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2008年予算特別委員会

【真下紀子道議、下水道事業めぐる談合疑惑などただす】 08.06.20

2008年6月20日 予算特別委員会第2分科会質疑概要

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

建設部所管の問題

道発注下水道事業落札率93・7%、6割が95%超! 談合疑惑調査せよ

○真下紀子委員

初めに、下水道事業の入札等について伺います。

札幌市発注の下水道電気設備工事をめぐる談合疑惑で、公正取引委員会が、いわゆる重電9社と発注側の札幌市に立入検査に入りました。このことを建設部はどのように受けとめているのか、部長に伺いたいと思います。

○猪俣茂樹建設部長

公正取引委員会の検査についてでありますが、札幌市発注の下水道電気設備工事にかかわって、いわゆる重電9社と札幌市に公正取引委員会が検査に入ったことにつきましての報道があったことは承知しており、道といたしましては、今後、調査の推移を見守り、適切に対応したいと考えております。

以上でございます。

○真下紀子委員

道からの発注でも、各地で同様の事業が行われていると承知をしていますけれども、談合のおそれがないのかどうか、伺います。

○樺沢孝まちづくり局長

道発注工事についてでありますが、平成19年度に道が発注した下水道電気設備工事において、立入検査を受けている重電9社のうち、3社が4件の受注をしており、いずれの工事におきましても、談合情報は寄せられておらず、適正な入札が行われたものと考えております。

○真下紀子委員

道は調査をした上での見解でしょうか。していないとすれば、調査をすべきだと私は思いますけれども、いかがですか。

○樺沢まちづくり局長

道発注工事の調査についてでありますが、それぞれの工事の入札状況については把握しておりますが、現時点では、改めて調査を行うことは考えておりません。

○真下紀子委員

では、具体的に伺っていきます。

過去5年間の道内の下水道電気設備工事等の一覧表をいただきました。平均落札率は93.7%と、かなり高くなっています。これは、談合疑惑で揺れる札幌市の平均落札率と同じレベルであり、談合が行われていないとは言えないのじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

○樺沢まちづくり局長

落札率についてでありますが、各社の受注の結果は、それぞれの企業の経営状況などに応じて見積もりを行った結果であると考えているところでございます。

○真下紀子委員

平均落札率は、道は札幌市と同じレベルだということはお認めになりますか。

○樺沢まちづくり局長

落札率については、似たような数字の結果になっております。

○真下紀子委員

道内の下水道工事関係事業でも、重電9社が受注した工事がありますけれども、5年間で、何社、何件あったのか、また、それぞれの会社の落札率がどうなっているのかを明らかにしてください。

○木村篤都市環境課参事

受注件数などについてでありますが、平成15年度から19年度までの5年間に道が発注した下水道電気設備工事は40件ありましたが、そのうち、25件の工事を、当該重電9社のうち6社が受注しており、その落札率は85%から97.5%となっているところであります。

以上です。

○真下紀子委員

私どもの調査では、全国市民オンブズマン連絡会議などが指摘するように、談合が疑われる落札率が90%以上が25件中20件、談合の疑いが極めて高いと指摘されている95%以上が9件もありますけれども、これは間違いないですか。

○木村都市環境課参事

受注件数などについてでありますが、真下委員のおっしゃるとおりでございます。

○真下紀子委員

それでは、5年間全体の170件のうち、95%以上は何件になっているか、明らかにしてください。

○木村都市環境課参事

落札率が95%以上の工事についてでありますが、過去5年間で道が発注した下水道工事においては107件となっているところでございます。

○真下紀子委員

95%以上が60%を超えているわけですね。

それでは、落札率が99%以上の件数とあわせて、どのような工事で、それぞれ何%か、明らかにしてください。

○木村都市環境課参事

落札率が99%台のものについてでありますが、平成15年度から平成19年度までの5年間の発注件数の170件のうち、4件の工事が99%台でございます。

そのうち、1件は、下水道浄化センターの機械設備工事でありまして、これは落札率が99.891%でございます。

さらに、1件は、センターの場内整備工事であります。これにつきましては99.726%でございます。

3工事目は、下水道の管渠新設工事でございます。これにつきましては落札率が99.576%でございます。

四つ目の工事は、下水道の坑内整備工事でございまして、これにつきましては99.145%となっております。

以上です。

○真下紀子委員

6割を超える落札が95%以上で、今の答弁にあった4件は、ほとんどゴッドハンドによるものだと。談合がなければ――人間の手で行われたのではないと思うような答弁でした。

こうした実態でも、部長は調査もしないというのであれば、談合防止に取り組まなければならない発注者の姿勢としては、認識が甘過ぎではないかと思いますけれども、いかがですか。

