CO2吸収などの公益的機能について、まず、全体計画を明確にして、道民にわかりやすく説明することが先決ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○森山昌人森林計画課長

お答えいたします。

森林の公益的機能についてでございますが、森林は、長期的な視点に立ち、計画的に整備していく必要があることから、民有林におきましては都道府県知事が地域森林計画を、国有林におきましては森林管理局長が国有林の地域別の森林計画を立てることとなっているところでございます。

それぞれの計画におきましては、すべての森林について、地形、地質等の立地条件や、森林の状況を勘案いたしまして、木材等生産、水源涵養、山地災害防止、生活環境保全、保健文化の五つの機能評価を行っておりまして、これらを基礎としまして、国土保全や生物多様性保全、さらに二酸化炭素吸収などに配慮しながら、森林の整備、保全が進められているところでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

行政的には計画があるということなのですけれども、道民的にはなかなかわかりづらいのではないかと思います。

また、新たな森林・林業基本法や北海道森林づくり条例、北海道森林づくり基本計画においてうたわれている流域管理ということについてですけれども、森林環境税が対象とする一般民有林だけでなく、流域の上流部の国有林や公有林を含めた考え方というのをまず道民に示して、理解を得るべきではないかと思いますが、いかがですか。

○等々力順祐総務課参事

流域を単位とする森林の管理についてでありますが、いわゆる流域につきましては、国により、全国で158流域、道内では13流域が定められておりまして、この流域ごとに森林計画を樹立し各種施策を総合的に講じることとされているものであります。

流域を単位として森林管理を進めるためには、国有林と民有林が連携して取り組む必要がありますことから、道では、平成14年に、知事と北海道森林管理局長との間で、森林の機能の向上なてきたところでありますが、本年度からは、国の、山のみち地域づくり交付金事業として、地方公共団体が実施主体となって整備を進めることとなったところでございます。

このため、道といたしましては、今年度の工事を見合わせるとともに、今後の事業の実施につきましては、地元市町村や地域住民、関係団体等から御意見を十分お伺いしながら、それぞれの路線について、改めて、区問ごとの必要性や有効性、費用負担のあり方など、幅広い視点から検討を進め、判断してまいる考えでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

旧大規模林道についてですけれども、私も現地調査に何回か伺いました。災害が起きれば一番先に崩れるだろうというようなところにつくられているわけで、ぜひ、これは廃止するということをきちっと決断していただきたいと思います。

時問もありませんので、森林環境税についてはあと1問で終わり、その後、3問で終わりたいと思いますので、委員長、よろしくお願いします。済みません。

森林環境税についてですけれども、森林環境税の導入には道民理解が不可欠でありまして、同じ特定目的税の道路特定財源のような勝手というのは許されないわけですね。使途について厳格さが求められ、公共事業の肩がわりでは道民理解は得られないと思います。

既存の事業との違いを明確にするとともに、政策評価が不可欠でありまして、道民への啓蒙や技術の継承にも寄与すべきではないかというふうに私は考えますが、道はいかがお考えでしょうか。

○沓澤敏林務局次長

道民理解の促進などについてでありますが、新たな森林環境政策は、既存の枠組みでは手入れが困難で、長期問放置されている森林の整備を進めることにより、森林の持つ公益的機能の維持増進とあわせて、地球温暖化防止に貢献しようとするものでございます。

また、新たな税制度の導入は、道民の皆様に新たな負担を求めるものでありますことから、道民の皆様方に十分御理解いただけるような制度を構築することが大切であると考えております。

道といたしましては、税収の管理や使途の透明性を確保するため、基金を設置することとしておりまして、また、事業の執行状況やその成果につきましては、わかりやすい形で公表して、道民の皆様方から御意見を伺うとともに、外部評価の組織を設置いたしまして、技術的な面も含め、施策を評価、検証することとしております。

以上でございます。

漁業振興、燃油高騰対策について

○真下紀子委員

それでは、漁業振興について簡潔に伺います。

初めに、小型イカ釣り漁船が全国一斉に体漁しましたけれども、これは漁業者の苦渋の選択だったと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

○吉川正基水産局次長

小型イカ釣り漁船の休漁についてでございますけれども、小型イカ釣り漁船は、全国で約4700隻でございますが、うち、本道は約1900隻を占めております。

漁業支出に占める燃油費の割合が高く、最近の燃油価格の高騰により、経営が極めて厳しい状況になったことから、イカ釣り漁業者が国民にみずからの窮状を訴えるため、6月18日と19日の2日間、全国一斉の休漁を行ったものであり、道といたしましては、経営の存続が危ぶまれる切迫した状況の中で、イカ釣り漁業者が苦渋の決断を迫られたものと重く受けとめているところでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

大変身を切られる思いだったと思います。

燃油、資材などの価格高騰の影響について示していただきたいのですけれども、厳しいところとして、留萌のエビかごは、昨年来、1回漁に出て、2日問操業して帰ってくるなど、ぎりぎりで操業しているというふうに伺っております。漁業種類ごとに経営の実態を示していただきたいのが1点です。

もう一点は、水産業燃油高騰緊急対策基金の継続、拡大、改善にどう取り組むのか、また、弾力的な運用を国に求めるべきと考えますけれども、この点はいかがか、あわせてお答えください。

○幡宮輝雄水産経営課参事

まず、燃油価格高騰などの影響についてでございますが、道漁連によりますと、燃油価格が高騰する前の平成16年を基準とした、20年までの本道漁業者の負担増は、5年間の累計で290億円に達し漁網やロープなどの資材については、約40億円の負担増になると試算されており、燃油や資材等の価格高騰が本道漁業に大きな影響を与えているところでございます。

また、漁業種類ごとの経営実態についてでございますが、燃油の消費量の多い漁業といたしましては、イカ釣り漁業やエビかご漁業などがありまして、10トン未満のイカ釣り漁業では、16年の燃油費が1隻当たりで147万円でしたが、20年の直近の価格で試算すると274万円に増大すると見込まれているところでございます。

また同様に、留萌管内の大型のエビかご漁業では、16年の燃油費は2100万円でしたが、20年には4800万円に増大すると試算されております。

また、緊急対策基金についてでございますが、本道におきましては、漁業の省エネ体質への転換を図るため、この基金を活用して、省エネ型漁船の建造や4サイクル船外機の導入などが実施されているところでございます。

こうした中で、漁業者からは、この基金の対象が30トン未満の漁船に限られていることや、省エネ型の操業体制への展開には時間を要することなどから、この基金の継続や事業内容の拡充が求められているところでございます。

このため、道といたしましては、省エネの取り組みを進めるためにも、この基金の継続や拡充などにつきまして、漁業関係団体と連携して、国に働きかけてまいる考えでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

最後の質問です。

これまでも質問がありましたので、私の方から言うまでもないのですけれども、昨日の緊急集会でも、燃油価格高騰への直接補てんについて国に求めていくべきだという切実な要望が出されておりました。これは、議員の方も超党派で、全道民が力を合わせて求める課題ではないかと思いますので、最後に部長の決意を伺って、終わります。

○武内水産林務部長

直接補てんについてでございますが、最近の燃油価格の異常な高騰は、漁業者の省エネに対する自助努力をはるかに超えておりまして、本道漁業が、将来にわたり、水産物を安定的に供給する役割を果たすためには、新たな燃油価格高騰対策が必要と考えているところでございます。

このため、道といたしましては、漁業者が求めております直接的な補てん制度の創設について、漁業関係団体と連携を図りながら、早期に、かつ積極的に国に働きかけてまいる考えでございます。

以上でございます。


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[日本共産党道議団編集]

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