○猪俣建設部長

調査についてでありますが、先ほども担当局長がお答えいたしましたとおり、現時点で、改めて調査を行うことは考えておりません。

以上でございます。

○真下紀子委員

重電9社への道からの天下りがいるのかどうか、伺いたいと思います。

いるとしたら、いつから、どのような理由で天下りしたのかも伺いたいと思います。

○寺田朗総務課長

再就職者についてでございますが、重電9社への建設部からの再就職者はおりません。

以上でございます。

○真下紀子委員

私は、道からの再就職者はいますかと聞いたのです。

委員長、私の調査では、三菱電機株式会社に、平成18年まで元課長級以上が在職していたということを確認しております。これは、建設部の方で確認すればすぐにわかることなので、委員長におかれましては、後ほど確認をして、委員会に報告するようにお取り扱いいただきたいと思いますが……。

○小松茂委員長

はい、わかりました。

○真下紀子委員

高落札率と天下り、そして指名競争入札、この談合の3条件というのがすべてそろった状態になっているわけです。全道調査を早急に行うということが、道の道民への責任ではないかというふうに思いますけれども、いかがですか。

○猪俣建設部長

調査についてでありますが、先ほどもお答えいたしましたとおり、現時点では、調査を行うことは考えておりませんが、今後の状況などを見きわめて判断したいと思います。

○真下紀子委員

見きわめて判断するということですが、こちらから少し情報提供をさせていただくために、議論を進めたいと思います。

道の幹部職員OBが、これらの下水道事業を受注した企業に天下りをしたのは、何社で何人いらっしゃるのか、お答えください。

○寺田総務課長

過去5年間に下水道工事関係を受注した企業へ再就職している職員についての御質問でございますが、過去5年間に道が発注する下水道工事を受注した企業へ再就職した者は、4社へ5名となっているところでございます。

○真下紀子委員

それでは、その道の幹部職員OBの天下りを受け入れたそれぞれの企業が落札した工事の落札率は何%か、また、95%未満は何社か、お答えください。

○小松茂委員長

時間がかかりますか。

○寺田総務課長

済みません。今、確認しております。それで10分程度……。

○小松茂委員長

それでは、このまま暫時休憩いたします。

--- 休憩 ---

○小松茂委員長

休憩前に引き続き、会議を開きます。

都市環境課参事木村篤君。

○木村都市環境課参事

5名の再就職者が就職した企業における過去5年間の下水道工事の落札は6件でございまして、その落札率は95.0%から98.6%でございます。6件とも95%以上となっております。

○真下紀子委員

天下りをしているところはすべて95%以上で、95%未満の工事は1件もありません。ですから、天下り効果といいますか、非常に効果が高い、こういった状況なのですね。

具体的なこういった事実を勘案しますと、推移を見て調査と先ほど部長はおっしゃいましたけれども、やはり、これは重大な事態だと思いますので、知事にお伺いをしたいと思います。総括質疑に上げていただくようにお願いしたいと思います。

サンルダム建設と環境への影響などについて

○真下紀子委員

では次に、サンルダム建設と環境への影響などについて伺います。

サンルダム建設に関して、知事意見に付した環境への配慮についての現状認識と、今後、その配慮をどのように確認しようとしているのか、具体的な内容についてまず最初に伺いたいと思います。

○内田重己河川課参事

サンルダム建設における環境配慮についてでありますが、平成7年の、サンルダム建設に関する基本計画の策定、及び、平成19年の基本計画の変更に際して提出した知事意見の中で、事業の実施に当たっては環境保全について十分配慮するよう、国に申し入れたところであります。

国においては、これまで、環境への配慮として、気象や植生、魚類などの継続的な調査や、有識者から成る、天塩川魚類生息環境保全に関する専門家会議での、魚類等の移動の確保などの検討が実施されているところと承知しております。

道といたしましては、今後とも、国において、必要な調査、環境保全対策が進められるものと考えているところであります。

○真下紀子委員

それでは、生物多様性の保全についてはどのような考え方をお持ちか、お示しください。

○内田河川課参事

生物多様性の保全についてでありますが、生物多様性基本法では、健全で恵み豊かな自然の維持が生物の多様性の保全に欠くことのできないものであることにかんがみ、野生生物の種の保存などが図られるとともに、多様な自然環境が地域の自然的・社会的条件に応じて保全されることを旨として行わなければならないとされているところであります。

○真下紀子委員

私は、現地に調査に行ってまいりまして、これまでの道道つけかえ工事や橋梁工事などによって、周辺の環境が大変壊されている、生物多様性が全く保全されていない状態だということを把握してまいりましたけれども、道はこの影響をどのように把握しているのか、お答えください。

○内田河川課参事

橋梁工事に伴う周辺への影響についてでありますが、国では、橋梁などを含むつけかえ道路工事区域においても、専門家の助言をいただき、環境調査を実施しており、これまでも、貴重種であるイソツツジの移植や、環境トラフの設置による小動物の保全対策などを行っているものと聞いているところであります。

国からは、今後も、工事により、貴重種であるヒメギフチョウやエゾサンショウウオなどの生息環境に影響を与えると予測される場合は、専門家の助言をいただきながら、その保全対策を行っていくと聞いております。

○真下紀子委員

保全対策はとられていないのですね。

専門家がいるとおっしゃいますけれども、準絶滅危惧種になっておりますヒメギフチョウの食草である希少種のオクエゾサイシンの群落が既にはがされておりました。根こそぎなくなっておりました。現地で私が目視で確認をしましたヒメギフチョウの来年の姿というのはもう見られない、こういう状況なのです。

これは、やはり、先ほど言われた生物多様性の保全の考え方に立って、きちっと検証して守っていく立場で進めなければならないと思いますけれども、こういった考え方についてはいかがですか。

○内田河川課参事

ヒメギフチョウについてでありますが、国からは、これまでも、専門家の助言をいただき、ヒメギフチョウや、その繁殖の場であるオクエゾサイシンの生息状況の調査を行っていると聞いております。

道といたしましては、国に対し、今後も、工事の実施に当たっては、ヒメギフチョウなどの生息環境の保全に向けて、生物多様性の保全の観点からも適切な対応を行うよう要請してまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

どうせダム湖に沈むのだからという考え方が根底にあるのではないかと思いますが、そういう考え方に立たずに、生物多様性の保全の原則に沿って、ぜひ今後の監視を強めていただきたいというふうに思います。

次ですが、湛水ダムの堤体によって影響を受ける、ヤマメですとかサクラマスの産卵床の数は、流域全体の1%から4%であって、影響は小さいということを開発局は言っております。

しかし専門家や地域に詳しい道民の調査と比較しますと、平成12年から平成17年で、開発局の調査では年平均24ヵ所に対して、民間調査では206ヵ所になっています。満水域では、開発局の調査での平均31ヵ所に対して、民間調査では156ヵ所という違いが出ております。不一致場所は、産卵の適地、産卵床出現の多い場所と指摘をされておりまして、計画変更に伴って、これまでの環境予算の10倍以上にも及ぶ予算を計上しているわけですけれども、一体、今までの調査は何だったのか、こういうふうに思うわけです。

これからの予算計上にしても、今までは計画を進めていくための調査であったにもかかわらず、今度は、環境配慮を逆手にとって浪費をしていこうとしている、こういう指摘をする声も上がっているわけです。計画見直しの前の調査というのは全く不十分きわまりなく、計画変更が先にありきだったのではないかというふうに考えております。

開発局の調査は余りにも不十分であります。調査対象や調査期間など、これまでの調査と今後の調査との違い、予算の算出根拠について伺います。

また、今後は住民との共同調査を行っていく、こういう立場に立って、先ほど言われた生物多様性の保全の原則を守りながら進めていくべきではないかと考えますけれども、道としてこういうことを提案してはいかがでしょうか。

○内田河川課参事

環境保全関連調査についてでありますが、自然環境調査については、平成9年に環境影響評価法が制定されたことや、レッドデータブックなどにより、希少野生生物について新たな知見が示され、サンルダムでの動植物の保全対象が19種から178種へと大幅にふえたことなどから、現地における詳細な附属調査及び追加調査が必要になったものです。

また、魚類調査については、サクラマスなどの遡上性魚類の生息環境保全のため、産卵床調査や、ダムヘの魚道設置のための検討、調査が必要になったもので、あわせて、自然環境や魚類については、事業期間中の環境の状況などを把握し、適切な環境保全に資するために、平成9年度から平成25年度までの17年間にわたりモニタリング調査が必要になったものであります。

さらに、縄文時代の土器や石器が出土したことから、新たに埋蔵文化財調査が必要になったもので、これらの調査などの予算額が増額になったものと承知しております。

道としては、今後の環境保全関連調査に当たっては、いわゆる民間調査の結果も踏まえ、十分検討するよう、国に要請してまいりたい。

○真下紀子委員

国の調査だけでは心配なのですね。一緒に調査するという立場に立っていただけないでしょうか。

○内田河川課参事

道といたしましては、今後の環境保全関連調査に当たっては、いわゆる民間調査の検討結果も踏まえ、十分検討するよう、国に要請してまいりたい。

○真下紀子委員

同じ答弁の繰り返しですけれども、一緒に調査をしないと、保全されるかどうかがわからないのです。一度はがされた植物というのは、そのまま死んでしまって、回復不能になるわけですから、ここのところはしっかりと言っていただきたいというふうに思います。

次に、環境への配慮の担保についてなのですけれども、開発局が、人工構造物のない全国一長い河川であるというふうに自慢しているのが天塩川なのです。そこにあえてダムを建設するにしても、知事意見書にある環境への配慮の担保がどうしても必要不可欠な条件だというふうに思うわけです。

知事意見を反映した担保がないうちに本体着工とはならないと考えるわけでけれども、道として、知事意見が担保されていることを、どの時点で、どのように確認しようとしているのでしょうか。

○内田河川課参事

知事意見の担保の確認についてでありますが、国では、学識経験者で構成される天塩川流域委員会を設置しダム建設事業における環境影響への対策も含めた天塩川水系河川整備計画を取りまとめたところであります。

また、河川整備計画を踏まえ、流域における魚類などの移動の確保や生息環境の保全に向けた川づくりなどについて、有識者などからの意見を聞くために、専門家会議を設置したところであります。

国においては、こうした専門家会議の意見などを踏まえ、流域の環境保全について適切な配慮がなされるものと考えておりますが、道といたしましては、必要に応じ、環境情報の提供を要請してまいりたい。

○真下紀子委員

今が必要なときだと思うのですけれども、そういう認識はありますか。

○内田河川課参事

繰り返しになりますが、必要に応じ、環境情報の提供を国に要請してまいりたいというふうに考えております。

○真下紀子委員

全然答えていないですね。これが担保されることになるのかどうかというのが非常に不安になります。やっぱり、これは知事にも御意見を聞かなければならないというふうに思いますので、この部分でも総括質疑に上げていただきたいと思います。

サンルダム建設関係の道路工事落札率95%以上が半数以上

○真下紀子委員

次に、建設予算についてなのですけれども、官報で告示をされて、サンルダム建設にゴーサインが出たということになるのでしょうけれども、知事意見では、総事業費の圧縮を図ることが明記されております。

今、開発局が発注した河川工事について談合疑惑が発覚しているわけですけれども、これまでのサンルダム建設の道路関係予算について私は調べてみましたけれども、非常に高い落札率になっております。

談合が問題となっている2005年から2007年で、サンルダム建設において、市民オンブズマンが談合の疑いがあるとする落札率が90%以上の事業、及び、極めて談合が疑われると言われている95%以上が何件中何件か、お答えください。

○内田河川課参事

サンルダム建設についてでありますが、2005年から2007年の3ヵ年におけるつけかえ道路工事の発注件数は15件であり、落札率が90%以上の工事は12件、そのうち、落札率が95%以上のものは9件であると国から聞いております。

○真下紀子委員

先ほどの質問の続きではないのですけれども、国のコスト縮減どころか、談合の疑いが濃厚な状況ではないでしょうか。15件のうち、90%以上が12件、95%以上は半数以上の9件にも及ぶ、こういった状況ですね。

これは、先ほど言った、談合の疑いが強い高落札率と指名競争入札という、談合の二つの要件を満たしています。もう一つについては私も今調査しておりますので、この点についても知事にお伺いをして、よく議論をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○小松茂委員長

続けていいですよ。

○真下紀子委員

こういうような経過で、税金を浪費しながら、環境破壊を続けているということは許されないことだと思うのです。総事業費の圧縮を図ることを意見として付した知事意見にも真っ向から反するわけですから、道は、総事業費の圧縮が図られたかどうかを確認しなきゃいけない。どのように確認をするのか、伺います。

○内田河川課参事

総事業費についてでありますが、毎年2回開催される北海道開発局・北海道治水事業連絡調整会議や、事業の協議の場などにおいて、国が取り組んでいるコスト縮減対策などの状況を聞き、総事業費の圧縮について確認してまいりたいというふうに考えております。

○真下紀子委員

担保がとれていないわけですから、この点についても知事に伺っておきます。委員長、お願いします。

天塩川流域の治水対策、流域委員会のあり方について

○真下紀子委員

次に、治水対策についてです。

開発局は、水害被害を6900億円と見込んでいますけれども、非常に過大だという指摘があります。天塩川流域のわずか3%を占めるしかないサンル川で、ダム建設が治水対策としてどの程度の効果があるのか、こういう疑問も出されております。これまでの最大の水害で決壊した堤防があったのかなかったのか、伺います。

また、名寄川には、堤防整備が未整備な箇所があると聞きますけれども、そういったところをまず優先して整備すべきではないでしょうか。堤防整備の見通しがあるのかどうか。それを放置してダム建設を優先していくという理由があるのであれば何か、伺いたいと思います。

○寺山朗土木局長

治水対策についてでありますが、治水上の安全性を確保するため、水害の形態や、はんらん域の状況などを考慮し、天塩水系河川整備計画が作成されました。その中で、名寄川の真勲別地点における目標流量を毎秒1500立方メートルと設定し、このうち、サンルダムでは5分の1の洪水流量を調節する治水効果があるものとしております。

また、過去に、天塩川水系の直轄管理区間において破堤は生じておりませんが、現在の河川整備計画の目標流量が流れた場合は破堤のおそれがあると聞いております。

なお、河川整備計画では、サンルダムの建設にあわせて、天塩川や名寄川の堤防整備や河道掘削を行うものと承知しております。

以上であります。

○真下紀子委員

私は、先日、淀川水系流域委員会が示した、ダムによる治水の見直しを参考にすべきだと思うのです。堤防を整備する前にダム建設だけを先行していく、こういうやり方はもう見直すべきだというふうに思います。

ところが、開発局の方は、堤防整備については具体的な計画や見通しを示しておりません。やっぱり、こういったところは住民から理解は得られないというふうに指摘せざるを得ないと思います。

今お話ししましたように、淀川水系で、ダムによる治水の見直しの動きがあります。淀川水系に4ヵ所のダムの建設が予定をされているのですけれども、流域委員会から、費用対効果を考慮するとダム建設は不適切、堤防の補強をすべきと、脱ダム宣言が発せられました。部長はこの判断をどのように受けとめられたのか、伺いたいと思います。

○猪俣茂樹建設部長

淀川についてでありますが、淀川水系流域委員会は、国が、河川法に基づく河川整備計画の策定に当たりまして、学識経験者や地域の代表からの御意見をお聞きする場として設置されたものであり、真下委員からお話がありましたような意見書が取りまとめられたものと聞いているところでございます。

○真下紀子委員

この判断については、関係の知事が国から直接説明を受けて判断を下していく参考にしている、ところが、北海道はそういうことになっていない、こういう点では非常に不十分ではないかなというふうに思うわけです。

先ほど言った知事意見の担保などについても、やはり、知事が国から直接きちっと話を聞くべきではないかというふうに私は思っております。そこで、この点についても知事の見解を伺いたいと思いますので、総括質疑に保留したいと思います。委員長、よろしくお願いいたします。

次ですが、淀川水系流域委員会というのは、非常に注目される運営方法を行っておりました。淀川水系流域委員会と天塩川流域委員会のあり方、委員の構成、開催回数と予算、広報などについてはどのような違いがあるのか、承知をしていたら、お示しください。

○内田河川課参事

流域委員会についてでありますが、天塩川流域委員会については、河川に開する学識経験者や地域の代表者など17名により、平成15年5月から平成18年12月にかけて20回開催され、その運営などにかかった費用は約1億円であり、広報については、委員会を公開で行うとともに、議事及び関係資料については、ホームページやニュースレターなどにより公表を行っていると承知しております。

一方、淀川水系流域委員会については、平成13年2月から現在までに80回開催されたと聞いておりますが、その予算、広報などについては、現時点で把握しておりません。

○真下紀子委員

淀川水系流域委員会については、ホームページですぐヒットしますから、ぜひ見てください。

委員会を開きますと、毎回、結果報告がわかりやすく示されております。また、80回開催されたということですけれども、議論の中身も非常に多様でして、本当によく住民の声も聞いています。そういったところが大きな違いではないかなというふうに思うわけです。

ところが、天塩川流域委員会の方は、今後、流域委員会に配付する資料に7億8000万円を使うとしているわけですね。こういったことは過大な予算ではないかというふうに思っております。こういった状況が続いているものですから、住民の方にも十分理解されていないと思います。

治水や環境保全、事業費圧縮など、数々の不十分さを指摘せざるを得ないわけですけれども、中でも、情報公開と道民意見の反映というのは、淀川水系流域委員会に比べても非常に不十分な中で決定し、工事が進められようとしているわけですから、ここのところは、よく話し合って、慎重な対応をすべきではないかなというふうに思うわけです。

住民から、反対や慎重な対応を求める意見が示されてもおりますし、私は、住民理解はまだ得られていないのじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○猪俣建設部長

住民の理解についてでありますが、これまで、国は、天塩水系河川整備計画の策定に当たりまして、地元役場などで、サンルダムを含む河川整備計画の原案を縦覧するとともに、関係する市町村において説明会や公聴会を開催してきたところであります。

その間、約440件に及ぶ住民の御意見が寄せられ、その約8割は、河川整備計画に対しての推進意見であり、約1割が反対意見で、残りの約1割がその他の意見と聞いているところであります。

また、国では、流域委員会の議事内容や関係資料について、ホームページあるいはニュースレターなどを通じて住民の方々へ情報提供を行って、理解を求めてきたと承知しております。

以上でございます。

○真下紀子委員

しかし、きょうの議論でおわかりのように、談合の疑いですとか、本当に環境が保全されているのかという新たな問題が出てきておりますので、こういった点についても知事とよく議論をさせていただきたいと思います。委員長、よろしくお取り計らいをお願いいたします。

河川整備と釧路湿原の乾燥化への影響などについて

○真下紀子委員

次に、河川整備と釧路湿原の乾燥化への影響などについて伺います。

1980年、国内第1号としてラムサール条約に登録をされた日本最大の湿地が釧路湿原ですけれども、過去60年間で3割もの湿原面積が消失をしております。87年の国立公園指定によって保護管理が強化されたにもかかわらず、この10年でも1割の面積が縮小し、乾燥化が加速していることが国の調査でも判明をしているわけです。これは重大な事態だと思います。

私は、現地を調査させていただきました。人災そのものというのが率直な感想でございました。

そこで初めに、そもそもの湿原の役割と釧路湿原の乾燥化の実態、その原因などについて道の認識を伺っておきます。

○寺山土木局長

釧路湿原に対する認識などについてでありますが、釧路湿原は、日本最大の湿原で、原生的な自然が残され、貴重な野生生物の生息地であり、保水・浄化機能など、人々の暮らしを支える重要な役割を果たしていると認識しております。

乾燥の実態といたしましては、2005年3月に釧路湿原自然再生協議会が策定した釧路湿原自然再生全体構想によると、1947年に約2万5000ヘクタールあった湿原が、1996年には約1万9000ヘクタールまで減少し、この50年間で2割以上も消失したとされております。

また、その原因といたしましては、1960年代から、農地や市街地の開発、さらには河川の直線化などにより、湿原内に多量の土砂が流入したこととされております。

○真下紀子委員

今答弁の中にありました河川の直線化事業について次に伺っていきますけれども、釧路川を初め、道の管理する河川でも直線化事業が進められました。これまでの予算も含む事業実績と湿原乾燥化への影響について伺います。

○西尾正己河川課長

河川改修事業による影響などについてでありますが、道におきましては、流域の農地を保全することなどを目的として、1967年から2001年まで、補助事業により、雪裡川など3河川で、延べ約16キロメートル、総事業費にして約41億円で河川改修を行ったところであり、湿原乾燥化の一因になったものとも考えられます。

○真下紀子委員

今答弁にありましたけれども、私も、釧路湿原周囲での大規模な農地開拓、住宅や道路の建設、森林伐採など、河川の直線化だけではない複合的な要因があることは承知をしておりますけれども、釧路川では直線化に5億円をかけて、曲げ戻しに10億円もかけるという状態なのですね。旧法の弊害が釧路湿原を乾燥化させている大きな原因だと私は考えます。

しかし、改正河川法のもとでは、もう整合性がとれなくなって、これまでの事業は率直に反省すべきではないかと思いますが、いかがですか。

○西尾河川課長

改正河川法についてでありますが、1997年に改正された河川法におきましては、従来の治水、利水に加え、河川環境の整備と保全が位置づけられたところであり、その法の考えにのっとり、流域住民の生命、財産を守ることに加え、環境に配慮した河川改修が進められているところであります。

○真下紀子委員

率直に反省した方がいいと思うのですね。法の方も、反省したから改正したわけですから、道も反省していただきたいというふうに思うのですけれども、自然再生事業というのが、そのかわりに出てきました。

この自然再生事業によって、標津川の再蛇行化が先行して行われたわけですけれども、自然保護団体や弁護士会などからは、自然再生の名をかりた土木事業だとして、再考を求められています。道は、自然再生事業の効果と課題についてはいかがお考えか、伺います。

○西尾河川課長

自然再生事業の効果などについてでありますが、河川の蛇行は、河畔林、瀬、ふちなどといった多様な河川環境を保全し、河岸侵食や河床低下を防ぎ、湿原への負荷の軽減や河川の生態系の保全といった効果を生み出すものと考えております。

こうした事業を実施するに当たっては、計画への住民意見の反映などが重要なことであり、今後は、学識者や地域住民の意見を踏まえて事業を進めてまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

そこに住んでいらっしゃる住民の方が地域のことを一番よく理解されていると思うのですけれども、釧路川では、旧川をせきとめて掘削が行われました。しかし、旧川には既に新たな河川環境ができておりまして、生態系も本流とは違っているにもかかわらず、本流にいる魚種だからということで、旧川の魚を本流に移動させたというふうに聞いて、私は大変驚きました。国交省は、こういうことを平気でやっているわけですね。

日本では釧路湿原だけに生息をするキタサンショウウオについて、京都大学の松井教授らのグループの最近の研究で、約200万年以上前から北海道に生息していた貴重な生物であるということがわかったわけですけれども、こういったことがあるということを御存じでしょうか。

○西尾河川課長

キタサンショウウオについてでありますが、国内では釧路湿原にのみ生息し環境省のレッドデータブックにおいて希少種として指定されていることなどを承知しております。

なお、国においては、事業の実施に当たり、専門家の助言を受けながら、貴重種の対応を行っているものと聞いております。

○真下紀子委員

その専門家が、全く河川環境の違うところに魚をぴょんと移す、そういうようなことを平気でやっているわけですから、これは当てにならないというふうに私は思うわけです。

国が行った河川の直線化によって、流れは、上流の方が非常に遠くなりまして、久著呂川では、上流で川底の掘削が進んで、のり面などのコンクリートの塊までが流されて、その上流にある橋の安全も危ぶまれるという状況になっております。

直線化された川を放置しておきますと、土木工事がエンドレスに行われていくということで、蛇行化をさせたり、土木工事をして流れをとめたりする、これは本当にすごい話だなというふうに思うのです。

また、雪裡川と、釧路川の本流は直線化されているのですけれども、自然の川では、狭い直線化された中ではありますけれども、蛇行が始まっていて、直線化が自然への逆行だということを図らずも示しているのではないかと思いますけれども、この点についてのお考えはいかがでしょうか。

○西尾河川課長

久著呂川などの現在の状況についてでありますが、久著呂川においては、1966年から1980年までに、国の直轄明渠排水事業として整備が進められ、その際に、蛇行していた河川をショートカットするなどして、下流への排水を促進したところであります。

その結果、直線化された河道によって流れが遠くなり、川底が削られやすくなったことなどにより、湿原への土砂流入量が以前に比べて増加してきているものと思われます。

また、雪裡川などにおいては、築堤により守られた河道内において流路が蛇行しているところが見受けられているところであります。

○真下紀子委員

写真を見れば一目瞭然なのですけれども、自然の摂理に反したことをやると、こういったことが起きるのだというふうに思うわけですね。

今、自然再生事業を進めるということで、釧路の方では協議会が行われているのですけれども、この自然再生事業にこだわることなく、総合的に釧路湿原の乾燥化を食いとめる抜本的な対策を講じる必要があるというふうに私は考えております。

既に、住民レベルで、NPO法人のトラストサルン釧路などの、湿原の乾燥化をとめるための活動が非常に注目をされておりますし、道だけではなく、住民とも十分なコンタクトをとって、地域住民を巻き込んで、乾燥化をとめるために、いま一度、自然再生事業のあり方というのを見直すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○寺山土木局長

自然再生事業についてでありますが、釧路湿原の自然環境が、近年の開発などによって大きく変化してきたことから、自然再生推進法に基づき、2003年11月に、行政機関や地域住民、NPOから成る釧路湿原自然再生協議会が発足し2005年3月に、湿原の保全、再生を効果的に行っていくための方向性を定めた釧路湿原自然再生全体構想が策定されました。

今後も、この構想に基づき、事業を行ってまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

発足した再生協議会についてなのですけれども、この協議会での承認が実は確認されていないと。NPOが承認を承諾したわけではないという意見もありまして、今、ここの議論が非常に難しくなってきています。そういった点で知事がどういう御判断をされるのか、改めて伺いたいと思いますので、この点について総括質疑に上げていただきたいと思います。

建築物の耐震改修について

○真下紀子委員

最後になりますが、建築物の耐震改修について3問だけ伺わせていただきます。

国は、耐震改修促進法を制定して、ことし4月には新しい制度要綱を施行しました。市町村の改修促進計画の策定がどう進んでいるのかという点が1点です。

それと、民間への改修補助については、国が平成20年度で170億円の改修予算を計上しております。本道の市町村における耐震改修補助の実施予定と金額がどうなっているかもあわせてお答えください。

○石塚弘建築指導課参事

市町村の耐震改修促進計画などについてでありますが、耐震改修促進法では、市町村の耐震改修促進計画については策定に努めることとされており、道といたしましては、市町村の計画策定の手引書の作成や、道と市町村で構成いたします全道耐震改修促進会議の開催などで、道内すべての市町村の計画づくりを促しているところでございます。

本年4月現在の市町村計画の策定状況は、48市町村で計画が策定済みとなっておりまして、今年度は40市町村、21年度は36市町村、さらに22年度は21市町村において策定を予定しており、平成22年度末までに、合わせて145の市町村が策定することとなっております。

また、民間への改修補助についてでありますが、市町村が行う住宅・建築物耐震改修等事業につきましては、住宅やマンションなどの民間建築物の所有者が耐震診断及び改修を行う場合、それらの補助の額を、市町村と国が2分の1ずつ負担して、市町村から補助する制度となっておりまして、耐震診断に対する国の予算枠といたしましては、戸建て住宅が240戸で、補助額は370万円、これを市町村が補助する際には740万円となり、また、マンションなどが35棟で、補助額は2650万円、これを市町村が補助する際には5300万円となるところでございます。

国の地域住宅交付金を活用した、道の補助制度であります既存住宅耐震改修事業については、民間住宅の耐震改修に対し補助の額の2分の1ずつを道と市町村が負担し市町村から補助する制度としておりまして、この道の予算枠は、戸建て住宅が250戸で、補助額は2000万円、これを市町村が補助する際には4000万円となっております。

以上でございます。

○真下紀子委員

市町村負担があるものですから、なかなか進みにくいのではないかと心配をするところです。

それでは、平成18年度から27年度の道の改修促進計画は、20年度で3年次を経ることになりますが、27年度で民間の耐震化率が9割というのであれば、平成20年度末では、10年間で行うことになる耐震改修の3割ぐらいに到達しなければならないというふうに考えるところです。今後のテンポは、これまでの何倍以上にアップしなくてはならないのか、また、住宅の耐震改修をどのように促進していくのか、伺います。

○石塚建築指導課参事

北海道耐震改修促進計画の推進についてでありますが、道内における耐震改修の実績は、住宅・土地統計調査をもとに推計いたしますと、年間で約3000戸でありまして、計画における耐震化の目標値を達成するには、おおよそ3倍のペースで改修を進めなければならないと想定しているところでありますが、耐震改修に対する道民の意識の問題などから、その取り組みがおくれているものと考えているところであります。

このことから、道は、耐震改修に対する意識を醸成するためのパンフレットの配布や、ホームページなどにより、道民に対する普及啓発を行うとともに、耐震診断・改修技術講習会の開催などによりまして、民間技術者の育成を図ってきております。

また、道民の方々がみずから耐震改修を進めやすくするため、支庁の職員による、戸建て木造住宅の無料耐震診断の実施や、先ほども御説明いたしました、地域住宅交付金を活用した、木造住宅の耐震改修に対する市町村補助制度を設けるなどして、住宅の耐震改修を促進しているところでございます。

さらに、北方建築総合研究所が民間企業と共同開発いたしました、断熱改修の際に耐震改修をあわせて行える比較的安価な工法の普及にも努めております。

以上でございます。

○真下紀子委員

委員長、最後に……。

○小松茂委員長

真下委員、通告時間が過ぎておりますので、まとめてください。

○真下紀子委員

はい。最後の質問になります。

この間、6月14日には岩手・宮城内陸地震が起こり、その前には中国での四川大地震がありまして、被災された方には私からも心からお見舞い申し上げますとともに、やはり、北海道としても、そういったことを二度と繰り返さないように、行政としての力を尽くすということも必要ではないかなと思います。

最後の質問になりますけれども、耐震診断士の不足が著しいというふうに聞いております。木造なら筋交いを入れる、マンションなら共用部分のピロティの柱を強化するなど、少しでも地震に強い住宅に改善する簡易補強――よりまし改修が必要との指摘もあります。よりまし改修の手法をどのように評価するのか、また、簡易補強の普及啓発をどのように進めるのかを伺って、質問を終わります。

○福田聖治住宅局長

住宅の簡易補強などについてでありますが、震度6強の大規模な地震においても倒壊しないような住宅を建設し、国民の安全、安心を確保するため、昭和56年に建築基準法で定められた、いわゆる新耐震基準に適合するよう、住宅の耐震改修を進めることが基本と考えており、道としましては、その促進に努めております。

委員の御指摘にありました簡易補強などにつきましては、新耐震基準には適合しないながらも、明らかな強度不足の箇所などを補強した住宅に改善するというものでありますが、道といたしましては、あくまでも、新耐震基準に適合する耐震改修を進めているところであります。

先ほど御説明いたしました、北方建築総合研究所が開発した安価な耐震改修の工法や、市町村の補助制度を活用していただくなどして、安全、安心な住宅の改修に努めていただきたいと考えているところであります。

○真下紀子委員

ありがとうございました。


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[日本共産党道議団編集]

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